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障害者施策トップ 推進体制 障がい者制度改革推進会議 > 第2回障がい者制度改革推進会議議事要録

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第2回障がい者制度改革推進会議 (H22年2月2日(火) 13:00〜17:00)
議事要録

(※ 委員名は、五十音順とし、敬称を略させていただいています。また、記載された内容そのものでなくとも関連する発言があったような場合には、「○○(委員名)ほか」と記載している箇所もあります。記載の項目の順序は、当日の議事の順序とは必ずしも同じではなく、可能な限り、関連する項目をまとめております。特に、「基本的人権の確認」の部分は、「障害の定義」の前にまとめております。)

議事:障害者基本法について


1.障害者基本法の性格

(施策の客体から権利の主体へ)

  • 障害者基本法を抜本的に改正し、障害者が権利の主体であることを明らかにする権利法にしていくことが重要(多数)。

(基本法としての性格)

  • 障害者基本法を、我が国での障害者権利条約実施の礎となる基本法と位置づけるとともに、障害者にかかわる各法制との関係を明らかにすること(多数)。
  • 障害者がどのような権利を有しているのかを明示し、それをふまえ、国に対し基本方針を明示し、各政策に対する親法(おやほう)として、拘束力のあるものでなければならない(大谷)

(国、地方公共団体の責務)

  • 障害者の権利を実現するために、国、地方公共団体が施策を講じる責務を明らかにすること(多数)。

(国民の責務)

  • 障害者の権利法とするなら、障害者基本法では国民や民間団体の責務(努力義務)を規定すべきでないのではないか。国民や民間団体の責務(努力義務)は、別途の差別禁止法において規定されるべきである(竹下)。

(法制上の措置)

  • 障害者基本法の条項を実施するためには、国が必要な法制上の措置を講じることを明記する必要がある(小川ほか)。

2.基本的人権の確認

(総則的人権規定)

  • 障害者権利条約の規定に盛り込まれた人権について、障害者基本法で総則的に規定し、これを保障されるべき権利として確認したうえで、必要な施策について論じていくことが必要(大谷ほか)。

(権利条約の一般原則との関係)

  • 基本的人権の確認をしていく際、権利条約第3条(一般原則、(a)〜(h))を参照すべき(関口、長瀬ほか)。
  • 以下の各項目を保障(又は尊重)すべき。
    ・自立と自己決定(小川、尾上ほか)
    ・社会参加とインクルージョン(大谷、尾上ほか)
    ・多様性及び差異の尊重(関口ほか)
    ・アクセシビリティ(長瀬ほか)
    ・住居を得る権利、所得を得る権利、ケアを利用する権利(川崎)

(個人のインテグリティ)

  • 条約の訳を検討の上(大谷)、または、「そのままの状態で尊重されること」を(小川)権利として規定すること。
  • 人身の自由を規定すべき(関口)。

(地域で生活を営む権利)

  • 障害者基本法で、地域で生活を営む権利(権利条約第19条参照)を確認し、その権利を実現するために国等が施策を講じることを盛り込むべき(大谷、大濱、小川、尾上、川崎、北野、関口、土本、松井ほか)。
  • 障害者の施策を論じるときだけ、ことさらに地域での生活を論じなくてはならないという現状こそが問題(堂本ほか)。

(手話言語及びコミュニケーション)

  • 手話などの非音声言語を言語として位置づけ(権利条約第2条参照)、コミュニケーションの保障として障害者が自ら選択する手段、方法を適切に確保することを権利として盛り込むことが必要(権利条約第2条、第21条参照)。(大谷、小川、尾上、門川、土本、久松、松井ほか)。
  • 権利条約の解釈として、コミュニケーション手段に「要約筆記」が含まれていることを明記すべき(新谷)。

(障害のある女性、子ども)

  • 権利条約は障害のある女性が、複合差別を受けていることを認め、関連条文にもジェンダーを意識した文言を入れていることを踏まえて、基本法にもこれを受ける総合的規定を盛り込むことが必要(大谷、長瀬)。
  • 障害のある子どもの権利の尊重については、子どもの権利条約の批准時に国内法整備に具体化されなかったことを踏まえて、子どもの意見表明権について盛り込むことが必要(大谷、長瀬)。

3.障害の定義

(社会モデルに沿った障害の定義)

  • 障害を、機能障害としてとらえる(医学モデル)のではなく、社会的環境との相互作用によってとらえる(社会モデル)べき(多数)

(一般的な定義と目的に対応した定義)

  • 障害者基本法を権利法と位置づけた場合、同法における障害者の定義は狭すぎる。身体または精神的理由により社会生活に支援が必要な者、または環境が原因で社会参加が阻害、限定されている者を基本法の対象としなければ法の目的が貫徹されない(竹下、堂本、松井ほか)。
  • 障害者手帳の制度にかかわりなく、障害者基本法における障害者の範囲は、幅広く権利の主体として位置づけられるようにすること(小川ほか)。

(「制度の谷間」等の解消)

  • 障害の範囲に、発達障害、高次脳機能障害、難病等の、いわゆる「制度の谷間」と言われてきた障害が適切に含まれなければならない(多数)。
  • 「制度の谷間」に加え「障害の程度による谷間」も解消することが必要(新谷)。
  • 盲ろうも定義に入れるべき(門川)。
  • 過去の経歴がある者、障害のある者と見なされた者、ユニークフェイスと呼ばれる状態にある者などについても包含して、差別禁止法の対象範囲につながる定義にすることが必要(小川ほか)。
  • HIVのキャリアー、顔面に異形やあざのある人などに関わる障害の「みなし」や「過去の経歴」も障害の範囲に含めることができる柔軟な対応が必要(尾上)。
  • 障害の定義との関係で手帳制度の見直しが必要(関口)。

(国民の理解)

  • 障害が環境との関係によって生じるという考え方を広く国民に理解を促していくことが必要(大谷、佐藤)。

4.差別の定義

(差別禁止法)

  • 現行基本法の規定は、抽象的で法規範性が極めて曖昧である。同法には、親法(おやほう)としての同法の性格を踏まえて差別禁止を位置づけ、差別禁止法については、権利条約に沿って(特に裁判規範性をもつものという観点から)別途検討が必要(大谷、竹下ほか)。

(差別禁止法)

  • 現行基本法の規定は、抽象的で法規範性が極めて曖昧である。同法には、親法(おやほう)としての同法の性格を踏まえて差別禁止を位置づけ、差別禁止法については、権利条約に沿って(特に裁判規範性をもつものという観点から)別途検討が必要(大谷、竹下ほか)。

(差別の定義)

  • 障害者基本法に差別の定義を設けることが必要(大谷、大濱、川崎、北野、松井ほか)。
  • 合理的配慮を定義し、その否定が差別に含まれることを規定することが必要(大谷、久松ほか)。
  • 差別の3類型(直接差別、間接差別、合理的配慮の否定(欠如))を踏まえることが必要(小川、尾上、新谷ほか)。

(特定の生活様式を強いられること)

  • 特定の生活様式を強いられること、施設に閉じこめられることを、差別との関連で位置づけることが必要(尾上、大濱、関口、土本)。

(家族、周囲への差別)

  • 障害者のみならず障害者の家族、介助者等への差別も含めてとらえることが必要(東[補足説明]、大谷、川崎委員、新谷、長瀬、久松ほか)。

(地域の理解)

  • 障害者の施設設立やサービス開始に際して起こる地域の反対への対応、特に法的手段に訴えるよりも地道に地域の理解を求めることでよい結果が導かれることがある(大濱、清原、竹下、森)。

(積極的差別是正措置への言及)

  • 積極的差別是正措置は差別に該当しないことを明記することが必要(小川、関口ほか)。

(欠格条項)

  • 法律や取引上の契約事項等に障害を理由にした欠格条項は差別禁止に抵触しているので、欠格条項の問題についても検討が必要(尾上ほか)。

5.障害者に関する基本的施策

【施策全般に関して】

(既存施策の全般的改正)

  • 権利条約に沿って、権利の確認という観点から全面改定が必要(小川、関口)。

(権利の確認と施策)

  • 保障されるべき基本的な権利を踏まえたうえで、必要な施策について論じていくべき[再掲](大谷ほか)。

【現行規定に関連して】

(※ 現行の障害者基本法の関連箇所を[ ]で示します。)

(意識の向上)[第5条、7条]

  • 権利条約第8条の「意識の向上」を踏まえ、その内容を盛り込むべき(新谷)。

(当事者参加)[第9条、24条、25条]

  • 障害者政策・計画策定への当事者参加の規定が必要(佐藤、竹下)。また、障害者団体を財政的に支援する制度の検討を(佐藤)

(リハビリテーション)[第12条]

  • リハビリテーションの保障を盛り込むべき(権利条約第26条参照)(大濱ほか)。

(地域サービス)[第12条]

  • 権利条約のパーソナル・アシスタンス・サービスを含む支援を受ける権利の規定を設け、障害者のニーズを踏まえ、地域生活の基盤整備を重点的に進めるような規定や制度が必要(尾上)。
  • 地域で生活するためのサービスの地域格差を解消するため、ニーズの適切な把握と必要な財源確保の規定が必要(尾上)。
  • 障害の軽重や障害の種別によるサービス格差をなくし、本人のニーズに即したサービスであることが必要(川崎)。

(教育)[第14条]

  • 教育について、権利条約のインクルーシブ教育に沿った改正を(大谷、小川、尾上)。

(雇用)[第15条、16条]

  • 雇用について、雇用の促進のみならず、差別の禁止など権利条約に沿った改正を(小川、尾上)。

(情報の利用におけるバリアフリー化)[第19条]

  • 情報へのアクセスを確保するために大幅改正を(佐藤)。

(障害の予防)[第23条]

  • 現行障害者基本法の障害の予防に関する条項の修正、削除(小川、尾上、久松)。

(難病)[第23条]

  • 難病の人への施策について盛り込むべき(尾上、関口ほか)。
  • 「難病等に起因する障害」の「に起因する」は削除すべき(尾上)。

【現行にない規定】

(政治参加及び司法参加)

  • 政治参加、司法参加に関する規定が必要(小川、尾上、川崎、関口、松井)。

(差別禁止)

  • 差別禁止の法制度の確立と施策を新設すべき(小川、尾上、川崎、関口)。

(虐待防止)

  • 虐待防止の法制度の確立と施策を新設すべき(小川、川崎、関口、土本)。
  • 定義や目的の規定で虐待防止に触れ、個別法で対処(松井)。
  • 差別と虐待とは、根は同じとの理解も可能だが、支援方法は異なり、差別と別に虐待についての立法が必要(竹下)。

(障害児)

  • 障害児の施策を新設すべきである(小川、佐藤、関口)。

(障害者実態調査)

  • 政策立案には、実態調査が必要である。(小川、佐藤、新谷)その際、国民全体との関係について留意すべきである(勝又)。

(予算の確保)

  • 必要な予算の確保に関する規定が必要(尾上、勝又)。

(国際協力)

  • 障害者の権利条約にならって、日本の障害者政策の根本をなす基本法に、国際協力について独立した条文規定を新設することが必要(佐藤、中西、長瀬、松井)。

6.モニタリング

(監視機関)

  • パリ原則に則り一定の独立性と権限をもった監視機関が必要(尾上、小川、松井、山崎ほか)。
  • 監視機関について、障害者基本法に位置づけるべき(北野、新谷ほか)。
  • 中障協との関係の整理が必要(松井ほか)。
  • 監視の対象を明らかにすることが必要(佐藤、久松ほか)。
  • 監視機関に調査権限を付与すべき(小川、松井ほか)。
  • 監視結果を行政施策にフィードバックするための規定が必要(竹下)。

(調査)

  • 条約の実施状況の監視とともに、総合的な施策推進のための調査も必要ではないか(調査の在り方については議論が必要)(勝又、北野、佐藤委員)。
    「モニタリングの項ではなく、基本的施策の項で論じるのが適当ではないか(新谷)。」

(救済機関)

  • 権利保護(救済)の法的根拠は、包括的な人権保護法による人権委員会または障害者差別禁止法に基づく障害者権利委員会などで対応し、障害者基本法以外に求めることが必要(小川、北野、松井ほか)。
  • これらの機関は、パリ原則に則り、内閣府所管の独立機関として位置づけること(小川、北野、松井ほか)。

7.その他

  • 中障協と地方協議会について今後の在り方の検討を行うこと(小川)。
  • 権利条約の定義(条約第2条)にある「ユニバーサルデザイン」、一般原則(条約第3条)にある「アクセシビリティ」などの定義についても議論を(新谷)。
  • 基本的理念として、障害者の権利主体性、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョン、スティグマの徹底排除などの考え方を(清原)。
  • 欠格条項と差別立法の洗い出しが必要(関口)。

[以上]

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