第1章 高齢社会対策の方向

第4節 要介護等の高齢者

 在宅の高齢者で介護が必要な者、寝たきりの者(「全く寝たきり」と「ほとんど寝たきり」の合計)は、それぞれ、100.4万人、31.6万人で、65歳以上の者の4.8%、1.5%を占めている。これらの割合は年齢が上がるにつれ上昇するが、最も割合が高くなる85歳以上でも、それぞれ20.9%、8.2%である(後出第2章表2−2−30)。また、介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設)に入所している者の数は60.1万人であり、施設の種類別にみると、特別養護老人ホームをはじめとする介護老人福祉施設が最も多く、全入所者の48.6%を占めている(後出第2章表2−2−31)。
 今後、高齢者数の増加、特に後期高齢者数の増加につれて、要介護等の高齢者の数は大幅に増加することが予想される。これらの高齢者はどのような状況にあり、介護を始めとするどのような特別のニーズを持っているのか、それに対し、介護保険その他の施策をどのように講じていくのかを本節において概観する。

1 家族と介護

(家族構成)
 手助けや見守りを要する高齢者のいる世帯について、その世帯構造をみると、「三世代世帯」が34.5%と最も多く、また、夫婦のみ世帯は19.9%、単独世帯は12.3%、「その他の世帯」(単独世帯、核家族世帯、三世代世帯以外の世帯のことであり、高齢者が子供夫婦と同居している世帯などが該当する。)は22.5%となっている。
 単独世帯の割合についてみると、「要支援者のいる世帯」では35.2%を占めているが、この背景には、同居家族がいる場合は、要支援では特にサービスの必要性を感じないため、介護保険の認定を受けない者もいることが考えられる。しかし、単独世帯の割合は、要介護1の者がいる世帯では20.2%であるが、要介護5の者がいる世帯では1.8%と、要介護度が高くなるにつれて低下してくる。
 これに対し、親と未婚の子供のみの世帯の割合は、要介護1の8.8%から要介護5では14.8%と6ポイント増加しており、また、三世代同居世帯については、要介護1の32.7%から要介護5では42.0%と10ポイント程度増加している。この背景には、単独世帯で介護の程度が増した場合、施設等に入所したり、子供と再同居したりすることがあるものと思われる。
 また、夫婦のみの世帯に住む者は、要介護1で17.4%、要介護5で17.8%を占めるなど、介護の担い手として高齢の配偶者しかいない世帯も相当なレベルで存在している(図1−4−1)。

図1−4−1 手助けや見守りを要する者のいる世帯の世帯構造(65歳以上)  <CSVデータ>

要介護度別にみた要介護者がいる世帯の世帯構造の構成割合を示したグラフ

(介護家族の続柄と年齢)
 要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、妻、息子の妻及び娘の割合が高い。要支援以上の者の主な介護者のうち、妻が20.8%、息、子の妻が27.7%、娘が19.0%となっており、これらを合計すると67.5%と主な介護者の3分の2を占める。これらの者が主な介護者である割合は、要介護度が上がるにつれて上昇する傾向にあり、要介護1では62.6%であるのに対し、要介護5では75.2%になっている。
 一方で、男性が主な介護者となっている割合は18.6%となっている。夫と息、子はほぼ同じくらいの割合となっているが、娘の夫は1%未満と少ない(表1−4−2)。

表1−4−2 要介護等の認定状況別にみた主な介護者と要介護者等との続柄  <CSVデータ>

(単位:%)
  総数 要支援者 要介護者
総数 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
配偶者及び子 総数 67.5 53.0 69.8 62.6 71.3 73.9 70.4 75.2
配偶者(妻) 20.8 10.6 22.3 15.0 22.3 28.8 25.3 24.5
子(娘) 19.0 17.1 19.3 19.4 18.1 19.3 18.8 21.4
子の配偶者(息子の嫁) 27.7 25.3 28.2 28.2 30.9 25.8 26.3 29.3
総数 18.6 17.2 18.7 20.6 16.4 19.0 20.9 16.0
配偶者(夫) 9.1 8.2 9.2 9.5 7.3 9.1 11.6 9.0
子(息子) 9.2 8.7 9.2 10.5 8.9 9.5 8.8 7.0
子の配偶者(娘の夫) 0.3 0.3 0.3 0.6 0.2 0.4 0.5 -
その他 6.1 10.1 5.5 7.1 5.9 4.2 5.2 3.1
資料:厚生労働省「介護サービス世帯調査」(平成12年)
注:「総数」には、続柄不詳を含む。「その他」は父母、その他の親族、その他の合計

 主な介護者の男女・年齢別の構成をみると、男女別では、女性が79.3%と大部分を占めている。また、男女それぞれについて年齢構造をみると、65歳以上が男性で52.8%、女性で33.9%となっており、男女間で差が存在する。これは、女性の場合、娘や息子の妻が親を介護することが多いことが背景にあるものと思われる(図1−4−3)。
 このように、主な介護者は女性の配偶者などの家族内における特定の続柄の者が担っている場合が多く、年齢についてみても、65歳以上の高年齢者が相当な割合を占めている。しかし、その割合は要介護者の性別により大きく異なることが分かる。

図1−4−3 主な介護者の男女・年齢階級別要介護者等の構成比(65歳以上)  <CSVデータ>

男女別にみた主な介護者の年齢階級別構成割合を示したグラフ

(介護家族の心身の状況)
 主な介護者が1日のうち介護に要している時間をみると、「必要なときに手をかす程度」が34.7%、「ほとんど終日」29.7%となっている。要介護等の認定状況別にみると、要支援者、要介護1及び要介護2では「必要なときに手をかす程度」が最も多くなっているが、要介護3以上では「ほとんど終日」が最も多くなっており、要介護5では約6割がほとんど終日介護している(図1−4−4)。

図1−4−4 主な介護者の介護時間(要介護者等の要介護度別)  <CSVデータ>

要介護度別にみた主な介護者の介護時間の構成割合を示したグラフ

 主な介護者の健康意識をみると、介護時間が長くなるほど「あまり良くない」と「良くない」を合わせた割合が増えている。「2〜3時間程度」の者では、男性で21.3%、女性で17.5%であるのに対し、「ほとんど終日」介護に当たっている者では、男性で41.2%、女性で42.2%となっている(図1−4−5)。

図1−4−5 主な介護者の健康に対する意識(介護時間別)  <CSVデータ>

介護時間別にみた主な介護者の健康に対する意識の構成割合を示したグラフ

 在宅介護を行っている家族の悩みをみると、「介護者の精神的負担が大きいこと」が最も多く、64.4%を占める。以下、「いつまで要介護が続くか分からない」(52.0%)、「介護者の肉体的負担が大きい」(40.9%)を挙げる者が多い。また、施設を希望する理由をみると、「介護者が疲れ果てた」(59.9%)がトップに挙がっている(図1−4−6、図1−4−7)。

図1−4−6 要介護者を抱えて困っていること(3つ以内選択)  <CSVデータ>

介護を行っている家族が持つ悩みを示したグラフ


図1−4−7 施設を希望する理由(2つ以内選択)  <CSVデータ>

介護を行っている家族が施設を希望する理由を示したグラフ

 また、要介護者に対する憎しみを「いつも感じている」(3.5%)と「時々感じている」(31.9%)を合わせると、3人に1人以上となり、要介護者に対する虐待をしたことが「よくある」(2.0%)、「時々ある」(15.9%)を合わせると2割弱になる(図1−4−8、図1−4−9)。

図1−4−8 家族介護者と「憎しみ」の感情  <CSVデータ>

家族介護者の要介護者に対する感情の構成割合を示したグラフ


図1−4−9 虐待経験  <CSVデータ>

家族介護者の要介護者に対する虐待経験の構成割合を示したグラフ

 このように、要介護者の家族形態は多様であるが、介護の程度が重くなると子供との同居世帯割合が高くなる。また、妻、息子の妻、娘が主な介護者の3分の2を占め、また、65歳以上が男性では2分の1、女性では3分の1を占める。介護の程度が重くなるとほとんど終日介護に当たる者が増え、健康状況も低下している。精神的、肉体的負担の大きさが施設入所への希望につながり、また、要介護者に対する憎しみや虐待を引き起こしていることもある。

(新大綱に基づく施策の方向)
 「ゴールドプラン21」に基づき、訪問介護や通所介護などの在宅サービスを計画的に整備し、介護に当たる家族の負担の軽減を図る。
 要介護等高齢者に対する家族による虐待や財産権の侵害については、成年後見制度や権利擁護事業の普及を図るとともに、高齢者の人権に関する啓発、人権相談や人権侵犯事件の調査・処理を通じ、その予防や被害の救済を進める。

 

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