平成13年9月18日
全国社会福祉施設経営者協議会
介護・保育等の福祉サービスにとって最も重要なことは「利用者の利益」を第一に考える姿勢である。今後、福祉分野において効率性を重視することは大切と考えるが、多様な供給主体の参入のなかで、過度な効率性の追求はサービスの質の低下を招く危険性を内在している。
そのため、積極的な情報公開や第三者によるサービス評価の仕組みなど、サービスの質を担保するための仕組みが十分に検討される必要がある。
社会福祉法人が福祉サービス提供の中心に位置付けられている理由は、その組織運営における公益性の確保に加え、他の供給主体と比べて次のような相違点を有している点にもある。社会福祉や社会福祉法人制度のあり方を検討する際には、この点を十分に踏まえる必要がある。
例)保育所における被虐待児への専門的対応や保護者に対する子育て支援など。
例)低額な料金による地域への配食サービスや、自主的な介護予防・相談事業の実施、また障害者のための小規模作業所など。
例)保育士、ホームヘルパー、介護福祉士等をめざす者への実習指導や小中高校における社会奉仕体験活動等、福祉教育への協力。
社会福祉法人は、戦後半世紀にわたり、わが国の社会福祉サービスを質・量両面で支えてきた実績を有するほか、上記のように広がりをもった社会的機能を有している。
公立保育所の民間委託など、公設民営型の福祉サービスを進める際には、社会福祉法人の活用を考えるべきである。
社会福祉法人は、地域の多様なニーズにきめ細かく対応していくための努力を重ねているが、たとえば施設運営費(委託費)に係る厳しい使途制限など、社会福祉法人制度本来の趣旨である、地域の多様なニーズにきめ細かく対応するための取り組みを阻害している現状がある。
社会福祉法人がよりその機能を発揮できるためにも、法人運営に係る各種規制の緩和が図られる必要がある。