第1章 高齢化の状況

3 高齢者の社会的孤立を防止し、高齢者自身を「地域」の支え手に

(1)高齢者の社会的孤立がもたらす問題点

ア 生きがいの低下

誰とも会話をしない、近所づきあいをしない、困ったときに頼る人がいないといった、社会から孤立した状況が長く続くと、生きがいを喪失したり、生活に不安を感じることにもつながる。

意識調査の結果から「生きがいの有無」を見ると、全体では「生きがいを感じていない」人の割合は12.9%であるが、性・世帯構成別にみると、一人暮らしの男性で34.9%と高くなっている。

また、会話の頻度別に見ると、「生きがいを感じていない」人の割合は、毎日会話をしている人では11.7%であるが、会話が「2日〜3日に1回以下」の人では26.8%である。

近所づきあいの程度別に見ると、「つきあいはほとんどない」人で39.0%の人が「生きがいを感じていない」と回答している。

「困ったときに頼れる人」の有無別では、「困ったときに頼れる人」がいない人のうち、過半数となる55.4%の人が「生きがいを感じていない」と回答している(図1−3−3−1)。

図1−3−3−1 生きがいを感じていない人の割合
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イ 高齢者の消費者被害

本章第2節6「高齢者の生活環境」で見たように、高齢者の消費者被害が深刻な問題となっているが、これには高齢者の孤立化が関係している可能性がある。悪質業者は、高齢者の「お金」「健康」「孤独」というような不安を言葉巧みにあおり、親切にして信用させ、年金・貯蓄などの大切な財産を狙う。こうした被害を食い止めるためには、消費生活センターや地方自治体の相談窓口などの認知度を上げることも重要であるが、それとともに、不安や悩みを話せたり、ちょっとした相談ごとができる場や人間関係をつくることも重要であろう。


ウ 高齢者による犯罪

犯罪を繰り返す高齢者に孤立化の傾向も認められる。本章第2節6「高齢者の生活環境」の図1−2−6−12図1−2−6−13にあるように、前科・前歴や受刑歴などがある人ほど、初犯者に比べ、単身者が占める割合が高く、また、親族や親族以外の人との接触機会が少ないことがわかる。つまり、孤立化を防ぐことは安全・安心な社会を築く上でも重要であると考えられる。


エ 孤立死

誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような「孤立死(孤独死)」の事例が報道されているが、東京都監察医務院が公表しているデータによれば、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成19(2007)年、20(2008)年、21(2009)年と3年連続で2,000人を超えている。また、(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者が誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡したケース(自殺や他殺を除く)は、21(2009)年度に665件、65歳以上に限ると472件となり、12(2000)年度に比べ全体で約3倍、65歳以上で約4倍に増加している。これらの死亡者数がすべて孤立死であるわけではないが、いわゆる孤立死の多くがこの人数に含まれると考えられることから、孤立死の数もおそらく、同様に高い水準にあるものと推測される(図1−3−3−2、図1−3−3−3)。

図1−3−3−2 東京23区内で自宅で死亡した65歳以上一人暮らしの者
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図1−3−3−3 (独)都市再生機構における「孤立死」の発生状況
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このように、さまざまな問題を引き起こす「社会的孤立」であるが、各地域では、高齢者の社会的孤立を防ぐためのさまざまな取組が始まっている。


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