第11回総合規制改革会議 議事概要

  1. 平成13年10月30日(火) 9:00〜11:00

  2. 場所:合同庁舎4号館共用第4特別会議室

  3. 出席者

    (委員)

    宮内義彦議長、飯田亮議長代理、生田正治、奥谷禮子、河野栄子、鈴木良男、清家篤、高原慶一朗、八田達夫、森稔、八代尚宏、米澤明憲の各委員

    (政府)

    松下内閣府副大臣、渡辺大臣政務官

    (事務局)

    [内閣府]坂政策統括官、岡本審議官、竹内審議官、磯部審議官、西参事官、松山参事官、枝廣参事官、二川参事官、松葉参事官、吉原事務室長、長屋事務室次長


議事次第

  1. その他分野の検討課題について

  2. その他


議事概要

(1)その他分野の検討課題について

事務局より内外からの意見・要望の概要が紹介された。その後、中間とりまとめに挙げた6分野以外の各分野について、資料1に沿って、検討課題の説明・質疑応答が行われた。概要は、以下のとおり。

(1) 基準認証、資格制度、危険物・保安分野:

担当主査より検討課題について説明がなされ、その後質疑応答が行われた。

<質疑応答>

○ 要望は、組織化された団体から出される場合が多いが、そうでない声無き声もある。正式な要望がないものでも、こちらから取り上げるというスタンスも必要。例えば、理容師・美容師については、高卒でないと出来ない。こうした合理性のない学歴要件なども参入規制という観点で前身の委員会で議論した。

○ 資格制度について、強制入会の問題は、前身の委員会からこの委員会に委ねられたものであり、是非お願いしたい。報酬規定については、行政書士・弁理士が廃止したが、弁護士会については、態度が不明確である。日弁連は、監督官庁がなく、日弁連の自由意志によらないと改革出来ないというのが現状である。そういうやり方が良いのか、正当化されるのかという視点がある。その点も考えて議論して欲しい。

○ インサイダーとアウトサイダーの声の大きさの違いにも注意して議論したい。

(2) エネルギー・運輸分野:

担当主査より検討課題(情報通信・郵便事業を含む)について説明がなされた。

また、議長より、(1)情報通信については、IT戦略本部に協力する形で進めること、(2)郵便事業については、総理自ら郵便事業の民営化を検討する会議を立ち上げたところであり、基本的にそちらの議論に委ねられることが紹介された。その後質疑応答が行われた。

<質疑応答>

○ 環境分野でもクリーンエネルギーの観点からガスパイプラインの問題を取り上げている。エネルギー分野と整合性を取って進めたい。

○ 港湾運送については、2年前に法改正が行われているが、その後、現時点に至るまで事業者による新規参入はない。この分野はむしろ、民々規制とも言うべき問題もあり、そこに触れないと実態は変わらないのではないかと思う。いずれにせよ、なかなか難しい分野であり、問題意識は持っている。

(3) 流通・農林水産業分野:

担当主査より検討課題について説明がなされた。

<質疑応答>

(特になし)

(4) 競争政策、法務・金融分野:

担当主査が欠席のため、事務局から検討課題について説明がなされた。その後質疑応答が行われた。

<質疑応答>

○ 公正取引委員会の持株会社に対する規制については、外形基準による規制を弊害規制にすべき。NTTの持株会社を認めるため15兆円という外形規制になったと説明しているが、およそ蓋然性がない。外形基準規制は、財閥解体の記念碑のようなものでナンセンス。また、大規模会社や金融会社についても同じ事をやることが予想される。金融会社が株を持つことの問題については、競争政策(=公取)の問題ではなく、金融庁の問題と考える。

○ 司法制度改革審議会の議論については、規制改革推進三カ年計画との不整合がある。三カ年計画では、司法書士、弁理士に対する法廷代理権付与については、無条件になっているが、司法制度改革審議会の議論では、様々な条件を付けている。明らかに不整合である。また、裁量性が高い事項が多く、法務省・最高裁の論理で進められないよう、当会議が監視をするべき。

○ 証券取引等監視委員会の強化が必要。証券市場の活性化に関して、小泉総理と経済人の会合で申し上げたのは、総理自身買えないということ。また高級官僚も買えない。それを規制緩和すれば、国民も買う。その一方で、証券取引等監視委員会を強化すべき。

○ 景品規制の見直しに関連して、ギャンブルを認めて欲しい。欧米では先進国ほどギャンブルができる。欧米の客船事業では、ルーレットが採算の一つの柱であるが、日本の客船では出来ない。アジアの客船が日本の客をさらって韓国へ行く。客はその船上でギャンブルを楽しむ。

○ 競争政策では、公取の強化がキー・ポイント。官製談合についてどう取り扱うかも問題。また、IT関係等の安値受注の問題も。1年目は安値で受注し、2年目以降は、随意契約でとっていく。これは正に不公正取引である。これらの問題も含めて公取の強化が必要。

○ 先程の説明で農地転用規制の強化という話があったが、むしろ、一遍、用途規制を自由にして、観光・レジャー・セカンドハウス等の新たな需要を喚起するべきではないか。

○ 農地転用規制の強化については、転用をさせないということではなく、転用のルールを明確にするということである。今は恣意的な運用になっている。住宅・土地ワーキンググループで、一括して用途規制を作らないようにするというのであれば、それに意見を挿むつもりはない。

○ 司法では、ロースクール構想があるが、これが新たな需給調整の手段にならないよう、監視が必要。

○ 競争政策では、公取のポジショニングが優先課題。執行力の強化のためには、総務省の中という中途半端な位置付けではなく、独立させて権限強化する必要がある。また、今は公取が挙げた証拠を刑事手続きで使用できないという問題がある。そういう点を含め、公取のポジショニングを議論すべき。

○ 公取の権限強化には賛成だが、注意すべきは、外形規制の意味すら理解しない公取の能力の問題。この問題にアプローチせずに権限だけ与えても無意味である。競争政策の定義の議論はすれど、肝心の調査とか独禁法違反への対応にはヘジテイティブな姿勢が現実にある。能力の問題を併せて議論すべき。

(2)その他

今後の進め方等について、議論がなされた。概要は、以下の通り。

○ 提言のまとめ方については、関係省庁と合意できたもののみでなく、幅広く規制の問題・事実も含めて書くべきではないか。

○ この会議は、改革の実を挙げるため各省庁・関係方面と合意を取り付けることが仕事なのか、あるべき方向を指し示した上で現時点での合意事項を示すものなのか。

○ 前身の委員会では、できるだけぎりぎり掴めるところをやってきた。その結果、それなりの成果が出た。一部は、方向性を示すこともしたが、(基本的には、)毎年、少しずつバーを上げる形で成果を掴んできた。
当会議の守備範囲が広がったこと、現内閣が構造改革を旗印にしていることもあり、6分野については、制度的なものをまず議論した。一方、その他の分野では、通常やっていたものを集めてやっている。ある意味では、2年分の検討をしている。方向性を指し示すことと、ぎりぎりで掴むことをどこで収めるかについては、個人的には、掴めなければ仕方がないと思うが、従前より高いバーをつかみたいと思っている。この問題については、次回よく議論したい。
当会議の成果が政治課題になっているので、あるべき方向のみでは納まらないと思う。

○ 医療については、厚生労働省の改革試案を基に11月末に政府・与党社会保障改革協議会の結論を出すことになっている。その後で我々が何か言っても仕様がない。その前に具体策を出して、政府・与党での協議に反映・考慮して頂く必要があると思う。

○ 最終報告では、方向性も入れた方が良いと思う。その上で、解決したもの・解決していないものを示すことは重要である。年鑑のようなものがあってもよい。

以上

(文責 総合規制改革会議事務室


内閣府 総合規制改革会議