日EU間の量子科学技術に関する協力趣意書への署名について
令和7年5月13日
内閣府
科学技術・イノベーション推進事務局
1.概要
令和7年5月13日、城内内閣府特命担当大臣(科学技術政策)は、ヴィルックネン欧州委員会執行副委員長との間で、「日EU間の量子科学技術に関する協力趣意書」への署名を行いました。
2.背景
量子技術は、将来の産業や社会を変革する重要技術として世界的に注目されており、量子コンピュータ、量子暗号通信、量子センシングなどの実用化に向けて、各国が国家戦略を策定し、国を挙げて取り組んでいます。
この数年で、我が国およびEUの量子政策と、その協力関係には大きな進展がありました。EUにおいては2023年12月に「量子技術に関する欧州宣言」が発表され、EUが量子技術の戦略的重要性を認識し、欧州を世界の「Quantum Valley」、つまり量子の主要地域にすることを究極の目標として、国際競争力のあるエコシステムを開発することが宣言されました。一方、我が国においては「量子産業の創出・発展に向けた推進方策」が2024年4月に発表され、世界における我が国のイニシアチブを確保した形での量子産業の創出と発展のためには「Globalization」、つまり同志国との戦略的な連携が鍵となることが強調されました。
同志国の中でもEUは、我が国と普遍的な価値観を共有し、互いに強い信頼関係を構築できる特に重要なパートナーです。この認識の下、上記の推進方策の発表直後に開催された「第2回日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合」において、量子技術研究に関する共同プロジェクトのテーマ探索が決定されました。そして、これを受けた内閣府と欧州委員会との緊密な協議の結果、現在準備を進めている量子コンピューティングに関する共同プロジェクトの開始という成果に結び付きました。
3.趣旨
上記のように、この重要技術分野において我が国は、2024年4月に策定した推進方策に基づき、量子技術による社会課題解決や新市場創出、その利益による次の市場開拓というグローバルエコシステムの構築を目指しています。このためには同志国との戦略的な連携が不可欠であり、中でもEUとの連携は、その中核となるものです。
本協力趣意書は、我が国とEUがさまざまなグローバル課題に対処できるエコシステムを共に構築してくために、量子技術に関する協力関係を、基礎研究のみならず応用研究や産業化に至るまで、広域で強化し、人材交流、共同研究、情報共有などを加速することを目的としています。
4.協力趣意書の内容(ポイント)
この協力趣意書を通じて内閣府とEUを代表する欧州委員会は、気候変動、地震・津波、材料科学、サイバーセキュリティ、エネルギーの持続可能性といった重要なグローバル課題に直面している認識を共有し、双方の共通の関心分野と、今後の協力に関する基本的な方針に同意します。
● 原則
内閣府は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を通じて、欧州委員会は研究・イノベーション枠組みプログラム(Horizon Europe)を通じて、それぞれが本協力趣意書に示される枠組みを実施する意向です。また双方は、共通の課題を解決するために、国内の資金調達の優先順位に関する情報を共有し、量子技術に関する研究・イノベーション活動、研究施設、教育の開発・支援を調整することの重要性を認識します。
1.共同公募
・優先課題の特定と専門家の意見の活用
・公募計画の文書化と両者による資金配分
・公募手続きの連携
・双方における評価基準の適用と資金の提供
・プロジェクト管理と報告手続きの調整
・成果のモニタリング体制の構築
・協力成果の報告
2.さらなる協力機会
・量子技術分野における相互参加型の協力機会の検討
・公平性と相互利益に基づく協力原則の確認
5.関連資料
- 日EU間の量子科学技術に関する協力趣意書(英文)(PDF形式:290KB)
- 日EU間の量子科学技術に関する協力趣意書(和文仮訳)(PDF形式:390KB)
- 量子技術に関する欧州宣言
- 量子産業の創出・発展に向けた推進方策(PDF形式:1384KB)
- 量子産業の創出・発展に向けた推進方策(概要)(PDF形式:1533KB)
- 第2回日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合|デジタル庁
6.問合せ先
内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局
重要課題(量子・マテリアル)担当 河野・白木・新井
電話:03-6257-1153(直通)