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【産学官連携功労者表彰について】
大学、公的研究機関、企業等の産学官連携活動において、大きな成果を収め、あるいは先導的な取組を行う等、産学官連携の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績を称えることにより、我が国の産学官連携の更なる進展に寄与することを目的とし、平成15年度より毎年一回行われているもので、今回が第三回目となります。
内閣総理大臣賞
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ユビキタスコンピューティング技術の研究
坂村 健
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長
(T-Engineフォーラム代表)(東京大学教授)
ユビキタスネットワーク社会に向けてのインフラ整備に貢献する研究であり、大学における計算機科学の基礎研究の成果が、国内外の476社が参加するT-Engineフォーラムにより、世界的に普及している。研究成果として開発された標準リアルタイムOSであるT-kernelは、組込OSとしてT-Engineフォーラム参加各社を中心として数々の製品に搭載されている他、研究成果である電子タグや携帯端末を用いて、物流、在庫管理、食品トレーサビリティ、薬品・投薬管理、観光ガイド等のユビキタスネットワーク社会の構築に向けた数多くの実証実験が推進されている。このように、ユビキタスコンピューティング技術は、人間生活を高度にサポートするもので、社会的・経済的な効果は大きく、産学官連携の優れた事例と言える。
科学技術政策担当大臣賞
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「極低温電子顕微鏡装置」の開発・実用化及び膜たんぱく質の構造解析
藤吉 好則
京都大学大学院理学研究科 教授
成瀬 幹夫
日本電子株式会社取締役 電子光学機器技術本部長
(開発当時の役職: EMグループ グループ長)
産学の連携によって開発された世界最高水準の膜たんぱく質構造解析技術であり、製品は国内外に納入されている。これまで世界の電子線結晶学で構造解析された6種類の膜たんぱく質のすべてがこの装置を用いて解析されたことなど、研究成果の科学的な貢献は大きく、国際的にも波及している。
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短稈コシヒカリの開発
美濃部 侑三
株式会社植物ゲノムセンター代表取締役社長
王 子軒
株式会社植物ディー・エヌ・エー機能研究所プロジェクトリーダー
左が普通のコシヒカリ
右が短稈コシヒカリ
我が国における重要作物であるイネを対象に、ゲノム研究を生かして、ゲノム育種法(マーカー育種法)により、育種期間を短縮し、実用化した画期的な品種改良技術である。独立行政法人農業生物資源研究所発のベンチャーによる開発。味についても、財団法人日本穀物検定協会の2004年産米食味ランキングで最高ランクを獲得しており、今後の普及が期待される。
総務大臣賞
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水/空気2流体混合噴霧消火システムを用いた放水装備
野口 真太郎
三菱重工業株式会社 技術本部横浜研究所 鉄構研究室研究員
金西 猛
横浜市消防局消防訓練センター研究開発課長
鶴田 俊
独立行政法人消防研究所特殊火災研究グループ長
都市の高層化に対応して、消火活動時の下階の水損被害を抑制するため、消火能力を維持しつつ、水の使用量を減少させる技術である。この技術により、消火ホースの小口径化や軽量化など操作性も向上した。三菱重工業による開発と消防研究所による技術の科学的解析に、現場である横浜市消防局における事例分析と試験配備という3つの要素があいまって効果をあげているものである。
文部科学大臣賞
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「超低電力反射型カラー液晶ディスプレイ」の開発
内田 龍男
東北大学大学院工学研究科教授
シャープ株式会社
従来、カラー液晶ディスプレイは、バックライトを必要とし、そのため消費電力が大きかったが、カラーフィルタのスペクトルの最適化、液晶の透過率の向上、反射板の拡散角度の最適化を行うことにより、バックライトを必要としない、超低電力反射型カラー液晶ディスプレイを世界で初めて考案した。さらに、企業との共同により世界で初めて実用化、量産化に成功。PDA(携帯情報端末)、携帯電話等で利用され、既に市場を確立し、反射型の原理を利用したカラー液晶の研究・開発の先駆けとなった。低消費電力液晶ディスプレイの有する市場性、将来性に鑑みると、引き続き波及効果が期待できるものである。
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知的クラスター創成事業「長野・上田スマートデバイスクラスター」
財団法人長野県テクノ財団
遠藤 守信
信州大学工学部教授
谷口 彬雄
信州大学繊維学部教授
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信州大学と県内の開発型企業との連携により、大学におけるナノテクノロジーを実用レベルに具現化し、超微細・高機能デバイスやその応用商品群を創出するものである。クラスターの核ができはじめており、地域コミュニティへの波及効果も見られると同時に、特許出願件数や事業化実績も当初目標を上回る成果をあげている。また、更なる事業化推進に向けた研究課題の重点化・絞込みも図られており、今後一層の成果創出が期待される。
経済産業大臣賞
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超高密度磁気記録技術の研究開発と実用化
中村 慶久
東北大学電気通信研究所 教授
山口 一幸
東北学院大学工学部 非常勤講師
城石 芳博
株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズ 執行役員主幹技師長
長年主流となっていた面内磁気記録技術の性能を大幅に上回る大容量垂直磁気記録方式を、大学で発案、蓄積された研究成果を原点として、大学と複数企業の産学連携で実現した。垂直磁気記録方式によるHDD(ハードディスクドライブ)は、現在、市場に投入されつつある。なお、同時に開発された超高感度・分解能のGMR(巨大磁気抵抗型)ヘッドも既に商品化され、我が国のHDD世界シェア増大に寄与している。これらは新技術潮流の形成を確かなものにし、今後一層の経済効果が期待される。
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立命館大学における先進的産学官連携組織モデルによる新産業創出
田中 道七
学校法人立命館 総長顧問
1995年に大学初のリエゾンオフィスを設置、以来取り組みを続けてきた大学における産学官連携の先進事例。大学でのインフラ整備、バックアップ体制に優れており、コンサルタント型の形式、ワンストップサービス体制も評価できる。私学による、地域における熱心な取り組みを評価。
日本経済団体連合会会長賞
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ウォーターオーブン「ヘルシオ」の研究
宮武 和孝
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授
大西 忠一
NPO法人グリーン環境技術工業会副理事長、元大阪府立大学大学院工学研究科助教授
井上 隆
シャープ株式会社電化商品開発センター室長
バイオ、環境等の研究で蓄積された過熱水蒸気の生成、特性等に係る大学の知見をベースに、家庭用のサイズ、電圧で過熱水蒸気を効率的に利用するシステム等を産学協同で開発し、脱油、脱塩等の効果をもたらす調理装置を商品化。農工分野の融合技術と企業における家庭用調理装置化技術の連携により、社会の健康志向に合致した人気製品をうみだし、高い経済的インパクトを与えた。
日本学術会議会長賞
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病院設置型微小血管撮影装置の開発と臨床応用
盛 英三
国立循環器病センター研究所心臓生理部長
竹下 聡
国立循環器病センター心臓血管内科
河合 敏昭
浜松ホトニクス株式会社 主査
世界最高水準の微小血管撮影技術であり、従来できなかった新生血管観察を可能とするもので、病院に設置できる小型装置であることも評価される。血管新生治療の評価が可能となり、現在は下肢への臨床応用であるが、今後心臓や脳の微小血管撮影など適用範囲の拡大が期待される。基礎研究から医療応用まで産学官の連携により展開してきたものである。