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第1章　第2節　6　（3）高齢者の安全・安心

第2節　高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

6　高齢者の生活環境

（3）高齢者の安全・安心

ア　高齢運転者による交通事故件数が高い水準で推移

65歳以上の高齢者の交通事故死者数をみると、平成24（2012）年は2,264人で前年より1.2％減少した。しかし、交通事故死者数全体に占める65歳以上の割合は51.3％と半数を超えている（図1－2－6－5）。

イ　振り込め詐欺の被害者の8割以上が60歳以上

犯罪による65歳以上の高齢者の被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、全刑法犯被害認知件数が戦後最多を記録した平成14（2002）年に22万5,095件となり、ピークを迎えて以降、近年は減少傾向にあり、23（2011）年は13万5,773件であった（図1－2－6－6）。

振り込め詐欺（オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺の総称）のうち、特に高齢者の被害が多いオレオレ詐欺の平成24（2012）年の認知件数は3,634件と前年より22.0％減少したが、還付金等詐欺は1,133件と前年より3.8倍に増加した（表1－2－6－7）。また、警察官等を装ってキャッシュカードを直接受け取る手口のオレオレ詐欺におけるATMからの引出（窃取）額は6億7千万円を超え、これを加えた振り込め詐欺の実質的な被害総額は160億円にのぼる。24（2012）年中の振り込め詐欺の被害者を分析したところ、60歳以上の割合は8割（80.9％）を超え、オレオレ詐欺の被害者に限ると約9割（92.5％）を超えている。加えて、従来の振り込め詐欺グループが関与しているとみられる未公開株等の有価証券や外国通貨等の取引に関する詐欺も増加している。

表1－2－6－7　振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移（平成19～24年）

年次 区分	19	20	21	22	23	24
認知件数（件）	17,930	20,481	7,340	6,637	6,233	6,348
オレオレ詐欺	6,430	7,615	3,057	4,418	4,656	3,634
架空請求詐欺	3,007	3,253	2,493	1,774	756	1,177
融資保証金詐欺	5,922	5,074	1,491	362	525	404
還付金等詐欺	2,571	4,539	299	83	296	1,133
被害総額（億円）	251.4	275.9	95.8	100.9	127.2	160.4
資料：警察庁の統計による。平成22年以降の被害総額は、キャッシュカードを直接受け取る手口のオレオレ詐欺におけるATMからの引出（窃取）額を含む。

ウ　消費トラブルに関する高齢者からの相談が依然として10万件を超えている

全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成17（2005）年度まで増加傾向にあり、その後減少したものの20（2008）年度に再度、増加に転じ、23（2011）年度には17（2005）年度を超える147,662件にのぼった（図1－2－6－8）。また、23（2011）年度に70歳以上の高齢者から寄せられた相談を販売方法・手口別にみると、電話勧誘販売が17.3％、次いで家庭訪販が15.5％となっている。

エ　住宅火災における死者数は約6割が高齢者

65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数（放火自殺者等を除く。）についてみると、平成23（2011）年は711人となり、前年と比べ増加した。また、住宅火災における全死者数に占める高齢者の割合は66.4％にのぼっている（図1－2－6－9）。

オ　養護者による虐待を受けている高齢者の約7割が要介護認定

平成23（2011）年度に全国の1,742市町村（特別区を含む。）で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報件数は、養介護施設従事者等によるものが687件（うち虐待と判断された件数は144件）、養護者によるものが25,636件（同16,599件）といずれも前年と比べて増加した。養護者による虐待の種別（複数回答）は、身体的虐待が64.5％で最も多く、次いで心理的虐待（37.4％）、経済的虐待（25.0％）、介護等放棄（24.8％）となっている。

養護者による虐待を受けている高齢者の属性を見てみると、女性が約8割を占めており、年齢階級別では「80～84歳」が24.3％と最も多い。また、虐待を受けている高齢者のうち、約7割が要介護認定を受けており、認知症である者（要介護認定者における認知症日常生活自立度「II以上」の者）が、被虐待高齢者全体の69.3％を占めた。また、虐待の加害者は、「息子」が40.7％と最も多く、次いで、「夫」17.5％、「娘」16.5％となっている（図1－2－6－10）。