「次世代ナノ・次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発」合同公開シンポジウムにおける奥村議員の挨拶について【平成24年3月5日】

シンポジウムで挨拶する奥村議員(写真)
シンポジウムで挨拶する奥村議員


平成24年3月5日、「次世代ナノ・次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発」合同公開シンポジウムにおいて、総合科学技術会議の奥村議員が挨拶を行った。挨拶の要旨は以下のとおり。

  スーパーコンピュータ「京(けい)」は、昨年、目標性能であるLINPACK性能10ペタフロップスを達成し、スパコン世界ランキングで第1位を獲得するとともに、シリコンナノワイヤのシミュレーション成果に対してゴードンベル賞を受賞するなど素晴しい成果を挙げた。これまで「京」の開発に関わってきた産学官関係者皆さま方の多大な努力に、心より敬意を表する。

  世界最高水準のスーパーコンピュータは、利用者にとっては研究開発の手段である。「京」の完成は、利用研究開発の始まりであり、これを活用して科学技術上の新たな地平を拓く革新的な研究成果を挙げ、イノベーションの創出、我が国が直面する諸課題の解決、あるいは新しい学術の開拓を実現することこそが、「京」の研究開発プロジェクトの主要な目的であり、これからがまさに研究開発の正念場と言えるのではないか。

 これから本格化する「京」の利用研究プロジェクトは、我が国が直面している課題解決に向けて、関係する人々が所属する組織や学会、あるいは研究分野などの境界を乗り越え、一丸となって取組み、国民のよせる大きな期待に応えていくこと、および計算科学、計算機科学の新たなパラダイム開拓を行うことなどが強く求められている。

  「京」でなければ克服できない社会や学術の重要な課題を厳選し、これに対して戦略的に資源の重点化を図り、インパクトのある研究成果を早期に達成し、国民に「京」の果たすべき役割を広く理解してもらうことが極めて重要であると考える。その意味でも本日の主題であるソフトウェアの研究開発は、「京」の利用研究プロジェクトの成否を握る「鍵」と言っても過言ではない。本日、ここにナノ分野とライフ分野の利用研究とそのソフトウェアの開発状況について、多くの研究者の方々が本質的かつCriticalな意見交換を熱心に行うことで、これからの研究開発成果創出へつながるよう、強く期待する。