個別苦情個票

ＯＴＯ番号	649	各省庁番号	経産-2
受付日付	平成14年4月25日	受付省庁	内閣府
担当省庁	経済産業省	関係法令	計量法
苦情申立者	在日米国大使館米国先進医療技術工業会在日米国商工会議所医療機器小委員会	輸入先	米国
事例名	薬事承認等が必要な体温計及び血圧計の計量法規制対象からの除外
処理内容	1．苦情の概要 (1) 日本では薬事法の承認を取得した製品であっても、計量法に基く型式承認及び個別製品の全数検定等が求められ、輸入後の時間とコストの上昇を招き、結果として効率的な流通を妨げる一因となっている。一方、欧米各国においても薬事法に基く医療用具の承認審査は存在するが、日本の計量法に相当する法律に基づく型式承認及び公的機関による個別製品の検定等は、欧米では実施されていない。なお、これまでの協議の中で、経済産業省から、ドイツにおいて日本と同様に型式承認が行われているという指摘があったが、ドイツにおいては、1995年、製造業者に対する品質確保を定めたヨーロピアン・メディカルディバイス・ディレクティブが制定され、型式承認は廃止されている。 (2) 薬事法に基づく医療用具には、1)厚生労働大臣が申請された医療用具の品質、有用性、安全性を審査して承認を得る必要のあるものと、2)例外的に承認を得る必要の無いものとがあり、承認が不要な医療用具には、厚生労働大臣が承認不要として指定した医療用具と、日本工業規格に適合する医療用具のうち厚生労働大臣が指定した医療用具がある。上記1)の医療用具の承認を得るためには、薬事法施行規則で定められた資料を提出し、厚生労働省によって審査されることが必要である。承認審査が必要とされる体温計及び血圧検査器具の診断用医療用具についても、審査に当たり、その性能評価の中で測定精度等が検証されている。これまでの協議において、経済産業省が、計量法に基く検定の結果、不良品が多く検出されると指摘するものは、上記2)の承認が不要な医療用具の中にみられると考えられる。 (3) また、昭和59年のOTO番号155案件において、経済産業省（通商産業省）は、アネロイド型血圧計等が「人体の安全確保に不可欠で不良品の流通は重大な影響を持つこと」を理由として、計量法による規制が必要としているが、医療用具の性能、安全性等は薬事法により担保されており、一方、アネロイド型血圧計等よりも人体の安全確保にかかわる場合がある医療用具が計量法の規制対象となっていない状況に鑑みると、計量法が人体の安全確保を理由としてアネロイド型血圧計等を規制対象としている合理性についても疑問を抱かざるを得ない。 (4) さらに、薬事法では医療用具についても既に医療用具GMPI（医療用具の輸入販売管理及び品質管理の方法に対する要件）が施行され、海外製造元の品質保証・管理体制については、製造国でのGMPに適合して医療用具が製造されていることを輸入販売会杜は確認する義務を既に負っている。例えば、米国では米国GMPに従って、製造元の製品検査においては性能を担保する為の検査項目が含まれており、測定範囲及び精度は通常性能検査の中で確認される。また、薬事法では外国製造製品を日本国内に流通させる前に、輸入販売業者が承認書に規定される規格及び試験方法に従って、当該製品の性能及び安全性を確認することとなっており、これは既に運用され、医療用具業界として品質確保の為の手順と考え方が定着している。つまり、海外製造元は出荷時に、日本の輸入販売業者は輸入時に、各々独立して試験検査を実施し、合格したものが国内に流通するシステムが出来上がっている。 (5) 「規制改革推進３ヵ年計画（改定）」（平成14年３月29日閣議決定）においても、「基準・規格及び検査・検定（以下「基準認証等」という。）は、経済活動のグローバル化が進んだ現在においては、企業活動や消費活動に対しても、コストの上昇や選択範囲の限定等、大きな影響を与えることとなる。このため、基準認証等の制定・運用に当たっては、国民の生命、身体、財産の保護などそれぞれの制度が本来目的としている様々な政策目的の達成に支障が生じないことを前提として、こうした諸活動への影響が可能な限り小さくなるよう配慮することが重要である。」と閣議決定されており、本件の場合、計量法による重複検査を排除することが必要と考える。 (6) 以上を踏まえ、経済産業省は、計量法の対象となっている医療用具のうち、薬事承認又は医療用具GMPIが必要となる体温計及び血圧検査器具を計量法の規制対象から除外する措置を講ずるべきである。（再意見） (1) 経済産業省からの平成14年５月16日付け回答は、申立者が示した同年４月25日付け苦情内容に対する回答になっていない。つまり、同苦情において、申立者は複数の根拠をもって、本件苦情に係る計量法規制の不合理性を指摘したが、それに対する明確な回答は何ら示されていない。 (2) 経済産業省は、平成14年５月16日付け回答において、「外国からの輸入体温計、輸入血圧計に関する検定不合格品がある実態に鑑み、計量法による計量器の個別検定は必要であると認識している」としているが、これまでの協議の過程で示された経済産業省による調査結果によれば、申立者が本件苦情において規制緩和を要請している「薬事承認又は医療用具GMPIが必要となる体温計及び血圧検査器具」（以下「本件対象機器」という。）については、検定不合格品はみられず、検定不合格品がみられるのは、本件対象機器以外の機器（薬事承認不要の機器）であることが明らかとなっている。したがって、規制緩和の対象を本件対象機器に限定している本件苦情においては、「外国からの輸入体温計（略）に関する検定不合格品がある」との経済産業省の主張は本件苦情を排除する論拠となり得ず、むしろ、本件対象機器については、検定不合格品がみられない以上、計量法規制の対象から除外すべきというべきである。 (3) 本件対象機器について「検定不合格品がある」のであれば、その検定結果の内容及び不合格件数をご教示願いたい。一方、本件対象機器に検定不合格品がなければ、経済産業省の論拠が不合理なものとなる以上、直ちに本件対象機器を計量法規制の対象から除外するための措置を講ずるべきである。（再々意見） (1) 経済産業省は、平成14年７月31日付け回答において、検定不合格品があったことを計量法の個別検定が必要であることの判断理由としてあげているが、「米国製40個の検定不合格品の内の39個は、薬事法による医療用具許可番号を取得している血圧計であった」と回答している。本件苦情は、薬事承認が必要とされる医療用具について計量法規制対象からの除外を求めているものであり、「許可」番号ではなく、「承認」番号が付けられた医療用具について、不合格品があるのか伺いたい。 (2) また、「計量法による検定は、そもそも貴国も参加している国際法定計量機関OIMLの勧告に基づいて実施しており、国際ルールに則ったものである」と回答しているが、医療用具について、薬事法に基づく承認審査に重ねて個別検定を行う必要性までも求めたものではないと承知している。欧米各国にも、日本の薬事法相当の法律に基づく医療用具の承認審査は存在するが、計量法に相当する法律に基づく型式承認並びに個別製品の検定は実施されていない。計量法により型式承認並びに検定が要求されているのは日本のみである。 (3) 以上を踏まえ、経済産業省は、計量法の対象となっている医療用具のうち、薬事承認又は医療用具GMPIが必要となる体温計及び血圧検査器具を計量法規制の対象から除外する措置を講ずるべきである。 2．担当省から以下のとおり回答。日本の計量行政においては、計量法により適正計量の確保のために必要な技術上の基準を設け、計量器の検定を義務付け、日本国内での不良品の流通防止に努めている。外国からの輸入体温計、輸入血圧計に関する検定不合格品がある実態に鑑み、計量法による計量器の個別検定は必要であると認識している。また、計量法による検定は、そもそも米国も参加している国際法定計量機関OIMLの勧告に基づいて実施しており、国際ルールに則ったものである。（再回答）日本の計量行政においては、計量法により、適正計量の確保のために必要な技術上の基準を設け、計量器の検定を義務づけ、日本国内での不良品の流通防止に努めているところ。輸入血圧計及び輸入体温計に関しては、平成11年度に輸入血圧計15個（うち米国製３個）の検定不合格品があったのに引き続いて、平成12年度においても、輸入血圧計については87個（うち40個は米国製で、不合格内容は器差不良が38個、モジュール故障が２個）が検定不合格品に、輸入体温計については3,190個が検定不合格となっている。これらのうち、米国製40個の検定不合格品の内の39個は、薬事法による医療用具許可番号を取得している血圧計であった。（残りの１個の検定不合格品については、薬事法承認対象か否かが不明。）従って、「検定不合格品が見られない以上、計量法の規制の対象から除外すべき」との指摘は事実誤認に基づくものであり、不良品の流通を防止して、計量法の目的である適正計量を確保するためには、計量法の個別検定は必要であると判断される。また、計量法による検定は、そもそも貴国も参加している国際法定計量機関OIMLの勧告に基づいて実施しており、国際ルールに則ったものである。（再回答後の担当者の対応等）計量法を中心とする我が国の計量行政の在り方について、平成17年7月からおおよそ１年程度を目途に審議を開始したが、現在も引き続き計量行政審議会にて審議がなされているところ。その中で、特定計量器（18機種より構成され、体温計及び血圧計もこの中に含まれる）の在り方についても引き続き審議がなされているところ。なお、審議の状況については当省のホームページを参照されたい。
処理分類	Cc	検討の方向	③
備考	平成14年５月16日付け文書にて回答平成14年７月31日付け文書にて回答

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