第3回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成13年6月20日(水)10:00〜12:00

2. 場所

合同庁舎4号館共用第4特別会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、神田秀樹、佐々木かをり、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、村山利栄、森稔、八代尚宏の各委員

(政府)

石原規制改革担当大臣、渡辺政務官

(事務局)

[内閣府]岡本審議官、梅村審議官、磯部審議官、竹内審議官、吉原総合規制改革会議事務室長、長屋総合規制改革会議事務室次長


議事次第

  1. 重点分野の検討課題

  2. その他


議事概要

1.今後のとりまとめ方針・スケジュールについて

宮内議長より、資料「今後のとりまとめ方針・スケジュールについて(私案)」に基づき、説明が行われた。この中で、今後の各省との折衝はできるだけハイレベルでもお願いしたいという発言に関して、石原大臣より、各省の官房長に対して、7月のとりまとめに向け高度な判断をいただくために、各省の次官クラスに総合規制改革会議で話をしてもらうということですでに通告済みとの発言があった。

2.各重点分野の進捗状況について

各分野の主査、副主査等より資料に基づき説明が行われた後、意見交換が行われた。

(1) 医療

● 医師免許の更新については、最近医療事故があいついでいることに鑑み、ただ単に医師免許の更新というような弱い表現ではなく、具体的に明らかにすべき。

● 治療の方法について厚生労働省が医師向けにインターネットで公開していると聞いたが、それが正しければ、患者がいろいろな治療法の中から自分で選べるように一般にも公開すべき。治療費について、自分が払った分の他に、病院が国や自治体からいくらもらっているのかということを患者がチェックできるようにすべき。

● インターネットの情報公開について、患者に対してのみ閉鎖されているものならば取り上げて行くべき。標準的な医療というものを確定しておいて、高度治療について過剰診療の横行を防ぐことが必要。健康保険組合によっては、自己負担、組合負担を示しているものもありすべてに広げることを考えてみたい。

● 医療費の抑制と規制改革とは必ずしも1対1の関係ではない。結果的に医療費が下がることはいいことだが、最初から総額抑制という考えは医療サービスをどうしたら向上できるかというプロセスとは難しい問題がある。報酬単価をどういじるかは、過去の議論では病院と診療所とで同じなのはおかしいという議論もあったが、単に財政的な観点から一律に下げるというのは規制改革の考えに照らして疑問がある。

● 今回の会議は、規制というだけではなく、だめになっていこうとしている制度を救おうとするものであり、医療費の抑制というのは避けて通れないものではないか。

(2) 福祉

● 社会的セーフティネットに関し、所得税の課税最低年収の引き上げは検討されたのか。

● 税制との関連みたいなことを考えていかないと、国民が生活保護に納得しないのではないか。

● 真の弱者といわゆる弱者をきちんと整理をして、所得保障を集中するという観点で生活保障を真の弱者に集中し、それ以外は保険原理、市場原理にゆだねるべし。

● 社会保険、雇用保険の対象の拡大について、弱者をきちんと定義しなければならない。不良債権処理に関連する雇用問題については検討の対象になるのか。

● 構造改革を進めるにあたって失業者がでてくるがそれに対して特別のものというより、常に存在するセーフティネットとして整備すべし。今の社会保険は常用労働者をベースにしているので、それが問題と考えている。雇用保険と生活保障の違いは、雇用保険は給付額が年収に比例している。同じ失業をしていても給付額が失業者によって違う。現在は最長で330日までしかもらえないが、それを2年、3年まで延ばすことは問題がある。雇用保険は今のままの期間にして、それでも仕事が見つからない人は最低保障であり均一である生活保障にゆだねる等、保険と生活保護の役割分担についてもここで議論したいと考えている。

● 生活保障、年金保険でも、世帯単位の保障の考えから個人単位の考えに変えていく必要がある。

● 生活保障の所得制限の就業意欲効果の見直しは非常に大問題である。働いた分だけ補助が減らされるので、働くインセンティブが何もない。アメリカではいろいろな試みがなされており、例えば働いても半額は手元に残る等のシステムを作っている。日本でも、真の弱者に保護を集中し、生活保護を受けている人が働く意欲を持つように、そしてフォーマルなセクターに入っていけるようにすることが望ましい。他方、そうすると負の所得税の膨大な支出が必要となり、これを提案すべきか大問題である。

● 社会福祉法人、社会福祉協議会、ここに登録しない業者は介護サービスをさせないなど独占的な競争除外要因となっており、この問題も福祉の分野で取り上げてほしい。

(3) 人材(労働)

質疑なし。

(4) 教育

資料に基づく説明に加え、海外の学校との連携、留学生の倍増、インターナショナルスクールとの交流等、国際的に開かれた教育の実現のための規制改革の重要な検討課題であると付け加えられた。

● 公立の小中高校について、教員が評価されない制度、問題のある教員が解雇されない制度に問題がある。また、学校の情報公開が必要。さらに、一般の社会人が学校で教えられる機会の増加、教員と一般の社会とがもっと交流できるような規制改革が必要。また、アメリカでは各校に学校心理学者がいるが、いろいろな専門家が学校にいられるようにすべき。

● 民間企業の社外役員への国立大学の先生の就任について早く規制緩和すべき。また、国立大学の先生が起業するのをどう考えるのか検討してほしい。今後の社会では私学の重要性が増すものと思うが、一連の大学改革を通じて国立大学と私立の大学等ができるだけ近い条件で教育上の競争ができるよう税制、補助金、私学の寄付金に対する課税等の条件整備を検討してほしい。

● 大学でも国立、公立、私学では条件がだいぶ違う。市場原理でいらない国立大学は消えて行くべき、国が必要でない国公立大学を残す必要はない。

● 大都市の場合、公立の小学校、中学校の荒廃がひどいという状況があり、高校はほとんど私学にいってしまっているという状況がある。こうした状況をどうするのかという問題がある。大学も公立の地盤沈下が言われているが、抜本的に公私の教育の役割を検討すべきだと考えている。

● 公立、私立等組織形態のあり方等、抜本的な検討をしないといけない。

● 国立大学、公立大学、私立大学の競争条件を埋める最も確実な方法は、奨学金を充実させて、どんな学費の高い大学でも行けるようにすることである。研究については研究費で別途競争的に配布する。義務教育については公立学校に行けばかかったであろう費用を私立大学に払うようにし、なるべく公的な学校を小さくしていくべきである。

(5) 都市再生

● ハードの整備だけではなく、都市を住みやすくしていくためにはソフト面の改革も必要。例えば、交通渋滞の緩和のためには道を広げてもあまり効果はなく、公共事業に資金を回すより、駐車違反を取りしまる人を安く雇って取り締りを強化したほうがよい。

● 都市問題について建物が増えるにしたがって景観の規制が必要になる。

● 規制の緩和だけではなく、規制の強化をしていくことも必要。

● 国際的に通用する都市、例えば外国人の住宅関係、情報の外国語での表示等、外国人にも利便性がある都市づくりをする必要がある。

(6) 環境

質疑なし。

今後、重点分野についてはWGでさらに検討し、ある程度形ができた段階で全体会合で議論をすることとなった。

3.「規制改革についての基本的考え方」の構成(イメージ)について

事務局より資料2に基づき説明した。総論については、議長、議長代理、事務局で検討し、原案を次回会議に提出することとなった。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議