第3分科会「高齢社会フォーラム・イン東京」

「シニアと多世代がつながるために」

コーディネーター
澤岡 詩野
(ダイヤ高齢社会研究財団 主任研究員)
パネリスト
阪本 節郎
(博報堂 新しい大人文化研究所 所長)
檜山 敦
(東京大学大学院 情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 特任講師)
牧 壮
(牧アイティ研究所/新老人の会・スマートシニアアソシエーション代表)
パネリスト1 パネリスト2 会場写真

澤岡 皆さん、こんにちは。私、本日のコーディネーターを務めさせていただきます澤岡詩野と申します。

 皆さん、今日はお暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 まず、そもそもこの第3分科会、内閣府では、シニアと、それからICT、インターネットとかいろいろなものがありますが、このICTの活用という部分で何かテーマを設けて分科会、それからこういったシンポジウムを組むということが実は意外にも初めてとのことです。皆様と一緒にこのテーマについて考えていけたらと思います。

 よろしくお願いいたします。

コーディネーター 澤岡 詩野氏のお話

○世代を超えたつながりを考える

 まず、そもそも現在の日本、皆様も御存じのように、この超高齢社会と言われております。この超高齢社会真っただ中にある日本ですが、とかく介護の問題であったりとか、高齢者をどう支えるか、こういったテーマでお話がされがちになりますが、これは高齢者による高齢者のためだけの社会ではないですよね。現行のこの社会保障制度などの維持が困難になりつつあったり、また、若者世代のこの負担が増えていく。こういった明るい話題を聞かない昨今であります。このままでは高齢世代とほかの世代との意識差が広がってしまいまして、将来的にはお互いが反目してしまう、そんな社会になっていくことも昨今では危惧されております。今後ますます高齢者世代の占める割合が高くなる中で、世代を超えたつながりを構築していくことが重要な課題になってきております。この世代を超えたつながり、この「つながる」ということは、コミュニケーション、このつながり、人と人とのコミュニケーション、それもありますが、価値や経験をお互いに伝え合う、そしてお互いの得意を生かして世代間で支え合う。いろいろな意味が、そしてこの可能性が内包されていると言えます。

 本日皆さんにお配りしております、「Dia News」と書いてございますこの冊子、お手元にございますでしょうか。この「Dia News」の8ページと書いてあるところ、「高齢期のつながりを補完するソーシャルネットワーキングサービス」と書かせていただいておりますが、これ、私が研究対象として研究をさせていただいている方々のことをまとめてレポートを書かせていただいております。この中では、会社のOB会という既知の、既に知り合った親密なつながりの中で、そのつながりをいかに長く維持していくか、そのために補助的な手段として、昨今はやりのFacebook、ソーシャルネットワーキングサービスの可能性について書かせていただいております。ここでは、このお写真、見ておわかりになるかと思いますが、下は60代前半、上は80代後半という、ある意味親子ほどの差のある世代間交流、その中で様々な知識や情報の共有がこのFacebookを介して常日ごろ図られています。つまり、「高齢者」と一括りにされる方々の間でも、昨今、町内会、それから老人会などの中では、若い世代の活躍を阻んでしまうこの上の世代に抵抗感を感じてなかなか若い世代が入ってこないなどといった、お互いにわかり合うことが高齢者の中でも困難になりつつあるということも指摘されています。世代がつながる、そのためには、お互いの理解を共有する、そしてお互いの理解を促進することが重要といえます。

 特にその年齢差が、今は高齢者ということで例を出させていただきましたが、その年齢差が広がれば広がるほど、お互いの違いは大きくなりまして、裏を返せば、お互いの得意、持っている知識・技能も異なり、つながることが難しい反面、つながることで大きな社会の力になる可能性も秘めているといえます。この手段として、昨今高齢層にも普及著しいICT、インターネットというものが一番皆様の頭の中には思い浮かぶかと思いますが、情報通信技術の果たす可能性を、多様な主体、そして多様な世代で話し合う機会が必要なのではないかと常々感じておりました。その課題意識、そしてその危機感から、今回の今日の場を企画させていただきました。

 このシンポジウムを開催させていただく前に、我々この話題提供をさせていただく面々の中でも、ちょっと興味があるのではないかと思って先に聞かせていただきますが、この中でインターネット、何か、携帯電話からメールでもいいですし、LINEでもいいですし、パソコンでGoogleを検索する、メールを送る、インターネットを使っていらっしゃる方ってどれぐらいいらっしゃいますか。手を挙げていただいて。──おお、今日はかなりの普及率ですね。恐らく今日は皆さん、そういったものを使われていて、その可能性をさらに一緒に考えてみたいなという方々なのではないかなと思われます。今日は、かなりICTの普及率が高い方ということでお話を進めさせていただきたいと思います。

 本日の流れとなりますが、まず前半に、このパネリストのメンバーを見て、見た目ですぐにおわかりかと思いますが、真ん中の檜山さんは30代、そして一番端に座っていらっしゃる阪本さんは60代、そしてこちらにいらっしゃる牧さんは70代と、世代が異なります。そしてさらに、技術開発、そして研究をされていらっしゃるお立場、そしてシニアのマーケティングをされていらっしゃるお立場、そして、牧さんはなかなか御説明は難しい方ですが、私の中ではシニア企業家と位置づけをさせていただいております。企業家というお立場も、さらにこういった異なる方々に、先駆的な方々に登壇をいただきまして、それぞれの視点から、このテーマについて、まず各自20分から25分程度で話題提起をいただきます。その後、まずはこの3者間でディスカッションを行うことで、相互理解を深めたいと考えます。その後、休憩を挟みまして、後半では会場の皆様とともに広くディスカッションを行わせていただきたいと考えています。その際は、ただ座っているだけではなく、積極的に意見、そして疑問をぶつけていただけたらと思います。

 では、パネリストからの御報告、そして話題提起に移らせていただきたいと思います。

まずトップバッターは、今日は年代順ではなく、一番真ん中の阪本さん。よろしくお願いいたします。

パネリスト 阪本 節郎氏のお話

阪本 では、若手の60代からちょっとお話をさせていただきたいと思います。博報堂 新しい大人文化研究所、阪本といいます。よろしくお願いいたします。私からは、今、この若者社会から多世代が共感する大人社会へということで、社会の大きな流れといいますか、それはどうなんだろうということで10分ほどお話をさせていただきたいなと思います。

○高齢社会の世界モデル

 まず、最初に私の話の最後の話しにかかってくるものですから御紹介したいんですけれど、これは日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリスという先進諸国の65歳以上人口の割合です。一番左側が1950年で、一番右側が2050年。100年間のこの推移を見ているんですけれども、とにかく一目瞭然、世界中が高齢化をしていくということで、社会で今起こっている未来予測です。確実なのは二つあると言われていて、地球温暖化、高齢化。高齢化は政変があっても、天変地異があっても、何があっても絶対にやってきますから、とにかく世界中が高齢化をしていきますということです。

 その中で日本は大変特異な線を描いていて、この下のほうから上のほうへ突き抜けていくような線の描き方、特異な線を描いている。しかも、この後で途上国とかアジア諸国が追いかけてきますので、世界中が高齢化をしていきます。ターニングポイントは2000年です。このときに、スウェーデンと同じ17%の高齢化率の国になったんですけれども、スウェーデンと同じ高齢社会になったよと言われても、何かちょっとぴんとこないところがあります。何かといいますと、その前の線が日本は低かったからなんですね。低いということは、日本は若い国、若者の国だったということなんですが、2000年以降どんどんどんどん違った国になってきている。実は日本人が思う以上に世界中がこのことに注目をしています。なぜかといえば、これは先行指標になるからです。要するに、いい意味でも悪い意味でも日本がどうなるんだろうということで、特に世界中の高齢者NPOは注目をしています。したがって、日本は世界のモデルになる可能性があると、こういうことなんですね。皆さん方がこれからおやりになろうとすることは、世界のモデルを作ることにもなるいうことでありつつ、世界をリードする可能性も持っていると言えるのではないかという気がするわけです。

 現在総人口は1億2,000万人ですけれども、20歳以上人口、成人人口は1億人、その中で50代以上人口は5,600万人ですから、もう既に大人の2人に1人が50代以上という世の中です。40代以上になりますと、7,400万人ですから、大人の10人に7人は40代以上という世の中になっているわけですね。それはぴんとこないところがあるのは、やっぱり高齢化のスピードってそれぐらい速いということなんです。だからぴんとこないところがある。

 これが6年後の2020年には、人口は徐々に減少していきますけれども、成人人口1億人は変わりません。この中で50代以上人口は6,000万人になりますので、大人の10人に6人は50代以上。しかも40代以上になりますと7,800万人になりますから、大人の10人に8人は40代以上ということです。6年後に、大人といえば40代以上になる世の中になるんです。わずか6年後にそうなってしまうんです。場所によっては若者は探さないといない、そういうことにもなりかねないということで、実は最近よく言うんですけれども、未来は若者だけのものではなくなったと。今までは、未来はイコール若者だったんですけれども、若者のものだけではなくなった、と言えるのかなと思いますので、ますます皆様方が社会の中心としてこれからは御活躍を期待されると言ってもいいのではないかなという気がするわけです。

○新しい大人文化の創出

 私どもは10年前から「エルダービジネス推進室」という部屋を作って、これがちょっとバージョンアップして「新しい大人文化研究所」というのを作ってこうなりました。それで、設立の趣旨がありまして、今、高齢化というのは基本的には社会的な問題として語られています。今回の増税もまさにその象徴なんですけれども、社会保障費が増えていくので増税しなければいけないということで、問題として語られています。それは、老化・高齢社会として捉えているからそうなわけですね。ところが、私どもがいろいろな調査をやったりインタビューをすると、生活者の方々は必ずしもそれを求めているわけではなくて、生活者の方々が求めていらっしゃるのは「“不老”・長寿社会」だということなんですね。これは、同じものをどちらの側面から見るかなんですけれども、まさにその“問題”が“機会”になっていくということなんだと思うんですね。そこにICTがこれからものすごく大きな役割を果たすだろうというのは、これからお2人の先生方がお話しくださると思いますが、まさに無限の機会がここにあるということで、一般に日本の個人資産は1,100兆円と言われますけれども、その相当部分は50代以上の生活者が持つと言われていて、一説には55歳以上で70%と言われるんでね。それは掛け算になると大変大きなことになるということで、高齢者文化ではなくて「新しい大人文化」が生まれるだろうと、こういうふうに言っているわけです。

○インターネットのよる「情報縁」

 本日のテーマでありますインターネットなんですけれども、実は、50代半ばぐらいまではほとんど使われています。これは2004年から2012年までの推移なんですけれども、大体使われていると言ってもいいのかなと。50代以降は、やはり下がってはいきます。下がってはいくんですけれども、ただ、こうやって推移を見ていただくとおわかりになるように、伸びは非常に大きいということが言えるということですね。今日の方々も皆さんお使いになっていると、先ほど手を挙げていらっしゃいましたけれども。一般的には、男性のほうは、PC、パソコンと、それから携帯や一部の方はスマホにどんどん流れていらっしゃる。女性の方は、この年代の方々はキーボード操作というハードルがちょっとありますので、やはり携帯。特にフィーチャー・フォンと言われるガラケーを使われるような気がいたします。

 実は私どもでこういうキーワードがあって、今まで高齢者というと地縁・血縁というふうに言われていたんですけれども、今私どもが言っているのは「情報縁」と言います。メディア情報をもとにして縁づくりをしているということです。これは、ここにあります配偶者でももちろんそうですし、それからこういった仲間でもそうなんですよ。新聞とかテレビとかネットとか雑誌とかといったところで得た情報をもとにして大体話をしているということで、例えばその期間だと「あまちゃん」「半沢直樹」が話題になるといったようなことです。これが、今はマスメディア情報が主なんですけれども、これにネット情報がどんどん入ってこようとしているということだと思います。この先は、こういったマスメディアあるいは携帯、パソコンなど、新しいメディアを活用しながら、健康、環境、趣味など、関心事についての情報をメディアから交換しながら仲間づくりをするという、そういうことを指して「情報縁」と言っているんですけれども、こういうことがこれからどんどん広がろうとしているのではないかなと思います。今日のお話は、だから、これがこれから先どのように広がっていくのかということを、皆様方といろいろな議論ができるところではないかなというふうに思っているわけです。

○シニアサイトの成功例

 実は、シニアサイトというのがこの10年間ぐらいでたくさんでたのですが、なかなかうまくいかないという話があって、その中で、ある種一つだけ成功したサイトがあります。それがこの「情報縁」サイトなんです。御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、DeNAがやっている「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」という趣味のSNSです。これが非常にブレイクをしたということで、シニアサイトとは一般的には相互情報サイトを目指したんですけれども、これは趣味のSNSですから、50代頃になって、カメラとかバイクとか釣りとか、いろいろな趣味を始めましたと。ところが、会社の中にはそういう語れる友達がいない、そこにこの「趣味人倶楽部」で友達がたくさんいましたとか、先達がいましたということで、みんながお話しになり、月間PVが2億6,000万、会員数が30万人、UU(ユニークユーザー)92万人ということになりました。

 この特徴は非常に面白い特徴なんですけれども、オフ会が非常に盛んだそうです。今、ネット上ではほとんど死語になっているんですけれども、とはいえこの世代はネット上では完結しない。「あなたですか!あなたが檜山さんですか」これが会って初めてコミュニケーションが成立するようです。必ずデジタルで完結しないで、アナログがあって初めて関係が成立するというところが考えどころかなというふうに思うんですけれども、1日80~90ぐらいオフ会をやっているとお話を聞いております。

○シニア世代のメディア

 もう一つ、ではそのメディアってどんなメディアに接しているんですかということで私どもでやった調査なんですけれども、聞いてみますと、50代、60代、やはり1位がテレビで2位が新聞なんですね。その後に、いろいろなネットとか店頭とか口コミとかございますが、やはり50~60代は、テレビ、新聞は欠かせない。これが70代になりますと、実は新聞とテレビが逆転するんですね。全体を通してとにかく新聞、テレビだということは50代以上全てひっくるめて言えるのかなという気がいたします。

 今デジタルの中でいろいろな未来やいろいろなことが語られていますけれども、その一つとして語られていることがあります。それは何かというと、スマートテレビというものなんですね。要するにインターネットとテレビが融合していくという、必然的なものなのですね。特に我々広告業界ではスマートテレビになったらどうなるんだろうということが言われているわけですけれども、こうやって見てみると、実はスマートテレビってこのような方々が一番主たるオーディエンスといいますか、ビューアになっていくのではないかなという気がするわけです。そうすると一つ言えるのは、デジタルの中心の一翼を担っていくのではないかなというのが一つ目のポイントとして、お話を申し上げたいところでございます。

○「新3世代」を担うシニア世代

 実は、人口ピラミッドってこんなふうになっているんですね。大体おわかりだと思うんですけれども、一つ目の出っ張りが団塊の世代ですね。その次は団塊ジュニアとなっています。団塊が祖父母に今なりかけています。今までは子供家族に面倒を見られる祖父母というのが非常に一般的なことだったんですけれども、団塊の世代からかなりちょっと様変わりをしています。団塊の世代の人たちというのは、まだ自分の親が存命だったりするわけです。では、子供家族はどうかというと、とにかく今はママが忙しいわけですから、昼間は仕事をしなければいけない、残業もしなければならない。そうすると、団塊の世代が孫育て、孫ケアをやっているわけです。したがって、親と孫の両方面倒を見てしまっている。実はこの世代から「面倒をみられるお年寄り」から「他世代の面倒をみるエルダー」と、こういうふうに大きく変わろうとしている。今日は多分、来ていらっしゃる方々は、もう70代でも多分こちら側といいますか、面倒を見る側にひょんな形でなられているのではないかなという気がするんですけれども、そういうことが今団塊世代から始まろうとしているということがあって、「新3世代」という言い方をしております。

 そして、結構居住スタイルが同居から近居へといいますか、お互いのプライベートの邪魔をしたくないのだけれども、でもいいコミュニケーションを持ちたいという結果が表れています。お互いにあまり踏み込み過ぎたくはないのだけれども、いいコミュニケーションを持ちたいというのは、考えるときも非常に大きなポイントではないかなという気がいたします。

 実際、家族形態というのが、御存じのように戦前は大家族だったわけです。高度成長期に核家族というふうになりました。今はネットワーク家族というふうになっていて、自立した個人だというふうなことが言えるのかなと思われます。3世代共助ということも言えるのかなという気がするんですけれども、家族とのコミュニケーションの中でもメールというのがもう今や欠かせない。少なくとも携帯メールはもう欠かせないと、こういったような状況になってきて、これがどんどん進んでいく可能性があるだろうということなんです。

○ネットによる相互見守りと祖父母の役割

 今、デジタルで高齢者見守りというのが言われています。この後も当然議論になってくると思うんですけれども、この先はこれがどうなっていくのか。私は、この先、ネットで相互見守りということが出てくるのではないかなと思います。どういうことかといいますと、御存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、実は今、保育所には大体カメラが入っていて、ママは家にいながら今自分の子供がどうやっているのかというのを見ることができます。このようなことが保育所や何かで進んでいるんですけれども、うちの会社の女性も時々こうやって見ているんですね。ただ彼女たちも会議の中に入ってはさすがに見られない。そこで私は祖父母の出番だなと思うわけです。祖父母は時間がありますから、デジタルでもって子供家族のケアをしていくという、そういうふうなことがこれからどんどん始まっていく可能性というのがあるのではないかなと思うのです。これは先行きどうなるかわからないのですけれども、この先今度は電力系もスマートメーターといって、家電などと接続して全部管理できるようになっていきますので、そういうスマートメーターもひょっとしたら祖父母が全部家族のケアをしていくという、エネルギーを無駄遣いしないような、ケアを高齢者サイドのほうがやっていくという、そういうことが出てくるのではないかと思うのです。

 これは非常に重要なことなのですけれども、イタリアだとママンという祖母がいて全部家族って回っていくわけですね。ママンがいるから大きなテーブルでばーっとみんな食事ができるみたいな、それは役割があるわけです。それから、日本でいうと沖縄のおじい、おばあなんですけれども、この人たちがいないと地域社会のことが全然わからない。だから、おじい、おばあがいないと家族が成立しない。おじい、おばあに聞かないと、地域社会で生活ができないというふうに言われるわけですね。やっぱり社会的な役割を持っているわけです。だからはつらつとした人生が送れるということも言えるのかなと思います。デジタルというのがそういう役割を私は果たしていくのではないかなということが2番目に申し上げたいことであります。

○大人世代の時代の捉え方

 さらに、これは家族だけではなくて、今、40代から60代で、共感する時代の捉え方を聞いてみました。すると、「大人世代と若者世代がお互いの良さを認め合いながら交流・協力し、新しい文化や潮流を創る時代」は68%の人が共感するとお答えになっているんですね。さらに、「大人世代が若者世代を応援することで、若者世代からも新しく社会的にも意義のある文化や潮流が生まれる」。これに共感するという人も61%いるということですので、大人世代のほうは若者世代に対して交流・協力をしたいし、もっといえば支援したいのだとわかります。これは私は大変すばらしいことではないかなと思うんですね。若者世代がどう思っているかは、またもう一つ別の問題としてありますけれども、少なくとも上の世代はそう思っているということで、皆様方も非常にそういうお気持ちを持っていらっしゃるのではないかなという気がいたします。

 ところが、片方で今起こっている現象は、とにかく年金の問題、賦課方式の問題がありますので、やはり若い世代がこれから高齢者を支えなければいけない、大変だということを毎日テレビで言われておりますが、ではどうすればいいのか。私は、今この反対側の回路を作っていくことが非常に重要なのかなと思うんです。例えばエルダー世代が今度はヤングファミリーとか若者とか子供世代を支えていくという、もう一つの回路を作っていくことによって随分状況は変わっていくのではないかと。年金賦課方式という、それは変えるためにはまた莫大な税金がかかりますから現実的でないとすれば、別の回路を作っていくことが非常に重要なのではないかと思うのです。

○若い世代を支えるエルダー世代のあり方

 例えば、エルダー女性の子育てが非常に問題になっていますけれども、その人たちの子育てを支援する孫ケア、孫育てという、自分の子供だけではなくて、地域のそういった子育て支援に入っていく。これは今度2015年から「子育て支援員」というのが制度としてもできますが、ちょうど政府の方針ができたところですので、多分こういうことも活用しながら、子育て支援が非常に期待されるのではないかと思います。特にただのベビーシッターではなくて、この年代の女性は一回子育てをした経験がありますから、それを見て若い母親の相談相手になれるということが非常に大きなポイントなんだろうと思います。そういうノウハウを生かしたらよいと思います。例えば、若い母親が仕事をして、急に残業になったときに、携帯メールで誰か助けてくれませんかというメールを出したら、「ああ、私がやってあげる」というのをメールで返して、子供のケアをしてあげるなど、このような場でデジタルというのはすごく生きてくるのではないかなという気がするんですね。同じようにエルダー夫婦の幼児・学童保育支援、これもあるだろうという気がしますし、今は連れ去り事件という、非常に恐ろしい事件が頻々と起きていますけれども、まさに高齢者の出番と申しますか、もう独居老人をしている場合じゃないのではないかなという気がするんです。やっぱりどんどん地域の見守りをするということが求められるだろうし、そういう連絡体制の中でもデジタルはすごく大きな役割を果たすのではないかなという気がするわけです。

 さらには、こういったエルダーのフリーター・ニート就業支援です。今日もこういう話が既に朝からされていましたけれども、自分たちはとにかく仕事をしてきた経験がありますし、雇う側だった経験もお持ちなわけですから、そういう意味では若い人に対して支援していくということもあるだろうと。さらに、若者の起業の支援ですね。今はこういった時代の中で、若者の起業は減っています。反対にエルダーの起業が増えているという話があって、エルダーの起業というのは非常にビジネスを慎重にするので失敗が少ないと言われるのですけれども、それを若者の起業支援に役立てていく。私どもでは「クロスジェネレーション」と言っているのですけれども、まさにそれができれば、若い人たちの生産性も向上するだろうし、感謝の気持ちも出てくるし、世の中の状況も随分変わってくるのではないかなという気がするわけです。まさに「支えられる側」からネット活用で「支える側」へと、こういうことが求められるのではないかなという気がいたします。

○日本を作る社会と企業

 最後になりますけれども、ドラッカーさんが92歳で天寿を全うされましたが、最後に遺言のように残された言葉があって、それは「日本は再び世界をリードすることができる」とおっしゃったんです。「なぜかというと、ほかの国に先駆けて高齢化が進展するからだ。エルダー世代が社会的な仕事に従事し、新たな知識労働を生み出すことによって達成される。特に団塊の世代が定年をするからだ。今まで会社で働いていた人たちが、例えば会社で経理部長をやっていた人が病院の経理部長をやるとか、そういう人たちがどんどん増えてくると、その次の社会を作り出していくのだ」というようなことをおっしゃっていて、ドラッカーさんは一番最後に企業とNPOのインターフェースということを盛んにおっしゃっていました。つまり、社会と企業とがいかに接点を持ち得るのかということが非常に重要でナレッジワーカーと言われる人たちが媒介する役割を非常に大きく果たすということなんですけれども、そういう人たちにリタイアした人たちがなっていくのではないかということを言われたんですね。

 「社会的なことに従事する人がたくさん出てくるような日本ができれば、日本は世界をリードできる」と。これは私が言っているのではなくてドラッカーさんが言われているんですからね。まさに、今日ここへ来られている方々は何らかの形で今社会参加をされているのだと思いますけれども、そういう方々がどんどん増えてくることによって、世界をリードする日本を作ることができるんだと。このようなことをドラッカーさんがおっしゃった。だからデジタルというものがかなりいろいろな機能を果たすことができるのではないかと、そんな気がするわけでございます。どうもありがとうございます。

澤岡 阪本さん、非常に力強いお言葉を、トップバッターとしてどうもありがとうございます。恐らく今、ドラッカーさんを引用して、この「知識労働」という言葉を最後に出されていらっしゃいましたが、それをどうネットを活用して具現化するかみたいなことが、もしかしたら次の檜山さんのお話に入っているのではないかと思ったりもするのですが、檜山さん、いかがでございましょうか。よろしくお願いします。

パネリスト 檜山 敦氏のお話

檜山 東京大学の檜山と申します。よろしくお願いいたします。

 本日私がお話しいたしますのは「高齢者クラウド」という、皆さんのお手元に冊子があるかと思いますけれども、科学技術振興機構の支援をいただいた研究事業になっています。こちらは我々東京大学と日本アイ・ビー・エムの東京基礎研究所とで共同して研究を行っているものです。その研究活動の中における多世代をつなぐICTに関連する内容を本日は御紹介させていただきたいと思います。

○シニア層による新しい社会構造

 これは、2055年の日本の人口ピラミッドになっています。非常に、上が尖っていて、下がすそ野が広くて、とても安定した形になっているように見えると思うんですけれども、今まで皆様が御覧になっている人口ピラミッドとどこか違うのではないでしょうか。何が違うかというと、年齢が高いほうが下になっていて、若いほうが上になっているという形になっています。そういうふうに見ると、とても安定した、これから先も持続可能な日本の社会になっていくのではないかなと、そういうふうに感じられるのではないでしょうか。実際、現在の高齢者の方たちというのは、研究調査の報告によると、10年前よりも身体年齢が若いというようなお話があったりします。そういう意味で、超高齢社会と皆さんおっしゃいますけれども、これは実は超健康長寿社会とも考えられるのではないでしょうか。

 我々は、超高齢社会における問題の根源というのは、福祉とかという話ではなくて、本質的には今まで考えている少数の若者層でこの社会を支え続けていこうという、実際本来無理な図式に固執しているところにあるのではないかと思っております。65歳以上の高齢者の人たちの、8割、9割の人たちって、実は介護を必要としていない元気高齢者であるという調査の結果もございます。そういう人たちに対して、社会のエンジンとして期待していない今のこの仕組みというのが大きな問題なのではないでしょうか。本質的な問題は福祉ではなくて、ものすごい人数である元気高齢者の人たち、その人たちと社会とのつながりを維持すること、そのことが本人の健康にもつながるし、社会としての健康にもつながるのではないかと。そこで、高齢者クラウドの研究では、目指すイノベーションとしてICTをうまく活用することでシニア層と社会とのつながりを維持して、さらにその活力をいかにして社会に還元していくのか。還元していくことで新しい社会の構造を作ると、そういうふうに考えております。超高齢社会は日本の強みであると、逆に世界に発信していきたいと思っています。

○シニア層の就労

 まず、シニア層が社会につながるための一つの方法として、就労というのが社会が一番直接的に活性化する仕組みだと思っていますが、実際シニア層にとって就労という部分、それから本日のお話のテーマであるICTというものはどういうものなのだろうということの調査を行ってまいりました。

 柏市で調査を行ったんですけれども、東京大学には柏キャンパスというキャンパスがございまして、そこには高齢社会総合研究機構という、高齢社会を専門に研究する研究グループがございます。そこで高齢者の就労につなげるような研究活動が進められているのですけれども、そのセミナーに集まってきた180人ぐらいのシニアの方たちに対して、ICTに関するスキルであったり、ICTを活用した就労のイメージなどについてアンケート調査などを行ってきました。

 ICTスキルに関してなんですけれども、グラフがちょっと小さいですが簡単に概要をまとめますと、インターネットとかメールを使っていらっしゃる方は非常に多くいらっしゃいます。ただ、若い世代と違うところというのは、インターネットを活用したソーシャルネットワークみたいな新しいサービス、それからeコマースのようなオンラインショッピングというものをされている方は少ない。また、スマートフォンやタブレットを使っていらっしゃる方も非常に少ないというのが実情であることが把握できました。

 それから、ICTを活用した就労に関するイメージなんですけれども、就労したいという方は非常に多くいらっしゃるのですけれども、条件次第で、どんな条件かというと、丁寧に操作方法とかを教えてもらったり、自分に合った仕事が紹介してもらえるような環境ができ上がっていれば積極的に活用したいという方が7割強いらっしゃいました。

 このICTに関する調査に関して、集まった方180人の内訳なんですけれども、60代前半の方が非常に意識が高くいらっしゃいます。ICTに関していうと、男性が女性よりもとても多い傾向にございました。就労を通じて求めることもあわせて調査を行ったんですけれども、現役世代のように収入とか他者から評価を得られるということが目的というよりも、自分自身が成長していくこと、それから達成感が得られること、健康を維持できる、それから他者との交流ができる、それぞれ多様な目的を持って就労していきたいというふうに考えていらっしゃいます。さらに働き方に関しても、いろいろな仕事を経験したい人もいらっしゃれば、一つの仕事を一生懸命取り組みたい。今までの経験とかを生かしたい人もいれば、新しいことにチャレンジしたい人もいらっしゃるというふうに、非常に多様な就労意識を持っていらっしゃることがわかりました。

○「高齢者クラウド」と就労形態

 そこで、ICTを使った「高齢者クラウド」でどのような就労形態が提案できれば現在のシニアの意識に合った就労の仕組みがつくれるかということを考えたのが、こちらのスライドです。モザイク型就労と呼んでおります。これまでの調査を整理しますと、高齢者は若い人みたいにフルタイムで働くのも結構つらい。それだけではなくて、通勤電車で決まった場所に毎日毎日移動するというのも大変。経験・能力もそれぞれ違っていらっしゃる。また、就労に求めることも多様であるという意味で、とても多様性に富んだ、情報科学の用語で言うとエントロピーの高い労働資源であると我々は呼んでおります。そのように多様性に富んだ労働力を活用する方法として、モザイク型就労というものを考えております。

○モザイク型就労とは

 このモザイク型就労というのは、1人でフルタイムの労働者1人分の仕事をしようというのではなく、複数人の力を合わせて1人分の仕事として社会に貢献していこうというものでございます。その中には3種類ございまして、一つ目が時間モザイク。これは、隙間時間をうまく活用して、空いている時間を複数人で補い合うことで1人分の仕事をしようと。次に、真ん中にあるのが空間モザイクですね。これは、今はやりのロボットとかGoogle Glassのような身につけるコンピューターを使って、インターネットで高齢者の経験・知識の豊富な方が現場の若い人に対して知識支援を行うような就労の仕方。さらに、一番チャレンジングなものがこちらのスキルモザイクというものです。時間とか空間を単純に都合よく合わせるだけではなくて、それぞれ1人1人の持っている得意なもの、それを組み合わせて合成された労働力の質そのものも高めていこうというようなことを考えております。

○高齢者クラウドのICTの仕組みと活用

 実際、既存の高齢者就労に関する事業なども各地で展開していってきているのは皆さんも御存じのことでございますけれども、そういった事業者の人たちに現在どのようなところでICTの力があるとうれしいのかというようなことも調査を行っています。現状のシニア就労のビジネスでは、仕事と人とをつなぐ役割をしている仲介の事業者の中のスタッフが自分の足で稼いでシニア人材を集めていき、さらにクライアントになってくる企業などのところから、どんな仕事がありますかということで集めてくると。この仕事ならこの人が合うのではないかということを、お互いそれぞれインタビューをしていく中でつないでいくような、非常に手間がかかるんだけれども、ここを一番注意してやらないといけないというノウハウのかたまりみたいな部分があるんですけれども、そこを一生懸命やっていらっしゃると。そのために、あまり規模を大きくすることができないというのが大きな課題になっています。そういう意味で、100名規模とか、仕事の種類も開拓がなかなか難しいので単一の職種であったり、柔軟な働き方を目指したいけれども、やっぱりマッチングにあまり時間をかけずにできるような、定期勤務ができるような人が優先的に就労していくというような課題があるように伺っております。そこで、高齢者クラウドのICTの仕組みをどのように活用していくとその課題を乗り越えられるかということを考えてみました。

○地域のソーシャルネットワークサービス

 一つは、人材を集める部分に関してなんですけれども、こちらは地域のソーシャルネットワークサービスのようなものを大規模に展開して、就労だけではなくて、地域での趣味活動とか健康づくり活動、生涯学習という、リアルなコミュニティ活動をオンライン上でまとめていくことが一つの方法ではないかと思っています。そうすることで、オンラインに1人1人の人材情報というのが集まってきますので、いろいろなシニア就労事業をやっている事業体の人たちに対して、大きな人材のプールといったものを情報として提供できるようになってくると思います。そうすることで、多様な就労事業体が集めてくるたくさんの仕事に対して、大きな人数の人とマッチングさせることができるようになってきます。その部分において、高齢者クラウドで地域活動のSNS上でのコミュニケーションのデータと仕事のデータを分析することで、どういう人がどの仕事に向いているというようなマッチングのアルゴリズムみたいなものを開発していくという、そういうことを狙っております。

 実際、こちらは柏市のほうで展開していっております要素技術の開発のイメージになっています。地域SNSを展開することで地域での高齢者の人たちの交流を活発化させていく。その交流の情報から、どういう人がどの場所にどれくらいいるんだという人材情報というものを集めていくのが一つの方法です。

 逆に、就労の部分に関してなんですけれども、先ほどの時間モザイクである、例えば農業における突発的な作物の世話をするような仕事に対して、隙間時間の空いている人が集まってその作業をやるようなことをする、時間調整のためのソフトウェアのツールの開発を行ったりとか、遠隔から仕事をするような、ロボットを活用したような空間モザイクの仕組みをつくったりしています。それらの仕事の情報とかを集めて、最終的には人と人材をマッチングしていく仕組みを考えてたりしています。そういうことを研究の全体像としてはやっているのですけれども、その中で世代間をつなぐ部分に関する要素技術の紹介をここからはやっていきたいと思います。

○音声読み上げ図書での取組

 一つ目なんですけれども、こちらは昨年からずっと続けてきている、日本点字図書館における音声読み上げ図書を高齢者と若者が共同して作業するような仕組みを展開しております。これは「みんなでデイジー」と呼ばれるものです。この音声読み上げ図書というのは視覚障害者の人たちに対して、視覚障害者の人たちが自分で本を読めるようにするための電子図書を作っています。どういうふうに作っているかというと、本をまずスキャンをして、スキャンした文字情報を機械で認識させます。この機械で認識させた状態では、認識の間違いというのがたくさん含まれています。それを高齢者と若い人が協力をし合って間違いを訂正していって、最終的に視覚障害者・読字障害者の方たちにその電子図書を届けるという仕組みになっています。ここで、高齢者の方というのは、本の中にある難しい漢字の読みだとか、そういうのは知識が豊富でいらっしゃるのと、あと作業が非常に丁寧で長く続けてくださるというシニア独特の特徴がございます。逆に、若い世代に関してなんですけれども、あまり漢字の知識がないので難しい認識の間違いの修正はできないものの、迅速にすごい量を瞬間的にこなすことができるという若い世代の特徴があります。そういう意味で、正確さとスピードという意味での世代間の助け合いモデルで仕事をやっていくというイメージになっています。

 こちらがそのサイトの紹介のビデオになっているんですけれども、3種類の文字校正を、こういうインターフェースを通じて認識間違いをやっていって、今ビデオに出ているのが、いろいろな人が全国から自宅のPCを使って作業をやっている様子ですけれども、色が点滅している人が今まさに作業をやっている人。その作業が進むと、こういう形で電子図書がどんどんどんどんつくられていっているという、その作業の流れを可視化したものになります。

○シニアのクラウドソーシング

 次に御紹介したいのが、オンラインスキル出品というワークショップを柏のシニアコミュニティの方たちと一緒にやりました。最近普及し始めてきている新しい仕事をする形態として、クラウドソーシングというものがございます。

 クラウドソーシングというのは、一つの仕事をたくさんの人が分業して一気にやってしまおうというような、そういう考え方なんですけれども、「ランサーズ」という会社だったり、「クラウドワークス」さんという会社などが大きいところで有名ですけれども、今回ワークショップとしてシニアの人たちに紹介したのが、一番右側にある「株式会社ウェルセルフ」で、最近「ココナラ」というふうなサービス名に名前が変わりました。ココナラさんの、ワンコインで1人1人の特技を出品するというサービス、こちらをシニアの人たちに紹介いたしました。

 こういうクラウドソーシングのサービスは、若い人ではかなりたくさん小遣い稼ぎでやっている人たちが多いのですが、シニアの人たちにはなかなかこういうサービスがあるということを紹介する機会もないので、もしかしたら面白いことになるのではないかと思ってワークショップを開いてみました。ココナラさんというのは、正しくは「株式会社coconala」が2012年に開始したサービス、ワンコインで自分の特技を出品すると。若い人が中心なんですけれども、提供される得意の内容としては、お薦めの本の紹介、占いをします、イラスト作成、恋愛相談、ビジネス相談、そういったものがあるんですけれども、柏キャンパスの部屋を借りて、こういう感じで十数名のシニアの人たちを集めて、お弁当などを食べながらワークショップを行いました。

 シニアの人たちってとても奥ゆかしくて、出品できる得意は何ですかと聞いても、「いや、私にはそんな出品できるような得意などありませんよ」というふうにおっしゃるのですけれども、グループワークなどをして、人生の棚卸しをお互いにやりながら、得意なもの、あなたならこういうものが出品できるんじゃないのというのを推薦し合うような形にすると、いろいろなものが、いろいろなアイデアがその場から出てくるようになるんですね。例えば、海外事業の経験がある人は、その海外事業の実際についての主観を伝えますよとか、介護の経験がある方は、働きながら介護をする方法を教えますとか、シニアの登山の続け方、それから行政文書の校正をしますというふうに、過去の経験をうまく生かすような得意を出品される方がいらっしゃいました。

 こちらがシニア出品第1号の方で、まさにクリックをして出品した瞬間の興奮冷めやらぬ笑顔なのですけれども、このワークショップをやって本当によかったなというのは、この笑顔がもらえた瞬間で私自身もちょっと興奮をしてしまいまして、今まで想像していなかった新しいインターネットを通じた広い世界に自分の得意が出品されるという、知らなかった世界と自分がつながる瞬間の興奮があらわれているのではないかと思っています。

○若者を見守るSNS

 次に紹介するのが、シニアが若者を見守るSNS。先ほど阪本さんのお話の中にもありましたけれども、ネットで相互見守りのような話に通じるところがあるのではないかと思います。「若者メンタリングSNS」というものを研究室で開発いたしました。メンタリングというのは、経験が豊富な人が、経験が足りていない若い人などに対して後見人とか助言者としての役割を果たすことで、シニアの人たちが若い人をメンタリングしてくれると、とてもいいことが起きるのではないかと。「世代間交流ができるといいね」というのは皆さんやはりおっしゃると思うんですけれども、実際そういう場ってそんなにないというのが現実かと思います。若い人にとっても経験とか知識が不足していって、決断に対する不安があったりするかと思います。もしシニアの人がメンタリングすることができれば、自分の知識や経験を伝えられる。そういう意味で、若い人の力になれて、自分が活躍できて、自分自身の満足感にもつながるというメリットもあると思っています。

そこで開発したのが、若者の日常をコンテンツとしたソーシャルネットワークサービス。若者のスケジュール帳がオンラインで出ていて、それと同時に若者が達成したい目標も表示されていると。その達成状況をシニアの人たちが「いいね」とか「まずいね」というような、Facebookでいう「いいね!」みたいなコメントをしたりとか、予定表を編集してしまったりとか、助言を書き込んだりというようなことをできるような仕組みを作りました。こちらも柏のシニアの方たちと一緒に行ったものです。

 インターフェースは、画面はこんな感じになっていて、若者がログインすると左側に予定表があります。右側に達成したい目標のリストがあります。これに対してシニアの人は、例えばスケジュールの進捗状況に対する「いいね」「まずいね」なんですけれども、スケジュールを選んで「いいね」をクリックする。もしくは、なかなか進んでいなかったら「まずいね」とか、遊んでばっかりだとこの予定はまずいんじゃないとか、そういうことができるようになっています。

 予定表や達成目標を編集してしまうこともできます。例えば、学生さんがこの日空いているから実験やりなさいみたいなことを勝手に、若い人の予定の中へシニアが書き込んじゃうと。こちらは、より密なコミュニケーションとして、予定の中にコメントを書き込むと。若い人、学生さんの研究の話題に対して、いろいろなシニアからのコメントが並んでいるのですけれども、こういう形で助言を入力してコミュニケーションがとれる。こういう実験などを行っております。

○遠隔操作ロボットによる遠隔講義

 次に紹介したいのが、遠隔操作ロボットを使って、遠隔講義でシニアの方たちが若い人を指導するというものです。こちら、コンセプトビデオなんですけれども、アバタと呼ばれるロボットを活用して、自宅からこういう感じで遠隔地の教室にロボット講師として登場して教育をするという。こういうことができれば、旅行先でもいいですし、なかなか外出が不自由な方たちの場合はご自宅からiPadなどを簡単な操作でロボットを操作して、若い人とコミュニケーションを図るということができるようになるかと思っています。これが現実味を帯びてきている話として、一つは、この数年、特に欧米を中心として遠隔操作ロボットの価格が1桁下がって、ちょっと高めのパソコン並みの値段で──20~30万円ぐらいなんですけれども、買えるようになってきたという現実がございます。

 遠隔操作を実際にシニアの方たちに使ってもらうワークショップなども行いました。こちらはアメリカのシリコンバレーの「Double」という会社が開発したロボットなのですけれども、1台2,500ドル。性能のよいラップトップ並みの価格。数百万円したロボットが、今では20~30万円で買えちゃうようになっています。どんなロボットかというと、iPadに車輪をつけるアクセサリーというふうに考えてもらえればいいです。iPadをお持ちの方は、このロボットを買うと、iPadをロボットに差し込んで遠隔操作ができるようになります。重さがたった7キロなので、人にぶつかってもロボットのほうが負けるから、あまり怖くない。これを遠隔講義や遠隔コミュニケーションに活用できないかということで、いろいろなシニアコミュニティの方たちに使っていただいて操作感などの評価を行ってきております。こういう形で、ロボットも実際身近に使えるようになってきたというふうに、皆さんに知っていただけたらと思っています。そうすることで、ロボットを活用して、もっともっと自分の生活をこれから変えていくようなICTの活用の仕方というものをイメージしてもらえたらなと思っています。

○2020年のシニア就労の姿

 こういう高齢者クラウドで活用しているような情報技術、ロボット技術をうまく展開していくことで、例えば2020年ぐらいにはシニア就労の姿はこういう形に変わっていくのではないでしょうか。シニアの人たちがICTを活用して自分の経験・知識を若い人たちの現役世代の会社とかに提供していくような方法もあると思うんですけれども、それだけではなく、さらにいろいろな知識を生涯学習という形で取得しながら、1人が一つの仕事をやるというだけではなく、複数人のシニアのチームだったり、それだけではなくて若い人と協力をしていろいろな仕事をこなしていく。さらには、新興国の開発支援などという形で、その経験・知識を海外にも展開していくような形で、将来、日本の国の活性化、さらに世界への存在感を出していくということで、超高齢社会、健康長寿社会というものが日本の強みになっていくのではないでしょうか。

○シニア社会参加を支えるツールとしてのICT

 最後に、ちょっとした捕らぬタヌキの皮算用みたいなスライドなんですけれども、現在のシニアで就業していない方の4割が仮に就業して、若い人と同じくらいの生産性を持ったときにGDPがどれくらい増えるかという試算をしましたが、すごい数値なんですけれども、22.6兆円という、それぐらいの数字になってきます。そういう意味で、やはりシニアパワーというのはすごいので、超高齢社会というものを悲観的に問題として捉えるだけではなくて、その中に健康長寿でいられるという強みにもっと注目をして、社会に対してそのあふれる知識と元気なパワーを還元していくような意識を持っていただく。その中で有効なツールとしてのICTにも関心を持っていただけたらなと思っております。私からは以上です。ありがとうございました。

澤岡 檜山さん、どうもありがとうございました。すごく素敵な近未来が見えてきたというか、こんなテーマを企画させていただきながら、実は私が一番アナログな人間なもので、今のロボットのお話などを見ていますと、何か小さいころ見ていた夢の将来の21世紀の──もう21世紀ですけれども、21世紀の何か未来というものが、また何かどきどきするようなものが見えてきたような。どうもありがとうございます。

牧さん、今、檜山さんの中にもありましたが、知らない世界に通じる興奮、これを味わうためにもシニ アの方々がもっとITに馴染んでいかなければいけない。そういったような視点でも様々な活動をされていらっしゃると思いますが、よろしくお願いいたします。

パネリスト 牧 壮氏のお話

 牧でございます。今、本当に未来が見えるような、シニアを中心とした将来があるよという話を伺って、我々シニア当事者は、これはまあ、このままじゃ死ねないねと。もうちょっと我々も頑張ろうかというふうに思ったのではないかと思います。

 私の話は、3人の中では一番年を食っているためかと思いますけれども、私自身がシニアなものですから、逆にシニアの目線で見た今の情報社会、あるいはこれから期待する情報社会はどういうものかというお話をさせていただこうと思っております。

 私自身は、15年前にフルタイムをリタイアし、すぐにパソコン2台を持って海外に飛んでいっちゃったんです。それは何でかというと、フルタイムを辞めていよいよ自由になったという喜び、自分の自由時間をいかに楽しむかという楽しみ方を求めていったのと、さはあれど社会あるいは日本を捨てたわけではないので、何かつながないと。社会から阻害されたシニアにはなりたくないなと。では、これを両立する方法はあるのかということで、私はパソコンを持ってインターネットに期待をかけていったのです。ただし、当時のインターネットは、今のような光通信があるわけではないんです。モデムなんですよ。懐かしい言葉ですよね。ですから、画像を転送するとか、そんな悠長なことはできない。YouTubeもないんですよ。ただ、コミュニケーションはできるんです。それを持ってチャレンジしてみようと思って、最初は2年の予定だったんですけれども、13年間海外へいることになり、その後日本へ戻ってまいりました。

○高齢化と高度情報化社会

 今日のお話は、シニアとICT。御存じのようにシニアとICT、二つの関係があると思います。一つは、ICTを使ってシニアライフをどう楽しむか、あるいはどうグレードアップしていくか、生きがいを作っていくかという問題と、それから、今、先生方がいろいろ開発してくださるICTの技術発展を待って、その恩恵を受けるというのは確かにありますよね。ただ、我々はその恩恵を享受するのを待つだけではなくて、もう積極的に使おうじゃないか、チャレンジしようじゃないか、そこに私はフォーカスを当ててきたわけでございます。

 私どもは今、シニア社会におるわけですけれども、超高齢化は皆さんおっしゃるようにどんどん進みます。人生90歳時代といいますけれども、今日、午前中の話ではもう100歳時代になるかもしれないよと。一方、気がつくと、この日本は高度情報化であり、どんどん新しい研究が進んでいる。しかし、我々シニアから見ると、この二つの社会をどうやって結ぶのかというのが私自身の疑問でもあったわけです。我々自身がどんどん高齢化していく。世の中がどんどん高度情報化していく。では我々はどうやって育ってきたかといいますと、60年前にテレビができて、大感動を受けましたよね。それから、インターネットができました。テレビができて60年でございます。インターネットができて30年ですけれども、初期のインターネットはごく一部のプロフェッショナルユースでございます。パソコンが本格的に使えるようになって20年、Windows95ぐらいからだと思います。Facebookは7年。iPad、今私が使っていますiPadは4年。我々、こういう歴史的な情報技術との接点というのを幾つか経験してきたわけですけれども、ものすごく速く進んでいるので、放っておくとどうなるか。デジタルデバイデッドシニアですよね。使いこなせないんです。これでは、やっぱり社会の潮流に乗れないですよね。でも、これは止められないんです。待ってくれというわけにはいかない。

○100歳からはじめるFacebook

 そこで私は、日本に戻ってきた直後に、たまたまのことですけれども、日野原重明先生という100歳の先生に出会うチャンスがありまして、ここから実は100歳の人が始めるFacebookとのおつき合いが始まったわけです。この日野原先生は今102歳で、今でも講演しておられますけれども、要は、日野原先生とお目にかかったときに先生は何を期待されていたか。世代を超えて、地域を超えて新しいきずなはできないかな、と。年とったら何か新しいことをみんな始めていかないと刺激にならないよね、と。新しいことを始める、新しい生きがいを作るにはどうしたらいいか。シニアの力を社会に還元して、それを世界に持っていくにはどうしたらいいか。あの先生はお医者さんですから、予防医学は非常に専門の方で、御自身が検体として長寿を確認されておるわけです。予防医学。そして、健やかな長寿社会が結果としてできるよねと。ただ、これをやる上で、今までのやり方ではどうも限界があります。どうも聞いたところによると、このSNSというのが世の中にあるよと。それで、「SNSというのは何ですか」というのが先生の御質問だったんです。先生は、「中東で民主化運動が起きたときに大勢の人が一斉に蜂起した、もとはSNSであったですよね」と。「地震が北陸で起きたときに通信網が途絶えたけれども、最後に残ったのはインターネットの通信ですよね。我々シニアの世界、そういうものが使えないか」と。そのときに、「Facebookというのがあります。SNSというのはいろいろな種類があり、シニアが使うというのは大変なことなので、私どもはFacebookを使います」と申し上げましたところ、1週間後、先生のほうから、「私、Facebookに出たい」とお話がございました。「毎朝出て、私の言葉をみんなに伝えたい。」それが一昨年の3月でございまして、そこからいわゆるFacebookの構築が始まったわけですが、先生のところには「新老人の会」という全国1万2,000人、全国に45支部ある、そういう会が現存にあるわけです。

 先生の定義は、シニアというのは75歳以上であり、それ以外はシニアじゃないんだと。60歳から75歳はジュニアだというわけですね。60歳以下はもうサポート会員だと。というメンバーが集まって、全国に45支部で1万2,000人。先生の講演活動とか、いろいろな地区ではいろいろな文化活動も行います。さあ、そこに先生がやりたいとおっしゃるわけですけれども、75というと、会員は、その新老人の会の年齢分布で見ますと75はここにあるんです。私が今この辺におるんですよね。77で、来月78。おっとどっこい、私よりも年上の人がこんなにおられる社会です。最高齢は109歳かな。日野原先生が一番年寄りじゃないんですよ。

 こういう社会に、新老人の会をつくられた日野原先生は、要するにSNSをやりたいと。考えてみると、これは大変なことだったわけです。「はい、やりましょう」とは言ったものの、前例がないんです。平均年齢71歳、全国1万2,000人の組織の中で「どうやってSNSをやるの?」、ほとんどのメンバーは、「何、SNSって?」となりますよね。SOSは知っているけれども、SNSはわからないと。そういうことでものすごいインパクトがまず周辺に起きたわけです。Facebookというのは、御存じのようにアメリカの大学でハーバードの学生が学生仲間の交流のために始めたもので、何でシニアの71歳が始めるんだよって。何か狂ったんじゃないのかって。

 Facebook、私も使っていましたから、そんなに怖いとは思わなかったんですが、団体で使おうとすると、このグループ、これは大変なことなんですね。私自身が使っているのは、私のリスクでいいんです。一番私が心配したのは、安心・安全のSNSというのは一体どうやって作るんだと。若い人たちはどんどん自分で、シニアはそうはいかないんです。それから、シニアのITのレベルというのは、申し訳ないですけれども年によっても全部違うんですね。特に70を超えたら、ほとんど若いころはパソコンも使ったことがない。要するに、そういう方でございます。そこで我々は、組織の中にSmart Senior Association、すなわち、これは何かサポートするグループがないとできないということで、みんなでスマートシニアになろうよという掛け声のもとにこういう組織を作って、ここにFacebookの導入を試みました。

 2か月かけてインフラを整備しました。それで、そこに先生が毎朝こういう言葉とともに、「おはようございます。日野原重明です。今日の言葉」、その解説を載せて、こういうページを毎朝一番に上げるわけでございます。いわゆる、先生はいろいろなところで講演されましたけれども、1回講演されると1,500人、2,000人は入るわけですが、ここの反応は桁が違うんです。こういう言葉を上げると、「いいね!」ボタンでも何千人という方が「いいね!」を押す。見ている人でも何万人がこれを見るわけですね。そういうふうに、実はものすごい反響が違ってまいります。

 我々、ものすごく心配したことの一つに、シニアのこういうFacebookが世の中に本当に受け入れられるのかどうかわからなかったわけです。このFacebook、今日の一言、誰が見ているんだということでずっとフォローしてまいりまして、実はこれ、横軸年齢で、男性、女性というふうに分かれるわけですけれども、この白っぽく見えるところはFacebookのメンバーなんですよね。御存じのように、それは若い人が多くて、どんどん減るんです。ところが、我々シニアのFacebook、すなわち日野原先生を中心としたFacebookのページは、ここにピークがあるんです。45~54歳、ここが35~40ですね。ここが55~60。ここにピークがあって、それでこういう人たちが反応してくれているんですね。それで、それはなぜだろうかと。どうもこの辺の人たちはそろそろ年の先を考えなければいけないんじゃないかというふうに──私はですよ、想像するんですけれども、女性のほうがちょっと多い。というのは、この辺、働き盛りですから、男性はどうしてもまだ見るチャンスが少ないのかもしれませんね。でも、こうして見ると、10代から、Facebookというのは13歳から上が見られるんですね。それから、この上、これは85オーバーですか、これだけの広い層の方がやっぱり興味を持って我々のFacebookにアクセスしてくれている。これも驚きでした。

○シニアのSNS勉強会

 こういうことが起きてくると、組織の中に何が起きるかといいますと、いろいろな、100歳だって始められるんですから、ほかの人たちは言い訳がつかないわけですよね。これはもう、勉強会が始まりました。先生も勉強するんです。先生はキーボードをお打ちになったことがないから、音声で、言葉で、声で入れる練習をしていただきました。「おはようございます。日野原重明です、と入れてください」って、やったんです。認識しないんです。何で。先生の声が大き過ぎるのですよね。大き過ぎて音が割れちゃって、我々、昔風の人間というのはマイクロフォンに向かうと大声でしゃべる癖が。先生、もうちょっと普通にしゃべってくださいよと言ったら、100%認識して、「おはようございます。日野原重明です」と。先生もびっくりされた。「あっ、これはシニアに使えるね」と。

 それから、勉強会を始めました。これは、この3人の方は90歳で、95歳、93歳、92歳の方。毎回勉強に来られる。この方は、元タカラジェンヌだそうです。初舞台はと聞いたら、昭和11年。私が生まれた年なんですよ。私が生まれたときの宝塚の初舞台の方が、一生懸命こうやって勉強して楽しんでいる。我々、この3人の方を「90シスターズ」と呼んでいますけれども、毎回ほとんど、今も勉強会に参加されている。

 だんだん定着してきますと、いろいろな地区からいろいろな情報がここに載るようになります。この方は御殿場に住んでおられて、毎朝の今日の富士山を送ってこられます。「こんな花が咲いたよ」と。「乙女峠から富士山に向かったらこうです」と。御殿場から東京までiPadの勉強に来られてスタートした方です。

 それから、今日ここにもおられますけれども、88歳の男性の。毎朝世田谷のお散歩をされて、新しい発見をすぐ載せてくださいます。これもどんどん「いいね!」がばーっと出ます。

 こちらの女性は、93歳。山がお好きで、山登りをされています。山登りに行かれて、デジカメは今まで撮ったことがある。それをすぐにこうやってアップされるわけですよね。今日の山はこういう、これを見て、みんなが元気づけられるわけですよね。この方も、デジカメを撮ったけれども、今まで写真の処理方法がよくわからないから、写真をどうやって処理したらいいかって、一生懸命勉強されまして、こうやってぱっと、もうすぐに載っけてこられるわけです。

 こういうふうに、私どもの期待以上に、場ができますといろいろなことができます。私どもの新老人の会というのは全国組織ですから、当然のことながらいろいろな地方の活動、これは福岡支部の活動、これは和歌山支部。こういうのがどんどんどんどんリアルタイムで載ってくるわけですね。そうすると、どこで何が起きているかということがもうすぐにわかるわけです。

 それから、会員の中にはこういう絵の専門家がいて、絵を描かれている方がいて、生徒に教えてくださって、その習った生徒さんがすぐにそれを利用して自分でiPadで絵を描くわけです。お絵描きです。これをすぐ投稿するわけです。ですから、これを見たお孫さんが、私にもということで、また絵を描いた。要するに、連鎖反応的にいろいろなことができるようになりました。

 こちらの女性は海外によく行かれる方で、海外旅行に行く前に観光情報を全部iPadの中に入れていました。海外から送り方を私のところに相談に来て、それをヒントにいろいろやっていただいたのが、これは海外に行って、今日はこういうところに行ったよと。iPadに入れていた観光情報を、現地で見ながら観光して、そして感動した写真をホテルに戻ってWi-Fiで送ってきてくれる。あの人、元気で旅しているねと。そうすると、これを見て私もそこに行ったわよと、対話が始まるわけですよね。

 これは非常に私も驚いた。認知症の方が入ってきたんです。これ、その方が入ってきた最初のFacebook上の投稿なんです。「9年前にアルツハイマーになりました。目の前が真っ暗になりました。勤めも辞めました。でも、認知症は何もできなくなるんじゃないんですよ。皆さんそう言うけれども、何も、そうじゃないんですよ。私はFacebookを始めました。方向感覚がないんです。新しい場所に1人で行くことができない。でも、助けてくれる人がいればどこにでも出かけるんです。問題は気力です。新しいことを覚えるのに人の何倍も時間をかけるけれども、必ずできるようになりますよ」、このメッセージを非常に重く我々は受けとめました。通常、我々が認知症になりたくない、なりたくないと思って忌避していますけれども、認知症の方が、認知症というものをもっと理解してくださいと。認知症の患者にも人格がありますよと。それを理解してください。できることとできないことがある。今日も、今朝もこの方はFacebook上にアップしてこられました。それをみんなが見て、励ましの言葉を差し上げるわけですね。ですから、健常人だけが楽しんでいるんじゃないんですね。

○SNSによるコミュニケーション

 我々シニアの世界のコミュニケーションができ始めますと、いろいろなことがここで報道されます。したがいまして、今Facebook上で語られていることは日常思っていること、感動したこと、新しい経験したこと、困っていること、仲間を誘いたいこと。「今度こういうところへちょっと行くけれど、誰か一緒に行かない?」「お茶会やるけど、来ない?」などなど、要は情報発信が大事なんですね。受け身じゃなくて、自分から情報を発信する。そうすると、仲間からレスポンスがあるというのが、このSNSなんですよね。メールでもできるじゃないかと。確かに、メールはほぼ1対1ですよね。不特定多数、あるいは仲間で、こういうたわいない、非常にたわいないのが話題なんです。でも、ここに健康な人、病を持っている人、お互いに情報を交換する。率直な気持ちで相談できる。これが感動ものです。したがいまして、Facebookの新老人の会というのは全国で結ばれました。そして、北海道から沖縄まで、今や約400名がFacebookを楽しんでいます。20歳から100歳まで──102歳ですかね、今。がん患者もおれば、認知症患者もおる。今までそういう人たちがリアルタイムでつながることができたでしょうか。

 ですから、SNS、FacebookとiPad。iPadを我々がお勧めしているのは、パソコンを使ったことがなくてもこのiPadなら指1本でいろいろ使えるということでお教えしているわけですけれども、要するに、シニアならではの新しい感動が出てきました。何で。懐かしい昔の友人に出会えた。私もその1人だと。もう現役時代、何十年も前に一緒に仕事をした仲間とFacebookで、おおう、お前生きていたかというような感じですよね。趣味の活動が広がりました。私、こういうものをやっていると言ったら、同じような趣味を持っている人が、全国から連絡がありました。それから、離れて暮らす親の、要するに、施設に入る親にiPadを持って入ってもらいました。そうしたら、毎日孫とSkypeでテレビ電話をやる。あるいは、今日こんなことがあったよというと、これはデジカメがついていますから、カメラで撮ってすぐ留守宅に送るわけです。今、親子が離れて暮らす、施設に親を入れたけれどもお見舞いにはなかなか行けない。喜んだのは家族でした。本人も喜びました。それから、病気になって入院した人がやっぱりiPadを持って入りました。やっぱりこれで院外の友達と毎晩つながりました。全然孤独感がない。それを見ていた隣の隣のまた隣の病室の人がみんな集まってきて、「それ何?」というところから始まって、社交場になってしまったと。要するに、寂しい入院生活が毎日楽しくなった。海外との孫、毎晩長話している人がいます。カラオケをやっている人もいます。要は、孤独の生活から脱却して、誰かに見守られていると。情報を発信すると誰かが反応してくれる。要するに、見守られる。要するに、シニアというのはどうしても孤独になりやすいのが、これがなくなる。これはシニアライフとICTの有効性ですけれども、シニアになると体力が落ちますよね。これをICTがどれだけカバーできるかというのは、健康データを入れるとか、何かいろいろやれば役に立ちますから。だけど、積極的に体力が増強するわけではない。あとは、孤独・孤立への道、シニアになるとどうしても友達は減る。外出の機会は減る。人と話が少なくなる。家族との距離が。これは、ICTならではの効用ではないでしょうか。

 それから、認知への道。皆さん、どうですか。物忘れが多くなっていませんか。僕なんか、書類などを探す時間が毎日増える一方ですよ。どこかにあるはずと。これをカバーしてもらっています。それから、活動強化への欲求。もっと趣味を広げたい。それから、もっといろいろなことを知りたい。知らないことがこの年になってもいっぱいある。もっと知りたい。知識欲というのは、やはりインターネットでいろいろな形で情報が即とれる。すごいICTを活用。

○シニアのICTへの入り口

 では、誰でもできるのかということなんですけれども、いろいろ、私もこの2年間の経験をやっていますと、やっぱりこういうのをやろうよと。二つのというか、一つの非常に一番大きなのは固定的先入観です。もう年だから。皆さんのケースは当てはまらないと思うんですけれどもね。それから、最新の情報機器なんてのは私はとても無理と言いますけれども、私に言わせると、最新の情報機器ほど使いやすいものはないんですよ。昔の情報機器は難しかったんです。それから、もう一つは、つまずく。出だしです、まず。何かやりたいと思うと、出だしでつまずく方が多い。それから、道半ばの挫折。ここを何とかクリアすれば、シニアは非常にICTにフレンドリーになる。それから、もう一つ、インターネットは怖い。そんなもんはやめなさいと。特に家族の脅かしが効いています。もう、こんな年で何を始めるの、というような。したがって、我々はそういう不安を取り除く。あるいは、困っている問題を個々に解決していく。そこに重点を置いているわけです。

 我々がたくさんのICTを使ってもらいたいと思っているのは、どういう環境が欲しいかというと、やっぱり使って楽しいICTでないとシニアは使い切れません。続きません。ですから、年相応に楽しめるものの使い方をお教えしている。それは何か。日常生活に密着したアプリをいろいろ使ってもらっている。要は、一般的な知識で、ではWordを使いましょう、Excelを使いましょうといっても、これはなかなか大変ですけれども、日常の生活でこんなのが生活に役立ちますよと。これは非常に皆さんがICTの効果を身近に感じる。それから、やっぱり取組のハードルが低いこと、挫折しないために大事なことは、仲間との勉強というのが一番どうも大事ですね。孤独は──できる方は自分でやっていいんですけれども、得てして自己流というのはどこかで限界が出るケースが多くて、それで、やっぱり仲間がいるということが大事。それから、よりもっと大事なのがマイペースです。これは、人によって理解のスピードというのは特に年をとると違います。ですから、マイペースでやってください。いいんです。私は同じことを何回も教えます。同じことを何回も聞いてくださいと言います。やっぱりそれをやらないとだめ。それから、家族、友人と一緒に楽しんでいくと、これはすばらしい世界ができます。

○サポートと安心安全作り

 去年私の研究所で、60歳以上のシニアでEメールをやっている仲間の人たちにアンケートを配ったんですね。あなたは自分の将来のITにどう対応できるか。「充分対応出来ると思う」という人は20%しかいないんです。対応できるかどうかわからない、あるいはシニア向けのサポートシステムがあれば何とかいけそうであると。もう諦めているという人もいるわけですよね。大事なのはここなんですね。やはり何かのサポートがないと、なかなか十分できる人は2割。この2割の方は放っておいてもやります。でも、やっぱりこういうことのために我々は何か考えなければいけない。スマートシニア、スマートというのは「聡明な」とか「賢い」とかそういう意味なんですけれども、そういうものを使った、いわゆる知的にも健康なシニアライフ。体だけではなくて。そうすると、より楽しい高齢化社会に対応できるシニアになると思いますが、このICTだけが独立して別のものだと思うとだめなんですね。やっぱりリアルの社会に立脚したデジタル社会というものを作っていかないと、あくまで現実はリアルの社会。現実です。

 それから、安心・安全のプラットフォームというものを作っていかなければいけない。楽しく学べる学習環境、気軽に聞けるサポート。ここに若手の人の支援が必要なんです。

 それから、何はともあれシニアがシニアを支えるというのはどうも一番効果があるようです。やっぱりお互いの気持ちがわかりますから。それで、ただし、シニアに優しい情報機器とか機材がそれでは十分あるか。申し訳ないですけれども、今、先生のところで一生懸命開発していただいていますが、まだまだ少ない。情報社会の中にシニアがどういうふうに、関わるか。「E-Seniorになろう」、総務省がやっている「スマートプラチナ社会」「アクティブシニア」。スマートシニアのいろいろな言葉がございます。要はやはり、情報技術を使ってメンタリーに賢いシニアになっていこうと。

 今、私は後期高齢者ですけれども、私自身、この名前が大嫌いでございまして、私は今、こっち──「好機幸齢者」でいこうかと。絶好の機会が来たと。やっぱり自分の人生を楽しむ。幸せな年だと。もうやるべき世の中に対するオブリゲーションは基本的に終わったと。あとは自分のための人生だと。まさに「好機幸齢者」で私はいきたいと思っております。

 最後に、こういうことをやろうと思ったときに、私としてはやはりインフラ環境ですけれども、今はこれ、ネットにつなごうとするとすごいお金がかかるんですよね。月々契約で。4,000円、5,000円というのが。これ、結構負担だという仲間が多いんですね。それで、今、私としては、何でシニア割引がないんだろうかと。シニアは無償のインターネットというのはないんだろうかと。今、電車でもあるじゃないですか、シニア割引というのは。シニア割引だと皆さん出歩くでしょう、やっぱり。無料パスだったらどんどん行く。やっぱりこういうものが使える、シニアWi-Fi。いいですよ、情報量は少し制限があっても。そんなにたくさん使いませんから。月間2ギガぐらいの通話料だけれども非常に安いというものがなぜない。そういう発想がどこかからあっていっておかしくないのではないか。本当にシニアがICTを使ってほしい世の中を作りたければですね。

 それから、リテラシー向上です。さはあれど、ITを勉強しましょうよと。自ら。ところが、これの問題は、私もいろいろな場所でこうやるんですけれども、場所がないんですよね、勉強の場所がなかなか。教育施設がやっぱりない。みんな手作りです、ほとんど今。それから、指導者はどういう指導者がいるのか。横の連絡がなかなか。しかし、何はともあれ、仲間なんですよ。仲間をどうやって見つけるかということがどうも大事だと。世の中は、今は若手の世界も労働力不足で彼らも大変な世界になってきています。我々がそういうところに迷惑をかけないでやるためには、我々シニアが自分自身の問題として、ここに自分自身の活路を見つけていきながらやっていけば、先ほどGDPがこれだけ上がるよということにもつながるのではないかと思っておりまして、私自身がシニアであるものですから、こういうふうにも思いながらやっております。もし、もっといいアイデアがあるよということであれば、是非この後のディスカッションでお願いしたいと。

 どうもありがとうございました。

澤岡 牧さん、どうもありがとうございました。

 期せずして、先ほどの新老人の会の定義でいきますと、牧さんはシニア、阪本さんはようやくサポートからジュニアになりたてのジュニア、それから檜山さんと私はもう下のほうのサポートメンバーということで、こういった3者がそろって、それぞれの立場からこのテーマについてお話をいただきました。

パネリスト同志のディスカッション

 では、後半の部に入らせていただきたいと思います。

 まず、これだけ切り口も、それから世代も違う3人が今日はパネリストとして集っておりますので、まずそれぞれの御報告、話題提起をそれぞれ聞かれまして、感じられたこと、またちょっとこういうことを質問してみたいということがございましたら。阪本さんからまずお二方にいかがでしょうか。

阪本 では、ジュニアから。60代のジュニアですから。

 お二方のお話も大変面白く聞かせていただきました。2012年に政府が高齢社会対策大綱を、支えられる高齢者から支える高齢者へという大きなものに転換をして、それが今日のお二方のお話は本当にそれがリアルになってきたといいますか、今の高齢社会対策大綱のことは、御説ごもっともなのだけれども、なかなか現実にはならないねという話をされたんですけれども、今日のお話は本当にそれが現実になろうとしているという、お話をお二方から聞くことができたのかなと、そんなような気がいたします。

○受益者から発信、支援者へ

 まさにシニア、この年代ならではとか、だからできるというお話がお二方からあったと思うんですけれども、とりわけ牧さんから情報発信という、今まで高齢者というのは、弱者、受益者として語られることがすごく多かったわけですね。だから皆保険制度もそうなんですけれども、常に語られてきたのだけれども、牧さんがお話になったのは情報を発信しようよということをお話しされた。発信者になる。発信者の側になるということがすごく大きな転換なのだと思うんですね。それがシニアの牧さんからお話しされたということ。しかも日野原先生は100歳でそれをおやりになっている。日野原先生は本当に100歳でステージで立ちでお話しされるという、驚くことをされていますけれども、本当にSNSもされるんだなって、すごいなって、改めて思いました。発信をされるということがすごく大きいなということを、一つの大きなポイントとして感じました。

 それから、檜山先生からは、さらにそれを進めて、今実験としておやりになっているわけですけれども、それを使って、発信だけではなくて若者を支えようよという。若者を支える方法って何かないだろうかということを実際に始められているということが、今後すごく大きいなということがあって、私たちは大変わくわくする取組だなというふうに思ったんですね。これが本当に広がっていくといいなと思ったんですけれども、檜山先生に、すごく瑣末なことを聞いていいですか。若者のスケジュール帳の話がありましたね。それを皆さんがアドバイスするということですけれども、たくさんの人数の人が、7~8人がそろって、これはちょっと違う、このスケジュールは違うんじゃないかとか、若者にとってそれはちょっと勘弁してよということはないんですか。

檜山 あのカレンダーベースのSNSにはその辺を考慮した仕掛けが入っておりまして、一番最初は「いいね」「まずいね」しかできないんですよ。その簡単なやりとりの中で、このシニアの人は私を一生懸命見守ってくれているなというふうに学生さんが感じたら、次は、その信頼度を1個上げてスケジュールをいじれるようになってくると。さらに信頼度が上がると、直接的にメッセージを送り合ってコミュニケーションができる。そういう、何か適度な距離感を作ることが、若い人とシニアの間の交流では、最初の段階では必要かなと。学生さんのアイデアなんですけれども。

阪本 そうですか。すばらしいですね。いろいろなコミュニケーションに応用できそうですよね。多分コミュニケーションって相手がわからないから、本当にこの人とコミュニケーションをしていいのか、ざっくばらんな会話をしていいのかわからないじゃないですか。でも、今みたいなステップがちゃんとあれば、ああ、この人とは次の段階に行けるというふうになるから、かなり秀逸なステップかもしれないですね。

澤岡 そうですか。信頼度。相手からも逆評価をされるという、ある意味1つの、評価されるって、1つ頑張る何かにもなりますしね。

檜山 そうですね。参加したシニアの方のコメントだと、若い人から信頼度を上げてもらえるように一生懸命「いいね」とかを、ちょっと媚びているかもしれないかなみたいな感想を交えながら話してくださったことがありました。

澤岡 その「いいね」というところでちょっと関連なんですが、今度は牧さん、Facebookをシニアの方々の皆さんに普及させているということなのですが、「いいね!」というのはやっぱりうれしいものなんですか、シニアの方々というのは。

 「いいね!」の押し方は難しいんですよね。どういうふうなときに押すか。でも、例えば、一番いいのは共感したとか同感したとかいうのは「いいね!」でいいんですけれども、訃報があっても「いいね!」を押さなきゃいかんケースもありますし、何か難しいんですけれども、やっぱり反応を見ていてもらえる、反応が来るということ、これは最高にうれしいことですよね。何か情報を発信したけれども、誰も何とも、うんともすんとも言ってこないというのはやっぱり寂しいことなので、できるだけ反応してあげて、それでコメントを書いてくれると本当に心がつながる。ですよね。自分の人生経験もそうですけれども、他人の人生経験がこの年になると役立って、自分だけが困っているんじゃない、寂しい思いをしているんじゃないという、いわゆる共通感、共鳴感というのがある。これが大事だと思いますので、やっぱり「いいね!」は、「いいね!」ですね。

澤岡 ありがとうございます。

 その牧さんからお二方に対して何かお聞きになりたいことは。

○連携という課題への取組

 一つ、阪本先生に。今、我々がいろいろな活動をやっていて、似たような活動というのがあちこちたくさんあるんです。パソコンを教えていますとか、シニアのこういう活動のサポート。問題は、これが孤立しているというか、つながらないというか、それぞれがある限界で、活動の限界のままで、規模がそのままいかないとか、内容がとか、こういう事例が多いものですから、何かこれをつなげる方法はないだろうかと。理念があって、みんな一緒なんですよ。聞いてみると。ところが、地域、事情が違いますから一律にはいかないのでしょうけれども、もうちょっとつながっていくのではないかと思うんですが、何かアイデアはないでしょうかね、先生。

阪本 そうですね。本当、私もそれはあればいいなというふうに思います。個人個人がまさに独居老人だったりして、孤立をしているところに、今まさに牧さんがいろいろと一緒にやろうよと呼びかけをされているという、それと同じ構図が今度はその上のレイヤーでやっぱりあるということですよね。NPO同士が、ある種孤立とは言わないけれども、何かある限界を皆さん抱えているというところがあったり、それが今度はつながらないかということだと思うんですね。内閣府に協力をしてバックアップをしている高連協は、まさに高齢社会NGO連携協議会ですから、もともとNGOが連携しましょうよという趣旨のところなので、そのことを実現させようというのがまさに高連協なのですけれど。ただ、それはNGO同士ですので、もう少し草の根の、しかもネット上でそれができると私はすごくいいなというふうに思います。今回のパネリストの打ち合わせのときに内閣府の方とお会いしたので、内閣府のバックアップでやりましょうよというような話をさせていただいたのですけれども、何かそういうネットでつながっていく、草の根でやっているところがつながっていく、連携した動きといいますか、それは確かに必要だと思いますし、さっき檜山先生とも何か連携してやりましょうかという話をしたのですけれども、ひょっとしたら私どもの研究所で何かお役に立つことがあれば、何かそういうゆるやかな連携、それは何か今後作っていってもいいかもしれないですね。

 ひとつよろしくお願いします。

澤岡 でも、その見地からしますと、今、柏で檜山先生がいろいろと取組をされていらっしゃるとおっしゃっていましたが、地域ニーズをいろいろ汲み上げて、その能力を持っているシニアの方に発信していくという形を考えますと、その草の根レベルのところをどうつないでいくかという部分も、恐らく先ほどおっしゃられた高齢者クラウドの中に入っていらっしゃるのかなと思うんですが。

檜山 高齢者就労の事業とかも各地域に小さいものがたくさんあるのですけれども、そこがなかなかつながらないので、単純な1個の仕事の、仕事の種類も広がらないし、全体としての規模も大きくならないというのが同じような課題としてあると思っています。そこをつなげるためのICTの技術開発も必要だと思って、それが高齢者クラウドの研究の役割でもあると思っています。

 シニアICTのコミュニティ間のつながりをいかに作るかに関してなんですけれども、その一個一個の集まりの中に若い人も混ざっていけたらいいのではないかなと。その若い人がハブとなって全国を飛び回って何かつないでくれると、もっともっと広がりが生まれるかもしれないなと、そういうふうに思いました。

阪本 それはすごくいいアイデアじゃないですかね。若い人がそのつなぐ役割になるというのは。若い人は、ネットの横でのつながりという意味では、今ある種、我々の想像の域を超えるぐらい速いスピードでつながっていきますから、若い人が連携のハブになっていくというのはものすごくいいアイデアで、何かできるといいですね。

○シニアと若手の共同ワーク

澤岡 そうですね。高齢社会ということをディスカッションしますと、何か高齢者が高齢者を支えるということが今は割と大きなメーンフレームになっていまして、若い人とどう一緒にシェアしていくかという部分は、そして若い人たちができること、シニアができることという部分で、やはり若い方が入ると何か発言が、視点が変わってくるなというのは今気づいたのですが、牧先生、何かおっしゃりたいことがあるような。

 我々がやっていて、一番シニアと若手と共同ワークができるのは、何かのイベントですね。何かイベントを企画するんです。そうすると、発想はどっちが、若い人が発想しても年寄りが発想してもいいのですけれども、集客する人、企画する人、場所を探す人、仲間を呼ぶ人、いろいろな役割が必要なんですよ。そうすると、やっぱりこれがうまくいくかいかないかということで、一つの共通の理念の下にみんなが持ち寄るんですよね。それで、やっぱりみんな楽しいんです。ですから、あまり格式張ってやるよりも、何でもいいんだと思いますよね。何かあるたびにそういうのをやるというふうなことも一つの手じゃないかなと私は思っている。それで、イベントで集めるのも、Facebookは簡単なんですよ。こういうのをやるよと言うと、参加ボタンを押せばいいんですね。そうすると、どういう人が参加して、あと足りないよ、定員まだこれだけあるよと言うと、じゃあ行くか、とかですね。やっぱりそういう、早くレスポンスしていって、何となくあおられてもいいんですよ。そういう仲間に入ったということが大事ではないかなというふうに思います。

澤岡 やはりそれはICTだろうが何だろうが、楽しいところには人が寄り集まってくるというのはどこの時代にも共通して言えることなのかなと思います。

 では、檜山さん、お若い立場から、お2人の先輩のお話を聞かれまして、何か気づかれたことであったり、御質問がありましたらお願いします。

○シニアへ向けての新しいSNS

檜山 牧さんのお話の中で、シニア割、私もあったらいいんじゃないかとそう思います。そこでちょっと思いついたというか、頭の中に浮かんだのが、Googleの検索サービスとか地図のサービスがございますよね。それと、Facebookというのもございますよね。そういうサービスって、全部無料で一般の人たちは使えているわけですよ。だけれども、GoogleとかFacebookって非常にたくさんのお金を集めている。もう勢いのある企業になっていっている。それは何でなんでしょうと。そういう末端のサービスでお金を儲けようと考えているわけではなくて、そこを利用する人たちがたくさんいる。それこそが価値だということでいろいろな企業からお金を集めることができている。そういう意味で、日本の通信会社さんとか総務省さんもちょっと見方を変えて、シニアは通信料は無料にします、だけれども、Facebookとか──Facebookよりは、日本でそういうシニアのための新しいSNSを展開する日本企業が出てくると一番いいのですけれども、その上で交流されて発信される情報は、シニアのための見守りサービスとか健康づくりサービス、食事のサービスとか就労のサービス、そういうものに活用させてもらいますよという、そういうようなトレードオフをすると。企業の人たちは、それを使っていろいろなビジネスの相手からお金を集める。そんな仕組みがあると何かすごいことが起きるのではないかなと思いました。

澤岡 何か実現できそうですよね、マーケティングのお立場からも。

檜山 そうですね。マーケティングの情報として価値があるかもしれない。

阪本 なかなかそう簡単に……。わからないですが、昨日も社内で打ち合わせをしたばかりなのですけれども、ある年代が集まっているコミュニティサイトがあって、その中で掲示板を立てて、それは介護家族の悩みを語るという掲示板をやったんです。これが掲示板の中でも大ヒット。親の介護を語る掲示板なんですけれども、相当いろいろなのが来ましたね。その中では1人で抱え込まない。やっぱりいろいろな人たちと、外の力を借りながらということがたくさんあって、すごく参考になったんです。例えばその中で私が一つ、ああ、こういうのもあるんだと思ったのは、介護するときにはフレグランスをうまく使いましょうというのがあって、へぇーと思いましたね。フレグランスを使うと介護自体がすごい変わってくるというね。ああ、こういう手もあったかと驚かされました。だから、そういう知恵が集まってくるわけですよね。今おっしゃったGoogleでも何でも、場をうまくセットしたところが非常によかったと思うので、だからそういうのがうまくできてくると、まさに今、檜山さんがおっしゃったようなことが現実味を帯びてくるといいますか、そんなような気がしますね。

澤岡 ありがとうございます。では、残りのお時間を使って、会場とのディスカッションに入らせていただきたいと思います。

会場とのディスカッション

澤岡 まずは、牧さんと同様にシニアにICT普及でかなり活動されている、IDN、自立化支援ネットワークの代表の生部さんが来ていらっしゃいます。実は私、アナログな人間と、ロボット、機械バリバリの檜山さんとの出会いを作ってくださったのもこの生部さんだったりもしますので、今日はまず生部さんに口火切りというか、何かコメントであったり、御質問がありましたらお願いいたします。

○シニアのICTスキル向上

生部 御指名いただきました生部でございます。私、NPO自立化支援ネットワークという、NPOなんですけれども、十数年続いている団体でございます。今日は大変貴重なお話、お三方、ありがとうございました。

 それで、今日私が感じたこと、日ごろ感じたことなのですけれども、今日は特に多世代との交流ということなのですが、多世代の交流でICTを使ってというのを考えた場合に、やっぱりシニアのほうがICTをある程度使えないと始まらないということがあって、私ども、シニア情報生活アドバイザーを養成するということを活動の一つとしてやっております。これは、当初パソコン、インターネット、メールについていろいろと講座等で御指導するということをやっておりましたけれども、さっき牧さんからお話がありました高齢になっていくというのもそうです。このICTの世界は広がる一方で、教えて差し上げる内容がどんどん増えていくんですね。そういうことで、シニア情報生活アドバイザー、私どもの団体で三百数十名養成した実績がございます。この方々がシニアの方にICTの使い方をアドバイスすると言っておりますけれども、たまたまそちらに先週の土曜日まで一緒に講座をやっていたアドバイザーに、これからおなりになる方もいらっしゃいますけれども、そんな活動しておりまして、一番感じますことは、さっき牧さんのお話にもあったかと思うんですけれども、シニアの方に何を教えるか。パソコンの勉強をしなさいと言っても全然だめなんですね。シニアの方はもうそれぞれ御事情、御希望、興味がおありなので、やっぱりシニアの方が何を今欲しがっておられるかということを的確に捉えて、何回質問されても嫌がらないでお答えをしてわかっていただくと。ですから、何に興味を持っておられるかということと、何回でもという、この二つのキーワードが一番大事かなと思っております。

 それで、一つの例なんですけれども、私どもの仲間に、私と同じぐらいの年齢で習志野に住んでいる人がいまして、息子さんが2人いて、1人は東京都、1人はサンフランシスコに住んでおります。さっき、同居、近居っていうお話、阪本さんからありましたけれども、最近遠く離れた遠居といっていいんでしょうか、これでICTを使えるという可能性が非常に出てきたと思います。サンフランシスコに息子さんが行くときに、iPadminiを、「親父、これ置いていくぞ」と言って、使い方を簡単に教えてくれたんですね。サンフランシスコに行かれまして、お孫さんとのテレビ会議なんですけれども、FaceTimeをやって、サンフランシスコにいるお孫さん、息子さんの顔が常に見られるということをやっておられる、そんなことを聞きまして、iPadminiといえば小さいですよね。これって、大型のテレビ、リビングのテレビにつなぐ方法があるんですよって一言いうと、全然今まで知らなかった、興味を示さなかったことなのにヨドバシカメラに行ってコードを買ってきて、早速つないで、「生部さん、見られるようになったよ」って、こんな感じなんですね。

 ということで、やっぱりシニアがスキルを持ってもらいたい、そのためには助けてあげないといけない局面がたくさんあると思います。そういうことで、私どももいろいろ努力しておりますけれども、牧さんは大変御経験おありのようなのですので、そこら辺のシニアに対する御指導の仕方といいますか、アドバイスの仕方等、もうちょっとお話を伺えたらと思います。よろしくお願いします。

 すばらしい、そういう指導員を三百何人お持ちということ自体がうらやましいのですけれども、私は今三つ教室を持っていますけれども、そこには初めての方もかなり来ます。そのときに私がやることは、その人の生活ぶりを聞きます。まず、1人暮らしなのか、経験はどうなのか、趣味は何なのか、あるいは日常どういうことが困っているのかとか。それに合わせて、ああ、この人はこういう人なんだなということで勉強のとっかかりをつかんで、そして、その人に合ったような、例えばこういう使い方があると。ですから、一律カリキュラムでは実はないんですよ。そのときに困るのは、とにかくいろいろな質問が来るものですから、全てに答えられるわけではないので、それはそれとして、もしいろいろなサポーターの、「この分野だったらこの人」と、お持ちでしたら、お互いにそういう交流をするというのも一つの手かと思いますね。

 この間もあるところに呼ばれて、いわゆるこれから先生をやりたいという方に、どういう心構えをしたらいいかを教えてくれという話がございまして、ちょっとお邪魔したのですけれども、やっぱり教え方は技術を教えるのではなくて生活の生き方を、結局iPadがいいとか何かじゃなくて、生き方の中にiPadというものがすーっと入るような。私はそのようにやっておりますけれども、ほかにもいろいろやり方はあると思いますけれども。特にタブレットはパソコンと違って、朝一番、私もそうです。朝起きると、「今日の天気は」と聞くと、「今日は最高気温何度よ」と言う。夜寝るときに「明日の朝6時半に起こしてね」と言うと、目覚ましにもなるわけですよね。それから、Siriというやつを聞いて、ちょっとわからないことがあって、ぱぱっと入れると答えてくれるんです。秘書が要らないんですよ。女房に聞くと怒られちゃうんですけれども、全然Siriは怒らないんですよね。ですから、やっぱりそういう意味で楽しく使えるんだと。

 それから、音声認識と同時に読み上げというのがありましたけれども、これで驚いたのは、喉頭がんで声帯がなくなった方、会議でもう発言ができないと諦めていた方が、iPadを使って会議で発言したいことを自分で記事にして読み上げをするんですよ。その方は仕事をしているのですけれども、もう自分は会議は黙っていなきゃいけないと、声が出ないので。そうしたら、会議に参加できるようになった。非常に生きざまが変わりましたね。ですから、ハンディキャップを持っている方、何かいろいろ困っている方、その方にiPadの使い方を探してあげる。これ、教科書に書いていないのですけれども、試してみると結構いろいろなことができて、これがシニア。やっぱりシニアの気持ちがわかるから、私も一生懸命考えて、私自身がまさかそんなことでiPadが役立とうなんていうのは夢にも思わなかったのですけれども、現実そういう方がおられました。

生部 ありがとうございます。

澤岡 では、一番前の方。お願いいたします。

(会場A) 今72歳ですのでジュニアということなのですけれども、今のお話の中で、私、フィンランドに学生を連れて視察に行きましたときに、各地域の公民館みたいなところにパソコンが置いてありまして、そこで、地域の高校生が地域のお年寄りに使い方を教えているんですね、各地域で。今フィンランドは、何か行政のいろいろな手続を全部パソコンでやるというふうな世の中に変えていくらしいので、それも含めて高齢者の、本当にもうこんなになったおばあちゃんに若い高校生が一生懸命教えているのを見てとっても感動したことがあるのですけれども、そういったことを是非、檜山先生にも。大学生とか高校生の方がそういった形で地域の貢献をできれば、若い人たちも何か自信につながるのではないかなということを感じました。

 それと、もう一つ牧先生にお願いしたいのですけれども、今、日本は65歳以上を高齢者と呼んでいますよね。1964年のときには65歳以上が高齢者でよかったのですけれども、今ややはり10%といったら75歳以上ですので、その世論を変えるために、65歳以上はもう高齢者じゃないんだよということをどんどん発信していただいて、世論そのものを変えていただきたいというふうに感じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

澤岡 ありがとうございます。檜山さん、そういったことは柏では今、若い力をどのように考えていらっしゃいますか?

檜山 私はまだ直接はコミットはしていないのですけれども、高齢社会総合研究機構のほうでは、子育てである程度子供が手を離れた主婦層の人がそういう役割を担えるのではないかということで、地域でのシニア活動の拠点にそういう人が入り込んで、その活動をバックアップしてくれるようなことを実際に進め始めております。もちろん、中高生とか、そういう人たちのボランティア活動をやっている実績として、シニアコミュニティの集まる場所、樋口先生のお話でいうとクールシェアとか、そういうような地域の中のシニアが集まる拠点の中に入ってその活動をサポートすることを一生懸命やっています。このようなことを何か仕組みとして作っていけたらいいなというふうに思いました。

澤岡 ありがとうございます。

 シニア、高齢者という二つ目のコメントでございますが、牧さん、それからあと阪本さんは、これからやはりある意味価値観を今作っていらっしゃるようなお立場でお仕事をされていらっしゃると思うんですが、お二方から何かコメントはございますか。

○100歳時代の人生設計

 あのね、本当なんですよ。私、会社に入るときは定年55で、人生65だから、10年、お前定年後というような話。定年を60過ぎて考えてみたら、そのときは80まで生きそうだから、十何年どう生きようかと。今77で、余命表というのを見て、あと10年ちょっとあるんですよね。ということは、やっぱり90近くまでひょっとするといっちゃうかも。そうすると、新しい目標をつくらなきゃいかんですよね。そうすると、実際生きられるかどうかの保証はないんですけれども、日野原先生を見ていたら、100歳。もう、すごいなと思うんだけれども、こういう人は増えるなと思いますね、これから。ですから、我々も100歳時代はある意味では意識して人生設計を、本当に根本的に変えるぐらいの。さっき海外の話がございましたけれども、私も海外にずっと出ていて、海外の人の生き方というのと日本人の生き方というのは違うんですよね。海外は基本的に自立なんです。基本的に。自立するために何をしたらいいかから始まるんです。日本はどちらかというと守ってもらうほうから始まるんですね。誰かに。依存型なんだと。やっぱり我々の考え方も根本的に変えていけば、本当に長生きしちゃうと。しかし、体だけが丈夫でも楽しくないから、みんなで頭脳を刺激し合おうじゃないかというのがこの私どものスマートシニアをやろうという発想なので、是非皆さんもそういうことで、地域で、あるいは仲間でできるところから始めていただければと思っております。

○シニアの認識と新たな呼称

阪本 私ども広告会社なので、高齢化は大きなテーマというか、前身のエルダービジネス推進室をつくったときからの大きなテーマなんですね。いろいろと調べてみたのですけれども、わかってきたのは、昔は「お年寄り」という言葉があって、「お年寄り」はどうだろうねというのがあって、それで「シルバー」という言葉になったんですね。「シルバー」も使っているうちにだんだん嫌になってきて、それで今「シニア」になっているわけですよ。ですから、結局、高齢を意味する言葉というのはやっぱりだめなんですよね。さっきいみじくも後期高齢者とおっしゃって、あれも後期高齢者医療制度があったときにデモが起こって、そのときにはもちろんお金の負担についてを直接的にはデモをしているのだけれども、それ以上に後期高齢者とは何事だと。高齢者を何だと思っているのみたいなね。そこだと思うんですね。65歳から高齢者になっていますけれども、65歳の人に「何歳から高齢者ですか」と聞くと、「75歳」とかね。ずっと上の向こうに、自分の向こう側にあるものなんですよね。きんさん、ぎんさんがお元気のころに、「テレビ出演のギャラを何に使うんですか」と言ったら、その答えが「いやあ、私は老後のためにとっておくんだよ」というのがありました。ああ、そうか、きんさん、ぎんさん、老後をお考えなのだなと。

 シニアとか団塊の世代に対していろいろなマーケティングをやってうまくいかないという話がたくさんあり、調査で、「シニアを自分のことだと思うか」と聞いたことがあるんです。実は、50代で19.2%なんですよ。残りの、少なくとも50代の8割はシニアを自分のことだと思っていないということがわかったんですね。60代になると56%ですから、半分を超えていくんですけれども、その60代にも、シニアと呼ばれたいかと聞いてみると、呼ばれたい人は12%なんですよ。だから、9割の人は呼ばれたいとは思っていないわけです。シニア・中高年というのは、こういう時代ですから、毎日テレビや新聞に出てきますけれども、それを見て御当人たちは、「ああ、シニアとか中高年っていうのは大変だな」と思う。いや、大変だなじゃなくて、あなたのことですよと言わなきゃいけない。

 博報堂の役員で自分をシニア・中高年だと思っている人間は1人もいないですね。みんなが他人事だと思っているということがあって、何か大きく転換していかなければならない。ARP、アメリカの、全米最大の高齢者NPOですけれども、「フィフティープラス」という言葉を使っているんです。アメリカでもそうなんですよね。サンシティに行ったときに真っ赤なパンフレットがあって、「アクティブアダルト」と書いてあって、何で「アクティブシニア」じゃないんだと聞いたら、「いや、シニアはアメリカじゃ受け入ない」と言っていましたから、同じなんですよ。それで私どもでは、今「新しい大人」というふうに言っていて、なかなかシニアと言えなくて、ちょっとつらい面もあるんです。

 今、日本は高齢社会ではなくて新しい大人社会に向かっているということを言っていて、会社をリタイアしても社会はリタイアしない。つまり、生涯生活現役だと。生活者という意味では、もう現役なのだというふうに皆さん本当は思っていらっしゃるんですね。だから、それがもっともっと前面に立っていくようなことになっていくべきだろうなと。そういう意味では、今、檜山先生がやられている、若者をむしろ助けるんだということはすごく大事なことといいますか、それができて初めて本当に生涯現役って言えるという気がしますし、今から始まっていくかなという感じはしています。

澤岡 今日のテーマに戻りますが、関連している話だと思うんですが、ICTというものをシニアが使って発信をしていくことで今おっしゃったような動きにつながっていくのかなと感じました。

 ほかに何か、皆様、会場の中からコメントまたは御質問等ございましたら。いかがでしょうか。よろしくお願いします。

○高齢者の力、その活用方法

(会場B) 人口問題というのは私たちの抱えている大きな問題で、最近も人口減少あるいは労働力不足、そういうふうなことを言って短絡的に外国人を入れようというような、そんな論議をしていますけれども、肝心なのは日本人が本当に動いているのかと。本当にアクティブに生活をしているのかという、そこのところで問われなければいけないのがシニアの生き方であると思うんですね。そこで、悠々と安楽に暮らしたいという人もいるかもしれませんけれども、でも、安楽に暮らすということと何もしないということはイコールではないはずなんですね。やっぱり政府としても──我々としてもですけれども、政府として特にどういうふうにシニアの力を引き出すのかと。日本の社会にね。まして、それを引き出すこともしないで、あるいは女性の力を、若い人たちの力を生かさないで、ろくな仕事にもつかせないで、200万円、300万円で生かせていると。生かせているのではなくて、まさに殺しているんですよね。そういったような状態のままで、その根本のところを動かすことをしないでどんないいデータを見せられても、これが今の結果ですというだけであって、こうしなくちゃいけないでしょう、やりましょうよというのを国でもっと言わなきゃいけない。この場でもやはり語らなきゃいけないなと考えるんです。その意味で、私は、高齢者の力をどうするかということに本当に絞って論議すると。私は、今回のフォーラムはその意味で非常にいい機会だと思いますけれども。そういうことについて、先生方はどういうふうにお考えか、どなたか聞かせていただければと思います。

澤岡 ありがとうございます。

 ありがとうございます。今、盛んにお隣で拍手されていた──お三方に伺いたいと思うんですが、拍手されていた牧さんから、いかがでございましょうか。

 全く同感なんです。それで、私が今やっている新しいトライ、これをまず完成させていきたいというのが一つ。それを広げたい。広げるときに、どこにどういう方がいるか知りたい。大分わかるようになってきました。どういう活動か。ただ、なかなか見つからないんですよ、草の根でやられている方というのは。みんな悩みを持っているんです。聞いてみると、みんな一緒なんです。これではパワーにならないよねということで、次はこれをいかにパワーにするか。ですから、私、今いろいろなところに出かけていっているんです。いろいろな活動をされている方の所に。やっぱりそこで顔を知って、これはリアルの世界がベースじゃないと、そうするとあとは、一回リアルの世界をやりますと、あとはネットでつながりが。ですから、そういうふうに組み合わせていくと結構いろいろなところにいろいろな人がいて、今日もお名刺をいただいた方も、やっぱりこういう場がたくさんできる、それから事例を紹介し合う。サクセスストーリーじゃないほうがいいかもしれないような気がしますけれどもね。うちはこういうことをやっているという事例が非常に役立ちます。

 そういうことで、若いシニアから年寄りのシニアまでいっぱいいるのですけれども、最後の応用、動作は各自別々でもいいんですけれども、その理念に相当すること、パワーに相当するところは、もう是非結束していきたいし、そうすることが自分たちの社会、あるいは日本の社会を、世界に冠たる長寿国になれるもとではないだろうかと私は思っていますので。できることは小さいですけれども、努力してまいりたいと思っています。よろしくお願いします。

澤岡 では、阪本さん、いかがでしょうか。

阪本 そうですね。一つ言えるのは、やっぱり我々の年代というのは、政府がとか、国がとか、社会がどうよと、やっていないじゃないかというふうに言いがちなところがあるんですけれども、それを言っていてもしようがないんじゃないかと。そんなことを100万回言ったってどうにもならない。それよりも、やっぱり牧さんがおやりになっているように、もう自分でやれることをどんどんやっていくということが私は最大のポイントではないかなと。試行錯誤がありますけれど。それはもう1人1人が、特に今日来ていらっしゃる方々なんかはそういう前向きな方々ばかりだと思うので、そうしていく時なのではないかなという気がします。

 とはいえ、それを今度はできるだけ国なり政府なりでバックアップをしてくれると、スピードが全然違ってきますから、是非、お願いしたいなというふうなところがあります。そういう意味では、先ほど牧さんが言われたので、私も当研究所で何かできるのであれば横連携みたいなことはしたいなと思っていて、内閣府がバックアップしていただければありがたいなと。これは挑戦したい話ですけれども、やっぱり1人1人が主体になっていくということが大事で、それを国が後押ししてくれれば一番いいんじゃないかなというふうに私は思います。

澤岡 檜山さん、いかがでしょうか。

檜山 私も非常に御質問いただいた内容は共感しておりまして、まさにおっしゃるとおりで、これは日本の産業なり、1人1人の国民なり、皆様が元気で明るい将来の生活をしていく中でも真剣に考えていかないといけない問題だというふうに思っています。

 企業とかがまず元気になっていかないと、若い人がシニアを支えるだけの、仕事もできないというような問題もあると思うんですけれども、そういう意味では、今まさに若い人、シニアの人、いろいろな世代が世の中をよくしていこうと思って活動を始めたり、新しい技術を開発していったりということを始めていっているわけなんですよね。それに対して、やっぱり1人1人がというところが本当の意味では大事なのだと思っています。企業が元気をなくしていったり、若い人が元気をなくしていったりというようなところがありますので、やっぱり1人1人が何か変えようと新しい技術を生み出したり、新しい活動を始めたりしているのを何とかキャッチして、それを応援しようと考えていってもらえたら元気になっていくのではないのかなと思っているところです。

澤岡 ありがとうございます。今、お隣の牧さんから、せっかく会場にこれだけ世代がたくさんいらっしゃるので、檜山さん以外の若い人の意見ももう少し聞きたいという、オーダーが…。知っている若い方がいらっしゃいました。

○アナログのつながりとICT

(会場C) すみません、そんなに若くないです。こう見えても43です。

 僕は介護保険の前から介護の仕事をしています。今は市川と浦安を中心に、地域の、要は引きこもっている方を外に出すというためにはどうすればいいかという活動を、あとは企業さん向けにいろいろな高齢者体験とかを実際にしてもらって、自分事に考えてもらうという活動をしているところです。

 今日、話を聞いていてすごく思ったのが、ICT、いろいろな使い方があるのはもうわかっています。いろいろな企業さんと話していても、すごい技術があるのもわかっているのですけれども、生活に密着していないと意味がないんですよね。例えばFacebookを使うとか、就労のところまで行く前にいろいろな段階があるんですよ。そこの部分を大事にしなきゃいけないと。さっきおっしゃられていたみたいに、何をしたいのかということを、僕はまず介護の仕事をしていてもそうなのですが、アセスメントしながら聞きます。大体、家族の方がプロフィールを知らないんですよね。例えば、檜山さんのお父さん、お母さんのプロフィール、完璧に言えますか。なかなか難しいと思うんですよ。逆に、牧さん、息子さんか娘さんがいらっしゃったら、その娘さんと息子さんのプロフィールを言えるかというと、言えると答える方が結構多いのですけれども、実際照らし合わせてもらうと全然ずれていますよね。意外に知らないんですよ。そんな知らない人たち同士、親子の仲でもそれだけ知らない。3.11の後に「絆」ってすごくうたわれた割には、家族のきずなって意外にもろかったりする。それも介護の現場で見ていて思ったんですね。それをまずちゃんとデザインしてあげないと、次のステップに行くというのはなかなか難しいという結論に僕らは達しているので、今、まちづくりとかコミュニティづくりとか結構言われていますけれども、まずコミュニティを作る土壌をつくらないと意味がないよねというのを今僕らのほうではやっているところなんです。なので、どちらかといえば今日は先進事例なのかなという気がするのですけれども、全く社会とつながっていない方たちに対して今後どんなアプローチをするのかというので、皆さんの話を聞きたいなというふうに思いました。

澤岡 ありがとうございます。全くつながっていない人、今日は割とある程度つながっている人、牧さんのお話の中には全くつながっていない人にという働きかけもありましたが、今、御質問にありました、本当に全くつながっていない人、そういったところにどうこれからICTを導入していくかとか、それからよさを知っていただくか、そういったことに関して、どなたかいかがでしょうか。

阪本 ICTを使ってということでは、ちょっと直接ではないのですけれども、さっき申し上げたコミュニティサイトの中で、介護に関する家族の悩みをどんどん出していただいた中で、その中から出てきたことというのは今おっしゃったことなんです。介護する立場になって初めてあわてて区役所に電話して、ぐるぐる回ってケアマネさんが来るというのが一般的なパターンだと思うんですけれども、そうではなくて、その手前でもうちょっと知らなければいけないんじゃないかというのはそのコミュニティサイトで思いました。それは手法としては、やっぱりネットじゃなくてもっとアナログなところから、手で書くところからそれを始めたほうがいいのではないかというのは出てきたところなので、今のお話はすごく興味深く聞かせていただきました。

 さっきの趣味人倶楽部の話もそうなんですけれども、特にこの年代というのはデジタルだけで完結はしない。そこは若い人と違う。若い人って、デジタルの中で、ネット上で全て完結しちゃったりするということがあるのですけれども、やっぱりさっきの趣味人倶楽部の中でネット上では死語になったオフ会というのは生きている。やっぱりデジタルとアナログの融合というか、むしろアナログの中でどうやってこれを生かしていくのかという、その発想がすごく大事なような気はしますよね。アナログのやりたいこととか、自分がこうしたい、ああしたいという中に、いかにこれを生かすことができるのかというふうに、うまく提供していくことができるのかという、そこのところはすごくポイントのような気はしますね。

澤岡 ありがとうございます。檜山さん、いかがでしょうか。

檜山 そうですね。ICTを導入するに当たって、いきなりあるICTサービスをそのまま使ってくださいというのではなくて、柏のほうで就労とか地域のコミュニティ活動というものが、実際にそういうことを考えてやってみたいという人がいらっしゃっていて、その人たちのアナログにやっている活動の中で課題として直面していることとか、それと、本人は気づいていないかもしれないけれども、その活動に対してこういうサービスがあったらもっと効率よく楽にできるのではないのか、そういう切り口からソーシャルネットワークサービスであったり、時間モザイクの就労を支援するようなグループウェア、そういうデザインをやるようにしております。

 全くつながっていない人に対してどうしたらいいのか。柏での就労セミナーとかを開催しても、その場に足を運んでいらっしゃらない方とかがそういう対象になってくるかと思うんですけれども、つながっていないというふうに一括りにおっしゃっている中でも、外の人との接点はどこにあるのかというのを把握するところから始めていかないといけないのではないかなと思っています。そのICTを使うといい、広がるサービスというものに対して、社会との接点になっている人を介して徐々につないでいくような流れを考えていかないといけないのではないでしょうか。

 世の中には、IT技術を適用していく共通の問題というのは、ITの問題ではない問題が多いんですよ。「IT以前の問題」と我々は言うのですけれども、ITが入る以前の。ですけれども、だんだんそれが今変わりつつあるなと思うのは、やっぱりちょっとしたことで、ITの説明、ITをやろうというのではなくて、ちょっとしたことでITを使えるなというのは、現場にいる人が発想するのが一番いいんですよね。理屈じゃないと僕は思うんですよ。そのITの問題以前の問題を、素地を少しずつ作っていった上でITを定着させていくというのが私としては一番いいのではないか。例えば、先ほどの事例があった認知症の人にITを使えという。最初から言ったら、全部拒否だと思うんですよ。でも、認知症の人も使うんですよ。やりようによってはね。そして、今はもう論文が出始めましたけれども、ITの、いわゆるFacebookをやっている認知症の人の認知症の進度が遅くなったとか治ったという、そういう医学的なレポートも出るようになってきています。ですから、そういうふうにIT以前の問題も含めてこうやってディスカッションして、それは私どもでは全てわからないですから、介護をやられている方とか、まさに壁を超えたコミュニケーションで、だったらこうじゃないかとか、いろいろ知恵を出し合って長寿社会の問題を多角的な面でやっていけば、これが世代を超えたコミュニケーション、あるいは縦社会を超えた横社会でのコミュニケーションにつながるのではないかと。だから、ITは一つのツール、そのために必要な共通のツールであるというふうに、ITが何かするのではないということと御理解いただければよろしいのではないかと思います。

阪本 ちょっと補足をいいですか。先ほど、Skypeで、テレビの画面につないであげたらすごくおやりになるようになったというお話があった。そこがポイントかなという気がするのですけれども、結局、今高齢者にとってのデバイスというのはテレビなのですね。そこにコードをつなげてあげるというのは意外にポイントかなというね。みんなが使うようになる。だから、そのようなちょっとしたことをうまくやってあげるとか、何かそこら辺は意外なところの一工夫なのではないかなという気はしました。

澤岡 いわゆる一番身近な部分からという。ありがとうございます。

 皆様、今日は長いお時間おつき合いいただきまして、どうもありがとうございます。今日は恐らく何かがわかった、何かが決まったというお話はなかったかもしれません。ですが、これからの新しいこと、新しい動きに向けての一つのキックオフのイベントになったのかなとも考えられます。そこに向けて、将来に向けてというような切り口で、最後にパネリストの皆様から一言ずついただけますでしょうか。

阪本 やはり今日こうやって皆様方と御一緒にディスカッションをさせていただいて、大変大きな収穫だったなと思うのは、支えられる高齢者から支える高齢者という、その転換というのが本当に今始まろうとしているのではないかという、そこは少しリアルに感じられたのが大きなポイントでした。やはり情報発信って、受信するだけではなくて発信する側になるというところが大きなポイントだし、それから若者を支えられる可能性が、ほんの少しかもしれないけれども見えてきたという、そこがすごく大きいと思うんですね。

 冒頭に御紹介したように、確かに今、ビジネスの世界でも国内市場はだめだから海外へと言われている し、逆に外国人の労働者の方に来てもらわないとだめだという議論もあるしという中で、でもやっぱり急速に進む高齢社会をどうするのかというのは、それは世界のモデルになるんだということがあるわけですよね。まさに皆さん方が、本当に日本の先端に実はいらっしゃるという、ひょっとしたら世界の先端になる可能性があるということがありますので、それを皆様方で御一緒に作っていけるとすごくすばらしいなというふうには思いました。牧さんがおっしゃるように何か連携ができて、それがもう少し見えるような形になるとすばらしいなというふうに思いましたし、内閣府のバックアップがあると確かにいいなとも思いました。

澤岡 ありがとうございます。では、檜山さん、よろしくお願いいたします。

檜山 逆に会場に質問を投げかけたい。質問というか、20代の方っていらっしゃいますか。──1人。30代の方。──会場はお1人。40代の方。──4人。50代の方は。──になってくると結構いらっしゃいますね。20代、30代、若い世代が非常に少ないなというのが、同じ──20代と一緒にするなと20代の人に言われるかもしれないですけれども、そういう印象があります。超高齢社会というのは高齢者だけの問題なのではないかと若い人は考えてしまいがちなところがあって、私は情報系の研究室で研究をやっているのですけれども、情報系の学生ってやっぱり最先端の、何かシリコンバレーで注目されそうな研究をやりたい、高齢者って何だろう、よくわからないから、ちょっとこのテーマは入りにくいみたいなところもあったりすると思うのですけれども、やっぱり世代間交流というところから、世代を通じて一緒に国の未来を考えていかないといけないのではないかというふうに思います。そういう意味で、こういう会場の中にも若い世代が3分の1ぐらいはいてほしいなという気がいたしますので、20代、30代の方は、是非仲間をたくさん作って、超高齢社会を議論する場にその仲間を引っ張って連れてきてもらいたいなというふうに思います。

澤岡 牧さん、よろしくお願いいたします。

 今日感じたことなんですけれども、私もシニアとして、年は自分で決めろと。自分が何歳かは。与えられて生まれた年で数えるなと。これは大事なことだろうと思います。アメリカのニューヨークの州立大学の先生、84歳で教授をまだやっているんですよ。アメリカの大学では定年がないんですよ。定年を決めること自体が法律違反なんですよ。日本の大学は、国立は何歳、私立は何歳と言ったら、びっくりしているんですよ。「何で?」という質問が来ました。だから、年は自分で決めようというのがやっぱりこれからの我々シニアの生き方ではないかと。

 それから、私、ケネディが言った言葉を思い出すんですよね。国に何かしてくれることを望むな、と。自分が国のために何ができるということを問いなさい。これは私どもシニアに対しても当てはまるのではないかと。

 そういうことで、今日ここにお集まりの方それぞれが何かをやっていただいて、頼るのではなくて、これが自立です。それで、これが孤立を防ぐ第一歩だと私は思いますので、今日の私の締めの言葉にさせていただきます。

 どうも今日はありがとうございました。

澤岡 ありがとうございます。牧さんの後でお話しするのは、若い世代としては非常に気が引けるんでございますが、コーディネーターとして最後に締めの一言を述べさせていただきたいと思います。

 今、シェアハウスってすごくはやっていますよね。私、実は建築出身でございます。ですので、シェアする住まい方ということで、いろいろなシンポジウムに出させていただいております。そこで話し合われますのが、今までの下宿とか、それから何か共同の住まいというものは、効率化、それから経済的に安価に住める、何か社会のひずみを穴埋めするような部分でシェアということが考えられていたと。ただ、今のシェアハウス、今の、ともに住まうという生き方という住まい方はそうではなくて、お互いの持っているよさを持ち合って、それが、新しいプラスアルファの付加価値が生まれるのが今のシェアハウスの考え方だよねというようなことが最近語られています。そのシェアハウスになりますが、「シェア」という言葉だけ、恐らく今日のこの「シニアと多世代がつながるために」、この一番根本にある部分がお互いの得意な部分を持ち合って、そしてお互いの得意な部分を出し合って新しい社会のプラスアルファの価値観、超高齢社会ってネガティブなものではなくて、新しいプラスアルファの何かの価値観ができ上がった社会が超高齢社会なのかなと最近感じております。このための武器として、恐らくこのシニアのICTというお話が一つ出てくるのかなと感じておるんですが。

 今、「若い世代、出てきてほしいですね」というお話を檜山さんがされていたんですが、若い世代、正直自分が年を重ねるなんて思っていません。若い学生さんに、「高齢者って何歳ぐらいだと思う?」「ああ、60歳ぐらい」「65歳ぐらい」、知識としてあります。「どういうイメージを持ってる?」「寝たきり」「死んでる」「よぼよぼ」。もう、牧さんのさっきの定義から言ったら、みんな死んでいますよね。というくらい、若い子たちは自分の先の姿として高齢期というものを捉えていません。今の若い子たちは、ほとんど全ての子がICTにつながっています。そういう意味では、シニアの高齢期の方々が主体的に今の社会、自分たちの生きざま、自分たちのすばらしい部分を若い世代たちに積極的に発信していただきたいなと思います。そうすることで、若い世代の価値観というものも徐々に変わっていくのかな。そして、次の会を開催したときには若い子がもしかしたら半分ぐらいいるような、何かそういった動きに進んでいくのかなとも感じております。

 ですので、そういう意味でも、今日これをきっかけに、こういった──でも、今日、シニアがICTを活用して多世代とつながるということに関しては、様々な課題がある、様々な可能性があるということをこの場でまた共有させていただきました。やはりこれで終わってしまってはただのイベントで終わってしまいますので、先ほども皆さん、それから会場からもおっしゃっていただきましたが、多様な主体が、そして多世代がつながって、こういったテーマを何度もみんなで顔を突き合わせインターネットもフル活用して話し合っていく、連携して知恵を出し合って何か新しい動きにつなげていくのが重要なのかなと感じております。

 そういう意見が出ておりますので、内閣府が一つの起点になって、これからこの場、今日いらっしゃっている方をみんな巻き込んで、そういったような動きにつなげていけたらなと感じております。

 皆様、今日は長い時間どうもありがとうございました。

阪本 節郎氏資料

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檜山 敦氏資料

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