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コラム4 復興応援地域通貨の取組~助け合いによって被災地の絆を深め元気に!~

高齢社会においては、一人ひとりが持っている能力をいかし、地域の中で助け合い支え合う「共助」の活性化が必要となる。「地域通貨」は、共助の関係を深める有効なツールと考えられる。

ここでは、東日本大震災の被災地における地域内での助け合いと地域経済の活性化を主な目的として試行、運営されている「復興応援地域通貨」の取組について紹介する。

「地域通貨」とは、法定通貨(法的に認められている通貨で、国が発行するお金。日本では「円」。)ではなく、利用目的や形態は様々であるが、日本において実践されている典型的な地域通貨は、地域内での助け合いや地域経済の活性化を主な目的とし、1地域の自治会、商店街組合等や市民団体等が発行し、2限定された地域の中で、3サービスや財と交換できることが特徴である。

地域内での助け合いを目的とする地域通貨は、お互いに助けられ支え合う行為を、時間や点数、地域やグループ独自の紙幣などに置き換え、これをいわゆる「通貨」としてサービスや財と交換して循環させる仕組みで運用される。法定通貨では価値を表現しにくいボランティア活動や地域活動を、目に見える形にすることで、地域が持っている潜在的な能力や活力を引き出し、地域の中で活かすことのできる仕組みである。

東日本大震災で被災した地域の中には、震災を機に住民が転入、転出するなどして昔ながらの絆が維持できなくなり、新たなコミュニティーの形成に苦戦しているところも少なくない。行政の補助などで立ち上がった被災跡地の商店街の中には、主な顧客であったボランティアや観光客の数が減るにつれ、賑わいを失いつつあるところも見られる。

そのような状況下で活躍するのが「復興応援地域通貨」(以下、「復興通貨」という。)である。

復興通貨は、地域で支え合う包括的なネットワークづくりを総合的に推進している公益財団法人さわやか福祉財団が推奨している取組である。同財団の理事長である堀田力氏は「地域通貨は、絆をつくり、助け合いを広める力と、地域の経済を活性化する力を持っている。絆の強化も地域経済の活性化も、今、被災地が切実に求めるものである。」と考えている。同財団は復興通貨の導入にあたって、被災地の住民や商工会などの方々と何度も話し合いを重ねる。その上で、被災地支援の一つとしてニーズが一致した特定の地域において、同財団と商工会や住民の方々が、復興通貨の試行、運用を行うこととしている。

際立った特徴としては、復興通貨の維持と運営は全国からの寄付で賄われていること、復興通貨の使途が寄付者の希望に応じて知らせてもらえることが挙げられる。具体的な仕組みは右図のとおりである。

平成26年4月現在、岩手県大槌町、釜石市、大船渡市、宮城県南三陸町、塩竈市の5つをモデル地域とし、地域住民との勉強会や体験会などを行って、復興通貨の役割や効果を広めるとともに、地域のニーズを確認ながら試行、運用を進めている。

このうち、南三陸町では、戸倉地区にある10か所の仮設住宅において平成25年12月から試行を開始している。同地区では、町内の子どもから高齢者までさまざまな人々が復興通貨で助け合い、つながり、絆を深め、笑顔が広がることを願って、事務局を「復興通貨南三陸笑顔の会」、復興通貨の単位(加盟店で用いる際の交換価値を表すもの)を「笑」(しょう)と名付けた。全国からの寄付を担保に発行された復興通貨が、原則、被災者の会員一人につき1か月当たり3,000笑(500笑×6枚、加盟店での交換価値としては3,000円相当)を無償で配布されている。25年12月時点で復興通貨の利用対象である会員数は525名、加盟店は8店舗であり、復興通貨の1か月間の流通量は1,700枚(85万円相当)にも及んでいる。

宮城県南三陸町の復興通貨「笑」(表裏)
「笑」が使用できる加盟店マーク

南三陸町において、復興通貨「笑」が利用されている助け合いサービスの内容は、「話し相手」や「買い物(代行、同行、お手伝い)」、「送迎」が比較的多いが、「子守り・子どもの世話」や「おかず作り」といった、高齢者が現役世代を助けるようなものもみられる。利用者からは、「お互いに(用事を)頼みやすくなった」、「人と人との関係が生まれている」、「仮設住宅で「ありがとう」が飛び交っている」といった声が聞かれているそうだ。

今後の課題としては、町内全域で誰もが気軽に利用できるよう、頼みやすい関係を深め、広げていくことが挙げられ、その一助として、会員が集まる機会を増やし、復興通貨を通じて「うれしかったこと」の共感を広げる場づくりにも取り組んでいる。

我が国が向かう高齢社会においては、効率性や生産性を重んじたお金で買うことのできるサービスだけでなく、一人ひとりが持っている能力をいかし、地域社会の中でできることを行いながら助け合い支え合う「共助」の活性化が必要となるだろう。地域通貨の取組は、市場ベースでは満たされにくい高齢者のニーズにも応えられ、感謝の気持ちが形にできるため、地域の人間関係の中で絆をつくったり深めたりするスタートラインにおける一つのツールとして有効な取組と考えられる。

(図)復興応援地域通貨の仕組み
助け合いと通貨の交換を体験する復興通貨体験会(岩手県大槌町)
試行に向けて地域の多世代で話し合う復興通貨勉強会(宮城県塩竈市)
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