07 局長・統括官級
林 幸宏(HAYASHI Sachihiro)(35年目)
政策統括官(経済社会システム担当)
経済政策をアイデアと作戦で実現に結び付ける
時の政権が掲げる政策は大きく異なっているのが常ですが、経済政策のゴールは、景気回復や雇用・物価の安定、経済成長や財政健全化などで、どんな政権でもあまり変わらないと思っています。政権は政治主導で政策を進めますが、結果を残すための政策の選択肢を不断に示していくことが重要で、うまく合致できれば提言を政策に結び付けられます。
経済政策の基本方針である骨太方針のとりまとめを担う経済財政諮問会議は、こうした政策の苗床です。この苗床にどんな政策を仕込むのか、どうやって政策の実現に結び付けるのかが、内閣府職員の役割です。
政策立案にあたってまずもって大事なのが、政策の必要性に関するロジックです。たとえば、わが国のマクロ経済環境はこれまでの低成長、低インフレ、低金利から経済が正常化していく可能性が高まっており、こうしたもとでマクロ経済政策のポリシーミックス(財政政策と金融政策の組合せ)のあり方がこれまでになく注目されています。また、個々の政策立案においても、政策目標の実現に向けて何が効果的・効率的かといったEBPMが求められるようになっています。このため、一貫した体系を示すことができる経済学の役割が拡がっていると感じます。
立案した政策を打ち出す上で重要なのが、時宜に合った政策を適切なタイミングで打ち出す作戦と、総理や官邸の関係者に政策のロジックを説明し、すり合わせを行う作業です。総理を議長とし、年20回ほど開催される経済財政諮問会議やその開催に向けた準備作業は、打ち出す政策のすり合わせを頻繁に行うだけでなく、作戦を考える上でも重要な場となっています。
内閣府は個別政策の実施よりも政策の企画立案や政策調整のウェイトが高い組織で、私のキャリアも同様でした。比較的若いうちから大臣秘書官を経験するなど政治と向き合った経験が、企画した政策を実現する上で役に立っています。
学生へのメッセージ
内閣府は政策の企画立案のウェイトが高く、やりがいはどうしたって考えた政策が実現したときです。そのためには、政策の中身と作戦の両方がそろわないといけません。若いうちから政策コンテンツを作り、それを高く飛ばす作戦実行能力を業務経験から得て、歌って踊れるZ世代の公務員を目指してください。
経歴
- 昭和63年
- 採用
- 平成9年
- 経済企画庁調査局内国調査第1課課長補佐
- 平成11年
- 経済企画庁調整局経済協力第1課課長補佐
- 平成13年
- 大臣官房企画調整課課長補佐(総括担当)
- 平成14年
- 大臣官房総務課総括課長補佐
- 平成15年
- 大臣秘書官
- 平成17年
- 内閣官房郵政民営化準備室企画官
- 平成18年
- 在アメリカ合衆国日本国大使館参事官
- 平成21年
- 内閣官房国家戦略室参事官
- 平成24年
- 大臣官房参事官(政府広報室担当)
- 同年
- 内閣官房長官秘書官
- 平成29年
- 大臣官房審議官(経済社会システム担当)
- 令和2年
- 政策統括官(経済財政運営担当)
- 令和4年
- 現職