第1章 高齢化の状況

おわりに

  「団塊の世代」が退職期を迎えはじめた。「団塊の世代」といわれる昭和22(1947)〜24(1949)年に生まれた者は、出生数で約806万人、平成19年で約677万人、総人口に占める割合は約5.3%という人口構造上、大規模な集団である。この大規模な人口集団がいっせいに退職期を迎え、労働市場から完全に撤退をしてしまうと、急激な労働力の減少となり、働き過ぎの若い世代への負担が急激に増えることが予想される。意欲や能力があり、まだまだ働きたいと考える「団塊の世代」のワークへの意欲を活かすことによる、「世代間の仕事と生活の調和」を実現するための環境づくりが一層求められる。
  また、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「団塊の世代」を対象とした調査によれば、自己の技能や技術を後継者に伝達すべきとした人が6割を超え、技能に対する自信、技能継承への意識は高い。「世代間の仕事と生活の調和」が実現されることにより、「団塊の世代」の持つ技能を絶やすことなく若い世代へ継承していくことも可能となる。
  同時に、「団塊の世代」は高学歴化、サラリーマン化の象徴であり、進学や就職によって都市圏に大量に流入したことから、都市化の象徴でもある。そんな団塊の世代が、退職を契機として生活の中心を職場から地域に移す。これは「団塊の世代」というマスとして、数々社会変化の原動力となってきた人たちが、ワークとライフのバランスのあり方を見つめ直し、高齢期の生活の多様な可能性を追求する絶好の機会でもある。
  「団塊の世代」が高齢期に入ることが目前に迫った現在、常に新しいライフスタイルの先駆者であった「団塊の世代」が高齢期の仕事と生活の調和をどのように実現していくのかに注目したい。

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