OTO番号 | 636 | 各省庁番号 | 厚労-6 |
---|---|---|---|
受付日付 | 平成13年3月19日 | 受付省庁 | 内閣府 |
担当省庁 | 厚生労働省 | 関係法令 | 薬事法 |
苦情申立者 | 国内業者 | 輸入先 | 米国 |
事例名 | 食薬区分の見直し(L-カルニチン) |
||
処理内容 | 1.苦情の概要 (1)L-カルニチンを含む健康食品を米国から輸入したいが、L-カルニチンは、薬事法上、専ら医薬品として使用されるべき成分として扱われているため、この成分を食品に使用することは認められず、この成分を含む食品は日本に輸入できないものとなっている。 しかし、L-カルニチンは、牛乳、牛肉、アスパラガス、米等様々な食品にも入っている天然の栄養素であり、これが専ら医薬品として取り扱われるのは納得できないので、食品としても扱われるようにして欲しい。また、これが困難であるなら、L-カルニチンが薬事法上、専ら医薬品として使用されるべき成分と判断される科学的根拠を示して欲しい。 (2) 厚生労働省の回答における「抽出し若しくは化学的に合成したL-カルニチン」とは、L-カルニチンに人為的に塩基素を付け加えた物質で人工的に加工・合成された化合物である塩化レボカルニチンを指すものであり、天然の栄養素としてのL-カルニチンとは全く異質な物質である。この塩化レボカルニチンが、医薬品として承認されており、医薬品としての使用において副作用の報告があるという理由で、天然の栄養素としてのL-カルニチンをも食品として使用することを認めないのは、科学的根拠・科学的合理性を欠くものである。L-カルニチンは、20世紀初頭に発見された天然の栄養素で、以来、今日に至るまで、天然の栄養素としてのL-カルニチンの使用において何らかの毒性又は副作用が発見されたという報告は世界中にない。 したがって、厚生労働省の回答は科学的根拠を欠き、受け入れられない。天然の栄養素であるL-カルニチンが食品として使用できるようにして欲しい。 2.担当省から以下のとおり回答。 (1) 抽出し若しくは化学的に合成したL-カルニチンについては、以下の理由から食品として取り扱うことはできない。 1)抽出し若しくは化学的に合成したL-カルニチンについては、従前より、物の成分本質(原材料)が医薬品に該当するか否かについての判断基準である「医薬品の範囲に関する基準」(昭和46年6月1日薬発476号別紙)に従い、医薬品として取り扱われてきたものである。 2)この基準については、平成12年度に見直しを行っているが(平成13年3月27日付医薬発第243号)、新たな判断基準においても、L-カルニチンは、 1] 我が国において承認されている医薬品の有効成分であり、その医薬品としての有効性、安全性等が我が国の薬事法における承認制度の下で、人を対象とした治験等による科学的なデータ(根拠)に基づき認められており、医薬品としての使用実態が確立している成分本質(原材料)であること、 2] 医薬品としての使用において、消化器障害(下痢、柔便等)、顔面浮腫、血尿、貧血等の副作用が知られていること、 3] 我が国において、食品としての使用実態は知られていないものであることから、解熱鎮痛消炎剤、ホルモン、抗生物質、消化酵素等と同様に当該判断基準である「専ら医薬品としての使用実態のある物」に該当し、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」として取り扱われるものである。 (2) 1)抽出し若しくは化学的に合成したL-カルニチンについては、上記 (1) 及び以下の理由から食品として取り扱うことはできない。ただし、L-カルニチンをもともと含有する牛乳、牛肉及びアスパラガス等の食品を医薬品として規制しているものではない。 1] 抽出し若しくは化学的に合成したL-カルニチンは塩化レボカルニチンを指すものではないが、塩化レボカルニチンは生体内において、有効成分であるレボカルニチン(L-カルニチンと同一物質)となり、その薬理作用等を現すものであること及び上記(1) 2) 1] 、 2] の理由から、科学的根拠・科学的合理性を欠くものとの指摘には当たらない。 2] 新たな基準において、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」については、新たな安全性等に関する知見等の科学的な検証に基づき、追加、訂正、削除等を行うこととしているところであるが、単に「L-カルニチンの使用において、何らかの毒性又は副作用が発見されたという報告が世界中にない」とするだけでは、L-カルニチンの安全性等について、科学的な検証に基づくデータ(疫学調査等を含む)の提示がなされたとは考えられないことから、本邦において上記回答の(1) 2) 2] にあるような副作用等の報告があることも踏まえ、食品として無制限に摂取することは認められるものではない。 2)したがって、科学的な検証に基づくデータ(疫学調査等を含む)の提示を待って、L-カルニチンの安全性等について、検討することとしたい。 |
||
処理分類 | D | 検討の方向 | ①-イ |
備考 |
平成13年4月5日付文書にて回答。 平成13年5月25日付文書にて追加回答。 |