第7回産学官連携推進会議

展示ブース

機関名 近畿大学/株式会社アーマリン近大
URL http://www.kindai.ac.jp/

展示内容:
 これまでのクロマグロ養殖では、天然の種苗(稚魚)を採捕し、それを生け簀内で育てる方法をとっています。しかし、天然種苗の採捕は量的な年変動が激しく、また天然クロマグロ資源を保護する上でも好ましいものではありません。近年の乱獲によりクロマグロはクジラと同じように、捕獲禁止に至る危機にあります。近畿大学では安定供給・天然資源の保護を考え、本学水産研究所において32年に及ぶ研究を重ねて高度な養殖技術を確立し、不可能と言われてきた「クロマグロの完全養殖」に2002年に初めて成功しました。「完全養殖」とは、人工ふ化から育てた成魚が産卵し、卵を人工ふ化、仔魚から稚魚、幼魚、成魚に育て、またその魚が卵を産むというサイクルを確立することです。そして、この完全養殖クロマグロ第1世代を商品サイズにまで育て上げ、水産研究所の成果を商品化するため2003年に設立された同大学発ベンチャー(株)アーマリン近大から、2004年に「完全養殖近大マグロ」として販売を開始しました。その後も水産研究所と(株)アーマリン近大は緊密に連携を取り合い、世界的に懸案事項となっている可食部の水銀含量の低減化にも成功して、国内のみならず、米国、中東など海外へも「完全養殖近大マグロ」を販売し好評を得るに至っております。さらに2007年には親魚となった完全養殖第1世代から採卵し、科学研究費補助金および21世紀COEプログラムの研究成果をもって50,000尾もの稚魚の生産に成功しました。この稚魚は、(株)アーマリン近大から、「完全養殖第2世代クロマグロ」の種苗として、一般のマグロ養殖業者へ販売されています。このように、水産研究所と(株)アーマリン近大は連携して、「食の安心・安全の確保」と「天然クロマグロ資源の保護」に貢献しつつ、完全養殖クロマグロの産業化を実現しました。

クロマグロの完全養殖
クロマグロの完全養殖

 

キーワード
水産技術 / 完全養殖 / クロマグロ