検討会(第5回)

1.日時:平成24年2月23日(木)14:00~14:45

2.場所:中央合同庁舎4号館 第2特別会議室

3.出席者:
(委員)清家座長、香山委員、関委員、森委員
(オブザーバー)横田文部科学省生涯学習政策局家庭教育支援室長、菱谷厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐、山口国土交通省総合政策局安心生活政策課長
(内閣府)中川内閣府特命担当大臣、村木政策統括官、内野大臣官房審議官、伊奈川大臣官房審議官、原口高齢社会対策担当参事官、飯島高齢社会対策担当参事官補佐
4.議事:
高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書(案)について

検討会(第5回)議事録

○清家座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」を開催いたします。

本日は、「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書(案)」につきまして、最終とりまとめに向けた議論を行いたいと考えております。

委員の出欠状況ですが、本日は所用のため、園田委員、弘兼委員が御欠席でございます。なお、本日は、後ほど中川大臣にも御出席をいただき、ごあいさつを賜る予定になっております。

それでは、まず事務局から報告書(案)について説明をしていただきます。本日の資料は前回の検討会で出ました結論を踏まえた案文を事前に委員の皆様にもお送りし、いただいた御意見を更に踏まえて検討した結果、とりまとめたものでございます。

それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

○原口参事官 それでは、資料1をごらんください。こちらは前回検討会で御議論いただきました意見、及びその後、委員の方々からいただきました御意見等踏まえまして、事務局にて前回お示しいたしました検討会報告書(素案)を修正したものでございます。では、こちらに基づきまして、前回からの主な修正等につきまして順を追って御説明いたします。

まず、1ページ目と2ページ目でございますが、報告書の副題や目次のところの「4.今後の超高齢社会に向けた基本的な考え方」の中の6つの柱に対する小見出し、小副題につきましては、座長と御相談の上、お手元の資料のとおり決定したところでございます。

3ページ目「はじめに」のところでございますが、前回の構成につきまして、「はじめに」は震災のところから記していたところでございますけれども、前回の検討会におきまして、園田委員、香山委員等より、高齢社会をよりポジティブにとらえることは重要であるという御指摘、また尊厳ということを全体のトーンで貫く方がよいという御指摘もございましたため、前回記載しておりました日本の高齢化率のスピード等の記載のところを削除いたしまして修正してございます。

まず冒頭のところでございますが、「長寿社会の構築は、世界中において希求され、絶え間なく追求されてきたものである。我が国は、戦後の経済成長による国民の生活水準の向上や、医療体制の整備や医療技術の進歩、健康増進等により、平均寿命を延伸させ、長寿国のフロントランナーとなった。このことは、我が国の経済社会が成功した証であると同時に、我が国の誇りであり、次世代にも引き継ぐべき財産といえる。」という形で冒頭に記してございます。

3段目の3行以下でございますが、「年齢によって一律に65歳以上の者を高齢者と位置づけ、「支えられる人」と捉える認識を改め、活躍している人や活躍したいと思っている人に誇りや尊厳を持って、超高齢社会の重要な支え手、担い手として活躍してもらうことが重要となる。同時に、支えが必要となった時も人間らしく生活できる尊厳のある生き方を実現させていくことが、今後の超高齢社会では求められている。長寿国となった我が国は、高齢者の生活の質を高め、全世代が参画した、豊かな人生を享受できる超高齢社会の実現を目指すことが重要である。」と記載しております。

5パラ目でございますが、「また、世界の高齢化の進行に鑑みれば、アジアを中心とした、今後高齢化を迎える国々の先行モデルとなりうる、高齢者が尊厳を持って自立できる超高齢社会を構築する必要もあろう。」という形で整理してございます。

5ページ目の(所得・資産格差の拡大)の第2パラでございますが、「貧困の状況には男女で違いが見られ、高齢になると女性の貧困率が男性の貧困率を大きく上回るようになる。特に高齢単身女性などの貧困率が高い状況が見られる。」というところは、表現の適正化を図っております。

8ページ目の「(2)健康・福祉」の3つ目のパラグラフのところでございますが、高齢者医療制度の改革のところでございますが、前回は1月6日の政府・与党社会保障改革本部決定と書いてございましたけれども、修正いたしまして閣議決定されたというところで修正を加えてございます。

9ページ目の上から3つ目のパラ、中段でございますけれども、携帯電話の契約時の本人確認義務や携帯電話の無断譲渡の禁止等を規定する「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」と、法律名称を正確に記して修正しております。

11ページ目「(2)世代間格差・世代内格差の存在」の上から4つ目のパラグラフでございます。「とりわけ女性高齢者は、若・中年期に家事・育児並びに介護などのために就業の継続が困難であったり、非正規雇用の割合が高い」などということを具体的に追記してございます。

その2つ下、「他方」のパラグラフの3行目でございますけれども、「年齢や性別に関係なく」ということで、前回年齢のところしか記載してございませんでしたが、「性別に関係なく」という形で追記してございます。

13ページ目「<2>高齢者が巻き込まれる事件・認知症高齢者の増加」というところでございますが、第1パラグラフにつきましては修正いたしておりまして、内容の適正化を図っているところでございます。

最後のパラグラフ、「一人暮らしの高齢者が増加していくことも考慮すると、認知症になっても住み慣れた地域で」と、森委員の御指摘を踏まえまして記載してございます。

飛びまして17ページ目「(3)高齢者パワーへの期待」というところの副題でございますけれども、「~社会を支える頼もしい現役シニア~」。この前、関委員の方から「現役シニア」というお言葉を使われてはどうかという話がございました。こちらの方を採用したことによりまして、関係箇所のところにつきまして修正をかけたところでございます。

18ページ目、上から2つ目のパラグラフでございます。「このような現役シニアの高い就労意欲と経験・技能をつなぐ組織の充実や、それらを活かす取組みについての情報提供」というところでございますけれども、前回、具体的にハローワークとかシルバー人材センターという名称を出しておりましたけれども、このような書き方に修正してございます。

19ページの上から5パラ目「このように」というところの最後の行でございますが、「高齢化に対応した産業や雇用の拡大」という形で、前回は産業ということでございましたけれども、雇用が発生するということでございますので、森委員の御指摘を踏まえて追記してございます。

20ページ「<2> 孤立化防止のためのコミュニティの強化」でございますが、第1パラの2行目のところでございますが、「地方においては地域そのものが孤立化していることから、そうした高齢者」という形で前回整理してございましたが、森委員の指摘を踏まえまして「見守り等を通じて」というところを追記してございます。

22ページ目「<2> 日常生活圏域の生活環境の保障」の1行目でございますが、前回、心身の機能が低下した高齢者の行動能力は、小中学生にほぼ等しいと考えられるという形で記載しておりましたけれども、こちらは座長以下御意見がございましたので修正いたしまして、「心身の機能が低下した高齢者にとっては、中学校区程度の」という形に改めさせていただいております。

24ページ目、上から4つ目のパラグラフ「さらには」というところでございます。前回、香山委員から御指摘がございまして、「さらには、若年期から高齢期に備える場合、高齢社会についての総合的な知識が必要である。そのためには、できるだけ多くの国民が、高齢社会についての客観的かつ総合的な知識を取得できるよう、教育や学習の機会の提供を進めることも望まれる」という形で追記してございます。

あと最後のパラグラフでございますけれども、こちらは関委員から御指摘ございました。「若年者も含めた国民が、今日から、人生90年時代に向けた人生設計を描き始めることが重要である」というところを追記してございます。

26ページの「おわりに」、まず冒頭のところでございます。「はじめに」と対応した形で整理させていただいております。「我が国は、絶え間ない努力により、他国に誇ることができる長寿国となった。しかし、人口縮減に伴い、世界に先例のない超高齢社会を迎えている。」という形で冒頭整理いたしまして、「今後は、これまでの人生65年時代から人生90年時代を前提とした仕組に転換していかねばならない。」としております。

第2パラのところで、「これに当たっては、尊厳ある自立と支え合いによって築かれる社会の実現を目指すべきである。」ということで整理しております。

第3パラグラフになりますが、「この社会の構築に向けては、高齢者のみならず、世代間の交流を通じた若者や子育て世代とのつながりを醸成する。全ての世代が積極的に参画する世代間及び世代内の「互助」の精神が求められる。」としております。

「この点、顔の見える助け合いである「互助」を再構築することにより、安心感が芽生え得る」ということと、その次のパラグラフ「これらに加え」のところでございますが、検討会中御議論がありましたリダンダンシーという言葉でおっしゃっておられましたけれども、これらに加えて、「これまでの地縁を中心としている「地域力」や、今後高齢者の活気ある新しいライフスタイルを創造し得る地縁や血縁に捉われない「仲間力」を高め、様々な場面において、多角的、重層的な様々な支え合いを構築する必要がある。従来のように効率性を重視するのみならず、たとえ少ないニーズであってもコストを負担し、様々なニーズに対応したサービスや仕組みを多角的、重層的に提供していく、ゆとりのある社会の構築も重要であろう。」という形に整理させていただきました。

26ページの一番下「ただし」のパラグラフの3行目、「このため企業や社会が積極的に、子育て、介護、自己啓発、ボランティア等の地域活動などを可能とする、人生の様々なステージにおいて」というところは、関委員から御指摘いただきまして加筆してございます。「仕事と生活の調和を可能とする働き方を促進していくことが求められる。」というところでございます。

次のパラグラフでございますが、弘兼委員の御指摘で、地域社会で全世代が「生」について実感できる機会というのが必要ではなかろうかという御指摘がございました。つきましては、3行目でございますが、「高齢者のみならず、子どもを含めて全世代が地域社会において、人生の終わり方について考えることは、「生」を実感する機会にもなる。これは、自身の「生」のみならず、他者の「生」をも尊重する機会となり、「尊厳のある生き方」についてつながっていくのではないだろうか。」という形で整理させていただきました。

次のパラグラフは園田委員が前回御提出いただきました資料中に「花」「ゴミ」作戦というのがございましたけれども、この点を踏まえまして、「東日本大震災後、避難所を含めたいろいろなところで助け合い、支え合いの取組が行われている。人々の創意工夫」というところで整理させていただきましたが、「前向きに進み続ける姿勢により、こうした支え合いができるものであり、そういった支え合いの気持ちは日本人の誇りであるということを、今一度認識すべきであろう。」としております。

最後でございますが、「超高齢社会を迎えた我が国においては、大震災により互助の重要性を再認識する中で、すべての世代が参画した、尊厳のある自立と支え合いによって築かれる超高齢社会の実現を果たすことができれば、高齢化が進行し、同じような課題を抱えうる世界の国々に先駆けた超高齢社会のモデルともなりえよう。」という形で整理させていただきました。

それと前回皆様より御提案ございました弘兼委員からのイラストの件でございますが、お願いの件につきましては、弘兼委員に御快諾をいただいておりますので、御報告申し上げます。

以上でございます。

○清家座長 ありがとうございました。

それでは、ただいま原口参事官から報告書(案)について、先般来、委員の先生方から御指摘をいただいて改訂した場所を中心に御報告をいただいたわけですが、まず今日はこの後、この報告書(案)について、なお特段の御意見がある方には改めて御指摘を賜りたいと思います。

その上で、また今回の検討会での議論あるいはそれ以外のところでも構いませんので、今後の超高齢社会に向けた取組への期待あるいはこの研究会で議論をしていただきましたこれまでの御感想などございましたら、御発言をいただきたいと思います。

まず、この報告書の内容について、更に何か特段の御意見はございますか。よろしゅうございますか。

それでは恐縮ですけれども、今日はこれで最終回となりますので、森委員の方から順番に少し今の時点での改めての御感想なりお考えなりお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

○森委員 このような機会に参加させていただきまして、誠にありがとうございました。

とりわけまさしく超高齢社会ということを視野に入れた取組というのが私たちに求められておるということ、それは何も今までここでも議論されましたように、行政だけではなく、私たち一人ひとりがそういうことに向き合っていくということを改めて実感させていただきました。

これは私自身のこだわりもあるのですけれども、特に社会保障の問題というのは、ここでも議論させていただきましたけれども、やはり今すぐ取りかかっていかなければいけない。しかもこの社会保障の制度そのものが、ここの文章にもございますけれども、中長期的課題という表現もしてあるし、長期的な視点でもあります。私たちが議論する場合は、中長期的な課題なのか、長期的な課題なのかを考えて議論する必要があります。いろんな意味で私たちがそういうことを、今を生きる人間がやはり責任を持ってやっていかなければならない。それはどちらになるかは別として、議論をしながら、そういうグランドデザインを描いていかなければいけないということを、今回の報告書は私たちに投げかけたということで、今度は私たちがそういうことを様々な場面で考えていく必要があります。例えば私どもが担当しております地域の中の社会保障というのは、今まではどちらかというと福祉は与えられるものだとみんな大体がそう思っていたという実感を多くの方は持っていらっしゃると思います。しかし、そうではなくて、それはやはりある面では自分たち自身が支え手にもならなければいけないし、この文章にもございますように、支えられる側に回ることもあるのだと、そういうことをいろんな場面で問題提起をしながら、そして方向を決めていくということが私たちに求められているのではないだろうかという実感をいたしました。

○清家座長 ありがとうございました。

それでは、関委員、よろしくお願いします。

○関委員 今回の検討会では、我々委員の意見を細かいところまでよく聞いてくださって、とても柔らかな報告書ができ上がったのではないかと思っております。ありがとうございます。

この報告書の中で私自身が一番新しくて重要だと考えているのは、「65歳は高齢者か」ということを問うた点ではないかと考えています。社会保障と税の一体改革の話でも、やはり負担感とか不安感が高まっております。そうした中で、意欲と能力のある65歳以上の方々に支え手になっていただくということはすごく重要なことではないかと思います。

そういうことを可能とする上で、いろいろな制度を変えるというのは人生設計に影響を与えますので、簡単にはできないと思われます。そこでまず重要なのは、そうした社会や制度を支える我々国民の意識が変わることです。その意味でこの報告書は、国民に65歳は支えられる人ではなく、元気な人は支え手に回ってくださいというメッセージを伝えるものとなったところが非常に有意義なのではないかと思っています。

そうすることによって、若い人たちも自分たちが65、70、75になったときにどういった生活ができるかということを考えられます。ドラッカーなどがパラレルキャリアという形で、2つのキャリアを持つことの重要性などを述べていますが、そういったように若いころからいろいろなチャンネルを持って生きていくことで、より豊かな人生になるのではないかと思っています。

アメリカの高齢者コミュニティによく行くのですけれども、そこでは80代の人が本当に活き活きとしたお顔で、人生で一番楽しいのは80代だとおっしゃっていました。どうしてかと伺うと、80代になると、何をしたいかということを大分自分もわかってきているので、やりたいことを選択してすることができるし、自分がやりたいことをすることに対して、周りもだれも文句を言わない。だから、本当に好きなことだけできて、こんなに楽しい時間はないとのことです。

そういうふうな80代になれるように、それまでは活き活きと社会で社会貢献をして活躍して、人生の晩年は楽しく過ごせるような時代にこれからなっていけばいいなと、改めてこの報告書づくりに携わりながら思いました。

以上です。

○清家座長 ありがとうございました。

それでは、香山委員、お願いします。

○香山委員 今の関先生の発言に補足する形になるかもしれませんけれども、今回の報告書では、まだまだ活躍できる支え手側に回れる高齢者の方たちにも勿論光を当てたと同時に、逆に支えられる側の方の方たちのことにも配慮ができるような形にまとまったというのも非常に意義があることだと思っています。

私は精神科医なので、どうしても診察室にいますといろんな意味で問題を抱えた方を多く拝見するわけですけれども、高齢者の場合、本当に多様な方がいらして、その中には心身が衰えているという健康問題を悩んでいる方だけではなくて、自分にはもう価値がないということで非常に悩んでいる方も少なくありません。その人たちは長い高齢期を早くお迎えが来ないかというような形で、人生の消化試合のような粛々と死期を待つような形で苦しい日々を過ごしているのですけれども、その背景にあるのは、今の社会にある若いことにしか意義がないみたいな、若さにこそ価値があるみたいな価値観と、いわゆる稼げる人、GDPに直接貢献できることにしか価値がないというような、もう自分はそうできなくなってしまった自分にはもう価値がないのだというような、そういう今の社会全体の価値観が高齢者の方たちの尊厳が感じられないということにもつながっているのではないかと思います。

本当に私たちが昭和の時代に、当たり前にお年寄りは大切にと教えられて、お年寄りに対しては尊敬の念を持って大切にしなければいけないと当たり前に思っていたことが、今、こうした急激な社会変動と、勿論、高齢者の増加ということによって、当たり前に思えたことが思えなくなっているので、こういったようなことを私たちが文章化しなければいけないというのは、それはそれでまたちょっと情けないような問題があるような気もするのですけれども、それが今必要なのだろうということだと思います。

今回の報告書では、仕事ができる人は仕事を続けることができるように、でもそれだけではないというような、ボランティアですとか、いろんな形で社会貢献、地域貢献ができたり、あるいは今でしたらいろんな匠の技とか、もっと先人の知恵とか、経験とか記憶というものも十分に社会にとって有用なものだ、あるいはそれがなくても、高齢者、超高齢者として存在しているという存在感だけでも何かそこには価値があるというようなことまで、そこは文章化されていませんけれども、含んだ形で議論が行われたというのはよかったと思います。

今回、震災があって、期せずしてというか、例えばこの前の大津波を経験していたとかいう高齢者の方の経験談みたいなものが非常に必要とされたり、地域で高齢者が中心になって国からの援助を待たず、自分たちで何か地域の復興に対してコミュニティをつくって活躍しているというようなことがちょうどいろいろ報じられて見直されている時期ですから、そういうときに今回のような報告書が出されるというのは、非常に社会にとっても今高齢者のそういった力に対する注目が集まっているときというか、それはとても時期的にもよかったのかなと思います。その意味で、本当に高齢者というのは多様なんだと、あらゆる高齢者が尊厳を持って生きる価値があって、それは社会にとっても地域にとっても、どんな形でも非常に価値があるものなのだということを今後いろんな政策の形でまたそれを訴えることができていけば、非常に私たちがやった仕事も意味があるのではないかなと思っています。

○清家座長 ありがとうございました。

今、委員の先生方からお話を伺ってまいりましたが、もうすぐ大臣がお見えになってごあいさつをいただきます。

○関委員 その前に1つ。

○清家座長 どうぞ。

○関委員 すみません。香山委員のお話を伺っていて思い出したのですが、海外で、日本には敬老の日があるという話をすると、非常にすばらしいという声を聞くことがあります。私自信、話しながら誇りに思うとともに、そんな日本はすばらしいなと思って話をするのですけれども、そういった日本人の価値観を更に見直すということが大切なのではないかなと思いました。

○清家座長 ありがとうございました。

(中川内閣府特命担当大臣入室)

○原口参事官 それでは、本日は最終回ですので、中川大臣よりごあいさつがございます。カメラが入りますので、しばらくお待ちください。

○清家座長 大臣、国会会期中のお忙しい中をどうもありがとうございます。

○中川内閣府特命担当大臣 いろいろな角度から貢献をいただいてありがとうございます。よろしくお願いします。

○清家座長 ありがとうございます。

(報道関係者入室)

○中川内閣府特命担当大臣 それでは、ごあいさつさせていただきます。

改めて、担当になりました中川正春です。よろしくお願いをいたします。

これまで、今日は第5回になりますが、検討を重ねていただいて、最終とりまとめに向けて御尽力をいただいたことに、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

23年10月の第1回の検討会より、御多忙の中、活発に御意見をいただきました。今回の検討会では、我が国の平均寿命が延びて、「人生65年時代」から「人生90年時代」に対応した社会へと構造転換をしていく必要があるということ、その方向性を御示唆いただいたということだと思います。

その中でも、まず第1に、国民の高齢者に対する意識改革を行ってもらう。同時に、高齢者の方に居場所と出番をつくって、超高齢社会の重要な担い手、支え手として、様々な分野で活躍してもらうということ。

2番目に、地域の人々や世代を超えた人々との間の顔の見える「互助」という考え方を持ち出されておりまして、これを再構築して地域の力を強化していくというお話。

3番目に、若年期から個人の能力や資産等を蓄積して、それらを高齢期のライフスタイルに応じて活用していくと同時に、次世代へ資産を循環させることなど、非常に多くの意義深い御意見をいただいたと理解しております。

私も基本的にはライフスタイルということを捉えても、この様な言葉で表現しているのですが、これまで人生一度だけということで自分の気持ちを整理して皆さん生きていたのだと思うのですが、やはり人生90年の時代というと、人生は何回も挑戦ができるのだということ。同時に、マルチで生きられるのだと。仕事だけということ、あるいは家庭だけということではなくて、同時にさまざまな人生スタイルの実現ができるということ。人生としてのチャンスといいますか、新しいライフスタイルというのが組み立てられるのだろうということをあちこちで申し上げて、それを支えるための社会の構造とか、いろいろなベースといいますか、社会の基盤をつくっていくということが新しい時代に向けての私たちの責務だと、私なりにこれまで整理してきたのですけれども、また先生方の具体的な御提言をいただいて、しっかりとした具体策に向けてこれを進めていくということ、これが大切なことだと思っています。

最後に、改めてこれまでの委員の先生方お一人おひとりの気持ちを込めた御提言、本当に感謝申し上げると同時に、共生社会政策の推進に改めて御支援をいただきたいと思います。私の仕事の所掌は、この国の基本を考えていく、少子化から男女共同参画から、あるいは共生社会、高齢化というところ、全部含めてございまして、そういう広い分野からもこれからも御指導いただきますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。

ありがとうございました。

○清家座長 それでは、最後に私も一言皆様に御礼と御挨拶をさせていただきたいと思います。

まず大臣、今日お忙しい中をお運びいただきまして、ありがとうございました。実は私事でございますけれども、私は私立大学の代表として文部科学大臣であられた中川大臣に大変御指導いただいておりまして、またここで御指導いただけることになりましたこと、うれしく思っております。

今、大臣が言われたことで印象深かったのは、1人の人間がマルチの人生を送るということです。慶應を創立しました福沢諭吉もまた、封建の江戸時代から維新を経て明治時代を生きた自分たちの世代を「あたかも一身にして二生を経るが如く」と、まるで1人の人間が2つの人生を生きたようなものだというようなことを言っております。そしてそのときに頼りにしたのが学問であり、学問というものを基に、世の中の状況が変わり、人生のありようが変わってもそれをきちんと理解することの大切さを説きました。

我々は将来の高齢社会をしっかりと想像して対策を立てなければならないわけです。たしかに自分のことは良く分かっても他人のことはなかなか良く分かりませんし、今のことははっきり分かっても将来のことはなかなかはっきりとは分からないものですが、しかしそれでも人のことを思いやる、あるいは将来のことを予測する、そういう予想をする能力というのが人間に与えられた知性というものだろうと思います。大臣も今言われましたように、これから日本の社会も男女あるいは老若あるいは外国の人もというような形で非常に多様な社会になっていくと思いますが、多様な社会になればなるほど、他の人のことを思いやる、自分の経験したことのないことを想像する能力というのが何よりも大切になってくると思っておりまして、そういう面ではこの報告書が広く人々が将来の高齢社会のありようを想像する、そういう想像力を喚起する基盤になれば幸いであります。

将来の世代のことというのは皆さん言われるわけですけれども、政治家の方にとっては、やはり選挙というのは今の世代の人の利害が中心になりますので、そういうことを考えると、例えば将来世代の利益と今の世代の利益が相反するような場合、本当に将来世代のことを考えて物事が進むかというと難しいところはあると思います。しかし是非真の意味での政治主導という観点からも、国の指導者の方々には将来世代の利益というものに、いつも思いをはせながらものごとを進めていただきたいものと思っておりまして、そういう思いもこの報告書の中に込められております。

いずれにいたしましても、委員の皆様方には、今、中川大臣からもお礼の言葉をいただきましたように、大変御多忙の中、非常に密度の濃い御議論をいただきまして、また今回の報告書は、最終的に原稿は事務局の方でまとめてくださいましたけれども、文字通り委員の方お一人おひとりの言葉がこの報告書になったという形の報告書でありまして、そういう意味では私自身としても各委員の方々に改めて深く御礼申し上げます。

今後、この報告書がとりまとめられました後に、中川大臣はじめ内閣府が中心となって各省と連携しつつ高齢社会対策大綱の見直しに着手されることになると理解しておりますが、是非とも今後の超高齢社会に向けた基本的な考え方、報告書の内容をその中に反映していただければと期待しております。

それでは、これをもちまして、「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」を終わらせていただきます。

改めて、これまでの御協力、ありがとうございました。またこれからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書