特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理について独立公文書管理監等がとった措置の概要に関する報告(令和2年6月19日内閣府独立公文書管理監)

1 本報告について

「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」(平成26年10月14日閣議決定。以下「運用基準」という。)V5(1)オにおいて、内閣府独立公文書管理監(これを長とする情報保全監察室の職員を含む。以下「独立公文書管理監」という。)は、特定秘密1の指定、その有効期間の設定及び延長並びに指定の解除(以下単に「特定秘密の指定及びその解除」という。)並びに特定行政文書ファイル等2の管理の適正を確保するため独立公文書管理監及び行政機関の長がとった措置の概要を、毎年1回、内閣総理大臣に報告するとともに公表することとされている。
本報告は、令和元年度(平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間)(以下「報告対象期間」という。)に、独立公文書管理監及び行政機関の長がとった措置の概要を報告するものである3

1 行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和29年法律第166号)第1条第3項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定する(特定秘密の保護に関する法律第3条第1項)。
2 特定行政文書ファイル等とは、行政文書ファイル管理簿(公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号。以下「公文書管理法」という。)第7条第1項に規定する行政文書ファイル管理簿をいう。)に記載された行政文書ファイル等(公文書管理法第5条第5項に規定する行政文書ファイル等をいう。)のうち特定秘密である情報を記録するものをいう(運用基準V1(3))。
3 報告対象期間における検証・監察を計画的に実施するため、前回の報告対象期間において行ったものを含む。前回までの報告については特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理について独立公文書管理監等がとった措置の概要に関する報告を参照のこと。

2 独立公文書管理監の任務・権限

平成25年12月6日、特定秘密の漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的として、特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号。以下「特定秘密保護法」という。)が成立し、平成26年12月10日から施行された。
独立公文書管理監は、特定秘密保護法附則第9条の規定に基づき、特定秘密保護法の適正な運用を確保するためには、独立した公正な立場から検証・監察を行う機関が必要との認識の下、その設置等の検討が進められた結果、同法の施行日に、内閣府に設置された4
独立公文書管理監は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法及び特定秘密の保護に関する法律施行令(平成26年政令第336号。以下「施行令」という。)の規定並びに運用基準IからIIIまで(以下「特定秘密保護法等」という。)に従って適正に行われているかどうか検証・監察する。この任務5を達成するための権限は、運用基準に以下のとおり具体的に定められている。

4 情報保全監察室は、同日、室長である独立公文書管理監以下20名の体制で設置された。
5 独立公文書管理監(情報保全監察室の職員を除く。)のこの任務は、内閣府本府組織令(平成12年政令第245号)第3条の2第1号に、情報保全監察室の任務は、情報保全監察室の設置に関する訓令(平成26年12月9日内閣府訓令第55号)に、それぞれ規定されている。なお、平成30年9月3日、内閣府に公文書監察室が設置され、その室長は独立公文書管理監(情報保全監察室の職員を除く。)をもって充てることとされたが、独立公文書管理監が独立した公正な立場において特定秘密保護法等に基づき検証・監察を行うことや情報保全監察室の任務に変更はない。

  • 必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をする(運用基準V3(1)イ)。
  • 行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は当該特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求める(運用基準V3(1)ウ、4(2)イ(キ))。
  • 特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていない旨の通報を受理し、必要な調査を行う(運用基準V4(2)イ(ウ)及び(エ))。

独立公文書管理監は、独立した公正な立場において、定められた任務を適切に遂行し、検証・監察を厳正かつ実効的に行うことにより、特定秘密保護法等の適正な運用を確保する役割を果たしていくこととなる。

3 検証・監察の対象となる事項

特定秘密保護法等に基づき、独立公文書管理監が検証・監察を行うこととなる事項は以下のとおりである6

6 適性評価の実施については、独立公文書管理監が行う検証・監察の対象とはされていない。特定秘密である情報を化体する物件の管理についても、同様である。

(1) 特定秘密の指定

ア 特定秘密の指定7

7 特定秘密の指定とは、広義では、特定秘密を指定する行為のほか、指定の有効期間の設定、指定の有効期間の延長、特定秘密の指定の解除及び特定秘密の表示等を含むものであるが、ここでいう特定秘密の指定とは、前二者のみを指す。

特定秘密の指定が、特定秘密保護法等に従って適正に行われているか。

イ 特定秘密の指定の有効期間の延長

特定秘密の指定の有効期間の延長が、特定秘密保護法等に従って適正に行われているか。

ウ 特定秘密の指定の解除

特定秘密の指定の解除が、特定秘密保護法等に従って適正に行われているか。

エ 特定秘密の記録、その表示・通知

特定秘密を記録する文書、図画又は電磁的記録の内容が、指定された情報の内容と整合しているか、また、特定秘密に係る表示8及び特定秘密表示の措置が困難である場合における取扱者への通知等が、特定秘密保護法等に従って適正に行われているか。

8 特定秘密に係る表示とは、特定秘密表示のほか、指定の有効期間満了に伴う特定秘密表示の抹消及び指定有効期間満了表示並びに指定の解除に伴う特定秘密表示の抹消及び指定解除表示を含む。

(2) 特定行政文書ファイル等の管理

ア 特定行政文書ファイル等の保存

特定行政文書ファイル等が、特定秘密保護法等に従って適正に保存されているか。

イ 特定行政文書ファイル等の保存期間満了時の措置

特定行政文書ファイル等について、保存期間が満了したときの措置(以下「保存期間満了時の措置」という。)が、特定秘密保護法等に従って適正に定められているか。

ウ 特定行政文書ファイル等にすべきものの存否

特定秘密である情報を記録する保存期間1年未満の行政文書(以下「保存期間1年未満の特定秘密文書」という。)の中に行政文書ファイル管理簿に記載されるべきものがないか9

9 保存期間1年未満の特定秘密文書については、公文書管理法上、行政文書ファイル管理簿に記載することとされていないため、特定行政文書ファイル等には該当しない。他方、平成30年7月27日付け、内閣官房内閣情報調査室次長通知により、保存期間1年未満の特定秘密文書の中に行政文書ファイル管理簿に記載されるべきものがないかを検証・監察することは、特定行政文書ファイル等の管理が適正に行われているか否かについての検証・監察の一部を構成するものと考えられることから、特定行政文書ファイル等の管理の検証・監察に含まれるとの解釈が新たに示された。

4 報告対象期間中に実施した検証・監察事項

(1) 特定秘密の指定

令和元年に47件の特定秘密が、9の行政機関10において指定された。これらの適否について検証・監察に着手したところ、令和元年12月における特定秘密の指定の有効期間の延長と同一機会に防衛省において指定された7件の特定秘密の指定については、それらの延長と併せて、今後その適否について検証・監察を継続することとした。なお、各行政機関における特定秘密の指定の状況については、表1のとおりである。

10 国家安全保障会議、内閣官房、警察庁、総務省、出入国在留管理庁、公安調査庁、外務省、海上保安庁及び防衛省

ア 検証・監察のポイント

特定秘密保護法第22条において、同法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことはあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない旨規定されている。また、運用基準I2(1)においては、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者は、この規定の内容を十分に理解し、「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定する」こととされている。
特定秘密の指定に当たっては、特定秘密保護法第3条第1項において、以下の3つの要件が規定されている。

①当該行政機関の所掌事務に係る同法別表に掲げる事項に関する情報であること。(別表該当性)
②公になっていない情報であること。(非公知性)
③その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要である情報であること。(特段の秘匿の必要性)

これを受け、運用基準II1においては、それぞれの要件を満たすか否かを判断するに当たっての基準が定められており、その中で、「特に遵守すべき事項」として、以下のものが掲げられている。

  • 3つの要件の該当性の判断は、厳格に行い、特定秘密として保護すべき情報を漏れなく指定するとともに、当該情報以外の情報を指定する情報に含めないようにすること。
  • 公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、又はその隠蔽を目的として、指定してはならないこと。
  • 国民に対する説明責任を怠ることのないよう、指定する情報の範囲が明確になるよう努めること。

また、運用基準II3(2)において、指定する際には、当該指定に係る情報を他の情報と区別することができるように記述するとともに、当該情報の「指定の理由」を記すこと、当該指定に係る「対象情報の記述」は、これを特定秘密として取り扱うことを要しないように記さなければならないこと、及び指定の理由の中には、当該情報が指定の要件を満たしていると判断する理由を明記することとされている。
さらに、指定の際の有効期間の設定に関しては、特定秘密保護法第4条第1項において、当該指定の日から起算して5年を超えない範囲内において有効期間を定めるものとされ、運用基準II4(1)においては、特定秘密に指定しようとする情報に係る諸情勢が変化すると考えられる期間を勘案し、指定の理由を見直すに当たって適切と考えられる最も短い期間を定めるものとされている。また、指定の解除に関しては、特定秘密保護法第4条第7項において、指定をした情報が特定秘密保護法第3条第1項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、速やかにその指定を解除するものとされている。

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 特定秘密指定管理簿11の提出

11 特定秘密指定管理簿とは、特定秘密の指定及びその解除を適切に管理するための帳簿で、指定をした年月日、有効期間、特定秘密の概要等を記載し、又は記録したものをいう(施行令第3条)。

運用基準V3(2)ア(ア)において、行政機関の長は、特定秘密を指定し、指定の有効期間を延長し、又は指定を解除し、それぞれ特定秘密指定管理簿に必要な事項を記載し又は記録したときは、速やかに、独立公文書管理監に当該指定に関する特定秘密指定管理簿の写しを提出することとされている。これに基づき、各行政機関から独立公文書管理監に、特定秘密指定管理簿の写しの提出がなされた。

(イ) 特定秘密指定書12の提出

12 行政機関の長が特定秘密を指定する際に、対象情報、法別表の事項の細目のいずれに関するものであるかの別、指定の理由、指定の有効期間等を記載して作成される文書である。本報告では、各行政機関におけるその名称ではなく、機能に着目して、これらを「特定秘密指定書」としている。

独立公文書管理監は、提出された特定秘密指定管理簿の記載内容を精査するとともに、指定された個々の情報の内容や、指定の要件の該当性をより具体的に把握する資料とするため、各行政機関から、特定秘密指定書の写しの提出を受けた。

(ウ) 説明の聴取

特定秘密指定管理簿及び特定秘密指定書に記載された内容を基に、専門用語の意味内容、公開情報との関係、当該特定秘密以外の情報との区別、特定秘密に指定しようとする情報に係る諸情勢とその変化の見込み等様々な観点から、疑問点その他の確認を要する事項を抽出し、各行政機関に対し、書面又は口頭で説明の聴取を行った。この過程は、各行政機関から十分な回答が得られ、独立公文書管理監が納得して、検討・判断の前提となる事実関係の調査を了としたと言える状態となるまで、繰り返し行った。この際、必要に応じ、独立公文書管理監からの要請に基づき、各行政機関から独立公文書管理監に対して、検証・監察に資する資料が提出された。

(エ) 適否の判断及び検証・監察の結果

各行政機関が提出した資料やその説明を基に、それぞれの特定秘密の指定について、その適否を判断した結果、検証・監察を行った40件の特定秘密の指定について、いずれも適正に行われているものと認められた。

表1 各行政機関における特定秘密の指定の状況
  令和元年末時点での指定件数  
平成31年・令和元年中の満了件数 平成31年・令和元年中の指定件数 平成30年中の解除件数 平成30年中の指定件数 平成29年中の解除件数 平成29年中の指定件数 平成28年中の解除件数 平成28年中の指定件数 平成27年中の指定件数 平成26年中の指定件数
国家安全保障会議60101010111
内閣官房8706080709849
警察庁4305040516618
総務省90201010212
法務省10000000001
出入国在留管理庁101-------- ※1
公安調査庁2402020404210
外務省3901013123335
経済産業省40000000004
海上保安庁2001010101115
防衛省318292801761922123247
防衛装備庁170010000216- ※2
合計569294713593954961382

※1 出入国在留管理庁は、平成31年4月1日に設置された。

※2 防衛装備庁は、平成27年10月1日に設置された。

(2) 特定秘密の指定の有効期間の延長

指定の有効期間の設定・延長の際は5年を超えない範囲内でこれを行うこととされているところ、令和元年は、特定秘密保護法の施行から5年となる同年12月に、361件13の特定秘密の指定の有効期間が延長された。これらの適否について検証・監察に着手したところ、延長される前の有効期間が3年とされていた海上保安庁の2件の特定秘密の指定を除く359件の特定秘密の指定の有効期間の延長については、今後その適否について検証・監察を継続することとした。

13 国家安全保障会議2件、内閣官房54件、警察庁22件、総務省2件、法務省1件、出入国在留管理庁1件、公安調査庁12件、外務省33件、経済産業省4件、海上保安庁16件及び防衛省214件である。

ア 検証・監察のポイント

特定秘密保護法第4条第2項において、行政機関の長は、指定の有効期間が満了する時において、当該指定をした情報が指定の要件を満たすときは、5年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする旨規定されている。運用基準III1(1)においては、行政機関の長は、指定の有効期間を延長するときには、指定の理由を点検するとされており、また、時の経過に伴い指定の理由に係る特段の秘匿の必要性を巡る状況が変化している中、更に当該指定の有効期間を延長するときは、書面又は電磁的記録により、その判断の理由を明らかにしておくこととされている。
指定の要件に関する検証・監察のポイントは、上記(1)アに記載した検証・監察のポイントと同様である。

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 特定秘密指定延長書等14の提出

14 本報告では、その名称にかかわらず、特定秘密保護法第4条第2項の規定に基づき指定の有効期間を延長する際の様式を特定秘密指定延長書と呼称する。

独立公文書管理監は、検証・監察の基礎資料及び有効期間が延長された理由をより具体的に把握する資料とするため、海上保安庁から、特定秘密指定管理簿及び特定秘密指定延長書の写しの提出を受けた。

(イ) 説明の聴取

海上保安庁に対し、当該指定が時の経過等によっても指定の要件を満たしていること、すなわち、有効期間を延長する理由があることのほか、延長される有効期間の理由等について、書面又は口頭で説明の聴取を行った。

(ウ) 適否の判断及び検証・監察の結果

海上保安庁が提出した資料やその説明を基に、指定の有効期間の延長の適否を判断した結果、2件とも適正に行われていると認められた。

(3) 特定秘密の指定の解除

令和元年に、内閣官房の12件及び防衛省の9件の特定秘密の指定が一部解除15されたところ、これらの適否について検証・監察に着手した。これらの特定秘密の指定については、令和元年12月においてその有効期間の延長が行われたことから、それらの延長と併せて、今後その解除の適否について検証・監察を継続することとした。

15 一部解除については、特定秘密保護法等には明記されてはいないが、特定秘密の指定及び解除という制度に内在するものと整理されている。

○ 検証・監察のポイント

特定秘密保護法第4条第7項において、行政機関の長は、指定をした情報が特定秘密保護法第3条第1項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、速やかにその指定を解除するものとする旨規定されている。運用基準III2(1)においては、行政機関の長は、その指定に係る特定秘密の取扱いの業務に従事する当該行政機関の職員に、当該指定の理由を点検させ、その実施年月日を書面又は電磁的記録に記載又は記録させるとともに、指定の要件を満たしていないと認めたときには、速やかに指定を解除することとされている16
指定の要件等に関する検証・監察のポイントは、上記(1)アに記載した検証・監察のポイントと同様である。

16 このことに関し、独立公文書管理監は、平成28年4月25日、内閣保全監視委員会に対して、指定された特定秘密に当たる情報が現存せず、今後もこれが出現する可能性がないことが確定した場合には、速やかに当該特定秘密の指定を解除すること等について各行政機関に周知徹底するよう意見を述べている。

(4) 特定秘密の記録とその表示17

17 特定秘密保護法において、特定秘密表示が困難である場合には、特定秘密である情報を取り扱う者に対して当該情報が特定秘密に当たる旨の通知をすることとされているが、報告対象期間においては、特定秘密表示に係る検証・監察の方が優先度が高いものと判断し、同通知に係る検証・監察は行わなかった。

特定行政文書ファイル等の保存の検証・監察と同一機会をとらえるなどして、10の行政機関の55部署18の文書等19を対象に、特定秘密の記録とその表示の適否について検証・監察を行った。

18 内閣官房10部署、内閣法制局1部署、警察庁1部署、法務省1部署、出入国在留管理庁1部署、公安調査庁1部署、外務省2部署、海上保安庁1部署、防衛省33部署及び防衛装備庁4部署である。 19 以下「文書」とは、特定秘密保護法にいう文書又は図画をいい、「文書等」とは、これに電磁的記録を含めたものをいう。

ア 検証・監察のポイント

特定秘密を記録する文書等については、特定秘密保護法第3条第2項の規定に基づき、特定秘密表示をすることとされている。
文書に対する表示の具体的方法については、施行令第4条において、見やすい箇所に、印刷、押印その他これらに準ずる確実な方法によりすることとされ、この場合において、特定秘密である情報を記録する部分を容易に区分することができるときは、当該表示は、当該部分にすることとされている。
また、平成29年3月9日付け内閣官房内閣情報調査室次長通知20において、特定秘密を記録する文書のうち当該特定秘密である情報を記録する部分を容易に区分することができる場合の特定秘密の表示について、どの程度の具体性が必要かについては、当該文書の分量、形態等によっても異なり得ると考えられるが、他の行政機関に特定秘密を記録する文書を提供する際には、以下のような措置を講ずることが適当であるとされている。

20 本通知は、独立公文書管理監が、平成28年8月9日、内閣保全監視委員会に対して、施行令第4条第1号の規定に関し、具体的な解釈基準を示すこと等により特定秘密表示の方法の統一を図ること等について所要の措置を講じるよう意見を述べたことに対応する措置として発せられた。

  • 特定秘密である情報を記録する頁ごとに、その見やすい箇所に、特定秘密の表示を行うこと。
    複数の頁にわたる特定秘密を記録する文書のうち、特定秘密である情報が記録されていない頁については、特定秘密の表示を行わない、又は特定秘密が含まれていない旨を明記する措置を講ずること。
  • 冒頭の頁に特定秘密である情報が記録されていない場合には、当該頁に「特定秘密文書」の表示を行い(施行令第11条第1項の規定に基づき定められる規程において当該表示に係る規定が整備されている場合)、又は特定秘密の表示を行った上で、当該頁に特定秘密である情報は記録されていない旨を付記すること。

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 特定秘密を記録する文書等の選定

下記(5)イ(エ)で選定された特定行政文書ファイル等から、1ファイルにつき1件以上、特定秘密を記録する文書等を独立公文書管理監が選定した21。なお、当該文書等の特定は、それぞれに係る特定秘密文書等管理簿22により行った。

21 提供を求める特定秘密を記録する文書等としては、文書を基本としたが、文書がない場合については、電磁的記録の提供を求めた。
22 本報告では、その名称にかかわらず、特定秘密を記録する文書等の作成、交付その他の取扱いの状況を管理するための簿冊を特定秘密文書等管理簿と呼称する。この簿冊には、特定秘密を記録する文書等の件名等が記載又は記録されている。

(イ) 特定秘密を記録する文書等の確認

実地調査において、文書等を確認し、その内容が、特定秘密に指定された情報の内容と整合するかどうか、すなわち、当該文書等に特定秘密に指定された情報が実際に記録されているかどうかを検証・監察した。また、併せて、特定秘密表示が特定秘密保護法等に従って適正になされているかどうか検証・監察した。この際、各行政機関から、当該文書等に記録されている内容が特定秘密に指定された情報に該当すると判断した理由や表示の方法等について、補足説明を聴取した。

(ウ) 適否の判断及び検証・監察の結果

文書等の確認の結果を踏まえ、文書等への記録や表示について、その適否を判断した結果、検証・監察を行った55部署の文書等のうち、下記(エ)及び(オ)の是正の求めに至った7部署23を除く48部署24の文書等について、特定秘密に指定された情報が特定秘密文書等に記録されていて不整合はなく、かつ、特定秘密表示も適正に行われているものと認められた。

23 同じ部署について複数の是正の求めに至ったことがあるため、延べ数は8部署である。
24 この中には(オ)の是正の求めの対象となった内閣官房の文書の複製物を保有する行政機関の1部署があったが、当該行政機関の長が特定秘密保護法等の規定に従っていなかったわけではないことから、これに対する是正の求めは行わなかった。当該複製物の特定秘密表示は(オ)の是正の求めに際して是正されており、こうした経緯を踏まえ、本報告では適正と記載した。

(エ) 是正の求め(特定秘密でない情報のみが記録されている文書の特定秘密表示をすべて抹消すること)

内閣官房の1部署及び防衛省の5部署において、特定秘密でない情報のみが記録されている文書(内閣官房1件及び防衛省7件)について、特定秘密表示をしているものと認め、令和2年3月12日、内閣総理大臣及び防衛大臣に対し、当該表示をすべて抹消するよう、各1件の是正の求めを行った。なお、内閣官房からは同月17日に、防衛省からは同月16日に、それぞれ当該表示をすべて抹消した旨の報告を受けている25

25 当該表示をすべて抹消することと併せて、特定秘密文書等管理簿の修正等所要の措置が講じられた旨の報告も受けている。

(オ) 是正の求め(特定秘密でない情報のみが記録されている頁の特定秘密表示を抹消すること)

内閣官房の1部署及び防衛省の1部署において、特定秘密表示を特定秘密である情報が記録されている頁にしている特定秘密文書等(内閣官房及び防衛省各1件)について、特定秘密である情報を記録する部分を容易に区分することができるにもかかわらず、特定秘密でない情報のみが記録されていながら、同表示をしている頁があるものと認め、令和2年3月12日、内閣総理大臣及び防衛大臣に対し、当該表示を抹消するよう、各1件の是正の求めを行った。なお、内閣官房からは同月17日に、防衛省からは同月16日に、それぞれ当該表示を抹消した旨の報告を受けている。

(5) 特定行政文書ファイル等の保存

特定行政文書ファイル等を保有している行政機関のうち、自ら特定秘密を指定した行政機関(以下「指定・保有行政機関」という。)26を主対象としつつ、特定秘密を指定していないが他の行政機関から特定秘密の提供を受けた行政機関にも対象を広げて、保存の適否について検証・監察を行った。また、東京都以外に所在する機関等(以下「都外機関等」という。)も対象とした。

26 報告対象期間においては、内閣官房、警察庁、法務省、出入国在留管理庁、公安調査庁、外務省、経済産業省、海上保安庁、防衛省及び防衛装備庁の10行政機関である。

ア 検証・監察のポイント

特定秘密保護法第5条第1項において、行政機関の長は、指定をしたときは、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置(以下、施行令に関連規定を有する特定秘密の保護に関し必要な措置を「保護措置」という。)を講ずるものとする旨規定されている。これを受けて、施行令第11条第1項において、特定秘密を適切に保護するための規程(以下「保護規程」という。)を定めるものとする旨が、同条第2項において、同規程に従い、同条第1項各号に掲げる保護措置を講ずることとする旨が、それぞれ規定されている。
また、特定秘密保護法第6条及び第10条の規定により特定秘密の提供を受ける行政機関の長等も、それぞれ保護措置を講ずる旨規定されている27

27 特定秘密保護法第6条の規定により特定秘密の提供を受ける行政機関の長が講ずることとされている保護措置は、施行令第11条第1項各号に掲げる措置であり(施行令第16条)、同法第10条の規定により特定秘密の提供を受ける者が講ずることとされている保護措置は、施行令第17条各号に掲げる措置である。

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 特定行政文書ファイル等の管理に資する事項の報告

運用基準V3(2)ア(イ)において、行政機関の長は、毎年1回、特定行政文書ファイル等の名称、保存場所、保存期間満了時の措置その他の特定行政文書ファイル等の管理に資する事項を、独立公文書管理監に報告することとされている。これに基づき各行政機関から独立公文書管理監に、平成31年3月31日時点での状況について、報告がなされた。

(イ) 検証・監察の対象となる部署の選定

指定・保有行政機関のうち9の行政機関に対し、行政文書ファイル管理簿に記載された「管理者」を基準に、特定行政文書ファイル等を管理する部署を独立公文書管理監が選定したほか、特定秘密を指定していないが他の行政機関から特定秘密の提供を受けた1の行政機関28も対象として、合計51部署29に対して検証・監察を行った。

28 内閣法制局を対象とした。
29 内閣官房9部署、内閣法制局1部署、警察庁1部署、法務省1部署、出入国在留管理庁1部署、公安調査庁1部署、外務省2部署、海上保安庁1部署、防衛省30部署及び防衛装備庁4部署であり、そのうち都外機関等は5部署である。

(ウ) 説明の聴取

各行政機関が定めた保護規程30及びこれに従って講じた保護措置について具体的に把握するとともに、実地調査において確認すべき点を抽出するため、各行政機関に対し、書面又は口頭で説明の聴取を行った。

30 保護規程は多岐にわたるため、特定秘密の保護に関する業務を管理する者、必要な施設設備の設置、取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、文書等の保管の制限並びに取扱いの業務の状況の検査に関する規定等について、検証・監察を行った。

(エ) 検証・監察の対象となる特定行政文書ファイル等の選定

検証・監察の対象となる特定行政文書ファイル等については、各部署が管理する特定行政文書ファイル等の中から、独立公文書管理監が選定した31

31 前回の報告対象期間においては原則として全体の約1割の選定としていたが、報告対象期間においては、これに限られることなく選定するよう努めた。

(オ) 実地調査

各行政機関を往訪し、検証・監察対象の特定行政文書ファイル等の背表紙、冊数等の現況を確認しつつ、保護規程に従った保護措置(施設設備の設置、立入り・機器持込みの制限等)の実施の状況を確認した。
なお、上記(4)イ(ア)のとおり、この機会をとらえるなどして、特定秘密の記録とその表示に係る検証・監察を行った32

32 これは、当該ファイルが特定行政文書ファイル等に該当することを確認するためのものであるが、効率性の観点から、特定秘密の記録とその表示の検証・監察を兼ねたものとして行った。

(カ) 適否の判断及び検証・監察の結果

説明聴取及び実地調査の結果を踏まえ、特定行政文書ファイル等の保存について、その適否を判断した結果、検証・監察を行った51部署について、検証・監察事項たる保護規程及び保護措置が適正であると認められた。

(6) 特定行政文書ファイル等の保存期間満了時の措置

公文書管理法第8条第2項において、行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない旨規定されている。また、運用上、「公文書等の管理に関する法律に基づく行政文書ファイル等の移管・廃棄等に関する手順について」(平成23年4月1日内閣府大臣官房公文書管理課長決定)3(1)に基づき、特定行政文書ファイル等については、独立公文書管理監による保存期間満了時の措置についての検証・監察において、廃棄と設定した措置は妥当との通知を受けた上で、保存期間満了年度別に一括して内閣総理大臣に協議することとされている33
このような中、保存期間満了時の措置の適否に関する検証・監察の対象は、①保存期間満了時の措置が廃棄とされ、②令和元年度末までに保存期間が満了し、③その保存期間を延長する予定がない特定行政文書ファイル等を保有する2の行政機関(経済産業省及び防衛省)とした34

33 このように、独立公文書管理監による検証・監察は、廃棄協議の手順との関係では、その過程における中間的な措置として位置付けられている。そのため、廃棄が妥当である旨は、行政機関の長に通知するだけではなく、内閣府大臣官房公文書管理課にも連絡することとした。
34 公文書管理法第5条第4項によれば、行政機関の長による保存期間の延長が可能であることから、保存期間満了日が迫り、かつ、その延長予定がない特定行政文書ファイル等(以下「対象ファイル」という。)の方が、それ以外のものよりも優先順位が高いと判断した。

ア 検証・監察のポイント

運用基準I2(2)において、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者は、公文書管理法についても各規定の内容を正確に理解してその適正な運用を徹底し、国民に対する説明責務を全うしなければならないこととされている。
公文書管理法第5条第5項において、行政機関の長は、行政文書ファイル等について、保存期間満了時の措置として、歴史公文書等にあっては国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては、廃棄の措置をとるべきことを定めなければならないこととされている。また、同法第8条第1項において、行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、この定めに基づき、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならないこととされている。いずれの規定も特定行政文書ファイル等の場合に当然適用される。
歴史公文書等に該当するかどうかの基準については、「行政文書の管理に関するガイドライン」35(平成23年4月1日内閣総理大臣決定。以下「ガイドライン」という。)の別表第2「保存期間満了時の措置の設定基準」36を踏まえ、各行政機関の行政文書管理規則において定められている。

35 行政文書の管理に関するガイドライン」(平成23年4月1日内閣総理大臣決定:平成29年12月26日一部改正)[PDF形式:520KB] PDFを別ウィンドウで開きます
36 以下のいずれかに該当する文書は、歴史公文書等に当たり、保存期間満了後には国立公文書館等に移管することとされている。【I】国の機関及び独立行政法人等の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績に関する重要な情報が記録された文書【II】国民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書【III】国民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書【IV】国の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 特定行政文書ファイル等の管理に資する事項の報告

運用基準V3(2)ア(イ)において、行政機関の長は、毎年1回、特定行政文書ファイル等(対象ファイルもこれに含まれる。)の名称、保存期間、保存期間満了時の措置その他の特定行政文書ファイル等の管理に資する事項を、独立公文書管理監に報告することとされている。これに基づき各行政機関から独立公文書管理監に、平成31年3月31日時点での状況について、報告がなされた。

(イ) 対象ファイルの確定

上記(ア)の報告には、特定行政文書ファイル等の保存期間を延長する予定の有無が含まれていないため、各行政機関に対して、①保存期間満了時の措置が廃棄とされ、②令和元年度末までに保存期間が満了し、③その保存期間を延長する予定がない特定行政文書ファイル等を保有しているかどうかを確認し、これらについて各行政機関側の判断が確定した段階で、順次、検証・監察に着手した。

(ウ) 説明の聴取

各行政機関に対し、対象ファイルの保存期間満了時の措置を廃棄と設定した理由、すなわち、歴史公文書等に該当しないと判断した理由について、書面又は口頭で説明の聴取を行った。

(エ) 実地調査

各行政機関を往訪し、対象ファイル(経済産業省1件及び防衛省207件)に係る特定秘密37を記録する全ての文書(経済産業省6件及び防衛省3456件)の提供を受け、その内容を確認した。

37 その概要は、経済産業省については、「衛星画像等」及び「情報収集衛星が撮像可能な地理的範囲」である。防衛省については、「電波情報業務」、「内外の諸情勢、自衛隊の能力等に関する見積り」、「防衛、警備等計画」及び「外国軍隊から独自に提供された情報」である。

(オ) 適否の判断及び検証・監察の結果

説明聴取及び実地調査の結果を踏まえ、計208件全ての対象ファイルについて、設定された保存期間満了時の措置(廃棄)は妥当であると認められたので、令和2年3月12日に経済産業省及び防衛省に対して、それぞれその旨通知した。

ウ その他

特定行政文書ファイル等の保存期間満了時の措置の検証・監察を契機として38、防衛省では、対象ファイルに係るものではないものの、特定秘密を記録する保存期間1年以上の文書399件について、公文書管理制度などの所定の手続きを経ずに廃棄されていたことが確認され、独立公文書管理監に対してその旨連絡がなされた。

38 対象ファイルの保存期間満了時の措置を廃棄と設定した理由に関して独立公文書管理監に説明するための資料を準備していた際に判明したものである。

(7) 特定行政文書ファイル等にすべきものの存否

平成29年中に保存期間1年未満の特定秘密文書を廃棄した行政機関39のうち、報告対象期間においても保存期間1年未満の特定秘密文書を作成又は取得していることが確認された行政機関において、それらの保存期間1年未満の特定秘密文書の中に保存期間を1年以上と設定すべきものがないかについて検証・監察を行った。

39 内閣官房、警察庁、消防庁、公安調査庁、外務省、文部科学省、経済産業省、防衛省及び防衛装備庁とされており、衆議院情報監視審査会平成30年年次報告書に記載されている。

ア 検証・監察のポイント

行政文書の保存期間については、ガイドラインの第4において、公文書管理法第2条第6項の歴史公文書等に該当するとされた行政文書にあっては、1年以上の保存期間を定めるものとされているほか、歴史公文書等に該当しないものであっても、行政が適正かつ効率的に運営され、国民に説明する責務が全うされるよう、意思決定過程や事務及び事業の合理的な後付けや検証に必要となる行政文書については、原則として1年以上の保存期間を定めるものとされている。

イ 検証・監察の過程及びその結果

(ア) 検証・監察の対象となる部署の選定

各行政機関に対し、書面又は口頭で説明の聴取を行い、報告対象期間においても保存期間1年未満の特定秘密文書を作成又は取得していることが確認された部署の中から、独立公文書管理監が選定した。

(イ) 保存期間1年未満の特定秘密文書の選定

対象となる部署が保有する保存期間1年未満の特定秘密文書40について、各行政機関に対して、作成又は取得の目的、用途、文書件名等の説明を求め、同種のものが多数作成又は取得される保存期間1年未満の特定秘密文書を中心に、独立公文書管理監が選定した。

40 選定に際しては、各行政機関に対し、その作成又は取得する保存期間1年未満の特定秘密文書が検証・監察の対象となる可能性があることを踏まえ、恣意的に廃棄することがないよう求めた。

(ウ) 説明の聴取

各行政機関に対し、保存期間を1年未満とすることができると判断した理由について、各行政機関の行政文書管理規則との関係も踏まえて、書面又は口頭での説明の聴取を行った。

(エ) 実地調査

各行政機関を往訪し、保存期間1年未満の特定秘密文書の提供を受け、その内容を確認した。

(オ) 適否の判断及び検証・監察の結果

説明聴取及び実地調査の結果を踏まえ、検証・監察を行った10部署41について、保存期間1年未満の特定秘密文書の中に保存期間を1年以上と設定すべきものはないものと認められた。

41 内閣官房2部署、警察庁1部署、公安調査庁1部署、外務省1部署及び防衛省5部署である。

5 検証・監察に関する定量的指標

検証・監察の過程において、162回にわたり、各行政機関からの説明聴取、行政機関に赴いての実地調査等を行った。
これらの過程において、特定秘密を記録する文書等について、計3,878件42(これら文書等に記録されている特定秘密の件数としては延べ5,269件43)の提供を受け、その内容を確認した。
なお、行政機関の長が特定秘密である情報の提供の求めに応じず、運用基準V3(2)ウに基づく理由の疎明を行った事案はなかった。
行政機関別の説明聴取、実地調査等の回数及び確認した特定秘密を記録する文書等の件数等については、表2のとおりである。

42 例えば、報告対象期間中に一つの文書を複数回提供されて確認した場合には、1件と計上している。

43 例えば、一つの文書に二つの指定に係る情報が記録されていることを確認した場合には、2件と計上している。

表2 各行政機関に対する検証・監察の実施回数等
  検証・監察の実績
説明聴取、実地調査等の回数 確認した特定秘密を記録する文書等の件数 文書等に記録されていることを確認した特定秘密の件数(延べ数)
国家安全保障会議2※ 00
内閣官房1862134
内閣法制局333
内閣府100
警察庁799
総務省300
消防庁100
法務省433
出入国在留管理庁433
公安調査庁71238
外務省101619
文部科学省100
経済産業省2621
海上保安庁244
防衛省893,7445,005
防衛装備庁81630
合計1623,8785,269

※ 国家安全保障会議については、事務局である国家安全保障局(内閣官房に設置)が同会議の指定した特定秘密を記録する文書を保有することから、同会議としては特定秘密を記録する文書を保有していない。

6 通報への対応

運用基準V4(2)において、特定秘密の取扱いの業務を行う者や過去に行っていた者又は業務上特定秘密を知得した者は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料するときは、行政機関の長が設置した窓口に通報することができることとされている44。これに加えて、一定の条件を満たす場合45には、独立公文書管理監の窓口に対して通報することができることとされている。
独立公文書管理監は、通報を受理した場合には、遅滞なく必要な調査を行うものとされ、特定秘密保護法等に従っていない状況が認められた場合には、行政機関の長に対し、是正を求めるものとされている。
報告対象期間中、独立公文書管理監において処理した通報は0件であった。なお、独立公文書管理監においては、引き続き、通報の要件を満たさないものであっても、検証・監察に資する情報の提供は広く受け付けることとしている。

44 行政機関の長は、通報を処理したときは、その内容を独立公文書管理監に報告することとされている(運用基準V4(2)ア(カ))が、報告対象期間中、この報告は0件であった。
45 以下のいずれかの条件を満たす場合には、独立公文書管理監への通報を行うことができる。①通報者が、行政機関の長に対して既に通報を行っており、当該行政機関の長から調査を行わない旨の通知又は調査の結果の通知を受けていること、②行政機関の長に対する通報は行っていないものの、以下のいずれかに該当すること。i)通報をすれば不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある。ii)通報をすれば証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある。iii)個人の生命又は財産に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある。

7 情報監視審査会への対応

令和元年6月6日付け「特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理について独立公文書管理監等がとった措置の概要に関する報告」(運用基準V5(1)オに基づく独立公文書管理監から内閣総理大臣への前回の報告)について、衆議院及び参議院の情報監視審査会の各委員に個別に資料を配付し、説明する機会を設けたほか、求めに応じ、情報監視審査会において説明及び質疑に対する応答を行った。また、衆議院情報監視審査会の平成30年年次報告書及び参議院情報監視審査会の平成29年年次報告書において示された政府に対する意見・指摘のうち、独立公文書管理監に関するものに対しては、表3のとおり説明した。
衆議院情報監視審査会令和元年年次報告書及び参議院情報監視審査会年次報告書(令和元年12月)において示された政府に対する意見・指摘のうち、独立公文書管理監に関するもの46に対しては、今後、その趣旨を踏まえて必要な対応を真摯に検討していく。

46 衆議院情報監視審査会からは、「独立公文書管理監は、特定秘密の指定の検証・監察の際に、各行政機関における特定秘密の指定要件の該当性判断が政府として統一的になされているかという観点からも実施するよう努めること。」「「特定行政文書ファイル等にすべきものの存否」に関する検証・監察については、実施件数を増やし知見を深め手法を確立する等、実効性向上に向けた取組を更に継続すること。また、特定秘密に指定すべき情報が意図的に外されていないかとの観点から実施されるものについても同様に実効性向上に向け取り組むよう努めること。」との意見を受けた。また、参議院情報監視審査会からは、「独立公文書管理監は、各行政機関における指定の有効期間の適切性についても引き続き厳格な検証・監察を行い、その結果を報告すること。」及び「保存期間1年未満の特定秘密文書の検証・監察の実施や、多くの特定秘密が指定の有効期限を迎えること等に伴い、独立公文書管理監の検証・監察業務に影響が生ずることを踏まえ、検証・監察に係る新たな手法の導入や、独立公文書管理監の分析能力向上を図るための取組などを積極的に行い、検証・監察の実効性を高めるとともに、必要に応じて人的資源の拡充を図るなど、検証・監察の体制を整備すること。また、各行政機関による特定秘密の指定等の状況に関して、検証・監察の過程で独立公文書管理監が得た問題意識については、積極的に本審査会と共有すること。」との指摘を受けた。

表3 年次報告書における意見・指摘(独立公文書管理監に関するもの)への説明状況
意見・指摘 独立公文書管理監の説明状況
○ 独立公文書管理監が検証・監察を行う際には、対象となる特定秘密文書の関連文書もチェックするなどして、本来、特定秘密に指定されるべき情報が意図的に外されていないかという観点からも実施すること。【衆議院】 ○ 特定秘密に指定されるべき情報が特定秘密として指定されない場合、特定秘密保護法による保護措置が講じられず、適切ではないものと思料される。当室は様々な情報に接するものであるところ、ご指摘の観点も念頭に置きつつ、引き続き厳正かつ実効的な検証・監察を実施してまいりたい。
○ 独立公文書管理監は、その職務の拡大を契機として、業務の充実を図り、情報保全監察室と公文書監察室との連携を強化することにより、実効的な特定秘密文書の検証・監察に努めること。なお、実効性の確保に向け、業務の増加に伴う体制強化に努めること。【衆議院】 ○ 平成30年9月、独立公文書管理監が局長級に格上げされ、新たに公文書監察室が設置されることとなった。独立公文書管理監は情報保全監察室と公文書監察室の双方の長を務めており、ご指摘の趣旨も踏まえつつ、必要な連携については、個別の事案に応じて適切に対応してまいりたい。
○ 内閣府独立公文書管理監が行う特定行政文書ファイル等の管理に対する検証・監察については、その実効性を更に高めるため、関係行政機関が特定秘密の指定及びその有効期間の延長を行う場合の当該行政機関が設定した有効期間の妥当性を判断する根拠について、本審査会での十分な説明に努めること。さらに、保存期間満了時に廃棄が予定されている特定行政文書ファイル等については、それに含まれる個別の特定秘密文書等が歴史公文書等に該当するかという点のみならず、例えば、廃棄予定の特定行政文書ファイル等が他の行政機関から提供された特定秘密文書等の副本を含む場合には、他の行政機関が保有する正本の存否及び保存期間も確認するなどして、特定秘密文書等の廃棄の適否の判断が適正に行われているか検証・監察を徹底すること。【参議院】 ○ 指定の有効期間の設定については、運用基準において、特定秘密に指定しようとする情報に係る諸情勢が変化すると考えられる期間を勘案し、指定の理由を見直すに当たって適切であると考えられる最も短い期間を定めるものとされているところ、今後もお求めに応じて丁寧にご説明させていただきたい。また、特定行政文書ファイル等の保存期間満了時の措置の検証・監察において、対象ファイルに係る特定秘密文書が他の行政機関から提供を受けたものである場合には、いわゆる原本の存否について確認しているところであり、引き続き厳正に検証・監察してまいりたい。

8 今後の展望

報告対象期間中は、これまでの検証・監察の手法を基礎として更なる改善に取り組みながら、計画的な検証・監察の実現に努めた。
その結果、全ての検証・監察事項に着手するとともに、前回の報告対象期間から新たに開始した特定行政文書ファイル等にすべきものの存否の検証・監察については対象行政機関を拡大するなど、厳正かつ実効的な検証・監察を行うことができた。また、この検証・監察を通じて、令和2年3月12日に特定秘密の記録とその表示について4件の是正の求めを行い、特定秘密保護法の適正な運用に資することとなった。
今後は、令和元年12月における特定秘密の指定の有効期間の延長等について検証・監察を継続するほか、令和2年4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が行われ、また、感染対策として引き続き人との接触に関する注意が必要と考えられることも踏まえ、実地調査等を伴う検証・監察について、実効性の確保に努めつつ、より効率的なものとできるよう改善に取り組んでいきたい。
さて、本報告は、平成26年12月10日に特定秘密保護法が施行されてから5年を経過して以後、初めての報告となる。特定秘密の指定等に関する検証・監察という前例のない業務であったが、独立公文書管理監の設置以来、行政機関の長に対する是正の求めを14件行うなど、着実に取り組みを進めてきたものと考えている。今後も、独立した公正な立場において、厳正かつ実効的な検証・監察を継続的に実施し、その任務を誠実に遂行することにより、特定秘密保護法等の運用に当たる各行政機関の職員の意識を高め、自浄作用を促進して、適正な運用の確保に貢献していきたい。

【参考資料】

○特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)(抄)

(特定秘密の指定)
第3条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第4号及び第5号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第11条第1号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和29年法律第166号)第1条第3項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。ただし、内閣総理大臣が第18条第2項に規定する者の意見を聴いて政令で定める行政機関の長については、この限りでない。
2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第5条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
  • 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
  • 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第2号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第1号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
(指定の有効期間及び解除)
第4条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して5年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第1項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、5年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
3~6 (略)
7 行政機関の長は、指定をした情報が前条第1項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。
(特定秘密の保護措置)
第5条 行政機関の長は、指定をしたときは、第3条第2項に規定する措置のほか、第11条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。
2~6 (略)
(我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)
第6条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。
3 第1項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
(その他公益上の必要による特定秘密の提供)
第10条 第4条第5項、第6条から前条まで及び第18条第4項後段に規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供するものとする。
  • 一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第4号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして、イに掲げる業務にあっては附則第10条の規定に基づいて国会において定める措置、イに掲げる業務以外の業務にあっては政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。
    • イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和22年法律第79号)第104条第1項(同法第54条の4第1項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和22年法律第225号)第1条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第52条第2項(同法第54条の4第1項において準用する場合を含む。)又は第62条の規定により公開しないこととされたもの
    • ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第316条の27第1項(同条第3項及び同法第316条の28第2項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの
  • 二 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第223条第6項の規定により裁判所に提示する場合
  • 三 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成15年法律第60号)第9条第1項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
  • 四 会計検査院法(昭和22年法律第73号)第19条の4において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条第1項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
2・3 (略)
(特定秘密の指定等の運用基準等)
第18条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。
2~4 (略)
(この法律の解釈適用)
第22条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
2 (略)

附則

(自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)
第5条 次条後段に規定する場合を除き、施行日の前日において前条の規定による改正前の自衛隊法(以下この条及び次条において「旧自衛隊法」という。)第96条の2第1項の規定により防衛大臣が防衛秘密として指定していた事項は、施行日において第3条第1項の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報と、施行日前に防衛大臣が当該防衛秘密として指定していた事項について旧自衛隊法第96条の2第2項第1号の規定により付した標記又は同項第2号の規定によりした通知は、施行日において防衛大臣が当該特定秘密について第3条第2項第1号の規定によりした表示又は同項第2号の規定によりした通知とみなす。この場合において、第4条第1項中「指定をするときは、当該指定の日」とあるのは、「この法律の施行の日以後遅滞なく、同日」とする。
(指定及び解除の適正の確保)
第9条 政府は、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置その他の特定秘密の指定及びその解除の適正を確保するために必要な方策について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
別表(第3条、第5条―第9条関係)
一 防衛に関する事項
  • イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
  • ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
  • ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
  • ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量
  • ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
  • ト 防衛の用に供する暗号
  • チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
  • リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
  • ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
二 外交に関する事項
  • イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
  • ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第1号イ若しくはニ、第3号イ又は第4号イに掲げるものを除く。)
  • ハ 安全保障に関し収集した国民の生命及び身体の保護、領域の保全若しくは国際社会の平和と安全に関する重要な情報又は条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報(第1号ロ、第3号ロ又は第4号ロに掲げるものを除く。)
  • ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
三 特定有害活動の防止に関する事項
  • イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
  • ロ 特定有害活動の防止に関し収集した国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報又は外国の政府若しくは国際機関からの情報
  • ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
四 テロリズムの防止に関する事項
  • イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
  • ロ テロリズムの防止に関し収集した国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報又は外国の政府若しくは国際機関からの情報
  • ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ニ テロリズムの防止の用に供する暗号

○特定秘密の保護に関する法律施行令(平成26年政令第336号)(抄)

(指定に関する記録の作成)
第3条 法第3条第2項の規定による同項の指定に関する記録の作成は、法第18条第1項の基準(以下「運用基準」という。)で定めるところにより、法第3条第1項の規定による指定(以下単に「指定」という。)及びその解除を適切に管理するための帳簿(磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製するものを含む。以下「特定秘密指定管理簿」という。)に次に掲げる事項を記載し、又は記録することにより行うものとする。
  • 一 指定をした年月日
  • 二 指定の有効期間及びその満了する年月日
  • 三 指定に係る特定秘密の概要
  • 四 指定に係る特定秘密である情報が法別表第1号イからヌまで、第2号イからホまで、第3号イからニまで又は第4号イからニまでのいずれの事項に関するものであるかの別
  • 五 法第3条第2項の規定により講ずる措置が同項各号のいずれの措置であるかの別
  • 六 前各号に掲げるもののほか、指定を適切に管理するために必要なものとして運用基準で定める事項
(特定秘密の表示の方法)
第4条 法第3条第2項第1号の規定による特定秘密の表示(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下同じ。)にあっては、当該表示の記録を含む。以下「特定秘密表示」という。)は、次の各号に掲げる特定秘密文書等(特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録若しくは物件又は当該情報を化体する物件をいう。以下同じ。)の区分に応じ、当該各号に定めるところによりするものとする。
  • 一 特定秘密である情報を記録する文書又は図画 別記第1様式に従い、その見やすい箇所に、印刷、押印その他これらに準ずる確実な方法によりすること。この場合において、当該文書又は図画のうち当該情報を記録する部分を容易に区分することができるときは、当該表示は、当該部分にすること。
  • 二 特定秘密である情報を記録する電磁的記録 当該電磁的記録のうち当該情報を記録する部分を電子計算機の映像面上において視覚により認識することができる状態にしたときに、別記第1様式の「特定秘密」の文字及び枠を共に認識することができるようにすること。
  • 三 特定秘密である情報を記録し、又は化体する物件 別記第1様式に従い、その見やすい箇所(見やすい箇所がないときは、その保管に用いる容器又は包装の外部)に、刻印、ラベルの貼付けその他これらに準ずる確実な方法によりすること。この場合において、当該物件のうち当該情報を記録し、又は化体する部分を容易に区分することができるときは、当該表示は、当該部分にすること。
(指定の有効期間の延長に伴う措置)
第8条 行政機関の長は、法第4条第2項の規定により指定の有効期間を延長したときは、次に掲げる措置を講ずるものとする。
  • 一 (略)
  • 二 特定秘密指定管理簿に当該指定の有効期間を延長した旨、延長後の当該指定の有効期間及びその満了する年月日並びに法第4条第4項の内閣の承認を得たときはその旨及び当該承認の年月日を記載し、又は記録すること。
(指定の解除に伴う措置)
第10条 行政機関の長は、法第4条第7項の規定により指定を解除したときは、次に掲げる措置を講ずるものとする。
  • 一・二 (略)
  • 三 特定秘密指定管理簿に当該指定を解除した旨及びその年月日を記載し、又は記録すること。
2 (略)
(行政機関の長による特定秘密の保護措置)
第11条 行政機関の長は、特定秘密を適切に保護するために、運用基準で定めるところにより、次に掲げる措置の実施に関する規程を定めるものとする。
  • 一 特定秘密の保護に関する業務を管理する者の指名
  • 二 職員に対する特定秘密の保護に関する教育
  • 三 特定秘密の保護のために必要な施設設備の設置
  • 四 法第11条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちからの特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲の決定
  • 五 特定秘密を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限
  • 六 特定秘密を取り扱うために使用する電子計算機の使用の制限
  • 七 前二号に掲げるもののほか、特定秘密文書等の作成、運搬、交付、保管、廃棄その他の取扱いの方法の制限
  • 八 特定秘密の伝達(特定秘密文書等の交付以外の方法によるものに限る。第17条第8号において同じ。)の方法の制限
  • 九 特定秘密の取扱いの業務の状況の検査
  • 十 特定秘密文書等の奪取その他特定秘密の漏えいのおそれがある緊急の事態に際し、その漏えいを防止するため他に適当な手段がないと認められる場合における焼却、破砕その他の方法による特定秘密文書等の廃棄
  • 十一 特定秘密文書等の紛失その他の事故が生じた場合における被害の発生の防止その他の措置
  • 十二 前各号に掲げるもののほか、特定秘密の保護に関し必要なものとして運用基準で定める措置
2 法第5条第1項の政令で定める措置は、前項の規程に従い、当該特定秘密に関し同項各号に掲げる措置を講ずることとする。
3 (略)
(提供の際の通知)
第15条 法第6条第1項、第7条第1項、第8条第1項、第9条、第10条又は第18条第4項後段の規定により特定秘密の提供をする者は、当該提供を受ける者に対し、当該特定秘密の指定の有効期間が満了する年月日を書面により通知するものとする。
(他の行政機関による特定秘密の保護措置)
第16条 法第6条第2項の政令で定める事項は、当該他の行政機関の長による次に掲げる措置及び当該特定秘密に関する第11条第1項各号に掲げる措置の実施に関する事項とする。
  • 一~四 (略)
(その他公益上の必要による特定秘密の提供を受けた者による特定秘密の保護措置)
第17条 法第10条第1項第1号の政令で定める措置は、同条(同号(イに係る部分を除く。)に係る部分に限る。)の規定により特定秘密の提供を受ける者による次に掲げる措置とする。
  • 一 当該特定秘密を利用し、又は知る者に、その利用し、又は知る情報が特定秘密であることを認識させるために必要な表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)又は通知であって、当該提供の目的である業務の遂行に支障のない範囲内でするものの方法を定めること。
  • 二 当該特定秘密の保護に関する業務を管理する者を指名すること。
  • 三 当該特定秘密を利用し、又は知る者に対し、特定秘密の保護の重要性を理解させること。
  • 四 当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること。
  • 五 当該提供の目的である業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすること。
  • 六 当該特定秘密を取り扱うために使用する電子計算機の使用を制限すること。
  • 七 前号に掲げるもののほか、当該特定秘密である情報に係る特定秘密文書等の作成、運搬、交付、保管、廃棄その他の取扱いの方法を制限すること。
  • 八 当該特定秘密の伝達の方法を制限すること。
  • 九 当該特定秘密の利用の状況の検査の方法を定めること。
  • 十 当該特定秘密である情報に係る特定秘密文書等の紛失その他の事故が生じた場合における当該提供をした者に対する報告の方法を定めること。

附則

(自衛隊法施行令の一部改正に伴う経過措置)
第3条 この政令の施行の日(以下この条において「施行日」という。)前に法附則第5条の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報とみなされる事項を記録する文書、図画若しくは物件又は当該事項を化体する物件について前条の規定による改正前の自衛隊法施行令(以下この条において「旧自衛隊法施行令」という。)第113条の8の規定により防衛秘密管理者が講じた防衛秘密の表示をする措置は、施行日において防衛大臣が当該情報に係る特定秘密文書等についてした特定秘密表示とみなす。
2~4 (略)

別記第1様式(第4条関係)

特定秘密

備考 色彩は、やむを得ない場合を除き、赤色とする。

○特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(平成26年10月14日閣議決定)(抄)

I 基本的な考え方

1 策定の趣旨

特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号。以下「特定秘密保護法」という。)の統一的な運用を図るため、特定秘密保護法第18条第1項の規定に基づき、「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」(以下「本運用基準」という。)を定める。本運用基準は、行政機関の長をはじめ、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者が、本運用基準が定める内容に従って特定秘密保護法の運用を統一的に行うことにより、特定秘密の漏えいの防止を図るとともに、その適正を確保するために定めるものである。(以下略)

2 特定秘密保護法の運用に当たって留意すべき事項

(1) 拡張解釈の禁止並びに基本的人権及び報道・取材の自由の尊重
特定秘密保護法は、第22条第1項及び第2項において、その適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないこと、及び出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとすることを定めている。当該規定は、行政機関等における解釈適用の準則、すなわち、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者が特定秘密保護法を解釈適用するに当たって従わなくてはならない基準である。特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者は、当該規定の内容を十分に理解し、以下の点に留意しなければならない。
  • ア 特定秘密保護法が定める各規定を拡張して解釈してはならず、厳格にこれを適用すること。特に、特定秘密保護法第3条第1項、第4条及び別表各号については、この点により一層留意し、本運用基準II1、II4(1)、III1(1)等の規定に従って、必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定するものとすること。
  • イ 憲法に規定する基本的人権を不当に侵害することのないようにすること。特に、適性評価の実施に当たっては、プライバシーの保護に十分に配慮しなければならないこと。
  • ウ いわゆる国民の知る権利は、憲法第21条の保障する表現の自由や、憲法のよって立つ基盤である民主主義社会の在り方と結び付いたものとして、十分尊重されるべきものであること。特に、報道又は取材の自由については、国民の知る権利を保障するものとして十分に配慮することとし、出版又は報道の業務に従事する者と接触する際には、特定秘密保護法第22条第1項及び第2項の規定を遵守すること。
(2) 公文書管理法及び情報公開法の適正な運用
行政文書(公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号。以下「公文書管理法」という。)第2条第4項に規定する行政文書をいう。以下同じ。)は、公文書管理法に基づき管理され、また、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)に基づく開示請求がされた場合には、情報公開法第5条各号に掲げる不開示情報を除き、開示されることとなる。特定秘密である情報を記録する行政文書も、公文書管理法及び情報公開法が当然適用される。すなわち、特定秘密である情報を記録する行政文書についても、指定が解除され、又は指定の有効期間が満了し、当該行政文書の保存期間が満了した場合に、歴史公文書等(公文書管理法第2条第6項に規定する歴史公文書等をいう。以下同じ。)に該当するものは、国立公文書館等に移管されることとなる。(中略)特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者は、これらの点について十分に理解した上で、特定秘密保護法だけではなく、公文書管理法及び情報公開法についても各規定の内容を正確に理解してその適正な運用を徹底し、国民に対する説明責務を全うしなければならない。

3 特定秘密を取り扱う者等の責務

(1) 特定秘密を取り扱う者は、特定秘密保護法、施行令、本運用基準及び各種関連規程の内容を十分に理解し、これらの適正な運用の確保を図りつつ、特定秘密の保護のための措置を適確に講じなければならない。

(2) 特定秘密を取り扱う者は、自身が特定秘密の漏えいの働き掛けを受ける対象となり得ることを十分に認識し、施行令第11条第2項に基づき実施される特定秘密の保護に関する教育を受講するなどして規範意識を常に高く保たなければならない。

(3) 特定秘密を取り扱う者は、特定秘密の漏えいの働き掛けを受けた場合又はその兆候を認めた場合には、上司その他の適当な者へ報告するなど、適切に対処するものとする。

(4) (1)から(3)までは、特定秘密を取り扱わなくなった者についても、同様とする。

II 特定秘密の指定等

1 指定の要件

特定秘密保護法第3条第1項は、行政機関の長が指定する特定秘密について、以下の3つの要件を規定している。

  • 当該行政機関の所掌事務に係る特定秘密保護法別表に掲げる事項に関する情報であること(以下「別表該当性」という。)。
  • 公になっていない情報であること(以下「非公知性」という。)。
  • その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要である情報であること(以下「特段の秘匿の必要性」という。)。

行政機関の長が指定しようとする情報が、この3つの要件を満たすか否かを判断するに当たっての基準は以下のとおりとする。

(1) 別表該当性
別表該当性の判断は、以下のとおり特定秘密保護法別表に掲げる事項の範囲内でそれぞれの事項の内容を具体的に示した事項の細目に該当するか否かにより行うものとする。なお、事項の細目に該当する情報の全てを特定秘密として指定するものではなく、当該情報のうち、後述の非公知性及び特段の秘匿の必要性の要件を満たすもののみを特定秘密として指定する。
【別表第1号(防衛に関する事項)】
イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
  • a 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究のうち、以下に掲げる事項に関するもの(bに掲げるものを除く。)
    • (a) 自衛隊の訓練又は演習
    • (b) 自衛隊の情報収集・警戒監視活動((c)に掲げるものを除く。)
    • (c) 自衛隊法(昭和29年法律第165号)に規定する防衛出動、治安出動、自衛隊の施設等の警護出動その他の我が国の安全を確保するための自衛隊の行動
  • b 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究であってアメリカ合衆国の軍隊との運用協力に関するもの(同国において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
  • a 電波情報、画像情報その他情報収集手段を用いて収集した情報(bに掲げるものを除く。)
  • b 外国の政府又は国際機関(以下「外国の政府等」という。)から提供された情報(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
  • c a又はbを分析して得られた情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ロaからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況又は能力(イa(b)に掲げるものを除く。)
ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
  • a 防衛力の整備のために行う国内外の諸情勢に関する見積り又はこれに対する我が国の防衛若しくは防衛力の整備に関する方針
  • b 防衛力の整備のために行う防衛力の能力の見積り又はこれに基づく研究
  • c 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究であってアメリカ合衆国との防衛協力に関するもの
ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
  • 武力攻撃事態その他の緊急事態への自衛隊の対処に際して自衛隊の部隊が装備する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量のうち当該部隊が当該事態に対処する能力を推察できるもの
ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
  • 自衛隊の部隊の間での通信に使用する通信網の構成又は通信の方法(外国の政府等から提供されたものにあっては当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
ト 防衛の用に供する暗号
  • 我が国の政府が用いるために作成された暗号(外国の政府等から提供されたものにあっては当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。また、民生用のものを除く。)
チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
  • a 自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法(bに掲げるものを除く。)
  • b 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法のうち外国の政府等から提供されたもの(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
  • a 自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法(bに掲げるものを除く。)
  • b 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法のうち外国の政府等から提供されたもの(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
  • 防衛の用に供する施設の構造その他の設計上の情報、施設の能力に関する情報又は内部の用途(外国の政府等から提供されたものにあっては、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
【別表第2号(外交に関する事項)】
イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
  • a 外国の政府等との交渉又は協力の方針又は内容のうち、以下に掲げる事項に関するもの(bに掲げるものを除く。)
    • (a) 国民の生命及び身体の保護
    • (b) 領域の保全
    • (c) 海洋、上空等における権益の確保
    • (d) 国際社会の平和と安全の確保(我が国及び国民の安全に重大な影響を与えるものに限る。また、(a)から(c)までに掲げるものを除く。)
  • b 外国の政府等との協力の方針又は内容のうち、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの
ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第1号イ若しくはニ、第3号イ又は第4号イに掲げるものを除く。)
  • a 我が国が実施する以下の措置の方針(bに掲げるものを除く。)
    • (a) 外国人の本邦への入国の禁止若しくは制限又は邦人の外国への渡航の自粛の要請
    • (b) 貨物の輸出若しくは輸入の禁止又は制限
    • (c) 資産の移転の禁止又は制限
    • (d) 航空機の乗り入れ若しくは船舶の入港の禁止又は制限
    • (e) (b)の貨物を積載した船舶の検査
    • (f) 外国の政府等に対して我が国が講ずる外交上の措置(我が国及び国民の安全に重大な影響を与えるものに限る。また、(a)から(e)までに掲げるものを除く。)
  • b 領域の保全のために我が国の政府が講ずる措置又はその方針
ハ 安全保障に関し収集した国民の生命及び身体の保護、領域の保全若しくは国際社会の平和と安全に関する重要な情報又は条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報(第1号ロ、第3号ロ又は第4号ロに掲げるものを除く。)
  • a 電波情報、画像情報その他情報収集手段を用いて収集した情報(bに掲げるものを除く。)
  • b 外国の政府等から提供された情報(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
  • c a又はbを分析して得られた情報
ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ハaからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況又は能力
ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
  • 我が国の政府が用いるために作成された暗号(外国の政府等から提供されたものにあっては当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。また、民生用のものを除く。)
【別表第3号(特定有害活動の防止に関する事項)】
イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
  • a 特定有害活動の防止のための措置又はこれに関する計画若しくは研究のうち、以下に掲げる事項に関するもの(bに掲げるものを除く。)
    • (a) 特定秘密保護法第12条第2項第1号に規定する核兵器、化学製剤、細菌製剤その他の物を輸出し、又は輸入するための活動の防止
    • (b) 緊急事態への対処に係る部隊の戦術
    • (c) 重要施設、要人等に対する警戒警備
    • (d) サイバー攻撃の防止
  • b 特定有害活動の防止のために外国の政府等と協力して実施する措置又はこれに関する計画若しくは研究のうち、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの
ロ 特定有害活動の防止に関し収集した国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報又は外国の政府若しくは国際機関からの情報
  • a 電波情報、画像情報その他情報収集手段を用いて収集した情報(bに掲げるものを除く。)
  • b 外国の政府等から提供された情報(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
  • c a又はbを分析して得られた情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ロaからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況又は能力
ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
  • 我が国の政府が用いるために作成された暗号(外国の政府等から提供されたものにあっては、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。また、民生用のものを除く。)
【別表第4号(テロリズムの防止に関する事項)】
イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
  • a テロリズムの防止のための措置又はこれに関する計画若しくは研究のうち、以下に掲げる事項に関するもの(bに掲げるものを除く。)
    • (a) 緊急事態への対処に係る部隊の戦術
    • (b) 重要施設、要人等に対する警戒警備
    • (c) サイバー攻撃の防止
  • b テロリズムの防止のために外国の政府等と協力して実施する措置又はこれに関する計画若しくは研究のうち、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの
ロ テロリズムの防止に関し収集した国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報又は外国の政府若しくは国際機関からの情報
  • a 電波情報、画像情報その他情報収集手段を用いて収集した情報(bに掲げるものを除く。)
  • b 外国の政府等から提供された情報(当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。)
  • c a又はbを分析して得られた情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
  • ロaからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況又は能力
ニ テロリズムの防止の用に供する暗号
  • 我が国の政府が用いるために作成された暗号(外国の政府等から提供されたものにあっては、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるものに限る。また、民生用のものを除く。)
(2) 非公知性
非公知性の判断は、現に不特定多数の人に知られていないか否かにより行うものとする。当該情報と同一性を有する情報が報道機関、外国の政府その他の者により公表されていると認定する場合には、たとえ我が国の政府により公表されていなくても、本要件を満たさない。なお、実際の判断に当たっては、当該情報の内容に応じ、これを知る必要がある者、実際にこれを知っている者、当該時点までの当該情報の管理の状態等の要素を勘案して個別具体的に行うものとする。
(3) 特段の秘匿の必要性
特段の秘匿の必要性の判断は、当該情報の漏えいにより、
  • 安全保障のために我が国が実施する施策、取組等に関し、これらの計画、方針、措置その他の手の内やこれらのための我が国の能力が露見し、対抗措置が講じられ、我が国に対する攻撃が容易となったり、外国の政府等との交渉が困難となったりすることとなる
  • 外国の政府その他の者との信頼関係や我が国の秘密保護に関する信用が著しく損なわれ、今後の情報収集活動、当該外国の政府等との安全保障協力等が滞る
など我が国の安全保障に著しい支障を与える事態が生じるおそれがあるか否かにより行うものとする。
(4) 特に遵守すべき事項
特定秘密を指定するに当たって、行政機関の長は、以下の点を遵守しなければならない。
  • ア 3つの要件の該当性の判断は、厳格に行い、特定秘密として保護すべき情報を漏れなく指定するとともに、当該情報以外の情報を指定する情報に含めないようにすること。
  • イ 公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、又はその隠蔽を目的として、指定してはならないこと。
  • ウ 国民に対する説明責任を怠ることのないよう、指定する情報の範囲が明確になるよう努めること。

2 実施体制

行政機関の長は、施行令第11条第1項第1号の特定秘密の保護に関する業務を管理する者として、行政機関の長以外の当該行政機関の職員のうちから、我が国の安全保障に関する事務のうち特定秘密保護法別表に掲げる事項に係るものを所掌する国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第7条の官房、局、部若しくは委員会の事務局若しくは事務総局の長、同法第8条の2の施設等機関の長、同法第8条の3の特別の機関の長、同法第9条の地方支分部局の長又はこれらに準ずる者を特定秘密管理者に指名し、特定秘密の保護に関する業務を管理するために必要な以下に掲げる措置を講じさせるものとする。

(1)~(9) (略)

(10) 施行令第11条第2項の規定による措置

(11)・(12) (略)

3 指定手続

(1) 行政機関又は都道府県警察の職員は、特定秘密に指定すべきと考えられる情報を知ったときには、直ちに当該情報が特定秘密に指定されるよう関係職員に通報するなどの措置を講ずるものとする。

(2) 行政機関の長は、指定する際には、書面又は電磁的記録により、当該指定に係る情報を他の情報と区別することができるように記述するとともに、当該情報の指定の理由(以下「指定の理由」という。)を記すものとする。この場合において、当該指定に係る情報の記述(以下「対象情報の記述」という。)は、これを特定秘密として取り扱うことを要しないように記さなければならない。また、指定の理由の中には、当該情報が指定の要件を満たしていると判断する理由を明記することとする。

(3) 対象情報の記述は、必要に応じ、「(○○を含む。)」、「(○○を除く。)」と記すこと等により、当該指定に係る情報の範囲が明確になるようにするものとする。また、毎年度作成する計画や継続的に収集する情報など、行政機関が当該指定に係る情報を異なる時期に複数回保有することが想定される場合には、指定の有効期間を定める趣旨に鑑み、対象情報の記述及び施行令第3条第3号の特定秘密の概要は、例えば「平成○○年度○○計画」、「情報収集衛星により平成○○年中に入手した衛星画像情報」、「平成○○年中の○○国との間の○○に関する交渉の内容」と期間を区切るなどして、適切に管理できるよう記すものとする。

(4) 特定秘密に指定しようとする情報が、災害時の住民の避難等国民の生命及び身体を保護する観点からの公表の必要性、外国の政府等との交渉の終了その他の一定の条件が生じた場合に指定を解除すべき情報である場合には、当該条件を指定の理由の中で明らかにするものとする。

(5) 特定秘密指定管理簿には、個々の特定秘密について、施行令第3条第1号から第5号までに掲げる事項、指定の整理番号及び当該指定に係る特定秘密の保護に関する業務を管理する特定秘密管理者の官職を一覧できるように記載し、又は記録するものとする。同条第3号の特定秘密の概要については、特定秘密として取り扱うことを要しないよう要約したものを記述するものとする。なお、記載事項に変更があったときは、遅滞なく必要な変更を加えなければならない。

(6) 特定秘密管理者は、指定がされたときは、行政機関の長の命を受けて、特定秘密保護法第3条第2項第1号又は第2号に規定する措置を講ずるほか、当該指定に係る施行令第3条第2号及び第3号に掲げる事項(同条第2号に掲げる事項にあっては、指定の有効期間が満了する年月日に限る。)を当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務に従事する職員(当該指定について特定秘密保護法第3条第2項第2号の通知を受けた者を除く。)に周知するものとする。

4 指定の有効期間の設定

(1) 行政機関の長は、特定秘密保護法第4条第1項に基づく指定の有効期間として、特定秘密に指定しようとする情報に係る諸情勢が変化すると考えられる期間を勘案し、指定の理由を見直すに当たって適切であると考えられる最も短い期間を定めるものとする。例えば、

  • 定期的に策定される計画の策定に必要な資料にあっては、当該計画の次の計画が策定されるまでの間(毎年策定する計画の場合には2年等)
  • 情報通信技術の動向に密接に関係する情報にあっては、一般に当該技術の進展に応じた年数(3年等)
  • 外国の政府等の政策に密接に関係する要人の動向に関する情報にあっては、当該国の指導者の任期(4年等)

と定めることが考えられるが、行政機関の長は、指定の有効期間の基準を定めることが可能な情報についてはこれを定めるなどにより、統一的な運用を図るものとする。

(2) 行政機関の長は、現に行われている外国の政府等との交渉の方針など、指定の有効期間を年数により設定することが困難である場合は、当該指定の有効期間を5年とした上で、指定を解除する条件を指定の理由の中で明らかにするよう努めるものとする。

5 (略)

6 指定した特定秘密を適切に保護するための規程

(1) 施行令第11条第1項に規定する規程(以下「規程」という。)には、同条各号に掲げる措置及び特定秘密の保護に関する業務の実施体制の構築その他特定秘密を適切に保護するために必要な事項を定めるものとする。

(2)~(4) (略)

III 特定秘密の指定の有効期間の満了、延長、解除等

1 指定の有効期間の満了及び延長

(1) 指定時又は延長時に定めた有効期間が満了する場合
行政機関の長は、指定の有効期間を延長するときには、指定の理由を点検する。時の経過に伴い指定の理由に係る特段の秘匿の必要性を巡る状況が変化している中、更に当該指定の有効期間を延長するときは、書面又は電磁的記録により、その判断の理由を明らかにしておくものとする。特に、以下のアからオまでに掲げる事項に関する特定秘密(外国の政府等から提供されたものを除く。)について、当該アからオまでに掲げるときを経過した後、当該指定の有効期間を延長するときには、慎重に判断するものとする。
ア 見積り又は計画のうち、対象期間が定められているもの 当該対象期間が満了したとき
イ 情報収集活動の方法又は能力 これらのものを活用しなくなったとき
ウ 暗号 当該暗号を使用しなくなったとき
エ 防衛の用に供する物、通信網若しくは通信の方法又は施設 これらのものを使用しなくなったとき
オ 外国の政府等との交渉が困難となるおそれのある情報 当該交渉が終了したとき
(2)~(4) (略)

2 指定の解除

(1) 指定の理由の点検等
行政機関の長は、その指定に係る特定秘密の取扱いの業務に従事する当該行政機関の職員に、当該指定の理由を点検させ、その実施年月日を書面又は電磁的記録に記載又は記録させるとともに、指定の要件を満たしていないと認めたときには、速やかに指定を解除するものとする。
(2)~(4) (略)

3 (略)

IV (略)

V 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の適正を確保するための措置等

1 内閣官房及び内閣府の任務並びにその他の行政機関の協力

(1) 内閣官房は、特定秘密保護法の適正な運用の確保についての自らの責任を十分に認識し、特定秘密の指定、その有効期間の設定及び延長並びに指定の解除(以下単に「特定秘密の指定及びその解除」という。)並びに適性評価の実施の適正を確保するための事務を行う。

(2) 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の適正を確保するための事務の公正かつ能率的な遂行を図るため、内閣に内閣保全監視委員会を設置する。内閣保全監視委員会の庶務は、内閣官房内閣情報調査室において処理し、内閣保全監視委員会の構成その他必要な事項は、別に内閣官房長官が定めるものとする。

(3) 内閣府は、内閣官房とは別の立場から、いずれの行政機関にも偏ることなく判断することの重要性を十分に認識し、特定秘密の指定及びその解除並びに行政文書ファイル管理簿(公文書管理法第7条第1項に規定する行政文書ファイル管理簿をいう。)に記載された行政文書ファイル等(公文書管理法第5条第5項に規定する行政文書ファイル等をいう。5(1)ア(エ)及び(オ)において同じ。)のうち特定秘密である情報を記録するもの(以下「特定行政文書ファイル等」という。)の管理の適正の確保に関する事務を行う。

(4) 行政機関は、(1)及び(3)に定める事務に関し、内閣官房及び内閣府にそれぞれ協力するものとする。

2 (略)

3 特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の検証・監察・是正

(1) 内閣府独立公文書管理監による検証・監察・是正
ア 内閣府独立公文書管理監(内閣府独立公文書管理監が指名する内閣府の職員を含む。以下同じ。)は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法及び施行令の規定並びに本運用基準IからIIIまで(以下「特定秘密保護法等」という。)に従って行われているかどうか検証し、監察するものとする。
イ 内閣府独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をすることができる。
ウ 内閣府独立公文書管理監は、検証又は監察の結果、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は当該特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求めるものとする。内閣府独立公文書管理監は、是正を求めたときは、その内容を内閣保全監視委員会へ通知するものとする。
(2) 行政機関の長による特定秘密指定管理簿の写しの提出等
ア 行政機関の長は、(1)アに定める検証及び監察の実施に資するため、次に掲げる事務を行うものとする。
  • (ア) 特定秘密を指定し、施行令第3条に基づき特定秘密指定管理簿に必要な事項を記載し若しくは記録したとき、又は、指定の有効期間を延長し、若しくは指定を解除し、施行令第8条第2号若しくは第10条第1項第3号に基づき、それぞれ特定秘密指定管理簿に必要な事項を記載し若しくは記録したときは、速やかに、内閣府独立公文書管理監に、当該指定に関する特定秘密指定管理簿の写しを提出すること。
  • (イ) 特定行政文書ファイル等の管理について、毎年1回、次に掲げる事項その他の特定行政文書ファイル等の管理に資する事項を、内閣府独立公文書管理監に報告すること。
    • a 特定行政文書ファイル等の名称
    • b 特定行政文書ファイル等の保存場所
    • c 特定行政文書ファイル等の保存期間
    • d 特定行政文書ファイル等の保存期間が満了したときの措置
  • (ウ) 特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと行政機関の長が認めた場合には、速やかに内閣府独立公文書管理監に報告すること。
イ 行政機関の長は、(1)イによる求めがあったときは、特定秘密保護法第10条第1項の規定により、内閣府独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとする。
ウ 行政機関の長は、当該特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして(1)イによる求めに応じないときは、その理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない。
エ 行政機関の長は、(1)ウの求めがあったときは、適切な措置を講じた上で、当該措置について内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。

4 特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正に関する通報

(1) 通報の処理の枠組み
内閣府独立公文書管理監及び行政機関の長は、特定秘密の取扱いの業務を行う者若しくは行っていた者又は特定秘密保護法第4条第5項、第9条、第10条若しくは第18条第4項後段の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者(以下「取扱業務者等」という。)が、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料する場合に行う通報を受け付け、処理するため、窓口(以下「通報窓口」という。)を設置し、公表するものとする。
(2) 通報の処理
ア 行政機関に対する通報
  • (ア)~(オ) (略)
  • (カ) 行政機関の長は、通報を処理したときは、その内容を内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。
イ 内閣府独立公文書管理監に対する通報
  • (ア) 取扱業務者等は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料するときは、内閣府独立公文書管理監の通報窓口に対し、その旨の通報をすることができる。この場合において、取扱業務者等は、特定秘密指定管理簿に記述された特定秘密の概要や特定秘密が記録された文書の番号を用いるなどし、特定秘密を漏らしてはならない。
  • (イ) (ア)に定める通報は、ア(イ)において調査を行わない旨の通知又は同(オ)の通知を受けた後でなければ、行うことができない。ただし、次に掲げる場合は、この限りではない。
    • a ア(ア)に定める通報をすれば不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
    • b ア(ア)に定める通報をすれば当該通報に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
    • c 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
  • (ウ) 内閣府独立公文書管理監は、通報を受理した場合、遅滞なく必要な調査を行うものとする。
  • (エ) 通報を受理した内閣府独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、(イ)の通知に係る行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をすることができる。
  • (オ) 行政機関の長は、(エ)による求めがあったときは、特定秘密保護法第10条第1項の規定により、内閣府独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとする。
  • (カ) 行政機関の長は、当該特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして(エ)による求めに応じないときは、その理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない。
  • (キ) 内閣府独立公文書管理監は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求めるものとする。
  • (ク) 行政機関の長は、(キ)の求めがあったときは、適切な措置を講じた上で、当該措置について内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。
  • (ケ) 内閣府独立公文書管理監は、調査の結果を遅滞なく通報者に対し通知するものとする。
(3) 通報者の保護等
ア 通報の処理に関与した職員は、通報者を特定させることとなる情報その他の通報に関する秘密を漏らしてはならず、又は知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、若しくは不当な目的に利用してはならない。
イ・ウ (略)
エ 行政機関の長及び内閣府独立公文書管理監は、通報の処理に係る記録を作成し、適切な保存期間を定めた上で、当該記録を関係資料とともに適切な方法で管理しなければならない。

5 特定秘密保護法第18条第2項に規定する者及び国会への報告

(1) 内閣総理大臣への報告等
ア 行政機関の長は、毎年1回、(ア)から(シ)までに掲げる事項を内閣保全監視委員会に、(ア)から(キ)まで及び(シ)に掲げる事項を内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。
  • (ア) 当該行政機関の長が指定をした特定秘密の件数及び過去1年に新たに指定をした特定秘密の件数(II1(1)に規定する事項の細目ごと。(イ)及び(ウ)において同じ。)
  • (イ) 過去1年に指定の有効期間の延長をした件数
  • (ウ) 過去1年に指定を解除した件数
  • (エ) 特定秘密であった情報を記録する行政文書ファイル等を過去1年に国立公文書館等に移管した件数
  • (オ) 特定秘密であった情報を記録する行政文書ファイル等を過去1年に廃棄した件数
  • (カ) 過去1年に廃棄した特定行政文書ファイル等の件数
  • (キ) 過去1年に処理した4(2)ア(ア)の通報の件数
  • (ク) 過去1年に適性評価を実施した件数(警察庁長官にあっては、警察本部長が実施した適性評価の件数を含む。(ケ)及び(コ)において同じ。)
  • (ケ) 過去1年に適性評価の評価対象者が特定秘密保護法第12条第3項の同意をしなかった件数
  • (コ) 過去1年に申出のあった特定秘密保護法第14条の苦情の件数
  • (サ) 過去1年に行った適性評価に関する改善事例
  • (シ) その他参考となる事項
イ (略)
ウ 内閣府独立公文書管理監は、内閣保全監視委員会に対し、ア(ア)から(キ)まで及び(シ)に掲げる事項に関し、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理についての意見を述べることができる。
エ (略)
オ 内閣府独立公文書管理監は、毎年1回、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正を確保するため内閣府独立公文書管理監及び行政機関の長がとった措置の概要を内閣総理大臣に報告するとともに、公表するものとする。
(2)・(3) (略)

6 その他の遵守すべき事項

(1) 2、3(1)イ、4(2)イ(エ)又は5(1)イに基づき特定秘密の提供を受けた内閣保全監視委員会又は内閣府独立公文書管理監は、当該特定秘密を提供した行政機関の長とあらかじめ協議して定めるところに従い、当該特定秘密を利用する職員の範囲を制限することその他の当該特定秘密の保護のために必要な措置を講じなければならない。

(2) (略)

(3) 内閣府独立公文書管理監は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正を確保するために必要な専門的技術的知識及び能力の維持向上に努めなければならない。

VI・VII (略)

○公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)(抄)

(定義)
第2条 (略)
2 (略)
3 この法律において「国立公文書館等」とは、次に掲げる施設をいう。
  • 一 独立行政法人国立公文書館(以下「国立公文書館」という。)の設置する公文書館
  • 二 行政機関の施設及び独立行政法人等の施設であって、前号に掲げる施設に類する機能を有するものとして政令で定めるもの
4 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第19条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
  • 一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
  • 二 特定歴史公文書等
  • 三 政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
5 (略)
6 この法律において「歴史公文書等」とは、歴史資料として重要な公文書その他の文書をいう。
7・8 (略)
(整理)
第5条 行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
2 行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
3 前項の場合において、行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
4 行政機関の長は、第1項及び前項の規定により設定した保存期間及び保存期間の満了する日を、政令で定めるところにより、延長することができる。
5 行政機関の長は、行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(以下「行政文書ファイル等」という。)について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。
(行政文書ファイル管理簿)
第7条 行政機関の長は、行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「行政機関情報公開法」という。)第5条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「行政文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された行政文書ファイル等については、この限りでない。
2 (略)
(移管又は廃棄)
第8条 行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第5条第5項の規定による定めに基づき、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならない。
2 行政機関(会計検査院を除く。以下この項、第4項、次条第3項、第10条第3項、第30条及び第31条において同じ。)の長は、前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
3・4 (略)
(行政文書管理規則)
第10条 行政機関の長は、行政文書の管理が第4条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め(以下「行政文書管理規則」という。)を設けなければならない。
2 行政文書管理規則には、行政文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
  • 一 作成に関する事項
  • 二 整理に関する事項
  • 三 保存に関する事項
  • 四 行政文書ファイル管理簿に関する事項
  • 五 移管又は廃棄に関する事項
  • 六 管理状況の報告に関する事項
  • 七 その他政令で定める事項
3・4 (略)

○公文書等の管理に関する法律施行令(平成22年政令第250号)(抄)

(保存期間の延長)
第9条 行政機関の長は、法第5条第4項の規定に基づき、次の各号に掲げる行政文書ファイル等について保存期間を延長する場合は、当該行政文書ファイル等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間が経過する日までの間、当該行政文書ファイル等を保存しなければならない。この場合において、一の区分に該当する行政文書ファイル等が他の区分にも該当するときは、それぞれの期間が経過する日のいずれか遅い日までの間、保存しなければならない。
  • 一 現に監査、検査等の対象になっているもの 当該監査、検査等が終了するまでの間
  • 二 現に係属している訴訟における手続上の行為をするために必要とされるもの 当該訴訟が終結するまでの間
  • 三 現に係属している不服申立てにおける手続上の行為をするために必要とされるもの 当該不服申立てに対する裁決又は決定の日の翌日から起算して一年間
  • 四 行政機関情報公開法第4条に規定する開示請求があったもの 行政機関情報公開法第9条各項の決定の日の翌日から起算して一年間
2 行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、その職務の遂行上必要があると認めるときには、その必要な限度において、一定の期間を定めて行政文書ファイル等の保存期間を延長することができる。この場合において、当該行政機関の長は、法第9条第1項の報告において、延長する期間及び延長の理由を内閣総理大臣に報告しなければならない。
(行政文書ファイル管理簿の記載事項等)
第11条 法第7条第1項の規定により行政文書ファイル管理簿に記載しなければならない事項は、次に掲げる事項とする。
  • 一 分類
  • 二 名称
  • 三 保存期間
  • 四 保存期間の満了する日
  • 五 保存期間が満了したときの措置
  • 六 保存場所
  • 七 文書作成取得日(行政文書ファイルにあっては、ファイル作成日)の属する年度その他これに準ずる期間
  • 八 前号の日における文書管理者(行政文書ファイル等を現に管理すべき者として行政機関の長が定める者をいう。第11号において同じ。)
  • 九 保存期間の起算日
  • 十 媒体の種別
  • 十一 行政文書ファイル等に係る文書管理者
2 (略)
(法第7条第1項ただし書の政令で定める期間)
第12条 法第7条第1項ただし書の政令で定める期間は、一年とする。

○行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)(抄)

第4 整理

1 職員の整理義務

  • 職員は、下記2及び3に従い、次に掲げる整理を行わなければならない。
  • (1) 作成又は取得した行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。
  • (2) 相互に密接な関連を有する行政文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめること。
  • (3) (2)の行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定すること。

2 分類・名称

  • 行政文書ファイル等は、当該行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じて系統的(三段階の階層構造)に分類(別表第1に掲げられた業務については、同表を参酌して分類)し、分かりやすい名称を付さなければならない。

3 保存期間

  • (1) 文書管理者は、別表第1に基づき、保存期間表を定め、これを公表しなければならない。
  • (2) 文書管理者は、保存期間表を定め、又は改定した場合は、総括文書管理者に報告するものとする。
  • (3) 1-(1)の保存期間の設定については、保存期間表に従い、行うものとする。
  • (4) 1-(1)の保存期間の設定及び保存期間表においては、法第2条第6項の歴史公文書等に該当するとされた行政文書にあっては、1年以上の保存期間を定めるものとする。
  • (5) 1-(1)の保存期間の設定及び保存期間表においては、歴史公文書等に該当しないものであっても、行政が適正かつ効率的に運営され、国民に説明する責務が全うされるよう、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、原則として1年以上の保存期間を定めるものとする。
  • (6) 1-(1)の保存期間の設定においては、(4)及び(5)の規定に該当するものを除き、保存期間を1年未満とすることができる(例えば、次に掲げる類型に該当する文書。)。
    1. 別途、正本・原本が管理されている行政文書の写し
    2. 定型的・日常的な業務連絡、日程表等
    3. 出版物や公表物を編集した文書
    4. ○○省の所掌事務に関する事実関係の問合せへの応答
    5. 明白な誤り等の客観的な正確性の観点から利用に適さなくなった文書
    6. 意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を要しないと判断される文書
    7. 保存期間表において、保存期間を1年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書
  • (7) 1-(1)の保存期間の設定においては、通常は1年未満の保存期間を設定する類型の行政文書であっても、重要又は異例な事項に関する情報を含む場合など、合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、1年以上の保存期間を設定するものとする。
  • (8) (略)
  • (9) 1-(3)の保存期間は、行政文書ファイルにまとめられた行政文書の保存期間とする。
  • (10)・(11) (略)

《留意事項》 (略)

第7 移管、廃棄又は保存期間の延長

1 保存期間が満了したときの措置

  • (1) 文書管理者は、行政文書ファイル等について、別表第2に基づき、保存期間の満了前のできる限り早い時期に、法第5条第5項の保存期間が満了したときの措置を定めなければならない。
  • (2)・(3) (略)

2 移管又は廃棄

  • (1) 文書管理者は、総括文書管理者の指示に従い、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第7-1-(1)の規定による定めに基づき、独立行政法人国立公文書館に移管し、又は廃棄しなければならない。
  • (2) 文書管理者は、(1)の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、総括文書管理者を通じ内閣府に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、内閣府の同意が得られないときは、当該文書管理者は、総括文書管理者を通じ内閣府と協議の上、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
  • (3) 文書管理者は、保存期間を1年未満とする行政文書ファイル等であって、第4-3-(6)①から⑦に該当しないものについて、保存期間が満了し、廃棄しようとするときは、第4-3-(4)、(5)及び(7)に該当しないかを確認した上で、廃棄するものとする。この場合、○○省は、あらかじめ定めた一定の期間の中で、本規定に基づき、どのような類型の行政文書ファイル等についていつ廃棄したのかを記録し、当該期間終了後速やかに一括して公表するものとする。
  • (4)・(5) (略)

3 (略)

《留意事項》

〈保存期間が満了したときの措置〉
○ 各行政機関においては、ガイドライン別表第2に、各行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じた当該行政機関を通じた「保存期間満了時の措置の設定基準」を加えて、規則の別表第2とするものとする。
(以下略)
別表第2 保存期間満了時の措置の設定基準
1 基本的考え方
法第1条の目的において、「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」及び「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」とされ、法第4条において、経緯も含めた意思決定に至る過程及び事務・事業の実績を合理的に跡付け、検証することができるよう文書を作成しなければならない旨が規定されており、以下の【I】~【IV】のいずれかに該当する文書は、「歴史資料として重要な公文書その他の文書」に当たり、保存期間満了後には国立公文書館等に移管するものとする。
  • 【I】国の機関及び独立行政法人等の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績に関する重要な情報が記録された文書
  • 【II】国民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書
  • 【III】国民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書
  • 【IV】国の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書
《留意事項》 (略)
2 (略)

○内閣府本府組織令(平成12年政令第245号)(抄)

(大臣官房、政策統括官、独立公文書管理監及び局の設置)
第1条 本府に、大臣官房、政策統括官八人、独立公文書管理監一人及び次の三局を置く。
(略)
(独立公文書管理監の職務)
第3条の2 独立公文書管理監は、次に掲げる事務をつかさどる。
  • 一 行政各部の施策の統一を図るために必要となる総合調整に関する事務のうち、特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)附則第9条に規定する独立した公正な立場において行う、行政機関の長(同法第3条第1項本文に規定するものをいう。)による特定秘密(同項に規定するものをいう。以下この号において同じ。)の指定及びその解除並びに特定秘密である情報を記録する行政文書(公文書等の管理に関する法律第2条第4項に規定するものをいう。)の管理の適正を確保するための検証、監察その他の措置に係るものに関すること。
  • 二 公文書等の管理に関する法律の施行に関する事務のうち同法第9条第3項及び第4項の規定による報告及び資料の徴収並びに実地調査に関すること並びにこれらの措置の結果に基づいて行う同法第31条の規定による勧告に関すること。

○情報保全監察室の設置に関する訓令(平成26年12月9日内閣府訓令第55号)(抄)

(総則)
第1条 内閣府本府に、情報保全監察室(以下「監察室」という。)を置く。
(任務)
第2条 監察室は、独立公文書管理監の職務を助け、特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)附則第9条に規定する独立した公正な立場において、行政機関の長(同法第3条第1項本文に規定するものをいう。)による特定秘密(同項に規定するものをいう。以下同じ。)の指定及びその解除並びに特定秘密である情報を記録する行政文書(公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)第2条第4項に規定するものをいう。)の管理の適正を確保するための検証、監察その他の措置に関する事務(大臣官房公文書管理課及び公文書監察室の所掌に属するものを除く。)を行う。
(組織)
第3条 監察室に、室長、参事官及び所要の室員を置く。
2 室長は、独立公文書管理監をもって充てる。
3 室長は、監察室の事務を掌理する。
4 (略)
(以下略)

○内閣保全監視委員会の構成等について(平成26年12月8日内閣官房長官決定)(抄)

特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(平成26年10月14日閣議決定)V1(2)の規定に基づき、内閣保全監視委員会の構成その他必要な事項を次のとおり定める。

1 内閣保全監視委員会の構成は、次のとおりとする。ただし、委員長は、必要があると認めるときは、委員を追加し、又は関係者に出席を求めることができる。

委員長内閣官房長官
副委員長内閣官房副長官(政務)
内閣官房副長官(事務)
国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官
委員
国家安全保障局長
内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)
内閣情報官
警察庁長官
公安調査庁長官
外務事務次官
経済産業事務次官
海上保安庁長官
防衛事務次官

2 1にかかわらず、内閣官房内閣情報調査室の事務のうち、特定秘密の保護に関する制度に関する事務を担当する国務大臣が置かれたときは、委員長は当該国務大臣とする。

(以下略)