第68回 沖縄振興開発金融公庫運営協議会

日時:平成13年10月29日(月)14:15~16:15
場所:中央合同庁舎第4号館(4階)共用第2特別会議室

開会の辞
尾身沖縄・北方問題担当大臣あいさつ
委員の交代等について
内閣府沖縄振興局長あいさつ
平成14年度沖縄振興開発金融公庫予算概算要求の概要について
特殊法人等改革への対応について
平成13年度上半期事業実績について
平成13年度第3・四半期事業計画等について
沖縄公庫東京本部に関する方針等について
10観光関連業者への融資支援の強化及び最近の公庫をめぐる緊急融資対応について
11行政コスト計算書について
12沖縄振興新法の概要について
13質疑応答
 【 休 憩 】
14平成14年度内閣府(沖縄担当部局)予算概算要求の概要について
15沖縄県経済の現状と見通し
16閉会の辞

1 開会の辞

○塚越委員長 それでは、ただいまから第68回沖縄振興開発金融公庫運営協議会を開催いたします。
 本日は、ご多忙の中をご出席いただきまして、大変ありがとうございます。本日は、尾身幸次沖縄及び北方対策担当大臣にご出席をいただいております。運営協議会の開会に当たりまして、大臣からご挨拶をお願いいたしたいと存じます。

2 尾身沖縄・北方問題担当大臣あいさつ

○尾身大臣 沖縄及び北方担当大臣の尾身幸次でございます。皆様方には、沖縄公庫の運営に関しまして、日頃、一方ならぬご指導、ご鞭撻を賜り厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 沖縄の振興開発につきましては、政府は沖縄の本土復帰以来、三次にわたる沖縄振興開発計画を策定し、これに基づき総額6兆円を超える国費を投入し、各般の施策を積極的に講じてまいりました。こうした取り組みを通じて、施設整備面を始めとして次第に格差が縮小するなど、着実に成果を上げてきたところでございます。
 しかしながら、全国水準の約7割にとどまる一人当たり県民所得水準や本土の2倍近い失業率に示されておりますように、産業の振興や雇用の問題など、沖縄はなお解決しなければならない多くの課題を抱えているところでございます。
 本年8月には、全国的な景気後退のなかにあって、完全失業率9.2%と3年ぶりの高水準となり、雇用問題への一層の取り組みが求められております。さらに、米国における同時多発テロ事件発生後、沖縄への修学旅行等を中心にキャンセルが相当の規模で生じるなど、沖縄の基幹産業でございます環境産業に影響が出ているのも事実でございます。
 こうしたなかで、私どもといたしましては、沖縄県や関係各省とも連携を取りながら、大規模な沖縄観光キャンペーンに取り組んでまいります。沖縄公庫におかれましても、観光関連事業者に対する融資相談窓口を設けるとともに、低金利の特別緊急融資制度をスタートさせる等迅速な対応を取っていただいたところでございます。
 ところで、先週末、沖縄信用金庫が預金保険法に基づき、その財務内容が債務超過の状況にある旨の申出を行い、同日、金融整理管財人の管理下に置かれることになりました。同信用金庫の業務は、金融整理管財人の管理の枠組みの下で、今後も従来どおり行われることとなり、預金等については全額保護されます。また、金融整理管財人により、受け皿金融機関の選定が行われることになります。この件につきましても、沖縄公庫が民間金融機関とも十分連携を取りながら、同信用金庫の健全な取引先への資金供給に絶対に支障を生ぜず、地域経済に悪影響が出ることのないよう、万全を期すようお願いを申し上げます。
 内閣府といたしましては、沖縄の厳しい雇用状況に対応する産業振興や雇用創出の取り組み等、当面の課題に精力的に取り組むとともに、ポスト三次振計に向けての検討の中で、将来に夢の持てる新世紀の沖縄の発展を目指して、今年度末に期限を迎える現行の沖縄振興開発特別措置法に代わる沖縄振興新法の制定及びこれに基づく新たな沖縄振興計画の策定に向け、全力で取り組む決意であります。
 また、アジア・太平洋地域の科学技術の先端的頭脳集積地域を目指して、国際性のある世界最高水準の自然科学系の大学院大学を沖縄に創設すべく、学識経験者等で構成いたします「沖縄新大学院大学構想検討会」を本年8月に発足させ、検討を進めていることをご報告申し上げます。
 さて、沖縄公庫は、創立以来、本土における6つの政策金融機関の業務に相当する業務を沖縄において一元的に行う総合的な政策金融機関として、本土公庫より更に低利な長期資金の供給等を通じて、基幹産業の発展や中小零細企業の経営基盤の安定強化、住宅建設の促進、農林水産業の育成、医療水準の向上などさまざまな分野で、沖縄における産業の振興と社会の開発の推進に重要な役割を果たしてまいりました。現在、政府におきまして、特殊法人等改革の取り組みが行われているところでありますが、民間でできることはできるだけ民間に委ねるとの原則の下に、沖縄公庫におきましても、業務の見直しを行うとともに、組織の在り方についても効率性、透明性を高めるとの観点からの検討を行うことが必要と考えているところであります。沖縄公庫の運営協議会は、地元の皆様方のご意向を公庫の業務運営に反映させる目的で設けられたものであります。委員の皆様方におかれましては、忌憚のないご意見をいただくとともに、今後とも沖縄公庫に対し、一層のご指導を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 以上で、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

○尾身大臣 それでは、これで今日は失礼させていただきます。

(尾身大臣退室)

3 委員の交代等について

○塚越委員長 それでは、委員の交代につきましてご報告をいたします。
 今回、人事異動に伴い、榊誠前内閣府審議官に代わりまして、襲田正徳内閣府審議官。
 田村義雄大臣官房総括審議官に代わりまして、藤井秀人大臣官房総括審議官がそれぞれご就任になりました。
 続いて、委員の出欠状況についてご報告をいたします。
 普天間朝盛委員、玉那覇清仁委員、照喜名朝進委員及び伊良皆高吉委員につきましては、ご都合によりご欠席でございます。
 稲嶺恵一委員につきましては、嘉数昇明出納長が代理として出席されております。
 また、藤井財務省大臣官房総括審議官の代理といたしまして、財務省の二宮洋二大臣官房参事官が出席されております。

4 内閣府沖縄振興局長あいさつ

○塚越委員長 議事に入ります前に、内閣府の武田沖縄振興局長にご挨拶をお願いしたいと思います。武田局長よろしくお願いいたします。

○武田沖縄振興局長 内閣府沖縄振興局長の武田でございます。
 本日は、ご多忙のところ、遠路、沖縄振興開発金融公庫運営協議会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、常日頃内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に対しまして、多大なご支援、ご協力を賜り、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 平成14年度の公庫予算でございますが、後程担当の参事官よりご説明申し上げますが、事業計画の総額を、今年度当初の事業計画の2,405億円から221億円、約9.2%減額いたしました2,184億円ということにさせていただいております。これは、特殊法人等改革にかんがみまして、厳しく事業計画の見直しを行った結果でございます。
 また、制度面では、新たにベンチャー企業等への出資を可能とする「新事業育成出資」、これは仮称でございますが、創設や既存貸付制度の充実・改善に係る要求を行っているところでございます。
 特殊法人等改革につきまして、内閣府は沖縄公庫が政府の沖縄振興策と一体となって沖縄の振興開発の促進を図るという役割を果たしておるわけでございまして、今後、民間主導の自立的経済発展を図る上で、民間金融機関を補完するものとして沖縄公庫の廃止あるいは民営化については適当ではないという報告を、先般、行政改革推進事務局に行ったところでございます。
 他方、大臣の挨拶にもございましたように、「民間でできることはできるだけ民間に委ねる」という原則の下に、より効率的で透明性の高い組織、事業運営を実現するための取組を行う必要があると考えております。他公庫の動向等も踏まえまして、今後、更に議論を重ねていくことになるのではないかと考えております。
 ご承知のとおり、沖縄公庫の運営協議会は、公庫の業務運営に地元の意見を反映させる目的で設置されているものでございまして、委員の皆様方の貴重なご意見は、今後の公庫の業務運営に十分生かしてまいりたいというふうに考えておりますので、是非、活発なご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上、簡単でございますが、私の挨拶とさせていただきます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

5 平成14年度沖縄振興開発金融公庫予算概算要求の概要について

6 特殊法人等改革への対応について

○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題は、お手元の資料にございますように、「平成14年度沖縄振興開発金融公庫予算概算要求の概要について」、「特殊法人等改革への対応について」、「平成13年度上半期事業実績について」、「平成13年度第3・四半期事業計画等について」、「沖縄公庫東京本部に関する方針等について」、「観光関連業者への融資支援の強化及び最近の公庫を巡る緊急融資対応について」、「行政コスト計算書について」、「沖縄振興新法の概要について」の各議題についてご説明をさせていただき、その上で皆様からご質問、ご意見を頂戴したいと思います。その後、休憩を挟みまして、沖縄県に密接に関係をいたします平成14年度内閣府(沖縄担当部局)予算概算要求の概要について、沖縄県経済の現状と見通しについてのご説明を予定しております。大変資料が多いのでございますが、進行にご協力をいただきたいと思います。
 それでは、「平成14年度沖縄振興開発金融公庫予算概算要求の概要」、「特殊法人等改革への対応」につきまして、竹嶋参事官からご説明をお願いいたします。

○竹嶋調査金融担当参事官 内閣府の沖縄振興参事官の竹嶋でございます。
 それでは、私の方から、平成14年度沖縄振興開発金融公庫予算概算要求の概要、それから、特殊法人等改革の2点についてご説明をさせていただきます。
 ご案内のように、今回の予算の特徴と申しますのは、1つは、特殊法人等改革への対応ということでございます。それから、もう1点は、ポスト三次振計への対応ということでございまして、この2つの点を大きな柱として計画を編成したということでございます。
 特殊法人等改革の絡みにつきましては、できるだけ規模を圧縮するというふうなことが一つポイントになりますし、ポスト三次振計の観点では、振興開発に支障がないような概算要求とするといったことが柱になりますので、そういったことの兼ね合いの中で、今回の事業計画を策定したということでございます。
 1ページ目でございますけれども、事業計画を見ていただきたいと思いますが、貸付につきましては、平成13年度予算額の2,401億円から平成14年度要求におきましては2,180億円ということで221億円、率にいたしまして9.2%の減ということになってございます。これは、先ほど来申し上げておりますような、特殊法人等改革の中で、民間でできることはできるだけ民間に委ねるという原則の下に、こういった数字を算出したということでございます。ただ、こういった事業計画で本当に平成14年度以降、沖縄の振興開発を行っていく上で支障が生じないかということも大変重要なポイントでございますので、そこら辺りをにらみながら考えているということでございまして、その点につきましては、3ページをお開きいただきたいと思います。これまでの貸付計画の推移、それから、貸付実績の推移という表をつけてございます。上の表にございますように、平成14年度の要求におきましては2,180億円の要求ということでございます。この2,180億円、この金額が十分であるかどうかということでございますけれども、下の表、貸付実績の数字をごらんいただきたいと思います。平成12年度におきましては1,847億円ということでございます。平成13年度の事業の進捗状況につきましては、また後ほど公庫の方からご説明があるかと思いますけれども、平成13年度におきましては、平成12年度を少し下回るような水準で推移をしているという状況でございますので、平成14年度のこの2,180億円という金額につきましては、沖縄のポスト三次振計の遂行に特に支障が生じるような額ではないというふうに考えているところでございます。
 それから、1ページ目に戻っていただきたいと思います。貸付の下に企業に対する出資、それから、沖縄新事業育成出資、出資の金額が書いてございます。この(2)の企業に対する出資につきましては、従来から沖縄公庫の事業計画として毎年計上しているものでございまして、政府の産業投資特別会計から出資をいただきまして、特に政策性あるいは公共性の強い企業に対する出資として充ててきているものでございます。例えば、沖縄都市モノレールとかあるいは宮古島マリンターミナルとか、そういった事業に対する出資ということで充ててきているものでございます。
 (3)の沖縄新事業育成出資が全く新しいものとして平成14年度の要求に上げているものでございまして、これにつきましては、沖縄の振興開発に当たってやはり新事業あるいは新産業の創出というのが大変重要であるという観点から、沖縄の振興開発審議会におきましても、沖縄公庫におきまして、いわゆるベンチャー等を支援するための新しいスキームといったものが考えられないかというふうなお話もございましたので、そういったことを受けまして、沖縄公庫の平成14年度の予算ということで要求をしているものでございます。ベンチャー等への出資ということでございまして、平成14年度は1億円を予定してございます。
 沖縄公庫におきましては、企業に対する出資ということで、従来からいわゆる出資のスキームというものは法的にあるわけでございますけれども、ただ、ベンチャー等そういった少しリスクの高いものに対する出資ということになりますと、これは、やはり新しいスキームの下で法的な認知も得ながら実行する必要があるということでございますので、これは沖縄振興新法の中で法的な位置付けをきちんとした上で、沖縄公庫の中に特別勘定を設けて実施したいというふうに考えているものでございます。
 それから、2番目でございますけれども、資金交付計画でございます。この中で一番下のところにございますように、財投機関債ということで100億円を予定してございます。これは、財投改革の中で、財投機関がそれぞれ自ら資金調達を行うといった金額を少しずつ増やしていくということが求められているわけでございまして、沖縄公庫におきましても、平成14年度におきましては100億円ということで財投機関債発行を予定しているということでございます。ただ、ご案内のように、特殊法人等改革の中で、特殊法人の行く末がなかなか不透明であるということがございまして、今の段階で財投機関債の発行につきまして、必ずしも明るいという状況ではないというふうに考えております。沖縄公庫におきましては、格付けをとるといったことも行い、また、市場のそういったマーケットの環境といったものも十分にらみながら、平成14年度において発行したいというふうに考えているところでございます。
 それから、一番最後ですけれども補給金等でございます。補給金につきましては、最近の低金利化の中で逐年補給金が減少してきているということでございまして、平成14年度におきましても50億4,200万円ということで、平成13年度と比較いたしますと約7億円程度減額ということになってございます。
 それから、出資金でございますけれども、これにつきましては、平成13年度と比べますと大きく減少しているということでございます。この平成13年度の35億円と申しますのは、平成7年度から沖縄公庫の経営基盤の強化という観点から、毎年この程度の金額でいただいていたものでございますが、特殊法人等改革の中でこのような、言わば何でも使えるような経営基盤強化といった出資金につきましては、なかなか要求するのが困難であるという状況の中で、平成14年度におきましては35億円の要求は行わなかったということでございます。それに代わるものといたしまして、特定目的を持った出資金という形で要求をしているということでございまして、この中身は、先ほど申し上げました沖縄新事業育成出資に対応するものとして7億円を考えてございます。先ほど申し上げましたように、平成14年度の要求額として平成14年度の事業の計画では1億円でございますけれども、7億円の要求をし、残部分につきましては、後年度の事業執行に充てていくというふうなことを考えております。
 それから、9億円引く7億円であと2億円ございますけれども、2億円につきましては、沖縄の特別自由貿易地域、なかなか企業の進出がままならないという状況の中で、やはり金融面での支援を行う必要があるということで、具体的には、担保特例というものを導入したいというふうに考えてございます。2億円を限度といたしまして、沖縄の特別自由貿易地域に進出する企業に対しまして、担保徴求を免除するといった措置を講じたいというふうに考えてございます。この措置によりまして、沖縄の特別自由貿易地域に進出する企業がどんどん出てくればいいなというふうに考えているところでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思いますけれども、融資制度の充実・改善ということでございます。新制度の創出あるいは既存制度の貸付条件の充実・改善につきましては、主だったところにつきましては先ほど申し上げたものでございます。
 それから、3番目のところで、各政府関係金融機関の要求する制度の拡充という部分に書いてございますけれども、これは、例年のことでございますが、本土公庫等が新しく導入するものにつきましては、横並びで沖縄公庫についても導入するということでございます。中身につきましては、少し細かくなりますので省かせていただきます。
 それから、5ページをお開きいただきたいと思います。「特殊法人等改革への対応について」ということでございまして、特殊法人等改革につきましては、行政改革推進事務局の方から、すべての特殊法人につきまして廃止あるいは民営化を検討するという指示が出ているわけでございます。内閣府におきましても、沖縄振興開発金融公庫の廃止、民営化につきまして検討を行いました。5ページに掲げてございますのは、9月4日に行政改革推進事務局に提出をしたペーパーでございます。中身につきましては、やはり沖縄公庫につきましては、まさに沖縄の振興開発を金融面から支援するというふうな重要な役割を担っているということでございまして、このような中で廃止あるいは民営化ということになりますと、沖縄の振興開発を効果的に遂行するといった観点から支障が生じるというようなことでございますので、廃止あるいは民営化につきましては、適当ではないということでご回答させていただいたというところでございます。
 この廃止・民営化につきましては、10月5日に行革事務局の方から、とりあえずの行革事務局としての報告がなされているわけでございまして、その中では他の多くの政策金融機関と同様に、沖縄公庫につきましては引き続き整理合理化について検討するというふうな報告がなされたというところでございまして、つい先日も、石原行革担当大臣と尾身大臣がお会いになられまして、改めて石原行革担当大臣から民営化についての検討要請があったというところでございます。また、この点につきましては、尾身大臣の方からは、なかなか廃止、民営化については難しいということでお話をされたというところでございます。
 いずれにいたしましても、沖縄公庫を巡りますこの特殊法人等改革の中の対応につきましては、年末までに行政改革推進事務局の方で整理合理化計画を策定するということでございますので、私どもも他の政策金融機関の動向もにらみながら、それらと整合性の取れた形で沖縄公庫の在り方について、行革事務局等と更に議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思いますけれども、6ページ目でございます。これは、行政改革推進事務局の方から個別の事業の見直しということで、沖縄公庫に関しましてこの点について改善を要するということでご指摘を受けたものでございます。それに対しまして、所管省庁内閣府としての意見を右側につけているものでございます。これは、ごらんいただければわかりますように、沖縄公庫固有の問題の指摘といたしましては、左側上の2つのマルでございまして、以下につきましては、基本的には本土公庫が同じような指摘を受け、沖縄公庫につきましては、沖縄におきまして本土公庫と同様の業務を行っているわけでございますので、それにつられて同じような指摘が沖縄公庫にもなされているという状況でございます。したがいまして、ちょっと沖縄公庫に固有の2つの問題点につきましてご説明をしたいと思います。
 まず、一番上のマルでございますけれども『「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という原則の下に、以下の見直しを踏まえ、これ以上のシェア拡大を行わない』という指摘がなされたというところでございます。ただ、沖縄におきましてはご案内のように、大変経済状況も劣悪でございますし、それから、民間金融機関の現在の状況を見ましても、必ずしも十全な資金供給というものができるような状況にない。その背景といたしましては、やはり年々の所得の水準も本土の7割ということでございますし、それから、もともと民間金融機関の貸出原資となります貯蓄につきましても、全国の3割程度の水準しかなく、金融機関の預貸率は恒常的に高いという状況がございます。そういった観点から、やはり沖縄公庫における資金供給機能というものが大変重要であるということでございまして、沖縄の特殊事情といったものも踏まえながら、なおかつ、民間でできることは民間に委ねる、民業圧迫になっていないかという観点の注意につきましても十分行いながら対応する必要があるということでございます。したがいまして、行革事務局が言っておりますように、絶対的な水準、シェアの一定水準を設けて運営するということは必ずしも妥当ではないというふうに考えてございまして、1つのメルクマールとしては意識しながら、なおかつ、ポスト三次振計への資金供給に支障が生じないような形で公庫を運営していく必要があるといったことで、ご回答申し上げているということでございます。
 それから、2つ目のマルでございますけれども、これは「業務の効率化を図ることにより、事務処理コストの削減を図る」ということでございますが、これは当然のことでございまして、沖縄公庫におきましても、従前からそういった観点から効率化を図ってきているということでございますが、なお一層この観点から努力を行うということでご回答申し上げているということでございます。
 あと、他の本土公庫と横並びで指摘をされているものの一般的な指摘といいますのが、一番下のマルを見ていただければわかりますけれども、内容的には民間金融機関の貸付債権を政策金融機関が買い取って、それを証券化するといった手法を導入あるいは活用することによりまして、政策金融機関が行っているような資金供給をできるだけ規模を圧縮していくというふうなことでございます。その分、民間金融機関の資金供給を増やしていくといったことでの対応ということが求められているということでございます。ただ、この資金の貸付債権の証券化につきましては、全く今のところそういった制度がないわけでございますので、そういったものの導入というものの現実性、妥当性あるいは政策的な観点から見て妥当かといったことを慎重に検討していく必要があるといったことでございます。
 以上が、大体特殊法人等改革の流れの中で、私どもが行革事務局等と議論をしてきている状況でございます。いずれにいたしましても、沖縄公庫につきましては、本土公庫等の業務を一元的に実施しているということでございますので、もう既に住宅金融公庫につきましては民営化の方向が示されるというふうなことでもございますので、そういった他の政策金融機関の動向あるいは業務の見直しといったものをにらみながら、そういったものと整合性の取れた形で業務の見直しあるいは組織の見直しといったこともやっていく必要があるということでございます。
 それから、特にこれから、私どもが考えていかなければいけないのは、やはり民間金融機関と沖縄公庫がどういうふうに沖縄の中で協調しながら、こういった特殊法人等改革、そういった改革の中で新たな金融の仕組みを考えていくかということであろうと思います。民間金融機関と公庫がお互いにいろいろ議論をし、どういった金融機能を沖縄で構築していけばいいかといったところを考えて頂きたいというふうに考えているところでございます。
 私の方からは以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

7 平成13年度上半期事業実績について

8 平成13年度第3・四半期事業計画等について

9 沖縄公庫東京本部に関する方針等について

10 観光関連業者への融資支援の強化及び最近の公庫をめぐる緊急融資対応について

11 行政コスト計算書について

○塚越委員長 次に、「平成13年度上半期事業実績」、「平成13年度第3・四半期事業計画」と「沖縄公庫東京本部に関する方針等」及び「観光関連業者への融資支援の強化及び最近の公庫を巡る緊急融資対応」につきまして、沖縄公庫の丹下総務部長から、また、「行政コスト計算書」につきましては、高藤経理部長から説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○丹下総務部長 沖縄公庫総務部長の丹下でございます。
 それでは、10ページをお開きいただきたいと思います。10ページには、本年度の事業計画及び資金交付計画の上半期の実績等の推移について書いております。
 まず、右から4段目、上期実績の真ん中辺りの合計欄をごらんいただきたいと思います。平成13年度上半期の事業実績は、全資金合計で784億500万円、当初計画に対する進捗率32.6%ということで、平成11年度あるいは平成12年度と比べますと低調に推移しているところでございます。
 これを資金別に見てまいりますと、上から産業開発資金が203億5,800万円で、前年同期と比べますと13億8,800万円、率にいたしまして6.4%の減となっております。これは、運輸通信業、ホテル及び製造業で前年同期と比べまして60億円以上の増加がありました一方で、電気事業、卸小売で73億9,100万円減少したため等によるものでございます。
 次の中小企業等資金につきましては242億5,800万円で、前年同期と比べますと39億4,600万円、率にいたしまして14.0%の減少となっております。これは、全国同様、沖縄も景気回復の足取りが非常に重うございまして、企業の設備投資意欲に盛り上がりが見られないということが原因しているものと考えられます。
 続きまして、住宅資金につきましては315億8,600万円で、前年同期に比べまして157億8,500万円、率にいたしまして33.3%の減少となっております。これは、前年度に比べまして繰越分が減少したことに加えまして、本年度より個人住宅の募集回数を年4回から6回に増やしたということもあり、前半期の受理の出足が前年度に比べて鈍っていることが影響しているのではなかろうかと考えているところでございます。
 その次の農林漁業資金につきましては3億9,700万円で、前年同期に比べまして6億5,300万円、率にいたしまして62.2%の減少となっております。これは、食品製造業者向けの資金等で大型案件がなかったことによる減でございます。
 その下の医療資金につきましては3億6,300万円で、前年同期に比べまして1億7,300万円、率にいたしまして32.3%の減少となっております。これは、病院の資金需要はあったものの、いわゆる小規模な診療所等に掛かります資金需要が低調であったことが原因ではないかと考えているところでございます。
 その下の生活衛生資金につきましては14億4,300万円で、前年同期に比べまして2億2,300万円。18.3%の増加となっております。これはホテル、旅館業の資金需要が旺盛であったこと、また、飲食店の資金需要が堅調であったことが原因であると考えております。
 なお、資金交付額につきましては一番下の欄でございますけれども、合計で765億4,900万円となっているところでございます。
 次の11ページをお願いいたします。
 ここでは、続きまして平成13年度の第3・四半期の事業計画、資金交付計画についてご説明いたします。ご承知のとおり、沖縄公庫は各四半期ごとに資金需要に対応した事業計画を組んでおりまして、それに基づき事業を行っております。この表の上半分が、今年度の事業計画を四半期ごとに見たものでございます。第3・四半期、すなわち今年の10月から12月までの3か月間の事業計画につきましては、一番右から2つ目の欄の一番上のところでございますが、貸付額総額で533億円を予定しております。内訳は、産業開発資金が150億円、中小企業等資金が150億円、住宅資金が200億円、農林漁業資金が12億円、医療資金が10億円、生活衛生資金が11億円とそれぞれ計画しております。これにつきましては、第2・四半期までの実績や個々の資金需要を勘案して作成しておりますので、第3・四半期におけます資金需要については、これで十分対応できるのではないかと考えているところでございます。なお、出資額といたしまして2億円を計画しております。
 次に、この表の下半分の資金交付計画を御覧ください。同様に右から2段目の一番上のところでございますが、貸付額で456億円となっております。これは、第2・四半期までの契約に基づきまして第3・四半期に資金交付する額と、第3・四半期の中で契約して、この四半期中に資金交付する額の合計額でございまして、実際に事業者に対して交付される資金の額となっております。
 続きまして、12ページをお開きください。ここでは第3・四半期の資金計画について書いてございます。これらの項目のうち主なものについてご説明をいたします。まず、左側の支出の欄をごらんいただきますと、貸付金につきましては、先ほどの第3・四半期の貸付の資金交付計画456億円がそのまま計上されております。
 1つ飛びまして、借入金償還等518億2,000万円につきましては、大部分が財投への約定償還でございます。
 また1つ飛びまして、事業損金151億8,800万円は、主に財投からの借入金に対する支払い利息でございまして、その他に事務費あるいは業務委託費が含まれております。
 それから、一番下の期末現金預け金60億9,900万円は、第4・四半期の財投借入れまでの間の資金交付等に充てるべき金額を12月末に現金預け金として保有しておくものでございます。
 右の欄の収入の部でございますが、まず上から前期末現金預け金115億5,600万円は、第3・四半期の財投借入れまでの資金交付等に充てる金額として第2・四半期末、すなわち9月末に保有したものでございます。
 1つ飛びまして、借入金等でございますが、476億円は財投からの借入金がほとんどですが、そのほかに雇用能力開発機構からの借入金も含まれております。
 その下の貸付回収金467億7,300万円につきましては、約定分の回収のほか繰上償還も見込んでいるところでございます。
 以上でございます。
 それから、続きまして、次の13ページでございますが、これは参考までですが、金利改定の概要について御覧いただいております。最近の金利情勢ですが、この表の上段を御覧ください。本年5月9日より貸付期間に応じて金利設定を行う、いわゆる新金利体系に本公庫も移行しているところでございます。これにつきましては、前回の運営協議会でもご報告させていただきましたけれども、貸付期間10年で見てまいりますと、産発資金は1.4%、中小等及び生衛資金につきましては1.3%、医療については1.5%と過去最低水準でございましたが、その後、上昇下降を繰り返しまして、本年10月10日現在では産業開発資金が1.5%、中小企業等資金及び生活衛生資金が1.4%、医療資金については1.6%となっているところでございます。
 また、下の表の住宅資金の金利も御覧ください。基準金利適用住宅につきましては、現在2.3%となっております。ご承知のとおり、沖縄公庫の基準金利につきましては、住宅資金を含めまして本土公庫等に比べまして原則0.3%低い水準に設定されているところでございます。
 続きまして、次の14ページをお開きください。東京本部に関する方針等についてのご説明でございます。前回の運営協議会現地懇談会の際に、本公庫を巡る近年の環境変化に対応するため、「私たちの行動指針」というこれからの組織目標について既にご説明したところでございます。そして、これらの我々が目指します組織目標を達成するためには、当公庫の経営判断として、組織機構面での不断の見直しが必要であるということが必然の方向性であるかと思います。また、先ほど内閣府からのご説明にもありましたように、行革の観点からも一層の組織の合理化、効率化というものが求められているところでございます。
 このような背景から、今年度、平成13年度でございますが、公庫も発足以来最も大規模な組織改革を実施いたしました。その方向性は大きく分けて2つに分かれます。1つは、財投改革の進捗、行財政改革への一層の対応のため調査企画部門、債権管理部門を強化したということでございます。資料で見ますと15ページですが、左側が昨年度まで、右側が本年度からのものでございますけれども、調査部を企画調査部に改めまして、次長ポストも1つ増やしまして、ここの分野の強化を図りました。それから、これまでは管理部の中に非常に多様なものが入っておったわけでございますけれども、右の欄をごらんいただきますと、債権管理にかかわるものは早期管理から法的処理に掛かるものまですべて、全部この債権管理部の中で行うということにいたしました。
 それから、もう一つは、融資部門と管理部門の明確な機能分離と機能別による組織の再編成ということでございます。これにつきましては、今申し上げましたように、債権管理の中に全部管理部門を持ってくるということで、一応貫徹されたと考えております。その一方で、融資第三部を御覧いただきますと、本年度から住宅課、委託指導課、農林漁業課とございますが、ここに住宅資金に関する事務を集約させるとの方針をとりました。これまでは例えば委託指導課は管理部の中にございましたが、事務の大半は住宅資金に関する代理店への指導ということでございますので、これを住宅関係と一体化いたしまして組織の効率化を図ったということでございます。
 このような大きな流れを見ますと、本店の中にできるだけ主要な業務を集約するということになろうかと考えております。幸いなことに、昨年4月永年の悲願でございました新本店も完成しましたので、ハード面での対応も可能になり、本店に事務を集約するということにさせていただきました。その結果、東京本部あるいは各支店の業務というのは、必要最小限のものを残しておこうという方針で臨みました。例えば、東京本部ですと東京本部でしかできない仕事、そういう性格の事務に限定していこうとしたところでございます。
 このような方針の結果、東京本部につきましては、業務を東京本部から、本店の庶務部を中心といたしまして事務を大幅に移管しました。例えば、研修事務、互助会事務あるいは経理部関係でございますと、経理、決算関係事務等も可能な限り本店の方に移譲したということでございます。
 これらに伴いまして、この15ページの表をごらんいただきますと、一番上に東京本部が書いてございますが、左は32名となっていますが、平成13年度からは29名ということで、1割程度の人員削減を行いました。それから、これまで総務部は総務課、企画課、業務課の三課体制でございましたが、業務課をなくしまして企画調整課に集約化したというようなことも実施したところでございます。
 ちなみに16ページ以降、当公庫の組織規定の新旧対照表がございまして、網掛けをした部分等が東京本部の事務を減らしたものの例示でございます。
 なお、このような結果、東京本部の全職員に対する割合は10%強ということで相当スリム化されてきたとは考えておりますが、今後、特殊法人等改革の全面的な見直しとの整合性を図りながら、組織運営の効率性を十分見極めながら、必要に応じまして、更に東京本部の部の再編等も視野に入れて対応していくことにしております。また、併せまして、沖縄の社会経済の実態に東京本部の役職員がこれまで以上に密接に接触できるよう、理事長以下沖縄への出張等を通じ訪問する回数を増加させるなどいたしまして、業務執行体制の中心をより本店サイドにシフトさせるということも考えているところでございます。ちなみに役員会などの開催は、原則今後は本店の方で行うということを検討しているところでございます。
 続きまして、20ページをお開きください。先ほど冒頭の大臣のご挨拶にもございましたように、いわゆる米国での同時多発テロ事件等に伴いまして、修学旅行を中心に沖縄では非常に大量の旅行キャンセルが発生し、関係業者の方は非常に苦慮されているということが随分大きく報道されているところでございます。そういうこともございまして、本公庫では去る10月11日に相談窓口を開設いたしまして、資金調達等企業からの個別の相談に応じてきたところでございます。せっかくの機会でございますので、先週の金曜日、この相談窓口ができましてから半月経ちました段階で、どの程度相談があったかについてご説明いたしますと、総数で(電話相談も含む)160件の相談がございました。そのうち140件が新規の融資のご相談、残りの20件が既存の債権の償還条件の変更等に関するご相談でございました。また、これを業種別に見ますと、約3割が卸小売業者、例えば、土産物屋さんでありますとか食材関係の業者の方というものでした。続きまして、飲食店関係が18%程度、それから、ホテル・民宿等が14%程度ということになっております。
 こういう状況もふまえ、次のページをお開きいただきたいんですけれども、当公庫としてもいろいろ新たな取り組みを行いたいと検討した結果、ちょうど本日からこのような取り組みを開始させていただいたところでございます。これにつきましては、既存の融資制度を最大限に活用いたしまして、これに公庫独自の工夫ないし公庫の経営判断というものを加味いたしまして、このような新たな取り組みを実施させていただいたということでございます。
 簡単にご説明いたしますと、貸付対象といたしましては、今回被害に遭われた観光関連業者、関連業を営む中小企業者でございまして、中長期的にはその業況を回復し発展することが見込まれる業者の方で、[1]から[3]に掲げます要件のいずれかの経営状況に該当するものというものでございます。
 資金使途は運転資金。貸付利率は、最も現在低い特別利率の[3]ということで0.9%でございます。償還期間につきましても5年以内でございますが、特に必要と認められる場合は7年以内。据置期間も1年以内でございますが、特に必要と認める場合に2年以内としております。また、貸付限度額もそれぞれの中小、生業、生活衛生資金に応じまして別枠で対応させていただいております。取扱期間は、本日から1年間とさせていただきます。
 その他、中小企業資金については担保特例措置を認めるということでございます。担保を目いっぱい使っておられてこれ以上の担保提供の余力はないという事業者の方が実際に多いという話を伺っておりますので、原則は75%までの担保特例として認めますけれども、個々の事業者の営業状態あるいは財政状態を加味して、弾力的に最大限100%、すなわち全くの無担保でお貸しできることとしております。勿論、限度額8,000万円はございますけれども、その限度額までは無担保でお貸しできるような姿勢で臨みたいと考えているところでございます。
 1ページ戻りまして、20ページにお戻りください。2つ目の欄ですが、先般発生いたしました台風16号によります災害で被害を受けました事業者の資金需要に迅速に対応するために、先月の14日に公庫の本店及び各支店に台風16号災害特別相談窓口というものを設置いたしました。なお、同じく9月17日からは、災害復興住宅融資についても同様な募集を開始したということでございます。
 それから、先般来、随分話題になっております狂牛病の関係でございますが、沖縄県内におきましても畜産関係のお仕事をされている方がおられますので、影響を受けられている事業者の方につきましては、融資及び既往債務の条件変更等に関する相談窓口を10月4日に本支店に設置したところでございます。
 さらに、文章には書いておりませんが、冒頭大臣のご挨拶にございましたように、沖縄信用金庫がこのような状況になりましたので、当公庫といたしましても、本日午後1時から沖縄信用金庫関連特別相談窓口を設置したことを併せてご報告いたしたいと思います。
 以上でございます。なお、行政コスト計算書については、経理部長から報告します。

○高藤経理部長 経理部長の高藤でございます。
 それでは、沖縄公庫の平成12年度行政コスト計算書についてご説明申し上げます。
 まず、今回の行政コスト計算書の作成の経緯について申し上げたいと思います。従来、公庫の財務諸表につきましては、公庫の予算及び決算に関する法律及び昭和62年10月に、財政制度審議会公企業会計小委員会から設定されました特殊法人等会計処理基準というものによりまして、各法人の業務についての予算統制を確保するための決算にする必要性等の観点から、いわゆる民間企業で行われております会計処理を一部修正したもので実施されておりまして、その結果は、主務大臣の承認を受けまして官報等によりまして一般に公表してまいりました。この財務書類が予算統制の機能及び法人の業務運営、業績の適正な評価に資する反面、一般国民から見てわかりづらい、法人間の比較が困難というような問題点が指摘され、それから、本年4月に設立されました独立行政法人におきましては、国民負担に帰するコストを表示するということで、行政サービス実施コスト計算書というものが作成されるということなど、行政の説明責任を充実する新たな動きが見られることなどを受けまして、昨年10月財政制度審議会に公企業会計部会が設置されまして、特殊法人等の会計処理について説明責任の確保と透明性の向上の観点ということから見直しの審議が行われまして、本年6月19日特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針というものが示されたところでございます。
 これを受けまして当公庫におきましても、行政コスト計算書を監査法人の監修を受けまして作成いたしました。去る9月28日に沖縄の本店におきまして記者発表を行い、本店を初め各支店に備え付けて閲覧に供しているところでございます。また、今月10月5日より公庫のホームページにも掲載いたしまして公開をいたしているところでございます。
 今回策定いたしました行政コスト計算書は、従来の予算統制を確保するための現行の決算書に付加して作成されるものというふうに位置付けられておりまして、次に申し上げます4つの特色を有するものというふうに言われております。
 まず、1つ目でございますが、特殊法人等について民間企業として活動しているとの仮定に立って、最新の企業会計原則の統一的な適用を試みる。具体的には、我々の公庫でありますと、貸付金債権等の金融商品についての自己査定の導入。それから、従来計上しておりませんでした退職給付会計における将来発生費用の見積もり等。
 それから、2番目に、最新の企業会計原則に準拠した財務処理ということで、国民一般にわかりやすいものとなると。具体的には、それぞれ財務諸表の表示科目名称の見直し等が挙がっております。
 3番目といたしまして、最新の企業会計原則が統一的に適用される結果、特殊法人等の財務状況、それから、業務運営状況が網羅的かつ統一的な尺度で表示されるということで、民間企業の場合と同様に各法人間の比較検討が可能になる。
 それから、4番目といたしまして、国民負担に帰するコストを明らかにするということで、企業会計原則では要請されておりません機会費用についても計算表示するということで、具体的には国からの出資金、無利子貸付金、国有財産の無償使用等、特殊法人等の損益計算書におきましては、コストとして認識されない、いわゆる政府からの財政上の措置についても、実質的な国民負担に帰するコストという認識の下に、機会費用を計上するということになっております。
 それでは、22ページの行政コスト計算書をごらんいただきたいと思います。当公庫の平成12年度行政コスト計算書の行政コスト、表の一番下にございますが68億円が計上されております。この計数につきましては、24ページの民間企業仮定損益計算書に計上されました費用総額655億円から自己収入の596億円を控除いたしまして、これに先ほど申し上げました政府出資等に掛かります機会費用9億円を加算して算出いたしたものでございます。この行政コストの大宗を占めます約82%に相当いたします額は、一般会計からの補給金56億円に見合う額となっております。
 また、今回の民間企業仮定貸借対照表、23ページでございますが、この中では貸倒引当金の計上基準が現行の会計処理と大きく異なっております。当公庫につきましては、営利追求を目的といたしておりませんので、損益計算書上の利益金が生じました場合には国庫へ納付、損失金が生じた場合は国の財政支援を受けることによりまして、期間損益が均衡するという仕組みの中で必要な不良債権処理、これは直接償却でございますが、行った上で財務大臣の定める範囲内、現行は1,000分の6以内と定められておりますが、貸倒引当金の計上を行ってまいりました。今回、作成趣旨に従いまして、金融検査マニュアルに沿いまして一定の自己査定を行った上で貸倒引当金を計上いたしましたことによりまして、計上額が現行に比べて大きなものとなっております。民間企業仮定貸借対照表では左の科目の欄、資産の部の一番下のところに貸倒引当金216億円という数字を計上しておりますが、現行ベースでまいりますと約100億円でございまして、約2倍の数字になっております。
 以上が、民間企業仮定貸借対照表、損益計算書でございますが、今、申し上げました行政コスト計算書は、繰り返しになりますが現行の決算書に付加して作成されるものという位置付けのため、今年度の作成指針の報告が決算期の経過後、6月19日でございましたので、経過措置として本年度は9月末日が公表期限というふうに定められてありました。本格的な適用につきましては平成14年3月期、いわゆる平成13年度決算からの導入ということになっておりまして、平成13年度以降につきましては、特殊法人等それぞれの設立法に基づきます現行の財務諸表の公表と同時期に公表すべきものというふうにされております。
 それから、最後になりましたが、お手元に平成12年度版の公庫のディスクロ誌というものを配付させていただいております。でき上がったばかりでございますが、この中に公庫の業務実績並びに先ほどよりご説明いたしました自己査定に係りますリスク管理債権等につきましても、現行基準との比較を含めた形で開示いたしておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

12 沖縄振興新法の概要について

○塚越委員長 続きまして、沖縄振興新法の概要につきまして、飯塚参事官からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○飯塚参事官 新法担当参事官の飯塚でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の25ページをごらんいただければと思います。「沖縄振興新法の検討の基本方向について」ということで資料をつけてございますが、沖縄振興新法につきましては、来年の通常国会に法案を出すということで現在準備を進めておるところでございまして、通常国会に提出する法案でございますので、通常来年の2月ごろに最終的に閣議決定をして国会に法案を出すというスケジュールになるということで、まだ若干、時間的な余裕がございまして、政府部内でいろいろ検討を進めているという状況でございます。
 次の26ページ以降に具体的な検討の方向がございますので、これに沿って説明をさせていただきたいと思います。これは、表題にもございますように「沖縄振興特別措置法(仮称)の検討の基本方向(内閣府原案)」ということでございまして、内閣府でこういう方向で検討を進めていこうということで取りまとめまして、関係省庁等と現在検討を進めておるというものでございます。
 まず、法案の最初でございますが総則でございまして、ここには目的ですとか沖縄振興の理念でありますとか、あるいは法律の定義規定等を盛り込もうということを考えておりますが、目的におきましては現行の沖縄振興開発特別措置法と同様に、沖縄の特殊事情にかんがみまして特別の措置を講ずる法律であるということを引き続き定めようというふうに考えております。
 2番目が、沖縄振興計画、これも仮称でございますが、沖縄県知事が現行の沖振法と同様に沖縄振興計画の案を作成しまして、内閣総理大臣が同案に基づき計画を決定するというスキームを引き続き継承しようと考えております。
 計画の内容につきましては、現行法に比べまして若干大くくり化を考えておりまして、産業の振興、職業の安定、社会資本の整備、福祉の増進及び医療の確保、教育及び文化の振興、自然環境の保全等といった、こういう大くくりの事項にしようと考えておりますとともに、更に現行、事実上書いてございますが、圏域別の振興の計画につきましても沖縄振興計画に記載するんだということを法律上明定しようというふうに考えております。
 3番目からが産業の振興のための特別措置でございまして、まず、1番目が観光の振興でございます。やはり観光が沖縄のリーディング産業ということでございまして、一番最初に持ってくるのが適切ではないかというふうに考えておりますが、まず、観光振興のための計画ということで、沖縄県知事が観光振興のための計画を策定しまして、同計画の実施のために必要な措置を講じていって国が支援するということをまず盛り込もうと。
 それから現行にございますように、観光振興地域制度でございますが、観光関連施設の整備の更なる促進を図るために、地域指定要件の緩和等現行の観光振興地域制度の拡充を図っていきたいということで検討を進めております。
 3番目が航空機燃料税の軽減でございまして、これは、現在本土・沖縄本島路線間に係る航空機燃料税の2分の1軽減を行っておりますが、これを延長したいと考えております。
 それから、4番目が沖縄型特定免税店でございまして、沖縄観光の魅力を更に増進するために、沖縄型特定免税店を空港外においても設置できるようにするなどの制度の拡充を図っていきたいと考えております。
 そのほかの観光振興ということで、エコツーリズムの推進でありますとか、その他の観光振興のための措置というものを講ずるようなことも考えているところでございます。
 2番目が、情報通信産業の振興でございます。これにつきましても、情報通信産業振興のための計画といったものを沖縄県知事が策定をすることにしまして、それにつきまして必要な措置を講じていくということを考えてございます。
 情報通信産業振興地域につきましても、現行の情報通信産業6業種に加えまして、コールセンターといった関連する業務についても対象に加えるなどの情報通信産業振興地域制度の拡充を図っていきたいというふうに考えております。
 3番目が、特定情報中枢機能振興地区という仮称をつけておりますが、いわゆる情報特区と言われているものでございます。産業集積の牽引力となる情報中枢機能、例えば、データセンターでありますとか、インターネット・エクスチェンジみたいなそういう情報中枢機能となるようなものの集積を促進するために、特区の指定を行って課税の特例を講じていきたいというふうに考えているものでございます。
 3番目が、産業の総合的な振興というものでございまして、仮称でございますが、産業総合振興地域といったものをつくりたいと。これは、現在の工業等開発地区を更に発展させたものというものを考えているところでございまして、頭脳立地的な業種等々を現行の工業等開発地区に入れ込んでいければというふうなことを考えている次第でございます。
 続きまして、自由貿易地域及び特別自由貿易地域制度の拡充といったことで、これについても、拡充していければということで検討を進めているところでございます。
 4番目が新しい制度でございますが、沖縄型重要産業分野の中小企業発展支援というところで、沖縄の産業発展を図る上で、特に重要な産業分野に属する中小企業が行う発展的事業活動を支援するための課税の特例の措置などを講じていきたいということでございます。具体的に、重要な産業分野につきましては、現在調整を進めているところでございますが、法律に基づく政令等で重要な産業分野といったものを決めていくことになろうかと考えている次第でございます。
 5番目が、金融業等の集積促進でございます。金融業及び金融関連業でございますが、その集積を促進するために金融業等集積促進地区いわゆる金融特区と言われているものですが、その指定を行いまして、課税の特例等の措置を講じていきたいというふうに考えている次第でございます。
 続きまして、エネルギーの安定供給維持です。エネルギーの安定供給維持、特に電力業を念頭に置いているものでございますが、安定供給維持のための課税の特例等の措置を講じていきたいというふうに思っております。
 7番目が、農林漁業の振興でございます。これも、観光情報と同様に、沖縄県知事が農林漁業の振興のための計画を策定しまして、同計画に基づいて必要な措置を講じていこうということを検討しているところでございます。
 以上が、産業振興のための特例措置でございまして、続きまして、職業の安定及び人材の育成のための特別措置というところでございます。これも現行沖振法では職業の安定といった特別措置があるところでございますが、特に人材の育成といったところにも力点を置いた形での計画といったものをまとめていければと思っております。沖縄県が職業の安定及び人材の育成のための計画を策定することとし、同計画に基づきまして、沖縄の労働者の雇用の促進、職業能力開発の促進等のための措置を講じていこうといったことの仕組みを検討しているところでございます。
 更に、魅力ある地域特性の発揮のための特別措置という形で、産業、雇用以外の沖縄の魅力ある地域特性の発揮のための特別措置というところでございますが、沖縄の文化の振興あるいは科学技術の振興及び高等教育機関の充実あるいは国際協力、国際交流の推進のための措置といったものを盛り込んでいこうというふうに考えております。
 それから、環境調和型エネルギーの活用促進、太陽光でありますとか風力発電といったものを利用した形でのエネルギーといったものの利用活用促進のための、良好な環境形成のための課税の特例等の措置を講じていきたいというふうに思っております。
 それから、医療及び福祉の向上のため、無医地区における医療の確保あるいは離島における高齢者の福祉の増進のための措置を講じるといったことで、これは基本的に現行の措置の継続ということを考えているところでございます。
 離島の振興のための交通の確保、小規模校における教育の充実あるいは旅館業に係る課税の特例等についても、引き続き講じてまいりたいというふうに考えてございます。
 続きまして、沖縄振興計画に基づく事業に係る国の負担または補助の割合の特例、高率補助と言われているものでございますが、これにつきましては、現行沖振法のスキームを基本的に継承していきたいというふうに思っているものでございます。
 それから、現行法にはございませんものとして、駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置といったものも、新法に盛り込んでいければというふうに考えております。
 まず、駐留軍用地跡地の利用及び円滑化のための国、県、市町村の連携。国、県、市町村が連携をして一体となって跡地の利用あるいは利用の円滑化のための措置を講じていこうというものでございます。
 2番目が、大規模駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特例でございまして、大規模駐留軍用地跡地につきまして基本方針の作成でありますとか、あるいはそもそも大規模跡地の指定をどうするか、あるいは国の取組方針についてどうするかといった手続を規定していきたいというふうに考えております。
 それから、給付金の支給についての特例措置についても、ここに盛り込んでいこうということでございます。
 最後、その他ということで、現在、沖縄振興開発審議会がございますが、法律の名称の変更に伴いまして沖縄振興審議会、これも仮称でございますが、その設置等を行っていこうというふうに思ってございます。
 それから、最後でございますが、沖縄振興特別措置法、沖縄振興新法でございますが、これも従前と同じように10年間で失効する法律という形で、10年間で成果を上げていこうということを考えております。
 この資料の中で星印をつけておりますものが、新たに新法で措置をしていくところであるということでございまして、各般にわたりまして新たな措置を盛り込んでいければということで、今、関係省庁、沖縄県と鋭意検討を進めているといったところでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

13 質疑応答

○塚越委員長 それでは、これで一通り議題についてご説明が終了しましたので、議題全体を通じましてご質問、ご意見等をいただきたいと思います。実は、予定の時刻を多少オーバーしておりますので、場合によりましては休憩をカットするなどして、できるだけ皆様方のご意見を伺いたいと思っております。ご質問、ご意見等をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○嘉数沖縄県出納長 沖縄県出納長の嘉数でございます。稲嶺知事の代理で出席をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
 まず、お礼を申し上げたいと思います。先ほどのご説明にもございましたように、このたびのテロに伴う観光客の落ち込みに対応する沖縄県経済の、特に観光関連業界の深刻な状況に対応いたしまして、公庫におかれましても緊急経営支援特別相談窓口を設置いただきまして、また、それに加えまして、いろいろ台風16号あるいはまた狂牛病、先ほどの沖縄信金の経営破綻等についてのきめの細かい、県民生活に密接なかかわりのある分野でございますので、その対応をいただきまして、まず、お礼を申し上げたいと思います。
 それから、特に観光関連業界への対応でありますけれども、先ほどの相談窓口の設置、それから、いろいろまた返済の据え置きやあるいは貸付条件の緩和あるいはまた運転資金等の低利融資等に対する迅速な対応をいただきましたこと、それぞれメニューを整えていただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
 それから、また、内閣府におかれましても、今回の観光関連業界の状況に対しまして、産業雇用特別連絡会議を設置いただきまして、観光リゾート対策、雇用対策を早急にご検討いただくなど、本県が抱える緊急な課題に対して即タイムリーな対応をいただきまして、大変ありがとうございます。先ほど大臣のご発言にもございましたように、大規模な観光キャンペーン等大臣が陣頭指揮をしてご対応いただいておりますことを改めて感謝申し上げたいと思います。
 それから、沖縄公庫等の特殊法人の見直しについてでございますけれども、ご承知のように、沖縄公庫は本県の経済社会におきまして、政府政策金融機関として大変大きく貢献してまいりました。そして、これから沖縄新法の下、沖縄振興計画を実施する中でも、民間主導の自立型経済社会の構築を目指す本県にとりましても、今後ますます重要な存在になってくるものと考えております。このようなことから、政府の特殊法人等の見直しの際、沖縄公庫の役割が政府政策金融機関として十分役割を果たせますような対応を、引き続き内閣に対してお力添えを賜りたいと思っております。去る10月25日に、尾身大臣が石原行革担当大臣と会談をされる際に、沖縄公庫が沖縄振興開発の中で極めて大事な役割を果たしていると、そして、その廃止、民営化については適当ではないと、引き続き組織機能の存続について力強いご発言をいただいたということで、心から感謝申し上げたいと思います。今後も引き続きまた強力な推進方をお願い申し上げる次第でございます。
 それから、最後に、本県のこれからの産業振興を図るためには、ベンチャー企業の育成が何よりも必要でございます。しかしながら、ベンチャー企業は信用力、担保力に乏しいために、その株式取得など直接金融による支援が必要でございます。つきましては、沖縄公庫におかれましては、先ほど新たに沖縄新事業育成出資制度を設ける概算要求についてご説明がございましたけれども、その新たな制度の創設と小額の確保について引き続きまたご尽力を賜りますように、沖縄県としてお願いを申し上げる次第でございます。
 以上、お礼とご要望を申し上げて、私の沖縄県としての挨拶に代えたいと思います。よろしくお願いいたします。

○塚越委員長 ありがとうございました。
 それでは、ほかにどなたかございますか。仲吉委員いかがですか。

○仲吉委員 私も、まずお礼から申し上げたいと思いますが、前回のこの運営協議会の場で、非常に高金利の時期にかなりの設備投資をしたような県内における主要産業について、その返済を含めた金利等の見直し等をお願いした次第でありますが、早速にお取り上げいただいて既に実行を見たケースもございます。大変ありがとうございました。ただ、今現在、協議を詰めている先あるいは未着手の先もございますので、併せてよろしくお願いしたいと思います。
 それから、2~3。財投機関債を100億円発行なさるという計画になっておりますけれども、この発行スキームといいますか、例えば、県内で具体的にどの程度調達するというようなご計画等がおありになるのでしょうか。
 それと、もう一点は、この平成14年度の予算の要求額を見てみますと、住宅資金が平成13年度比12.2%とかなり大幅に減じられております。これは、親公庫さんの業務あるいは組織の見直し等がまだ決着がついておりませんので、その辺の事情はよくわかりませんが、ある程度そういうものを見越した数字になっているのでしょうか。もしそうであれば、私ども地元金融機関としても、公庫さんと品質的に匹敵するような商品を大急ぎでまた手当をしなければいけないという事情もございます。よろしくお願いいたします。

○八木橋理事長 公庫の理事長の八木橋でございます。
 まず、最初に、日ごろから当公庫の運営に当たりまして、いろいろご指導、ご協力いただいていることに対しまして、まず感謝を申し上げる次第でございます。
 ただいまご質問が2つございました。第1の財投機関債についてでございますが、これにつきましては、先ほど内閣府の方から説明がございましたように、沖縄における資金状態が非常に不足しているということから、当公庫の存在意義があるというような議論から始まったわけでございますが、財投機関債におきましても、これは特に沖縄において発行するというよりは、日本全国をマーケットとして発行するということを想定して考えているところでございます。したがって、地元におきまして公庫債を購入していただくということになった場合は、公募による発行ということになりますので、証券会社に申し込んでいただくという手続になろうかと思います。したがって、沖縄から幾ら調達するとかそういうことは一切考えておりません。
 なお、他の財投機関では本年度から発行する、また、発行を始めたところがございますが、沖縄公庫の場合は資産の自己査定等の業務、マーケットに対する適切な情報を平成13年度においては、まだ提供できないのではないかということから、1年ずらして来年度から発行するという予定を立てたところでございます。
 第2点目に、住宅資金の事業計画が減少しているけれども大丈夫であろうかと。また、住宅公庫における動向をにらみながら減らしたのかというご議論でございますが、これは、先ほど内閣府の方からご説明がございましたように、住宅資金については、ここ数年かなりハイピッチで事業計画を伸ばしてきたということにより、相対的に計画をかなり下回って進んでいるということでございます。
 それから、住宅公庫の組織改革問題の方向性については、今のところまだわからないわけでございますが、貸付限度額等民間金融機関との調整を図るということから、その辺についての見直しが要請されるのではなかろうかと数字的に幾らという詰めをやったわけではございませんが、そういうような情勢を加味しながら今回の要求額をつくったということでございます。
 以上でよろしゅうございますか。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。

○野崎委員 沖縄国際大学の野崎です。
 先ほど、特殊法人の改革についてご説明があったのですが、6ページ以降数ページにまたがりまして、事務局案と所轄省庁のご意見が出ております。沖縄公庫の融資に関しましては、共通の認識だと思いますがこの融資効果は高い。どのくらいの融資効果があるかということで、融資実績をグラントエレメントという係数で計算してみました。グラントエレメントと申しますのは、マーケットが未整備な地域に対する融資効果、セーフティ・ネットの効果ですね。それを計測するもので、金利ですとか返済期間、据置期間、融資限度額等を総括的に把握し、効果を見るものです。個別に見ましたら、公庫融資のグラントエレメントは非常に高い、また住宅貸付に対する融資効果を始め、広く沖縄の経済社会に寄与しているということがわかります。先ほど来、尾身大臣や竹嶋参事官からご説明がありましたように、沖縄の所得水準は非常に低く、明日公表される予定の労働調査の失業率も9%を超える結果になるのではないかと懸念しております。
 それから、沖縄公庫の資料にもありますように、これは非常に貴重な資料が随分詰まっているのですが、経済の健康度の指標ということでジニ係数がございます。それを見ていますと、たしか17年間で10%、沖縄の所得分配の不平等割合が悪くなっている。それは、さまざまな理由があってそういう結果になったのでしょうが、ずっと一貫して全国より所得分配の格差が拡大傾向にあるということです。
 また戻りまして7ページで、住宅資金、あるいは教育資金なども同様になろうかと思いますが、こういったものを市場原理に委ねるという流れがあるわけですが、政策住宅融資は、マーケットが未成熟なところにおけるセーフティ・ネットとしての側面が非常に大きい。そういうことから考えますと、先ほど来話題になっている住宅資金に関しましては、沖縄公庫の住宅融資機能を堅持する必要があるのではないか思っております。
 以上です。

○塚越委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。

○内田委員 日本銀行の内田でございます。
 先ほどご説明の観光関連事業者への融資、貸付限度については非常によくわかるんですけれども、総融資枠としてなかなか先行きのことは予想できないと思うんですが、40~50億円ぐらいというのは可能性として十分用意できるのかどうかをちょっとご質問したいと思います。これを申し上げますのは、後で申し上げますけれども、観光関係は今いろいろヒアリングはしておりますが、大体2割ぐらい観光客が減っておりまして、今年度下期大体この影響で400~500億円県の受取りが減る見通しです。勿論、飛行機会社初め大手は東京からかなり金を入れていますので、地元で必要なのはそのうちどのくらいかわかりませんけれども、100~200億円ぐらいは要るのかなというふうに考えております。
 これに対して、地方銀行3行さんの方でテロ被害の支援融資ということで110億円用意しておりまして、そのほかにも沖縄県、それから商工中金、いろいろ対応しておられますので150億円ぐらいは資金があります。そうすると、最悪の場合200億円資金がいるとした場合にあと50億円ぐらい足りなくて、今40~50億円と申し上げたのはその意味でございます。なかなか先のことというのは予想がつかないと思うんですけれども、そのぐらいのところはぼやっと考えられるのであれば、年度は何とか融資額としては、勿論条件面、中身は問題があるかもしれませんけれども、資金の額としては年度を越せるのかなと個人的にちょっと思っておりますのでご質問させていただいた次第です。

○八木橋理事長 公庫の理事長でございます。50億円程度用意できるかということでございますが、私どもとしては用意できるという具合に考えております。

○塚越委員長 ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますか。

○吉山委員 今日の議題と直接関係はありませんけれども、いつもお願いばかりしておりますので、今日はお礼とご報告をしたいと思います。
 4月25日にオープンしました沖縄産業支援センター、公庫の方からも多額の融資を受けましてスタートしたんですけれども、その運営につきまして非常に危惧された面は入居率の問題でした。特に、当初、信用保証協会と物産公社が入居しないという懸念がありまして、入居率は現在は60%ですけれども、物産公社が今年いっぱいで入居するということを決定いたしました。また、ワンフロアー全部を予定しています信用保証協会、これは25%を占めますので一番大きなたな子になるんですけれども、これが来年の5月までに入居するということが決定いたしましたので、当初、黒字転換が15年掛かるだろうということで私ども計算していたんですが、4年早まりまして11年で黒字に転換できるということと、それから、当初そんなに期待していなかった会議室、それから、ホールの利用が100%近く利用されていまして、これの収入も非常に大きくなってまいりました。特にホールは、土曜日曜も祭日も開けてくれということで、そのために職員を2人採用いたしまして対応しております。ということで、今、認知も相当されてまいりまして、中小企業の司令塔として十分将来期待が持てるのではないかというふうに思います。これも公庫からいろいろご支援をいただいたお陰であります。どうもありがとうございました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。比嘉委員、いかがでございますか。

○比嘉委員 特にございませんが、日ごろ医療界も大変お世話になっておりますし、本席をお借りして厚くお礼申し上げます。
 以上でございます。

○吉山委員 それから、これもご報告なんですけれども、実は先週の金曜日に長野で中小企業団体の全国大会がございまして、6,000人余り集まったんです。そこで沖縄のビシターズ・ビューローから出しました、いわゆる例のテロに対する不安からの観光の落ち込みに対する対策としてチラシをつくってあるんですが、これを1万枚持っていきまして全部配りまして、沖縄は安全だということと、それと機動隊が400名余り本土から来ているということに対する不安も、逆に、それだけの機動隊が来て沖縄は治安上も非常に安心できるんだということを逆宣伝いたしまして、皆さんに理解をいただきました。今後もいろいろな機会を通じて、そういう観光の落ち込みに対する対策を考えていきたいというふうに思っております。
 以上です。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 ただいま委員の皆様方からいただきました貴重なご意見、ご要望は、内閣府及び沖縄公庫双方において、今後の施策の展開及び業務運営の参考にしていただきたいと思います。

14 平成14年度内閣府(沖縄担当部局)予算概算要求の概要について

○塚越委員長 それでは、大変司会が不手際でございまして休憩時間がなくなりましたけれども、沖縄県に密接に関連をいたします平成14年度内閣府沖縄担当部局概算要求の概要について、成田沖縄総括担当参事官と大久保総務課長からご説明を伺いたいと思います。お願いします。

○成田沖縄総括担当参事官 参事官の成田でございます。
 それでは、お配りしている資料の29ページをお願いいたします。平成14年度の内閣府沖縄担当部局予算概算要求とございます。まず、私が政策統括関係等の基本的政策企画立案等経費を説明いたしまして、その後のIIの沖縄振興開発事業費等、これは大久保総務課長から説明させていただくというふうにさせていただきたいと思っております。
 まず、全体の内閣府の沖縄担当部局の平成14年度の予算でございますが、一番上の四角の括弧の中をごらんください。合計としまして3,538億1,300万円でございます。対前年度比48億2,100万円の増でございまして、1.4%の増でございます。来年度の予算でございますが、総論として全体をまずご説明いたしますと、ご承知のように、来年度は新しい振興新法の下での新振計の初年度ということでございまして、これにふさわしい施策の具体化を図ったというようなことがございます。ご承知のように、沖縄県知事より提案のございました新たな沖縄振興に向けた基本的な考え方、それと、沖縄振興開発審議会の意見等、これらを踏まえまして、また、県ともよく相談いたしましていろいろメニューを図ったわけでございます。具体的には、これも先ほど新法の中で説明があったと思いますが、来年度の振計としましては、大きな柱立てとしまして1、産業の振興による自立型経済の構築、それから、2番目にアジア太平洋地域における交流拠点の形成、それから、3番目に人材の育成、4番目に社会資本の整備、5番目に米軍施設区域に係る諸施策の展開という5つの柱に重点を置きまして、メリハリのある要求として取りまとめたものでございます。
 それでは、内訳を簡単にご説明いたします。実は、先ほど申しました今年度の3,538億円の要求の中、実は後でこれも両方参照しながらするんですが、32ページに「構造改革特別要求事項」とございます。これとちょっと併せながらご説明したいと思っております。ですから、今回の要求の中には構造改革特別要求、32ページにある資料の33億円が含まれているということで、これと併せてご説明させていただきたいと思います。
 それでは、まず、29ページに戻っていただきまして、基本的政策企画立案等経費、これは280億5,300万円、対前年度と比べまして30億3,200万円、12.1%の増でございます。今回は、先ほどの構造改革特別要求を精いっぱい利用させていただきまして、いろいろバラエティーに富んだ、今の公共事業のハードからソフトの流れということを念頭に置きながら、特に、ここの2の産業振興関係経費でいろいろなものを要求させていただきました。
 まず、1番目、沖縄振興計画推進調査費が1億円でございます。
 それから、2でございます。沖縄における産業振興関係経費。まず、これが24億1,000万円でございます。
 そのうちのまず(1)特別自由貿易地域戦略的推進方策調査経費、ご存じのように、平成11年3月に中城湾港新港地区が特別自由貿易に指定されてございますが、なかなか企業立地が厳しいということで、戦略的な方策を調査するということで3,200万円でございます。
 それから、(2)海洋深層水利用基本構想策定経費ということでございまして、これは平成12年度から続いている海洋深層水の予算のずっと流れでございますが、平成14年度は実際の需要を把握する、それから、現地の海域の調査ということも行いまして基本構想を策定する経費ということで7,100万円要求してございます。
 その次の(3)と(4)は、特に金融特区を念頭に置きまして、まず(3)でございますが、沖縄における金融関連業務誘致の基盤整備に係る調査経費で2,600万円要求してございます。
 それから、(4)の沖縄における金融に係る人材育成モデル事業は3,000万円でございますが、実はこの(4)は先ほど申しました32ページをお開けください。構造改革特別要求の「人材育成、教育」という、下の方でございますが、この特別要求で要求させていただいております。3,000万円でございます。具体的には、金融関係の教育セミナーの支援を行うということでございます。
 それから、その次の(5)でございますが、IT産業振興施設整備事業もやはり32ページをごらんいただきまして、ここの特別要求でございます。「地方の個性ある活性化、まちづくり」の中の(2)でございまして、具体的には、情報通信産業の集約を図るための共同利用型インキュベート施設を整備するというものでございまして、7億円でございます。
 (6)デジタルアーカイブ整備事業、12億4,200万円でございますが、これも同じように32ページをごらんください。一番下の「世界最先端のIT国家の実現」というところの(2)に説明がございますが、デジタル技術を活用しながら沖縄独自の伝統文化の伝承・発信の実現ということで、そういう情報をデジタル化して、これを観光リゾート産業にも役立て、また、コンテンツをつくるときに情報通信産業の集積、発展にも資するという2つのねらいを持ってやるものでございます。
 それから、ちみなに先ほど申しましたIT産業振興施設整備事業も、ITのところにも再び地方の個性ある活性化と両方に掛かってございます。
 それから、(7)でございます。沖縄産学官共同研究の推進ということで2億円でございますが、これも構造改革特別要求の「科学技術の振興」ということで、産学官共同研究を図りながら、新規産業の創出、地場産業の振興に資するものということでございます。
 それから、(8)の世界遺産周辺整備事業1億円でございますが、これも構造改革要求の「地方の個性ある活性化、まちづくり」の中で要求させていただきまして、世界遺産を活用して観光を図ろうというものでございます。
 以上が、産業関係でございます。
 それから、3番目はずっと続いているものでございますが、普天間飛行場等駐留軍用地跡地利用推進関係経費ということで2億6,600万円。これは、大きく分かれていまして、駐留軍用地跡地利用対策関連経費が6,600万円、それと、大規模駐留軍用地跡地利用推進費、これは特に普天間のような大規模なものを想定してございますが、これが2億円でございます。
 その次大きな4でございますが、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業費、これもちょっと32ページをお開けください。ちょうど真ん中辺りの「地方の個性ある活性化、まちづくり」というところの(3)でございまして、実は、この事業でございますが88億500万円要求してございますが、このうちの9億400万円を構造改革特別要求で要求させていただいております。
 それから、5番目が沖縄北部特別振興対策事業、これはずっと非公共の50億円でございます。
 6番目の沖縄特別振興対策調整費等、これも昨年同様50億円でございますが、実は、この等の中では既に事業費化しているものが沖縄自動車道の割引料金でございます。それと、尾身大臣が提唱されました大学院大学の構想の調査費1億円でございますが、ここも、この沖縄特別振興対策調整費の中で要求させていただいております。
 それから、7番目が、情報システムの推進化経費なのでございますが、この中で今年は特に、この建物と総合事務局を結んでテレカンファレンスシステムを整備しようと。これは、県もこういうシステムをやっていますので、それともつなげるというような形で4億2,100万円要求させていただいております。
 それから、8番目としまして、沖縄復帰30周年記念行事経費9,100万円でございますが、来年はちょうど30周年でございますので、この関係の式典。式典の中身は、具体的には東京でやるか沖縄でやるかというようなことはまだ決まっておりませんが、ちなみに10年、20年のときは東京でやりましたが、25年のときは沖縄で開催しております。これは、どちらでも状況によってできるような形で経費を組んだ形で9,000万円要求させていただいております。
 私の方の基本的政策企画立案等経費の説明は以上でございます。

○大久保総務課長 引き続きまして、30ページ以下についてご説明いたします。振興局総務課長をしております大久保でございます。よろしくお願いします。
 まず、最初に、沖縄振興開発事業費の中の最初の項目にございます公共事業関係費ですけれども、これは対前年同額の2,939億3,700万円の要望をさせていただいておりますが、これは全体としまして1割の削減が行われるということで、沖縄につきましてもある程度の削減がなされるという予定のものでございます。
 それから、(2)の沖縄教育・文化振興事業費ですが、これにつきましてはかなりの増額要求になってございます。増額になっております要素といたしましては、まず、国立高等専門学校の予算につきまして、従来ですと文部科学省の方に予算計上するものですけれども、これについて是非とも早期に進めるということから、内閣府の方に予算計上をしているものでございます。
 それから、国立組踊劇場の整備費につきましても、これは最終年度になるということで若干の増額になっています。
 それから、公立学校の施設整備費につきましても、近年、抑制されてきていたんですが、これにつきましては、若干増額させていただいて通常レベルに戻しているといったような要素がございまして、大幅な増額要求となってございます。尾身大臣のおっしゃっていました大学院大学設立構想につきましても、この関連でございますが、先ほど申しましたように、前ページの特別調整費の方で調査費を要求させていただいているということでございます。
 それから、沖縄保健衛生等対策費ですけれども、これは県立の那覇病院、高度多機能病院ですが、その改築などの要求をしてございます。
 それから、戦後処理経費の方に移ります。最初の不発弾等対策経費でございますが、これは市町村が行う不発弾等の探査とかあるいは発掘への補助につきましても、新規に要求させていただくということで、若干の増額要求をしてございます。
 対馬丸関係でございますが、給付金につきましては対象者の減少により若干減少する一方で、対馬丸記念館が平成15年度に開館する予定でございますけれども、その資料の展示等の事業のための、これはそのための準備事業になるんですが、そういった関係の経費を要求してございます。
 それから、沖縄体験滞在交流促進事業関係費ですけれども、これは、滞在型あるいは参加型の観光を促進しまして地域の活性化を図ろうといったような事業でございます。ソフト、ハード一体型のものとソフトだけのものと、こういった2種類の事例に分かれるわけですけれども、それぞれ1本ずつ新たな要求をし、若干の増額をさせていただいております。
 赤土等の発生源対策事業ですが、これは、前年度からの継続事業に加えまして、先ほどありました構造改革特別要求を生かしまして、新たに2本の新規要求を加えさせていただいております。公庫の予算につきましては省略いたします。
 ページをめくっていただきまして31ページですけれども、公共事業関係費でございます。これは、おおむね前年と同様の要望になってございますが、全体としまして道路の予算が1,000億円を超えるということで、全体の3分の1を占める。これがやはり大層を占めている。ただ、政府全体の方針としまして1割の削減は行うということになってございますので、非常に厳しい状況になろうかと思います。
 構造改革特別要求につきましては、先ほど説明がございましたので省略いたします。
 それから、公庫につきましても、いろいろな資金のブレークダウンがございますが、これも省略いたします。
 それから、最後に、公共事業の新規事業一覧と完成予定の一覧をつけてございます。主だったものといたしましては、まず、34ページの新規事業一覧の方でございますと、南風原町のごみ焼却施設ですとか、それから、先ほどご説明した沖縄高専ですとか県立の那覇病院というものが新規の事業でございます。
 それから、35ページの方で完成する予定の事業。従来、完成する事業の方は余りこういう形で載せていませんでしたけれども、県民生活にはむしろこの方が重要だということで載せてございます。これにつきましては、都市モノレールのインフラ部分が完成するといったことですとか、あるいは海洋博覧会地区の新水族館も完成する、これは、かなり世界的な規模で大きなものでございます。それから、組踊劇場も完成する。こういったものができる予定でございます。
 ちょっとはしおりましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

15 沖縄県経済の現状と見通しについて

○塚越委員長 続きまして、恒例によりまして沖縄県経済の現状と見通しにつきまして、日本銀行那覇支店長の内田委員にご説明をお願いいたします。

○内田委員 内田でございます。
 それでは、簡単に沖縄経済の現状と先行きについてお話しさせていただきます。
 沖縄経済は、9月までと10月からとでは大きく変わるだろうというふうに予想しております。10月につきましては、まだ今日も終わっておりませんので予測はつきませんけれども、相当厳しいという状況でございます。
 大ざっぱに言いますと、この1月から9月までは私どもは足踏みという判断をしておりましたが、GDPで言えば0%から1%ぐらいで沖縄は走っていたのかなと。しかし、10月以降は相当厳しそうだなといった予想でございます。全国が今ゼロからマイナス1と言われている中で、何で沖縄はよかったかといいますと3つありまして、1つは住宅投資、今年前半は全国がマイナス5.6に対して沖縄がプラス7.7ということで、これが大きく違います。
 2つ目は、今全国ではアメリカの景気減速の影響で輸出が落ちておりますけれども、沖縄からアメリカ向けの輸出というのは、統計上は余り大きな意味はありません。
 3つ目は、観光が9月までは悪いと言われながらも何とか前年は上回っていた、これが理由でございます。4%ほど1~8月で上回っておりまして、そこが理由になっておりました。しかし、10月以降はちょっとまだ統計が出ておりませんので何とも申し上げられませんけれども、沖縄はGDPのうちの観光のシェアが広義で言いますと2割程度ございますので、もし、その2割の観光客が減るということになりますと、これだけでGDPを3%ぐらい引き下げる可能性がありますので、相当厳しいなというふうに見ております。
 それで、今日は、まず9月までどうだったかという話と、10月以降のテロに伴う環境の問題、それから、構造問題の話を簡単にお話しさせていただきたいと思います。
 まず、37ページ、私どもの短観でございますが、これは9月調査でございまして、このときは6月調査時点のマイナス15からマイナス9ということで、引き続き水面下ではありますけれども、悪化幅が少し縮まっておりました。ただ、これは特殊要因がございまして、沖縄は今年相当猛暑でございましたので、その関係で、食品関係が通常マイナスだったものが9月はプラス30になったのが主因でございます。中身は、暑かったので水物といいましょうかビール、それから、いわゆる清涼飲料といったものが売れましたし、それから、これはNHKの「ちゅらさん」効果でサータアンダギーというお菓子が売れて、これが更に製粉業者までよくなるといった特需がございまして、一時的に夏はよかったわけでございます。引き続き12月に掛けても期待感はあったんですけれども、その後ちょっとテロの影響があって変わってきたということでございます。
 続きまして、テロの状況につきましては、次の38ページをごらんいただきたいと思います。まだ実は統計はほとんどが8月までしか出ておりませんで、8月を見る限りは前年を上回る数字が並んでおりますけれども、テロのあった9月については、私どもの感触では下旬に連休がございましたし、テロの影響が本当に沖縄にあるのかといったことも、修学旅行もありませんし、そういったこともありますので、9月はそれほど大きなマイナスはないと思いますけれども、10月以降は、私どものヒアリングでは1割から4割ぐらい厳しいというミクロの情報がございまして、全体的に見れば2割前後下回る可能性があるかなということでございます。これは、お断りしておきますけれども、私どもの感触でございますので、実際にどういう数字になるかは11月の下旬になるまでわからないと思います。
 その理由は、新聞等々でも報道されておりますように、旅行客のキャンセル数が日を追って増えております。今日は、県の観光リゾート局調べの数字をお持ちしておりますけれども、ここでは10月23日という数字がもう一つ最近発表されまして、修学旅行で14万、一般で4万、合わせて18万のキャンセルがあるということで、相当厳しい状況でございます。したがって、この観光関係については注意深く見ていかなければいけないというふうに思っております。
 続きまして、構造問題といいましょうか、その辺については39ページでございます。建設につきましては2つの動きがありまして、長期的には構造問題が厳しいだろうと。一方で、今年のどうも1~3月ぐらいが、一番そこで循環的には今年度に入って水準は低いけれども一息つき掛けているという感じは出ております。それは、例えば真ん中のセメントの出荷量を見ていただきますと、折れ線グラフが12か月移動平均ですが、サミット需要がはげまして2000年から2001年の3月、4月ぐらいまで下がってきましたけれども、少し右上がりになっておりまして、水準は低いながらもマイナス幅は少し縮まっておりますし、ものによっては前年を上回るといったものもございます。ただ、この折れ線グラフの水準を見ていただきますと、まだ相当低いということで、前年比の数字はプラスが少し並んでおりますけれども、水準的には相当厳しいといった状況でございます。
 循環的にはそういうことで多少は前年比プラスになっておりますが、構造的にはちょっと厳しいというのが一番下のグラフでございまして、これは棒グラフが工事量ということで、これは過去20年分を出しております。主に土木というのが公共事業で、建築というのが設備投資とか住宅というふうに考えていただいてもよろしいかと思いますが、工事量が1993年までは右上がりでしたけれども、1993年をピークにしまして右下がりになってきております。一方折れ線グラフの方は、建設関係で働いておられる方の人数ということでございまして、こちらの方は2001年に少し減ってきておりますけれども、まだ水準は2000年まで右上がりの方向で来ておりまして、相当厳しいのかなというふうに考えております。
 では、どのくらい余っているかについては、私どもは金融関係ですので予測はつきませんけれども、1つの考え方としまして2001年度の工事量というのは大体ここに書いておりますが、左メモリで7,000億円ぐらいでございます。この水準というのは、過去どのくらいだったのかというのをずっと左に水平線を引いていただきますと、1984年から1985年当時の水準の工事量でございます。そのとき、どのくらいの人が働いていたかといいますと、7万人弱の人が働いておられて、今が7万5,000人ということですから、当時と同じ金額の工事量を今は当時よりも5,000人から1万人ぐらい多い人たちが働いているということでございますので、勿論この間の労働条件の改善、週休二日制とかあるとは思いますが、やはりある程度は人が多いのかなということはありまして、ある程度の雇用の調整というのは長期的に見れば避けられないのかなということが考えられます。
 以上が、構造問題でございまして、一方で個人消費はどうかといいますと、一言で言いますと、よくもなく悪くもなくですけれども、これまでのところ沖縄でも個人消費につきましては、これだけ外部環境が悪い中では比較的健闘しているのかなというふうに思っております。(1)の個人消費の指標を見ていただきますと、右から4つ目の4~6月とかその後の6月、7月、8月というところを見ていただきますと、百貨店辺りでも今価格が下落するデフレでございますので、既存店では苦戦しておりますけれども、総合店では一応プラスになっておりますし、車の販売の方も8月までは非常によかったということでございます。
 それから、家電はちょっと実はパソコンの売上げと携帯電話も頭打ちになって多少心配なんですが、今年の7~8月に限って言えば猛暑の関係でエアコンが前年の倍増ぐらい売れておりますので、これで何とか数字はそれほど悪くないといった状況になっております。
 それから、失業については、先ほどいろいろご説明がありましたように、8%台の後半から9%に近いということで非常に厳しい状況ではありますけれども、その中でも個人消費は、これまで何とか頑張ってきたということかと思います。
 それから、次に、41ページの5番の金融動向につきましては、沖縄の預金の方は大体2%ぐらいということで、全国と同じぐらいの伸びをしております。
 (2)の貸出金は、沖縄の方はプラス1.9%ということでありまして、全国がマイナス1.1%の中では、沖縄はまだ比較的健闘しているということかと思います。ただ、中身を見ますと参考のところに業種別と書いておりますけれども、今増えているのは個人向け、特に住宅ローンでございまして、企業向けはやはり今はなかなか伸び悩んでいるといった状況かと思います。
 金利につきましては、特に低下傾向が続いているということで、コメントはございません。
 こうした中で、やはり最近観光関係につきましては、テロの被害の関係で非常に観光関係の資金繰りの方も厳しくなっているというのが今の沖縄の実情でございまして、先ほどちょっとお話ししましたけれども、地元地銀3行ではテロ被害の支援融資というものを相次いで発表しておりまして、3行合計で110億円の総枠の下でその支援制度をやっていくということを考えております。融資に当たっては条件等の問題もありますので、特別保障の問題等の要望もまたこれから出てくるかもしれませんけれども、一応、金融機関としてはできる対応はするということで、今、金融面の方でも支援をしているというのが今の状況でございます。
 私からは以上でございます。

16 閉会の辞

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の日程も滞りなく終了いたしました。時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終了したいと思いますが、委員の皆様方には今後とも引き続きご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
 次回は、来年2月末から3月に東京で開催したいと考えておりますが、改めて日程の調整をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 本日は、ご多忙のところ誠にありがとうございました。