13. よくある御質問
Q2.避難計画はどの範囲で策定されますか。
Q3.PAZ、UPZとは何ですか。
Q4.PAZでは、いつ避難するのですか。
Q5.UPZでは、いつ避難するのですか。
Q6.どこに避難することになりますか。
Q7.東京電力福島第一原子力発電所事故では、オフサイトセンターが機能しなかったと言われていますが、どのように改善しましたか。
Q8.避難指示は、どのように伝えられるのですか。
Q9.要配慮者は、避難に時間を要しますが、どのように対応するのですか。
Q10.UPZの住民は屋内退避することになっていますが、被ばくが心配です。どのように対応するのですか。
Q11.道路が渋滞して避難に時間がかかりませんか。
Q12.自然災害(津波、地震)により避難計画で避難経路と定められている道路等が通行不能となった場合の対策は、用意されていますか。
Q13.安定ヨウ素剤はいつ配布して、いつ服用するのですか。
Q14.ガソリンが不足した場合、どのように対応しますか。
Q15.食料・飲料、生活用品が不足した場合、どのように対応しますか。
Q1.地域防災計画、避難計画、緊急時対応とはそれぞれ何ですか。
A.「地域防災計画(原子力災害対策編)」は、災害対策基本法等に基づき、各自治体が作成する計画です。原子力災害の予防、応急対策等に関する内容が盛り込まれており、例えば、重点区域の範囲、情報の収集・連絡体制等の整備、避難に関する内容が記載されます。「避難計画」は「地域防災計画(原子力災害対策編)」等に基づいて定められる計画であり、避難方法や避難経路等に関して記載されています。
また、「緊急時対応」は、原子力発電所の所在地域ごとに設置されている「地域原子力防災協議会」において、内閣府を含む関係省庁と関係自治体が参加し、関係自治体の地域防災計画や避難計画を含むその地域の緊急時における対応を取りまとめたものです。
内閣府では、関係自治体の地域防災計画・避難計画の具体化・充実化の支援を行っています。
Q2.避難計画はどの範囲で策定されますか。
A.原子力災害に備えた防災対策を講じる重点区域の範囲は、東京電力福島第一原子力発電所事故の前は、原子力発電所から半径約8~10kmとされていました。
しかしながら、東京電力福島第一原子力発電所事故では、この範囲を超えて避難等が必要になりました。この教訓とIAEA(国際原子力機関)の国際基準も参考にして、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針では、おおむね半径30kmに拡大しました。
これに伴い、原子力災害対策に係る地域防災計画や避難計画もおおむね半径30kmの範囲について策定することになっています。
Q3.PAZ、UPZとは何ですか。
A.IAEAの国際基準では、原子力発電所で事故が発生し緊急事態となった場合に、放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難等を開始するPAZ(Precautionary Action Zone:予防的防護措置を準備する区域)と、屋内退避などの防護措置を行うUPZ(Urgent Protective action planning Zone:緊急防護措置を準備する区域)を設けることになっています。
IAEAの国際基準を参考に原子力災害対策指針では、PAZについては原子力発電所からおおむね半径5kmを、UPZについては原子力発電所からおおむね半径30kmを目安として、地方公共団体が地域の状況等を勘案して設定することと定められています。
Q4.PAZでは、いつ避難するのですか。
A.東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓やIAEA等の定める防護措置の枠組みの考え方を踏まえて、事故の進展や放射線量等に基づき緊急時の防護措置を迅速に実行できる枠組みを構築しています。
具体的には、事故の進展に応じて避難の準備等を行うため、原子力施設の事故の状況に応じて、警戒事態、施設敷地緊急事態、全面緊急事態の三つに区分し、その区分を客観的に判断できる基準として、EAL(Emergency Action Level:緊急時活動レベル)を設定しました。
これらの緊急事態の区分に応じて、以下の表に示すように、早期の段階から避難等の準備を開始し、施設敷地緊急事態の段階でPAZ内の要配慮者等の避難を開始、全面緊急事態の段階でPAZ内の全ての住民の避難を開始します。
Q5.UPZでは、いつ避難するのですか。
A.原子力災害対策指針では、全面緊急事態となった場合、UPZ内の住民は、屋内退避をすることにより、放射性物質や放射線の影響を低減することにしています。
さらに、放射性物質が環境中に放出された後の緊急時モニタリングの結果、空間放射線量率が一定以上に上昇した場合には、一時移転などの防護措置を行います。
このための判断基準としてOIL(Operational Intervention Level:運用上の介入レベル)を定めています。
【UPZ圏内における防護措置の考え方】
Q6.どこに避難することになりますか。
A.PAZ及びUPZ内の住民が避難する場合には、あらかじめ、道府県・市町村の地域防災計画・避難計画で、避難経路やUPZ外の避難先が設定されています。
その際には、避難の対象となる住民を十分収容できる避難先を確保するとともに、避難経路については、自然災害等による通行不能も考慮し、複数の経路を定めています。
関係の地方自治体は、避難計画について、平時から住民の方々へ情報提供を行うこととしています。
例)川内原子力発電所のPAZ(薩摩川内(さつませんだい)市滄浪(そうろう)地区)の住民の避難先、避難経路(複数)
Q7.東京電力福島第一原子力発電所事故では、オフサイトセンターが機能しなかったと言われていますが、どのように改善しましたか。
A.東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、現地対策本部が置かれるオフサイトセンターについては、立地する場所の要件の見直し、放射線防護対策の実施等の改善を行いました。主なものは以下のとおりです。
(1)設置位置の見直し
原子力事故の際の放射線による影響を回避するため、原則として発電所からおおむね5~30km圏内とし、かつ津波などの自然災害等の影響を受けにくい場所に設置することとしています。
このため、発電所から5km以内に設置されていたオフサイトセンターについては、東京電力福島第一原子力発電所事故後に移転しました。また、代替オフサイトセンターを複数設けています。
(2)放射線防護対策
放射性物質の放出があっても活動を継続できるようにするため、建屋の気密性を高め、空気浄化フィルター及び換気設備を設けるなど放射性物質の浸入を防ぐ放射線防護対策を実施しています。
(3)通信機能の強化
東日本大震災の際には、公衆回線が停電等で途絶し、十分な連絡ができませんでした。
このため、公衆回線が途絶した場合でもTV会議等での通信連絡が可能となるよう固定式の衛星回線を追加整備するとともに、非常用電源の強化も行っています。
【オフサイトセンターの機能強化】
Q8.避難指示は、どのように伝えられるのですか。
A.原子力事故が発生し、緊急事態に至った場合に、国から緊急事態宣言を発し、住民の避難について指示を行います。
この避難指示は、国から関係道府県及び関係市町村に伝達されます。
さらに、関係道府県・市町村は、防災行政無線、広報車などで住民に伝達します。
また、国は、テレビ、ラジオ等のマスコミ報道、インターネットを通じて伝達します。
【住民への情報伝達体制(玄海地域)】
Q9.要配慮者は、避難に時間を要しますが、どのように対応するのですか。
A.東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針では、PAZ内の避難において
(1)避難の実施に時間を要し、かつ配慮が必要な方(要配慮者)については、原子力発電所で事故が発生し施設敷地緊急事態となった時点の早期の段階で避難を開始することとしています。
(2)避難行動により、健康リスクが高まる要配慮者は、無理な避難行動は行わず、放射線防護対策が講じられた施設に屋内退避することとしています。屋内退避した要配慮者については、避難の準備が整った段階で避難することにしています。
【放射線防護対策を施した屋内退避施設の例】
玄海町の特別養護老人ホーム玄海園
(出典:玄海町ホームページ)
【放射線防護対策工事の概要】
Q10.UPZの住民は屋内退避することになっていますが、被ばくが心配です。どのように対応するのですか。
A.全面緊急事態に至った場合、UPZ内の住民は、屋内退避を実施することになります。
これは、放出された放射性物質が通過する時に車中内を含めて屋外にいることで、かえって被ばくすることを回避するためです。
また、戸締りをする等密閉性を高めた建物内に退避することにより、放射性物質からの放射線が一定程度遮へいされるとともに、屋外からの放射性物質の流入が抑制されることにより、放射性物質の体内への吸入等が低減されることで、放射線の影響を低減することができます。
【屋内退避による被ばく線量低減の試算例】
図 放出源からの距離2.5 km地点における、屋外滞在時の被ばく線量を1とした場合の建屋種類ごとの換気別(自然及び陽圧化)の7日間積算被ばく線量の相対比(全核種)
(原子力災害発生時の防護措置―放射線防護対策が講じられた施設等への屋内退避―について[暫定版](内閣府原子力防災作成)より抜粋)
Q11.道路が渋滞して避難に時間がかかりませんか。
A.原子力災害時が発生した際、円滑に住民避難が行われるよう、交通対策を実施します。
また、避難車両を示すシールの配布や避難誘導標識の設置を行うといった地域に応じた取組を進めています。
【避難を円滑に行うための対応策(高浜地域)】
【避難車両用シール(伊方地域)】
伊方町の例
Q12.自然災害(津波、地震)により避難計画で避難経路と定められている道路等が通行不能となった場合の対策は、用意されていますか。
A.自然災害との複合災害により道路等が通行不能となった場合に備え、避難経路をあらかじめ複数設定したり、被災した道路等の復旧や代替経路などの対策を用意したりしています。
【事前災害等により道路等が通行不能な場合の復旧策(大飯地域)】
Q13.安定ヨウ素剤はいつ配布して、いつ服用するのですか。
A.安定ヨウ素剤は、適切なタイミングで服用することにより、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを低減することができます。
PAZ内では、安定ヨウ素剤を住民に事前配布することとしています。そして、全面緊急事態に至った場合の避難の際に、服用の指示に基づき速やかに服用することとしています。
UPZ内では、全面緊急事態に至り、屋内退避を実施した後、放射性物質の放出があり、放射線のモニタリングの結果、基準を超える空間放射線量率が計測された場合に、一時移転や避難といった防護措置を講ずる際に緊急配布を行い、必要な場合には服用の指示に基づき服用することとしています。ただし、予防的な即時避難を実施する可能性のある地域、避難の際に学校や公民館等の配布場所で安定ヨウ素剤を受け取ることが困難と想定される地域等においては、地方公共団体が安定ヨウ素剤の事前配布を必要と判断する場合に、事前配布を行うことができるとされています。その場合も、一時移転や避難といった防護措置を講ずる際に、服用の指示に基づき服用することとしています。
服用については、原子力規制委員会が必要性を判断し、その上で、原子力災害対策本部又は地方公共団体が指示を出すこととしています。
【避難住民等に対する安定ヨウ素剤の備蓄状況と緊急配布(女川地域)】
Q14.ガソリンが不足した場合、どのように対応しますか。
A.市町村からの物資の要請に対し都道府県や国が対応するだけでなく、要請がない場合でも必要と判断された場合に国や都道府県は物資を被災地に送り込むこととしています。
ガソリンなどの燃料に関しては、その物資所管官庁である経済産業省が、あらかじめ燃料の調達体制を整備し、災害時には関係事業者、関係業界団体などの協力等により、供給を確保することにしています。
【物資集積拠点・一時集結拠点(伊方地域)】
【国による物資(燃料)の供給体制(伊方地域)】
Q15.食料・飲料、生活用品が不足した場合、どのように対応しますか。
A.市町村の食料等の要請に対し都道府県や国が対応するだけでなく、要請がない場合でも必要と判断された場合に国や都道府県は食料等を被災地に送り込むこととしています。
物資関係省庁は、あらかじめ、食料、飲料水、医薬品等の生活必需品並びに通信機器等の物資の調達体制を整備し、災害時には関係事業者、関係業界団体などの協力等により、供給を確保することとしています。
【物資集積拠点・一時集結拠点(泊地域)】
【国による物資(食料等の生活用品等)の供給体制(泊地域)】