第1章 高齢化の状況(第2節 6)
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向(6)
6 高齢者の生活環境
○高齢者のいる主世帯の8割以上が持ち家に居住している
- 高齢者のいる主世帯について、住宅所有の状況をみると、持ち家が82.7%と最も多い。ただし、世帯別にみると、高齢者単身主世帯の持ち家の割合は65.6%となり、高齢者のいる主世帯総数に比べ持ち家の割合が低い(図1-2-36)。
○交通事故死者数に占める高齢者の割合は過去最高
- 平成28(2016)年中における65歳以上の高齢者の交通事故死者数は、2,138人で、前年より109人減少、交通事故死者数全体に占める高齢者の割合は54.8%となり、過去最高となった(図1-2-37)。
- 75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数の割合は減少傾向にある(図1-2-38)。
○高齢者による犯罪
- 高齢者の刑法犯の検挙人員は、平成27(2015)年は47,632人と前年に比べほぼ横ばいであった一方、犯罪者率は19(2007)年にピークを迎えて以降は低下傾向となっている(図1-2-39)。
- また、27年における高齢者の刑法犯検挙人員の包括罪種別構成比をみると、窃盗犯が72.3%と7割を超えている。
- 犯罪による65歳以上の高齢者の被害の状況について、高齢者の刑法犯被害認知件数でみると、平成14(2002)年にピークを迎えて以降、近年は減少傾向にあるが、高齢者が占める割合は27(2015)年は13.8%と、増加傾向にある(図1-2-40)。
○インターネットを活用する高齢者が増加
- 過去1年間にインターネットを利用したことがあるかについて、5年前と比較すると、70~79歳が14.3ポイント増と最も大きく、次いで60~69歳が12.2ポイント増となっており、インターネットを利用する高齢者が増加傾向にある(図1-2-41)。
- また、インターネットを利用したことがあると回答した65歳以上の高齢者の使用頻度についてみると、半数近くの45.2%が「毎日少なくとも1回」は利用していると回答している(図1-2-42)。
○頼れる人がいない一人暮らしの男性が多い
- 65歳以上の一人暮らしの高齢者が、病気などの時に看病や世話を頼みたいと考える相手について、「あてはまる人はいない」とする人は、子供のいない男性で35%と最も多くなっている(図1-2-43)。
○一人暮らしの高齢者の4割超が孤立死(孤独死)を身近な問題と感じている
- 孤独死(誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死)を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の高齢者全体では2割に満たないが一人暮らしでは4割を超えている(図1-2-44)。
- 死因不明の急性死や事故で亡くなった人の検案、解剖を行っている東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成27(2015)年に3,127人となっている(図1-2-45)。
- 独立行政法人都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約74万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)は、平成27(2015)年度に179件、65歳以上に限ると136件となっている。(図1-2-46)。
○東日本大震災における高齢者の被害状況
- 岩手県、宮城県、福島県の3県で収容された死亡者は、平成23(2011)年3月11日から29(2017)年2月28日までに15,824人にのぼり、検視等を終えて年齢が判明している15,755人のうち60歳以上の高齢者は10,409人と66.1%を占めている(図1-2-47)。