第10回総合規制改革会議 議事概要

1. 日時

平成13年10月1日(月)14:45〜17:30

2. 場所

合同庁舎4号館共用第1特別会議室

3. 出席者
(委員)

宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、鈴木良男、高原慶一朗、村山利栄、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

(政府)

渡辺大臣政務官

(事務局)

[内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、竹内審議官、磯部審議官、梅村審議官、吉原事務室長、長屋事務室次長

(関係団体等)

略 (下記議事次第参照)


議事次第

  1. 「改革工程表」について

  2. 関係団体等ヒアリング

  3. その他


議事概要

(1)改革工程表について

経済財政諮問会議においてとりまとめられた「改革工程表」ならびに「改革先行プログラム(中間とりまとめ)」について事務局から概要説明を行った。

(2)関係団体等ヒアリング

(○:当会議委員発言部分、●:関係団体発言部分)

1.米国

米国政府の規制改革に対する意見・要望等について説明が行われた。

<質疑応答>

○ ペースメーカーやカテーテルなどの医療資機材は米国で生産されており、日本の市場シェアの4割を米国製品が占めている。そうした状況下で米国内では例えば10円程度で売られているものが日本国内では65〜75円程度の高値で販売されているという現実があり、当会議の中間とりまとめにおいて内外価格差の問題として取り上げた。決して米国が指摘するように恣意的(arbitrarily)に取り上げたものではない。逆にfairnessの考え方からして日本のメーカーが作れないものを米国が高値で売るということがfairと言えるのか。立場を置き換えて考えた場合、日本のメーカーが同じことを米国内で行えばunfair trade practiceの問題として域外適用も含めてどう対応されるのか。

● 医療資機材は医療全体のコストのうち、0.3%を占めるに過ぎない。薬品の過剰投与など医療コスト問題において強調すべき課題は他にあるのではないか。

○ 割合が少ないとか、日本の医療に貢献しているから良いという問題ではない。この問題については近々にACCJから話を聞きたい。

● ACCJの話を聞いて頂きたい。本件についての大使館の意見は先述のとおり。医療資機材のコスト問題については現在詳細情報をもっていないので別途書面にて回答する。


2.経済団体連合会

経団連の規制改革に対する意見・要望等について説明が行われた。

<質疑応答>

資料にしたがって説明。

● あいさつと全体的な説明。

● 個別事項の説明。

<質疑応答>

○ 規制改革の取組の早期実施を強く要望しているのが印象的である。「政治のリーダーシップと産業界の役割」の中で、強い要望として受け止めた。また、今年度の重点要望項目(ゴシック部分)については、委員会で検討していきたい。

○ 学部学科の設置については、中間とりまとめでは、学部の設置については言及していないが、WGではこれを含めて現在真剣に議論しているところである。また、マルチメディアを利用した遠隔教育については、大学では124単位中の60単位までは遠隔でも大丈夫となりかなり拡大している。初等中等教育については、設備等の問題はあるが、計画の見直しの中で検討をしていきたい。

● 教育については指摘事項が少ないようにみられるが、「その他」として、国立大学に対する寄付制限の見直し、法人化における非公務員型の導入、工場等制限制度の見直しなどが含まれていることを付言したい。

○ 非常にたくさんの項目があるが、これらの項目は経団連として重要だと考えているものか、それとも会員企業からの要望を受けたものか。

● ゴシック文字のものについては、経団連の各担当が重点要望と判断した部分、それ以外は会員企業からの要望をベースに経団連で玉を磨いたものである。

○ つまり、会員企業からの要望の有無に関わらず、経団連として必要だと考えるものがはいっているのか。

● すべて実需あるものである。

○ 情報通信やエネルギー分野の規制改革の踏み込みが甘いのではないか。エネルギーについては小売の自由化、自由市場化のはるかかなたの話しかしていない。経団連としての主体的な発想がほしいなあという感じがする。

● 情報通信分野では、NTTの経営の問題に対する規制の廃止要望については、誰を役員にするとかというような、本来、経営者自らが判断するべきことまで規制するということは諸外国で行われていない。経団連としても、マーケットで悪さをする人を放っておくつもりはないが、このような国による企業への直接の介入規制を排除するという観点からの要望である。エネルギーについて指摘が少なくさびしいということは理解するが、電力小売の自由化については経団連でも検討中であり、その結論が出次第、別途ご報告にあがる。

○ この際にこっちから要望したい点がいくつかある。有期雇用や派遣業種の拡大があれば雇用が拡大すると要望されているが、具体的なデータがないために関係省庁との議論に説得力が欠けるところがある。理由がどうしても必要というわけではないが、アンケートでもいいのでそういうデータがあれば、説得力がでるので、よろしくお願いしたい。

○ 環境分野について、いくつか質問がある。一つめはCo2削減についてであるが、これを環境税など経済的手法でやっていくことについてどう思うか。もう一つは、廃棄物処理のコストについての内部化をさらに拡大していくことについての考えを聞かせてもらいたい。すなわち、使わなくなった製品のリサイクル費用を生産者が負担していくということを、家電や自動車から他の分野に拡大していくということ。これを、会社ごとでなくてもいいから、たとえば産業ごとに価格に転嫁していくことについてどう考えるか。

● 第一点目については、Co2削減の問題について税制でやっていくことは非常に問題が大きいと思っている。

● 廃棄物処理については、それぞれの業界全体で対応していくべきもの。各業界について特別に経団連からどうしようということはない。実際には、集める業者が協力をしてくれないという問題があり、不正な投棄というものがあって困っている。

○ いろいろな提言の早期実施ということが要望されているが、たとえば、年末までとあるのを10月中旬までにすることなど、ぜひ要望をしていただきたい。また、NHKに関しては要望がないが。

● 新しい放送のあり方として、市場は当初は小さいからもしれないが、放送と通信の融合のような領域について、規制の撤廃を要望している。NHKについては特殊法人改革の方で議論されている。先日、「今後のメディア制度の課題」と題する意見書をまとめた。その中で、NHKについては、民業の圧迫、受信料制度によって維持されているものであるという観点から透明性の向上が必要であり、まだ宿題がのこされているかもしれないという認識を示している。

○ 今後とも意見交換をしながら、ご協力をお願いしたい。


3.EU

EUの規制改革に対する意見・要望等について説明が行われた。

<質疑応答>

○ 大使の認識不足を指摘したい。工程表には競争政策がなく失望したとあるが、実際にはちゃんと記載されている。また、派遣労働についてもほんのわずかが残るのみであるし、連結税制についても現在進みつつある。ノーアクションレターも現実にやられようとしている。外国人弁護士の問題についても、EUは「=日本の弁護士」としろというような主張に聞こえるが、これは不可能である。一方、パートナーシップについてはすでに解放されている。情報通信についても、総務省の中ではあるが自由化の監視機関を設置してある。以上、これまでやってきたし、書いてあることが多いという印象を受ける。もう少し我が国の実態を勉強していただきたい。

● これまでの委員会の取り組みを評価していないということではなく、これまでの取り組みの成果を高く評価している。ご指摘のいくつかについて、ここでこちらの考えを述べ、残りは文書で対応したい。投資については、引き続き重要な課題と考えており、日本をもっと魅力的な投資先にするということが重要である。いろいろな障壁を取り除くことが国益にそうものであると考える。ノーアクションレターについては、省庁間でのばらつきを懸念する。いろいろな例を公表するというようなことが欠けていると思われる。外国人弁護士の内容については共感できないが、これは文書で回答したい。
情報通信の独立規制機関について一言。日本にきて3年、いろいろな議論を耳にしてきたが、現在など数多くの既得権が存在していることは疑いない。総務省の中に自由化の機関があるのでは不十分であり、いかなる省庁からも完全に独立した規制機関が必要である。それではじめてレフェリーとして公正な指摘ができる。

○ 今後ともいろいろとご意見をよろしくお願いしたい。


(3)その他

今後の進め方について事務局より説明。

○ 「今後の進め方についての提案」にしたがって説明。

○ 事務局で12月上旬とあるのを、11月末までにということか。

○ 事務的には10月から11月に法案提出をするように各省は準備を進めておくことになり、12月上旬の決定でも通常国会への提出は可能である。

○ いやがるものを無理矢理法案を国会提出する場合にはどうか。

○ 最終的には年内の閣議決定が必要であり、法案については与党への説明もある。12月上旬の決定でも日程的には相当タイトであると承知している。

○ この一週間が大きな差となっている。医療改革など厚生労働省が先に結論を出してしまうなら、当方の提言がピンぼけになる可能性がある。規制改革委員会からの蓄積もあり、一週間ぐらいなら前倒しにできるだろう。

○ 厚生労働省の医療改革案は、こちらの会議の議論がベース。医療については、規制改革に関する部分はあまり心配ないであろう。人材労働では書き残しているものがあるので、もう一ラウンドやるべきではと思っている。

○ 物の製造業の派遣などいつまでに検討するかは決まっていない。やるとはいっているが、中身の具体的なつめを行うことが必要。

○ 労働関係では労働基準と労働安定でそれぞれ審議会を立ち上げているが、11月までになんらかの結論がでるとは聞いていない。とりあえず、法改正以外は年度内に、法律に関するものは、まだ踏み込めないという状態である。

○ 全体を一週間なり二週間の前倒しは主査としては難しい。前倒しできるところは前にやればいいが、そのことで議論が生煮えになるのは困る。

○ テーマによっては12月に決まらないものもあるかもしれない。中身を引き締めることが大事。

○ 医療については従来の蓄積があるので具体的な提言となっており、薬局など一部が残っているのみ。また、中間とりまとめに書いていないことでも、今後取り上げていくこともあるであろう。

○ レセプトのIT化などは中身に入って議論することが必要である。

○ レセプトについては禁止を省令改正で外したりはしており、これは12月1日施行である。

○ 最後の折衝のところまでこの会議が関与しなければならない。重点6分野と3か年計画と両方でお忙しいだろうが、よろしくお願いしたい。また、スケジュールについてはできるだけ前倒しということで、よろしくお願いしたい。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議