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基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応

平成8年3月26日
市場開放問題苦情処理対策本部

「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見」(平成8年3月18日、市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書)を最大限尊重し、市場アクセスの一層の改善に資するため、以下の対応を取る。

1.動植物・食品関係

1-(1) 輸出前の生果実の蒸熱処理のための植物防疫官の派遣

タイ側で将来マンゴウの処理施設の増加等があっても業務に見合う日本側植物防疫官の派遣を行うとともに、以下の対応をとる。

(1) 蒸熱処理については、現場であったとされる問題事例等に係る事実確認をまず行うとともに、日本側植物防疫官による確認を不要とすることの可能性及びそのための条件(例えば適切な設備と研修を受けた技術者の配置)について、日・タイ間で早急に話し合いを行う。
(2) 費用の問題については、たとえ派遣するにしてもその滞在期間を全体として短くする等の簡素化を行う等、タイ側の負担軽減の可能性及びそのための方策について、日・タイ間で早急に話し合いを行う。

1-(2) 輸入果汁に係るJAS規格の一部変更

(1) 平成7年11月に検討を始めた果汁のJAS規格の改正について、平成8年度中を目途に具体案をまとめる。その際、輸入果汁の実態も踏まえつつ、なるべく包括的に(産地毎の規格ではなく)規格を設け、国際的規格を十分勘案するとともに輸入品を十分に視野に入れる。また、改正の検討にあたり、具体的な要請を受け、サンプルやデータの提出を待つだけではなく、外国のデータについても自ら広く収集するなど前向きな取り組みを推進する。
(2) 今回の改正の検討にあたり、オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分については、国際規格には規定されていない項目であるという点も踏まえ、果汁のJAS規格におけるその必要性につき、早期に結論が得られるよう努める。

1-(3) 動物用飼料添加物の指定制度の見直し

外国データの受け入れによる国内試験の簡素化については、飼料添加物の安全性の確保等にも十分配慮した上で平成8年度中を目途に、農業資材審議会での検討結果をとりまとめ、それを踏まえた対応を行う。

1-(4) 食肉中の薬物残留基準の国際的整合化

(1) すでに国際基準が設定されているものについては、食品衛生調査会における検討スケジュールを明確化し、できる限り速く、国際基準との整合化を図る。この場合、残留基準設定予定の動物用医薬品とその設定時期を明確にし、公表する。また、国際機関における基準設定作業がある程度の段階に達したら、当該動物用医薬品の残留基準の設定の準備に着手しできる限り早く残留基準の設定を行う。
(2) 国際基準が未設定であっても、資料収集を行い、米国、EU等の基準値を受け入れることも含めて、食品衛生調査会の意見を聴き、早急に国内の残留基準の設定を進める。
また、残留基準設定の必要性が高いと考えるものについては、安全性に関する資料を国際機関に提出する等、国際基準の設定に貢献する。
(3) 食品中の動物用医薬品残留基準の設定に関する食品衛生調査会での審議の一層の迅速化を図る。
(4) 個別の動物用医薬品に係る残留基準の設定につき、内外の要望等に基づきプライオリティリストを作成し、設定の時期的目途を含め平成8年度中に内外に公表する。

2.医薬品・医療用具・化粧品関係

2-(1) 「栄養補助食品」の位置づけの明確化と規制の緩和

医薬品と食品の区分方法について、中長期的には、食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることを検討する。
形状(剤型)の制限については、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないように明確に食品(栄養補助食品)としての適切な表示がなされれば、廃止または大幅な緩和を行う。
表示の制限については、適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とする。

通常海外で食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食品として取扱いできるようにするため、ビタミンについては平成8年度、ハーブ(生薬)については平成9年度に、形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和し、ビタミン、ハーブ以外のものについても、平成10年度からミネラルをはじめとして順次実施する。

2-(2) 化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化

国際的整合化を図ることを含め、化粧品規制全体の在り方についての見直しを平成8年度中を目途に行う。この際、以下の点について所要の対応を実施に移す。

(1) 種別許可基準の国際的整合化を推進し、米国、EU諸国等で使用の認められている成分については、それらの国の規制を参考に種別許可基準へ組み入れる。また、輸入時において既に承認済の化粧品に含まれている成分と同じ成分からなる化粧品についての承認が不要となるよう、種別許可基準外の成分について、承認手続の際の提出資料等を基に成分の規格を定め、迅速に種別許可基準へ収載する。
(2) 営業所毎の輸入販売業の許可制の在り方について、責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件の必要性等を含めて平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。
(3) 製品輸入時に提出する輸入製品届出書の在り方について、実務上負担がかからないよう平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。

3.工業関係等

3-(1) 絹製混交織織物等の事前確認手続の簡素化

事前確認の申請が本省扱いとなっている絹製混交織織物、絹製ベッドリネン等について、申請者の負担軽減のため、地方通商産業局経由でも本年4月から受付を行う。

事前確認申請書の記入項目の簡素化については、事例に応じ弾力的な運用を行うとともに、そのことを関係者に周知する。その他申請手続きの簡素化についても、今後とも不断の見直しを行う。

3-(2) 高圧容器の認証の国際的整合化

高圧ガスの種類の変更手続きの簡素化を図るため、同一容器への複数充てんが特別許可されるガスの種類の追加を平成8年度中にも実施し、さらに、特別充てん許可を要することなく複数の種類のガスを同一容器へ充てん可能にするためのガスのグループ化を、安全性の検討を行った上で、3〜4年の間に逐次実施する。

3-(3) 電気機器の防爆基準の相互認証

基準・認証制度の国際的整合化の観点から、以下の方向で見直しを進める。

(1) IEC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨を外国政府または外国政府が認定した機関により認証を受けた製品については、認定機関等について必要事項を確認のうえ、早急に我が国の型式検定に合格したものと同等の扱いとする。その際、規格の細部や解釈において我が国と外国とで不一致があれば、その統一を早急に図る。
(2) 上記の認証を受けていない製品について、指定外国検査機関制度の広報に努め、特に輸入業者等からの要望の多い機関については、積極的に指定を進めることにより、外国検査データの受入れをより積極的に推進する。
(3) IEC規格以外の規格について、相互認証に向けて、今後5年程度を目途に積極的に調査検討を行い、逐次必要な措置を講ずる。

4.運輸・交通関係

4-(1) トレーラーハウス、キャンピングカーの輸入の円滑化

トレーラーハウスのうち、キャンプ場においてキャンプのために使用されるものについては建築基準法の適用を受けないこととし、その旨周知する。
また、トレーラーハウス等に係る規格・基準の整備について、既存法の枠内で対応するのか、新法(既存法の改正を含む)を制定することにより対応するのかについて、運輸省、建設省を始めとする関係省庁が検討を行い、1年以内を目途に結論を出す。このため、問題提起者から提出される各種スペック、米国における規制等に関し、関係省庁において現行法令等との関係を速やかに検討する。

4-(2) 船舶及び船舶用エンジン・推進装置等の輸入検査制度の見直し

プレジャーボート、小型船舶用エンジン等に関し、人命の安全、環境の保全等を損なわないよう十分配慮しつつ、以下の措置を講ずるものとする。

(1) プレジャーボートについては、ISOの基準策定に貢献するとともに、同基準が策定された場合には、国内基準を速やかにこれと整合のとれたものとする。また、EU、米国等主要先進国の動向を踏まえて、これらの国の検査基準等に特に問題がないのであれば、その検査基準等を受け入れ、当該国の合格証明書等の書類審査及び現物の確認のみで、日本国内での使用が認められるよう検討し、平成10年度末を目途に結論を出す。
(2) 日本小型船舶検査機構における海外試験機関の試験データの受入れを一層拡大するために、現在試験データを受け入れていない機関と検査方法等について積極的にすり合わせを行い、申請者の負担を減らすよう努力する。主要な船級協会の試験データについては、平成8年1月に発効した「旗国代行機関の承認に関するガイドライン」の実効を確認しつつ、安全上支障のない範囲で受入対象とする方向で早急に検討し、平成10年末までに結論を出す。
(3) 外国企業への広報活動等によって、型式承認制度、認定事業場制度等の更なる活用を図り、かつ改善に努める。例えば、認定事業場制度においては、ISO9000シリーズを活用して認定を進めるなどの方策について、平成9年度末までに検討し結論を出す。また、検査項目の削減、検査手続の簡素化等を技術の進歩等を踏まえて積極的に進める。

5.建設関係

5-(1) 輸入住宅資材等に係る規制緩和

(1) 2×4工法用住宅資材について、諸外国で一般的に認められている規格等を我が国の制度に組み入れていくこととする。この際、海外の規格適合証明機関等と行っている検討、協議は早急に結論を得ることとし、外国で普及している住宅に用いられている資材等をパッケージで受け入れられるように配慮する。また、海外機関に対して協議への積極的な呼びかけを行うと共に、特に要請の多い資材については自らもデータ収集を行う。更に、2×4工法に係る建築規定については、平成8年度中に告示を性能規定型に改正する。性能基準の認証については第三者認証制度を導入する。
また、住宅金融公庫の2×4工法共通仕様書の構造基準が建築基準法による基準と同一であることを周知・徹底するための措置を早期に検討し、平成9年度初までに実施する。2×4工法に係る告示の性能基準化に合わせて、平成9年度版から仕様書も性能基準を示す形に改正する。
外壁・屋根材の不燃材料等の指定を円滑化するため、外国試験機関の指定を推進する。また、住宅金融公庫融資の際に屋根材を不燃材料とする要件を平成8年4月から廃止する。
更に、建築規制を性能規定型に改正するため、平成8年度中に新たな建築規制の制度的枠組みを策定する。
(2) 給水器具等に係る規制に関して、給水装置工事主任技術者制度の創設、給水装置工事事業者の指定要件の明確化等の措置を盛り込んだ水道法の一部改正を今通常国会にて行うことを目指す。
現行の給水器具の型式承認・検査制度については廃止し、以下の措置を講ずることとし、そのために必要な作業を平成8年度中に行い、平成9年度からの実施を図る。
・給水器具についての国の構造・材質基準を明確化することとし、性能基準化を図る。
・国の基準の明確化に伴い、給水器具は型式承認・検査を受けなければ使用できない実態を改め、第三者認証を受けることを義務づけない制度とする。
・第三者の認証に係る検査については、自社検査制度を導入するとともに、第三者が行う検査について抜取り検査を導入するなど、現行の型式承認における全数検査の大幅な合理化を図る。
・海外基準との調和を図るため、海外の認証機関との相互認証を推進する。
・水道事業者に対しては、国の基準に適合する製品についての重複検査の廃止等必要な見直しを求める。

5-(2) 海外建設資材の品質審査・証明事業の改善

海外建設資材の品質審査・証明事業とISO認証とで審査内容が重複する項目の有無について平成8年度早期に更に検討し、審査を省略できるものについては省略する。
平成8年度より品質審査証明の有効期間を現在の1年から3年程度に延長し、審査料金については最大4割程度引き下げる。

6.雇用・労働関係等

6-(1) 労働者派遣事業の見直し

(1) 適用対象業務の範囲については、現行の16業務に12業務を追加する予定であるが、今後とも労働者派遣が不適切な業務以外は対象業務とする方式を含め適宜適切に見直しを行う。
(2) 許可に関しては、改正労働者派遣事業法案の中で措置予定の手続きの簡素化等と併せ、関係書類の簡素化を速やかに実施する。
また、職業紹介事業との兼業に係る規制を大幅緩和することについては、現在中央職業安定審議会で行われている有料職業紹介事業の在り方の検討の中で、事業所のスペースに係る規制を大幅緩和することについては、それに引き続き行う労働者派遣事業に係る制度の在り方の検討の中で、職務経験年数及び派遣元責任者と派遣労働者との比率に係る規制を大幅緩和することについては、平成8年度に中央職業安定審議会で行われる検討の中で、前向きの対応を図る。

6-(2) 職業紹介事業の見直し

許可の有効期間の更新に関してはできる限り簡素にするとともに、関係書類の簡素化を平成7年度内に実施し、その後も引き続き簡素化に努める。
また、取扱職業の範囲を民間が扱うことが不適切な職業以外は扱えることとする方式も含め最大限拡大すること並びに手数料、事業所ごとの許可、労働者派遣事業との兼業、事業所のスペース及び職務経験年数に係る規制を大幅緩和することについては、現在中央職業安定審議会において行われている有料職業紹介事業の在り方の検討の中で、現行のILO第96号条約の下、前向きの対応を図る。

6-(3) 上陸審査基準等の見直し

外国人が我が国に入国・在留する際の在留資格該当性及び上陸審査基準をより透明性の高いものとするため、規定の解釈等を明確に示す。また、外国人が外国企業との契約に基づいて、健全な経済活動を行うことを目的として、日本国内に新たに事務所等を開設しようとする際に、現行法令の運用の見直し等により、当該外国人に在留資格を付与する(在留資格の変更を認める)方向で改善策を講ずる。

7.輸入手続関係

7-(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化

現在、各税関官署毎に提供している輸入許可前貨物の引取承認のための担保(BP担保)を、平成8年度中に、海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)及び航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)において、全国共通して利用できることとする。

7-(2) 輸入事前申告制度の導入

平成8年4月に導入することとしている航空貨物に係る「到着即時輸入許可制度」については、利用者の迅速通関のニーズに十分応え得るよう、その適用の範囲や手続を含め運用面に配慮する。例えば、貨物の到着の確認を具体的にどのようにするのか等について、可能な限り利用者の利便に配慮し、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるように実施する。併せてこうした制度ができたことを広く利用者に周知する。
また、本制度の海上貨物への導入については、迅速通関の観点から、航空貨物における利用状況等をみて、検討する。

7-(3) 特恵原産地証明書に係る輸入手続の簡素化

関税暫定措置法施行令を改正し、税関長が物品の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた物品については、特恵原産地証明書の提出を要しないこととした。

今後とも、利用者の利便を図るため、引き続き輸入手続の簡素化、迅速化に努める。