個別苦情個票

ＯＴＯ番号	660	各省庁番号	農水-8 環境-2
受付日付	平成15年3月6日	受付省庁	内閣府
担当省庁	農林水産省環境省	関係法令	農薬取締法
苦情申立者	国内業者	輸入先	中国
事例名	漢方農業資材の特定農薬への指定
処理内容	1．苦情の概要 (1) 平成14年12月に「農薬取締法」（昭和23年法律第82号）の一部が改正され、農薬を製造し若しくは加工する者又は農薬を輸入する者は、原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬（以下「特定農薬」という。）等を除き、農林水産大臣の登録を受けなければ、農薬を製造し若しくは加工し、又は輸入してはならず（法第２条）、また、何人も登録番号等の真実な表示のある農薬又は特定農薬以外の農薬を使用してはならないこととなった（法第11条）。 (2) 苦情申立者は、この特定農薬の指定に当たり行われたパブリック・コメントの募集に際し、中国から輸入販売する漢方農業資材を特定農薬に指定すべきこと等の意見を提出したが、それに対する所管省の対応は不明で、かつ、改正法の施行が３月10日と切迫していることから、以下の要請を行う。 (3) 新聞等の情報によれば、特定農薬として指定されるものは、「重曹」、「食酢」、「テントウムシ等地域の天敵」の３つのみとのことである。しかし、テントウムシ等の大量使用による住環境への悪影響、食酢による土を作る微生物への悪影響（連作障害）、重曹使用による土壌の団粒化（生育障害）等の問題点が生産農家等から指摘されており、その妥当性には疑義のあるところ。農業資材審議会において、どのような選定基準によりこれらが指定されることとなったのか、具体的にご教示願いたい。 (4) 一方、苦情申立者が中国から輸入販売する漢方農業資材「１、２、３」は、日本農林規格登録認定機関によりJAS法に定める有機農産物の生産において使用することが認められた資材等であり、同認定機関による「資材等JAS規格適合確認書（№：MT-0007）」における「用途・使用目的」として、1)漢方農業資材１は「害虫が発生しにくい」とされ、2)同２は「病気が発生しにくい」とされ、3)同３は「土壌の改良、微生物の活性化」とされており、その安全性・有用性が確認されているところ。さらに、その安全性については、２つの分析試験機関による分析結果報告書からも明らかであるとともに、病原菌や害虫の予防・防除等に有効であることは、中国における特許取得（特許№4074号）からも明らかである。 (5) したがって、上記漢方農業資材１は害虫防除等に有効なものとして、同２は病原菌防除等に有効なものとして、同３は土壌改良に有効なものとして、それぞれ特定農薬として速やかに指定して頂きたい。 2．担当省から以下のとおり回答。 (1) 特定農薬は、先般の農薬取締法の改正により無登録農薬の製造・輸入・使用の禁止措置が新たに盛り込まれたことに伴い、農家が使用している様々な防除用の資材や天敵のうち、安全性に問題がないものまで農薬の登録を求めるという過剰規制を回避するために設けられた制度であり、この指定に当たっては、農業資材審議会に諮問し、学識経験者で構成される専門の委員会で、農林水産省が実施した調査結果を基に検討を行っていただいたところである。 (2) 委員会では、まず、明確に農薬ではないものを除いた上で、農薬としての効果（薬効）が明らかなもので、かつ安全性に問題のないものについて、特定農薬として指定できるのかの検討を行った。これには、農薬登録によりその主成分の薬効が証明されている殺菌作用を持つ重曹や食酢のほか、病害虫の天敵である昆虫などが挙げられた。その理由として、 1)重曹や食酢については、食品として使用されているため防除目的で農産物に散布されたとしても人体、その他家畜、農産物、水産動植物等に対しても安全と考えられること 2)天敵については、地域外から天敵を導入した場合に、在来の天敵を駆逐することなどにより生態系に影響が生ずる可能性があるが、使用する地域の周辺で採取されたそのものを使用するのであれば人畜、農産物や水産動植物等に対し安全と考えられることから、薬効と安全性の両方が確認されたと判断され、これら3種を特定農薬として指定することが適切であると答申されたところである。 (3) ご意見のあった漢方農業資材については、薬効を証明する客観的な情報がなかったために農薬とすることが保留されたものである。有機農産物の日本農林規格で規定されている「ほ場における有害動植物の防除」に使用できる資材には、ご意見のあった漢方農業資材は含まれないため、申立書に述べられている「資材等JAS規格適合確認書」は、当該資材を害虫や病害の防除に使用できることを確認する書類であるとは認められず、当該確認書中の「用途・使用目的」の記述は、薬効を証明する客観的な情報とは認められない。 (4) また、安全性の評価に関して、申立書では当該漢方農業資材中の農薬の分析結果をもって安全であるとしているが、指定に際しては原材料について個別に人畜、農産物、水産動植物等に対する安全性を評価することが必要と考えられ、化学農薬が混入されていないことのみで安全性が明らかと判断することはできない。 (5) 農薬とすることが保留されたものについては、薬効及び安全性について、どのような要件が必要かなどについて示すガイドラインを専門家の意見を聴いて検討していきたい。このガイドラインの検討を踏まえて、順次特定農薬に指定しうるかどうかの判断を行っていきたいと考えている。 (6) なお、複数の原材料から製造された個別の製品（商品）を特定農薬として指定することについては、 1)製品ごとに指定する場合、例えば農家が自家製造して使用しているものなどそれぞれ原材料、成分や製法が異なっているものを、個別に指定しなければならないこと 2)製品ごとに指定する場合、メーカの都合で商品の仕様を変更されて、指定した商品とは違うものが販売・使用されるおそれがあること 3)米国のミニマム・リスト・ペスティサイドの制度も商品指定でなく物質（原材料）指定となっていることから適切でなく、原材料ごとに薬効及び安全性の検討を行い特定農業に指定することとしている。
処理分類	Cc	検討の方向
備考	平成15年３月17日付け文書にて回答。

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