第1章 高齢化の状況 


(独自の視点でバリアフリーに取り組んでいる事例)

○ユニバーサルデザインへの先駆的な取組をしている事例

 ユニバーサルデザイン(以下「UD」という。)は、高齢化が進むなかで重要な考え方であるが、そのUDについて全国に先駆けて積極的に取組を行っているのが熊本県である。熊本県ではUDを県政運営の基本理念の中に取り入れ、県の施策をUDの視点を持ちつつ取り組んできている。平成19年2月に内閣府と共催した「ユニバーサルデザイン全国大会」にも子どもから高齢者に至るまで多くの県民が参加するなど、県民にもUDの意識が浸透している。
 熊本県が目指すUDは、「だれもが社会に自由に参加でき、積極的にチャレンジできる環境の実現」、「使いやすいものに満たされている生活の実現」、「一人ひとりの個性が大切にされている社会の実現」をその目標としている。
 熊本県ではUDの取組を円滑に進めるために、利用者のニーズをあらかじめ把握し、話し合いを重ね、利用者の立場に立った使いやすさを求めるというプロセスを重視している。そして、すべての人に「簡単」、「快適」、「安全」、「柔軟」という4つの視点に立った取組を実践している。

UDふれあい広場

 例えば、地元の産品である陶器についても、急須のふたの取っ手を横につけて、ふたのつまみをずらすだけで、片手でも楽に注げる急須などをUD陶器として製品化しているが、これも県民を交えてUDの視点から意見を交換することにより完成に至ったものである。また、熊本県庁内の階段は、「木製の手すり」が「高さの違う2段に設置」されている。「木製の手すり」にしたのは、持ったときにすべりにくくなっているという「安全」の視点である。「高さの違う2段に設置」したというのは、下の手すりは、子どもや背の低い人がつかまりやすいということに加えて、上に比べて若干細くなっており、握力の弱い人でもしっかりとつかめるという「柔軟」な視点から作られている。
 その他にも、ユビキタス技術を活用した自律移動支援プロジェクトの実用化に向け、「くまもと安心移動ナビ・プロジェクト」と称して、歩道や建物などのいろいろなところに小さなICを付け、その場所に不慣れな方に目的地行きのバス・電車等の情報を、視覚障害者にはバス停・電停までの誘導や歩行者用信号機等の情報を音声で行う実証実験を熊本市内で行っている。また、くまもと県民交流館パレアには、これらの取組みやUD製品の展示施設が設置されており、管理運営を受託したNPOとともに、情報発信や人材育成を積極的に推進している。

(注)障害者基本計画(平成14年12月24日閣議決定)では、UDは「あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方」と定義されている。
(注)国土交通省「ユニバーサルデザイン政策大綱」(平成17年7月策定)においては「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」という考え方を踏まえている。

熊本県におけるユニバーサルデザイン(UD)導入における作業ステップ

 第3節 前例のない高齢社会に向けた対策・取組の方向性

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