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第11回障がい者制度改革推進会議(2010年5月17日)
議事要録


議事 省庁ヒアリング〜外務省


*ヒアリングは議事要録を作成しないこととしております。内容につきましては議事録をご覧下さい。

議事 今後の取組についてなど


「地域主権戦略会議に関する説明と意見交換の場の設定について(要望)」(小川委員提出資料)について

  • (発言)私たちは「地域のことは地域に住む住民が決める『地域主権』への転換」という方向性に異議を唱えるものではないが、地域の障害者関連施策の義務規定や当事者参加等の規定までもが自治体の裁量に委ねられれば、障害者施策の地域間格差が更に増大し、障害者運動が実現してきた成果が大きく後退してしまうとの危惧を抱く。
  • (発言)障害者権利条約では障害者の人権がメルクマールになっているが、入所施設の1部屋当たりの定員などが自治体の裁量に委ねられて、大部屋化が進まないかという懸念がある。また、政府が基本構想などを策定する際に当事者参画を義務付けているのを廃止する動きや、障害者福祉予算を一括交付金とすることで地域間格差を埋めるための基盤整備が進まなくなるなどの心配がある。施設から地域へという構造転換を国の責務でしっかり進めつつ、地域主権との整合性をとっていくべきだ。
  • (発言)分権を進めることは大賛成だが、義務づけ、枠づけ、一括交付金の問題が具体的にクロスした時にどんな影響が出るのか考える必要がある。また、憲法の生存権や労働権、教育を受ける権利等にどんな影響が出るのかなども見ておく必要がある。
  • (発言)地方への予算が交付金に入ると、必ずしも福祉に行くとは限らない。また地方自治といいながら、法律の構造が福祉に関しては縦割りがあるので、地方が裁量権を行使できるようにする必要がある。

障害者基本法及び差別禁止法について

  • (泉政務官からの説明)まず、改革の推進体制については、中央障害者施策推進協議会と障がい者制度改革推進会議をいずれの時期かに発展的に改組をして、当事者や学識経験者等で構成される委員会を新たに内閣府に設置したい。この委員会は障害者制度の集中的な改革の推進、障害者施策の推進に係る調査審議、そして新たに障害者施策の実施状況の監視等を所掌事務とし、必要に応じて関係大臣への勧告や資料提出要求等ができるという強力な権限を持つことを想定している。そして、制度改革の推進の基本的な方向性について、推進会議の議論を踏まえながら検討する。
     次に、障害者基本法の抜本改正に関する事項について報告する。まず、総則関係の規定について、<1>として、障害者が障害のない者と同様に権利の享有主体であるとの観点を踏まえた見直しを検討したい。<2>として、障害者の定義は権利条約の考え方を踏まえ、社会モデルの観点を踏まえた見直しを検討する。<3>として、差別の定義に「合理的配慮」の欠如が含まれることを明文化することを検討する。
     続いて、基本的施策に関する規定については、現行障害者基本法が規定する医療、介護、教育、雇用等、施策分野ごとの施策の改定を検討する。また、政治参加や国際協力等の現行法に規定のない施策分野の規定を追加することを検討する。
     次に、権利条約に定められる国内の監視機関については、改革の集中期間が終了した後、先ほどの新しい委員会の機能を改革推進の事務を除いて基本的に継承するよう、法的に位置づけることを検討する。この委員会が、障害者施策の推進に係る調査審議を行うことのほか、障害者権利条約に定める国内の監視機関として、モニタリングの事務を担うこととする。
     法案提出の時期は、障害者基本法の抜本改正を始めとする制度改革に関する法案を来年の通常国会に提出することを検討する。
     最後に障害者差別禁止法の制定について、今後の推進会議の議論を受けて、法務省で検討されている人権侵害救済法案の検討状況も踏まえ対応したい。
  • (発言)中央障害者施策推進協議会と障がい者制度改革推進会議を発展的に改組して関係各大臣等に対する勧告という強い権限を持った場合、その主管は引き続き内閣総理大臣なのか。新しい委員会は組織として第三者性を持つ方向になるが、総理や官房長官、担当大臣はどのような位置づけになるのか。また、新しい組織は障害当事者、学識経験者等で構成するとされているが、自治体代表が含まれると認識してよいか。
  • (泉政務官からの説明)新しい委員会の構成メンバーは当事者、有識者等と書いているが、例えば当事者の中には団体の方々も入る。また、自治体の方々も含め社会全体で障害者施策を考える視点が大事だ。難しいのは、新たな組織になり監視をする場合に第三者的立場が求められることになるが、総理や大臣が傾聴する場を同じにするのか、別の場を設けるのかという点。
  • (発言)新しい委員会は各省庁と連絡調整をとって政策策定にどう関わるのか。また権利条約の理念を踏まえ、障害者基本法の抜本的改正で総則にコミュニケーションの定義、言語の定義などを明記する必要があると思うが、そのことも検討できるのか。更に、現行法に規定のない司法手続き、コミュニケーションの権利保障、コミュニケーションのバリアフリーなどのテーマを盛り込む余地があるのか。最後に、法務省で検討している人権救済制度がどのような内容なのか御説明いただきたい。
  • (泉政務官からの説明)コミュニケーションについては大事な問題なので、議論の中でどういう形で盛り込めるかを考えていただきたい。政治参加や国際協力、司法アクセス等、今の基本法には規定のない政策分野も盛り込む必要がある。他の省庁については、こうして抜本的な改正をしていく中でそれぞれが自主的に認識や行政手法をを変えていだたく、その上で司令塔の機能を我々がしっかりと果たしていくということが大事だろう。推進会議が各省の施策のモニタリングをし、時に勧告をする、おかしければ資料要求をするということ。また、人権侵害救済法は制定する必要があると法務大臣や福島大臣は思っている。ただ、現実的に地域で人権侵害をどう救済をするのかについては、明確に決まっていない。その意味で、この人権侵害救済法の動きだけをながめるのではなく、皆さんの議論のスピードは落とさずにやっていただきたい。
  • (発言)所得保障と就労保障のように担当部局や省庁を超える問題を基本法の中にどう書き込むかは非常に難しい問題だ。基本的な考えをお聞きしたい。差別禁止法は単独法をつくるのか、それとも人権擁護法案に位置づけるのか。単独法の場合、地方自治体にモニタリングの窓口が必要だがそれを内閣府が持てるのか、また法務省の人権擁護法案は省内にモニタリング機関を置くことになっているが、パリ原則に基づき省外に置くべきとの議論もある。こうしたことの検討状況を聞かせていただきたい。
  • (泉政務官からの説明)担当部局や省庁がまたがるような場合もどこかに責任を持っていただく。法が変わった後に新たな問題が出てきた場合、2つの省庁にまたがることなら2つの省に話合いをしていただく、あるいは内閣府が間に入る、場合によっては推進会議が意見を言うなどの対応があるだろう。モニタリング機関は内閣府に置きたいと考えている。
  • (発言)障害者差別禁止法は障害者基本法を仕上げた後で検討するのか、それとも同時並行的に検討していくのか、うかがいたい。障害者権利条約の批准は基本法を改正した後なのか、それとも差別禁止法など関連法の整理が整ってからなのか、考えをうかがいたい。
  • (発言)基本的施策に関する規定の中に虐待防止を入れて精神障害者も対象にしていただきたい。
  • (発言)新しい委員会と国内モニタリングをする委員会は同じものか、前者をバージョンアップしたものを国内モニタリング機関に当てるのか。国内モニタリング機関は国家行政組織法の第3条に基づく公正取引委員会型の組織なのか、同法の第8条に基づく審議会、すなわち食品安全委員会型の組織なのか、考えをうかがいたい。
  • (発言)推進会議と中障協を発展的に改組し障害者基本法の中で位置づけるようだが、推進会議の設置法はもう考えていないということか。新しい委員会は施策を推進する委員会なのか、その場合、施策を推進する本人が自らをモニタリングするというのは妥当なのか、考えをうかがいたい。
  • (東室長からの説明)差別禁止法の制定に向けては部会を設けて議論を始める。部会の立ち上げは現在のところ、推進会議の第1次意見と閣議決定が終わった後、準備期間を置いてからと考えている。批准のタイミングはいろいろな場合が考えられるが、差別禁止法のめどが立たない段階ではありえないだろう。
  • (泉政務官からの説明)虐待防止については議員立法の動きがあるので、国会の動向も見ておく必要がある。虐待防止は非常に重要なので、何らかの形で進めたい。新しい委員会は改革集中期間中に内閣府に設置し、集中期間終了後もモニタリングはやっていくということ。その位置づけは8条委員会という形をイメージしている。中立性、公平性の観点から、Plan・ Do・ CheckのPlanは政策を皆さんに組み立てていただく、そしてDoは各省庁が施策を実施する、その後この委員会がCheckをするという役割になるだろう。根拠法については、単独の法律はつくらない方向だ。

「省庁別障害者施策および関係支出等に関する情報提供について(お願い)」についての意見交換

  • (発言)7名の委員が5月12日付で東室長に向けた文書「省庁別障害者施策及び関係支出等に関する情報提供についてお願いする文面」について趣旨を述べる。第1に中央政府の障害者施策の全体像を見やすくするために、国の障害者施策を担当している省庁一覧を鳥瞰図的にお示し願いたい。2点目は、主な障害者施策を所掌する省庁別の担当部署と担当者の人数をお示しいただきたい。3点目は、省庁別の障害者施策関係の決算額をお示しいただきたい。4点目は、OECD加盟国の中で日本の障害者関係予算の対GDP比率が非常に少ないという指摘があったが、このデータにはそれぞれの国でどういう項目を含んでいるのかをお示しいただきたい。
  • (関参事官の説明)時宜にかなった要請なのでしっかり対応してまいりたい。内閣府では白書のとりまとめ作業の一環で予算や決算を資料化し、それを各省の施策ごとに整理しているので、その範囲でお答えすることができる。障害者を含む一般施策として行っているものの中で、障害者にかかる部分をどのようにして切り出すのかは技術的課題としてはある。4点目のOECDのデータについても、各国でどの部分を計上しているかは様々なので横並びの比較が難しいが、どういう形でデータをつくってきたかという議論に結びつくような形でデータを提供できれば建設的ではないか。

障害者制度改革の推進のための基本的方向について

  • (東室長の説明)今日でヒアリングが終わり、泉政務官の方から基本的な方向性の説明があった。私たちの課題は第一次意見をまとめて制度改革推進本部に上げることだ。なお、今年の年末頃には第二次意見を出すことを考えている。第一次意見の骨子は「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」という資料に記している。
    (以下、骨子の読み上げと説明)
     以上は推進会議の意見で、次に政府としてすべき内容がでてくる。省庁との温度差はヒアリングで分かったが、閣議で決める場合この温度差を無視できない。一致できない部分は引き続き議論する、即時にできることは即時にするというように書くことになる。個別分野については、政府に求めるべき部分について省庁との折衝が必要になるので、推進会議の意見と省庁の意見の論点を整理したい。その上で、たたき台をお示ししたい。
  • (発言)「障害者の生活実態」という項目を入れて権利条約に照らして十分ではない生活実態があることを示すことで、国民理解を得ることができるのではないか。障害者の実態調査も必要だ。また「推進体制及び財政的課題」という項目も入れて、推進体制と共に、GDPのしかるべき割合を障害者分野使うべきだと言及する必要がある。
  • (発言)権利条約の中で新しい考え方として挙がっている「合理的配慮」「インクルーシブ教育」「手話が言語」「地域での自立」の4点は入れていただきたい。虐待防止は人権に関わる問題なので重点課題に入れていただきたい。
  • (発言)障害者が65歳になって介護保険の対象になった時に大変困っているので、高齢者の問題を取り上げるべきだ。推進会議のメンバーにいない自閉症や発達障害のことが出ていないのは心配だ。3障害の中で温度差があるのは精神障害なので社会的入院の解消をタイトルとして出せないか。目次を見たらこういう新しい主張があるということがわかるような工夫が必要だ。「女性と障害」も書き込むべき。
  • (発言)「自己決定・自己選択」の尊重は、私たちが議論したように支援を踏まえた自己決定・自己選択ということも入れていただきたい。
  • (発言)改革推進会議の特徴の1つは障害当事者が多数を占めて議決に加われるということだったが、同様に様々な施策で当事者が参加するという考え方を明記すべき。
  • (発言)入所施設や長期入院の精神障害のある人たちのことなどに触れてもよいのではないか。会議の支援の必要性もどこかに入れるべきだ。
  • (発言)親なき後の問題に触れるべきだ。介護保険と障害者施策との違いについてもどこかで触れていただきたい。
  • (発言)ヒアリングの中で省庁と意見が違っている部分の扱いはどうなるか。
  • (発言)それぞれの省の中に障害者をテーマとした施策を進めるための審議会や委員会がある。ヒアリングに来ていただいたところ以外に、警察庁や経済産業省でも障害者施策のための審議会や委員会を開催している。各省庁の審議会に障害当事者が入っていないところもたくさんある。障害者団体にヒアリングをしただけで終わりという例もあるので、審議会や委員会について、名称と年間で何回開催したのか、会議のメンバー構成などについて、外部団体に委託をしている場合も含めて資料提供していただきたい。
  • (発言)都道府県レベル、市町村レベルの予算について、これが今、問題になっている一括交付金になった場合の影響などを調査してはどうか。

[以上]

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