全国知事会からのヒアリング

<説明>

○資料3−1「規制改革に関する意見・要望(総括表及び重点項目)」ならびに資料3−2「構造改革特区における規制改革の推進について」に基づき説明があった。要旨以下のとおり。

(総論的事項)

・ 資料については、極めて短期間で各県に照会し、まとめあげたこともあるゆえ精粗ばらばらであり、必ずしも考え方が統一されているわけでもない点、予めご承知願いたい。

・ いまさらでもあるが、規制緩和に対する我々の基本的な考え方は、本来自由であるべき経済的規制については基本的には自由化していくべきであろうし、社会的規制についても安全といったことや弱者対策やセーフティネットを十分に踏まえながら検討を進めていく必要があると考えている。

・ ところで、貴会議の所管ではないかもしれないが、最近の問題点として、法律に基づいて地方自治体の事務の内容を確定してしまう、あるいは法律に基づいて義務づけしてしまう例が非常に増えてきている。そのような事例が増えてくるとすれば、国が法令等を制定する際には事前に地方に関連する事項については協議していただく、あるいは意見を聞いていただく機関をきちっと制度化していただきたいという要請を全国知事会として行っているので併せて申し添えたい。

(資料3−1に関する補足意見)

 教育分野の要望に関連して、義務教育費の国庫費用負担についての個人的意見を述べたい。学級編成については現在、標準法で40人学級が決められているが、これはあくまで「標準」であるから、それ以外は認められないということではない。なお、財政的には標準法に基づいて、国が1/2の負担をしている。
これに対し、先般、児童又は生徒の実態に照らし合わせて特に必要があると認めるときには40人学級以下の基準を定めることが出来るといった内容の但し書きが"あえて"付された。一方、その但し書きに見合った財源措置が講ぜられていない。
申し上げたいのは、このように一方で規制緩和的な措置を講じながら、他方で財政的な責任を果たさないという規制緩和はいかがなものかと感じている。

(資料3−2に関する補足説明)

・ 「構造改革特区推進のためのプログラム」においては、903件の規制改革提案に対し、特区および全国で実施するもの双方合わせて200程度あげられている。しかしながら、現時点においては実施内容があまり具体的に発表されておらず、具体的な内容いかんによっては前進したことにならないと考えており、出来るだけ早く具体的な内容を明らかにしていただきたい。

・ また、「引き続き検討」するという事項についてもスケジュールを明示し、進む方向性を明確にしていただきたい。

・ ところで「国際みなと経済特区」の箇所では具体的に記載していないが、現在、例えば船が神戸港に入港した後、大阪港に寄港するようなケースにおいて、神戸港と大阪港が一つの開港としての取扱いがなされていないことによりとん税と特別とん税が各々賦課されている。ところが例えば東京港、川崎港、横浜港は一つの開港として認められていることから、3港に寄港しても一つのとん税で済んでいることと矛盾がある。別途関係各所に要請はしているが、このような点も存在しているということを紹介しておきたい。

・ 最後に、規制緩和については基本的に全国一律の措置が一番ふさわしいと思っているが、先導的に一部の地域を対象に特区という枠で対応していくことは前進の措置になろうと思っており、全国の地方団体ともども各々の地域に応じた対応をさせていただくべく、検討を進めているところであるので、今後積極的な対応をお願いしたい。

<質疑応答>

[○委員又は政府側発言部分、●団体発言部分]

○全国知事会においても農業分野の株式会社参入にはご賛意いただいているようだが、株式会社参入に際し農協の存在はかなり大きなものになっていくだろう。現在、特別に保護されている農協あるいは独禁法適用除外されている農協、流通サービスの過程においても農協はかなり保護されていると言わざるを得ないが、これをどう打破していこうと考えるか。

●どのようなシチュエーションを考えるかによって異なると思うが、一律に新しい形態が農業分野に参入していくこと、それ自体が(現在の農協の)競争相手になるということではないのではないか。例えば農協が行っている事業を株式会社やNPOが受託することによって、さらに柔軟な発想や行動が期待できる場面もあろう。実際、農協においては広域化・広域合併も進んでおり細かいサービスについては、なかなか目が届かなくなってきている実態がある。したがって例えばNPO法人が小さな地域や小グループと一緒になって流通や栽培技術の伝承をやっていくことなども考えられるだろう。現在の議論で、一番懸念されている事は、おそらく大資本が大規模な形で農地を買い占め、農業を展開していくということを想定するかどうかということであろうが、私自身はまだそこまで到達するのは早いのではないかと思っている。

○現時点においては小規模の分野において株式会社参入を認め、それについて農協にはアレルギーを起こさせないという考えをお持ちか。

●農協の行っていること自体が非効率で意味の無いことではないということを申し上げた。

○知事のご説明について、農協への民間参入については大規模資本の参入にブレーキをかけることを考えて欲しいという意味ではないのかという点について確認したい。

●私は、例えばどういう部分であれば参入を良しとするのかといった場面を少し考えなければいけないと思っている。何でも良いから参入して良いとするならば、やはり今の農業形態が非常に混乱を生じる恐れがあるのではないかと思う。参入して良い部分とやはりなかなか難しかろうという部分とを仕分けしていくことが必要であると思っている。

●最後に、本日、お話した中には個人的意見が相当含まれていることをお断りさせていただきたい。引き続きよろしくお願いしたい。


内閣府 総合規制改革会議