第1章 高齢化の状況

(2)孤立死の増加

誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な「孤立死(孤独死)」の事例が頻繁に報道されている。「孤立死」の確立した定義はなく、また全国的な統計も存在していないが、東京都監察医務院が公表しているデータによれば、23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は平成14年の1,364人から20年は2,211人と1.6倍に増加している。また、(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者が誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡したケース(自殺や他殺を除く)は平成11年度の発生件数207人から20年度には613人と、9年間で約3倍に増加した(図1−3−9)。この死亡者数がすべて孤立死であるわけではないが、いわゆる孤立死の多くはこの人数に含まれると考えられることから、孤立死の数も、おそらく、同様に増加しているものと推測される。

(注)東京都監察医務院の検案の対象となる死体は、東京都の23区内において発生するすべての不自然死(伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体、その他死因の明らかでない死体)

図1−3−9 孤立死の発生状況
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死後、長期間放置されるような悲惨な孤立死は、人間の尊厳を損なうものであり、また、死者の親族、近隣住人や家主などにとって心理的な衝撃や経済的な負担を与える。

孤立死を、生存中の孤立状態が死によって表面化したものとしてとらえ、生きている間の孤立状態への対応を迫る問題として受け止めることが必要である。


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