OTO番号 657 各省庁番号 農水-7
環境-1
受付日付 平成15年1月24日 受付省庁 内閣府
担当省庁 農林水産省
環境省
関係法令 農薬取締法
苦情申立者 国内業者 輸入先 中華人民共和国
事例名 漢方農業資材の特定農薬への指定等
処理内容 1.苦情の概要
(1) 苦情申立者は、従前より、農作物等に係る病害虫の防除や忌避、抗菌等に有効で、かつ、農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれのない漢方農業資材を中国から輸入し、日本全国の有機栽培農家3,000戸(全国有機栽培農家の約75%)に販売していた。
一方、平成14年12月に「農薬取締法」(昭和23年法律第82号)の一部が改正され、農薬を製造し若しくは加工する者又は農薬を輸入する者は、原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬(以下「特定農薬」という。)等を除き、農林水産大臣の登録を受けなければ、農薬を製造し若しくは加工し、又は輸入してはならず(法第2条)、また、何人も登録番号等の真実な表示のある農薬又は特定農薬以外の農薬を使用してはならないこととなった(法第11条)。

(2) 上記改正法の施行は平成15年3月10日であるにもかかわらず、全国各地の農業協同組合や各都道府県の農業資材担当部局の誤った認識・指導等により、法施行前の現時点においても、苦情申立者が輸入する漢方農業資材の使用等ができないとの誤解が農家に生じており、現在、事実上、当該漢方農業資材の販売が行えない状況となっている。

(3) したがって、所管省においては、以下の措置を講じてほしい。
1) 改正法が施行される前においては、特定農薬に指定されていなくとも、当該漢方農業資材等の資材の使用等が可能であることを、農業協同組合、各都道府県の農業資材担当部局、農家等に周知徹底してほしい。
2) 苦情申立者が輸入している当該漢方農業資材は、原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかであり、農薬取締法上の特定農薬として指定してほしい。

2.担当省から以下のとおり回答。
(1) 特定農薬は、先般の農薬取締法の改正により無登録農薬の製造・輸入・使用の禁止措置が新たに盛り込まれたことに伴い、農家が使用している様々な防除用の薬剤や天敵のうち、安全性に問題がないものまで農薬の登録を求めるという過剰規制を回避するために設けられた制度であり、同法第2条第1項ただし書で「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなもの」と定義されている。

(2) 具体的に何を特定農薬に指定するかについては、改正農薬取締法第16条に基づき、農業資材審議会に諮問し、学識経験者で構成される専門の委員会で、農林水産省が実施した調査結果を基に検討が行われ、学識経験者からは、そもそも薬効を確認する必要があるとして、殺菌作用をもつ重曹や食酢及び使用される場所の周辺に従来より生息していた天敵昆虫を特定農薬として指定することを内容とした答申がなされたところ。

(3) 答申後は、特定農薬の指定の考え方も含め、パブリックコメントによる意見募集を行った上で3月10日の改正農薬取締法の施行に併せ告示を行うこととしている。現時点では、検討の対象となった資材の多くは効果に関する客観的な情報が不足しているため農薬とすることが保留され、漢方農業資材はこの保留するものに該当することとされたことから特定農薬に指定することはできない。
(以上は、農林水産省及び環境省からの回答であり、以下は、農林水産省のみからの回答。)
これらの資材については今後その安全性についても評価する必要があり、安全上問題がある場合は農薬としての使用の実態を踏まえ使用を取り締まる場合もある。

(4) これら現時点で農薬とすることが保留とされた資材については、従来どおり、農薬登録を受けずに病害虫の防除効果をうたって販売することはできず、今後の評価の結果によっては登録を受けなければならないと判断される場合もあるため、農林水産省としてはこれらの資材の使用等が可能であることを関係機関へ周知することはできない。

処理分類 D 検討の方向  
備考 平成15年2月5日付け文書にて回答。

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