いわゆる「混合診療」の解禁(保険診療と保険外診療の併用)について

○宮内主査 まず、混合診療の解禁につきましては、本日は大変お忙しい中、厚生労働省から真野保険局長を始め、御関係の関係の皆様方においでいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本テーマにつきましては、当会議として目指すべき方向は、資料1にもありますように、一定の質が担保された医療機関等においては、現行の特定療養費制度ではなく、保険診療と保険外診療の併用を解禁すべきであるというものでございます。本テーマは我が国の医療サービスのマーケットを急拡大させ、そこでの雇用吸収力を大幅に向上させるとともに、我が国の医療技術の向上にも直接つながるような大変重要にテーマであると認識しております。
 それでは、最初に私から簡単に主な論点を2点だけ指摘させていただきたいと思います。 1つ目の論点は、資料1にもございますように、混合診療を解禁すると、患者の所得に応じた療養格差が生ずる。いわゆる金持ち優遇になるという厚生労働省の御主張についてであります。これに対しましては、決してそうはならないと反論申し上げたいと思います。
 すなわち、混合診療が認められれば、患者がこれまで100 %自己負担しなければならなかった高額な高度先進医療サービスが一定の公的保険による手当の下で受けられるようになるため、むしろ全体の不公平感はなくなるのではないかと考えております。
 2つ目の論点は、混合診療を解禁すると、公的保険の給付が実際には拡大してしまい、医療費の増大を招くのでないかという厚生労働省の御主張でございます。それはそもそも厚生労働省の第1の御主張と矛盾するのではないかとも思われますが、これにつきましては、混合診療が解禁されれれば、個々の患者に提供される医療サービスが一層多様化し、完治までの期間も短縮することにもつながることから、結果といたしまして、医療費の急増にはつながらないのではないかと考えております。
 そういう点も踏まえまして、これから厚生労働省との意見交換を始めさせていただきたいと思います。
 まず厚生労働省から10分程度でお考えにつきまして、御説明をお願いいたします。

○眞野厚生労働省保険局長 保険局長でございます。資料の説明の前に、基本的な考え方を御説明申し上げたいと思います。 私ども、日本の公的医療保険制度につきましては、国民皆保険ということで、それぞれの国民が負担能力に関係なく適切な医療を受けられるようにするということで、社会保障として必要十分な医療は公的医療保険診療として確保するということを原則といたしております。
 しかし、患者ニーズの多様化や医療技術の進歩に対応するため、患者の選択に委ねることが適当なサービスや、先端的な医療技術につきましては、保険診療と保険外診療の併用を認めます特定療養費制度を昭和59年に設けておりまして、私どもといたしましては、保険診療と保険外診療の併用というものについては、既にその道が開かれているというふうに考えております。
 この特定療養費制度でございますが、保険によりまして、給付する部分と患者の選択に委ねます保険外給付の部分の明確化を図っております。
 また、患者負担の不当な増大を生じないように料金の掲示義務などを定めますとともに、安全性の確保に配慮するということでございまして、そういうことから、私どもは特定療養費制度という格好で保険診療と保険外診療の併用ということをルール化してきていると思っております。
 そういうことから、ルールに基づかない保険診療と保険外診療を無原則に認めるということは問題があるのではないかというふうに考えておりますし、また、この特定療養費制度は、後ほど御説明いたしますように、昭和59年に制度が発足をいたしましたけれども、その後、順次拡大を図ってまいっております。患者ニーズの多様化、そういう要請には私どもとしては、応えてきているというふうに考えております。
 そのほか、私どもがなかなか気がつかないような適当な個別の事例があるということであれば、私どもも是非検討してまいりたいと思っております。
 それから、高度先進医療その他につきましても、後ほど申し上げます医師主導の治験、そういうような制度の対象の拡大や運用面における見直しも当然これから考えていきたいと考えております。
 以上でございまして、資料につきましては、医療課長の方から御説明を申し上げます。

○西山厚労省保険局医療課長 担当の医療課長の西山でございます。よろしくお願いいたします。
 ポイントとなるところは、保険外負担の種類とどのくらいの負担になるだろうかというシミュレーションと、主査が言われたように、それがマーケットメカニズムにどのくらい影響してくるのかというところだと思います。お手元の資料が、いわゆる混合診療についてということでございまして、1ページ目をお開きいただきたんですけれども、時間が10分ということですので、この1ページに書いてあることは、今、局長から話がありましたように、特定療養費制度、昭和59年から開始をされて、もう20年前でございます。これがいわゆる保険と保険外負担の解禁というような時点になろうかと思います。具体的には選定療養と高度先進医療でございまして、会議の先生方は御存じだと思いますけれども、次のページ、昭和59年には一番大きな問題は、VIPの方々の入院という問題について、今の保険ではだめだろうと。だめというのは、テレビもない、風呂もない、風呂というのは別ですけれども、電話もないと。入院したら仕事ができない。そんなことに対応するために、これは河北先生のところもそうでしようけれども、特別の療養環境ということで、差額ベッドということで大きな議題になりました。
 併せて、後で申し述べますけれども、高度先進医療ということで、昭和59年にこの2つ、プラス歯科の混合診療が導入された。それ以降、平成4年には予約診療、時間外診療については、患者から自由に御負担いただいていいというようなこと。
 平成6年は歯科で、総入歯の方でございますけれども、金属床を患者からいただく。 平成8年、この辺が私ども担当課長としては新しいロジックが出てきたと思っています。特に200 床の病院の初診につきましては、患者が病院を選択するという自由度、例えば国立がんセンターであれば、そこに直接行くということで、その場合には5,000 円くらいの自己負担を保険診療とは別に取れるという制度ができました。いわゆる技術料についての混合診療。
 平成8年は、これも薬の分野で画期的だと私ども思っていますけれども、医薬品の治験をしている場合には、患者から自由な選択、あるいは同意の下に薬価収載前の薬でも患者からお金が徴収できる。負担をしていただくという歴史がございまして、平成14年、ここにございますように、医療用具、材料についても、治験の場合には、特定療養費化される。 それから、もう一つは、薬事法承認後、それから保険収載前の期間があいていますので、その際には薬品使用ができる。そのような歴史の中で、次のページをお開きいただきたんですけれども、具体的には保険給付と保険給付外ということで、例えば差額ベッドですと、全国の平均を見ますと個室でありますと6,400 円保険給付外で負担をしていただいている。例えば10万とか、5万とか、そういう保険外を取っているような医療機関もございます。 地方に行けば3,000 円も取れないというところもございますけれども、一応入院基本料みたいなものは保険で給付させていただいて、差額ベッド代というのは保険外負担ということでございます。
 最後の医薬品等の治験でございますけれども、これは入院料ですとか、手術、処置料、これは全部保険で賄います。ところが、治験中のお薬を患者に投与するというようなリスク、これについては治験制度の中でメーカーが負担する。患者ではなくてメーカーが負担するという制度でございます。これがその特徴です。
 次のページから高度先進医療の例でありますけれども、お手元に受診ガイドという冊子がございます。これがすべて67種類、現在対象技術として認めているものでございまして、簡単に御紹介申し上げますと、今、お開きのページですと、心臓移植、それから生体部分肺移植、こういったものについては非常に高度な技術ですので、先ほど来申し上げていますように、保険給付の部分というのは、高度先進の部分以外、すべてであります。それが保険適用になる。
 高度の部分というのは、保険給付外として患者負担になりますけれども、これは特殊な技術、例えば肺を移植する技術、そういったものについては患者に自己負担していただく。そのための人工心肺用の材料、こういったものについても保険外で患者から負担していただく。
 その下にありますように、なお、移植については、今まで高度先進だった生体部分肝移植などがあった、そういったものについては逐次保険収載と言いますか、全額保険という形で普及を図るという状況でございます。腎移植、角膜移植、骨移植、骨髄移植等々でございます。
 5ページでありますけれども、この辺はさらっと見ておいていただければと思いますけれども、腹腔鏡下前立腺摘除術、あるいは悪性腫瘍に対する粒子線治療、これは粒子線を病巣に照射するということで、がんを治療する先端技術でありますけれども、そういったものの混合診療。
 それから、経皮的レーザーということで、椎間板ヘルニア減圧術、こういったものも特定の医療機関でできますけれども、その普及が図られれば、中医協等にお諮りして、全面的に適用にしていくという流れがございます。
 次のページでございますけれども、これも上の方で書かれておりますように「高度先進医療の対象技術」、有効性、安全性、もう一つ倫理性というのがございます。こういったようなことで個別に決定をしていただいている。個々の説明は時間の関係で省きますけれども、特に真ん中の辺の下にございます最近特に注目されていますのは、DNA、あるいは遺伝子診断と呼ばれるものでございまして、これは進行性筋ジストロフィーのDNA診断。DNAを見て、この方が将来進行性筋ジストロフィーになるかという判断をすべての方について100 %わかるという技術でございますけれども、そういったDNA診断。
 それから、先天性、血液凝固異常症の遺伝子診断等々でございます。
 それから、右の方でございますけれども、歯科の部分で、やはりインプラント義歯と言ってますけれども、欠損した状態の中で、下顎骨に穴を開けて、そこで歯科の治療をする。こういったものがインプラント義歯でございまして、かなりの歯科の大学病院等で実際にされている。
 最後になりますけれども、今後の見直しの考え方ということで、先ほど来、局長が申し上げたとおりでありますけれども、拡大を適切なルールの下にしていこうじゃないかということで、今日も具体的な話、恐らく先ほど主査が言っておられた一定の質が担保された医療機関においては、混合診療を拡大するという話がありましたけれども、その保険外診療の分野というものが議論になろうかと思います。
 最後に具体的にはということで、現在、私どもの制度、迅速性についてはどうか、あるいは60床とか100 床規模の医療機関から提案、要望がございまして、これは兵庫の神戸の先端医療技術センターですとか、千葉の放射線医学総合研究所、一応300 床標準というのがありまして、それよりも非常に規模が小さいものですから、今、私ども審議をしているところでございますけれども、そういったものの見直しを行うということ。
 (2)は次の最後のページを見ていただきたいんですけれども、医師主導の治験ということで、海外の薬等々いろいろございますので、今度はお医者さんが独自に治験という制度を活用しまして、このような形で医療機関、医師が治験の届出をして、ある一定の基準に基づきまして、そこで治験を実施する。新たな医薬品について患者さんに投与するという場合については、一番大事なのは患者に対する文書の同意、あるいは説明でございます。抗がん剤等、いろいろと開発が進んでおりますので、そういった部分については、こういったシステムの中で実施していくということを薬事法を改正いたしまして、この6月、7月くらいから実施をしていくという状況でございまして、このシステムの一番大きなところは、お医者さんがアメリカから帰ってこられて自分でこの薬を使いたいといった場合には、ある一定の手続の下に行政当局に報告をしてもらう。ただ、私ども薬害の問題がありますので、一定の立入検査、報告聴取、あるいは中止、変更の指示というシステムはございますけれども、あくまでもこれは医師の自由度というものを前提に、制度を導入するという状況でございます。
 お手元の資料、14年度版と書いてございますけれども、これの54ページから見ていただければ、各大学病院ずっとございます。勿論、大学病院だけではなくて、亀田総合病院とか、民間の病院もこういった形で高度先進医療、それぞれ得意分野がございます。できるところ、できない技術、それぞれ選択していただいて、大学の中で、あるいは病院の中で委員会をつくっていただいて、治療していただく。
 この最後の64ページにございますのが、平成61年以降、高度先進医療から保険導入したという技術のリストでございます。
 若干、時間をオーバーしましたけれども、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは、本テーマにつきまして、私ども委員との間で意見交換をさせていただきたいと思います。まず、御質問等ございましたら、鈴木さん、どうぞ。

○鈴木副主査 私、医療関係の主査もやっておりますので、包括的に質問させていただきたいと思います。時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いしたいと思います。
 混合診療というのは、医の進歩を促進し、患者のアメニティーを高める。医師の収入も増える。保険ではとても賄い切れないものをやることができ保険財政の破綻を救いつつ高度な医療を導入できる。勿論、そういうものをやることによって日本経済の発展にも寄与する。つまりよいことづくめなのです。ルーザーのいないゲームだということです。そういう点が片方にあるとともに、なぜ普通に保険料を払っている者が点数表に載っている以外の医薬品や療法を1つでも併用したら保険金が支払われないのか。これは財産権の侵害だと思います。だから、よいところだらけで、悪いことがないこのシステムを、さっき主査が申されましたけれども、金持ち優遇だ、医療費が増えるというなら、なぜ医療費が増えるのか。そういう点について厚労省は現在どう思っておられるのか。どんどん特定医療費という制度を増やすことによって、事実上の混合診療に近づけますからと最近は言っておられるけど、混合診療の解禁自体の考え方には、弊害があるのか、ないのか、間違っているのか、それについて簡単に答えてください。

○西山医療課長 間違っていないと思います。ある一定のシステムの中で混合診療をずっと20年来、拡大してきていますので、更に新たにどのような部分の混合診療をお求めになるのか、その辺の議論が優先するんだと思います。

○鈴木副主査 問題として気にしておられるのは、無制限に認めると、不心得なお医者さんがいて、それをよいことにして、好ましくないような不正な医療行為をやる。それを心配しておられるわけですか。

○西山医療課長 不心得かどうかは別にしまして、イレッサの例を見ても、あれは米国の会社でありますけれども、我が国で承認された薬でありますけれども、立派なお医者さんであってもあれだけの死亡者が出る。したがって、安全性と、有効性、これはやはり何らかの形で担保しなければいけないと考えております。

○鈴木副主査 では、次に進みますけれども、混合診療の禁止というのはいろいろな議論があったけれども、その法的根拠というのは一体何なのだという点について、これを説明してください。

○西山医療課長 健康保険法の第86条、そこに特定療養費制度ということで根拠がございます。

○鈴木副主査 どうして根拠になるのですか。これに対しては、特定療養費を払うと言っているだけのことなのでしょう。

○西山医療課長 それから、もう一つ詳しく、法律的な話でございますね。

○鈴木副主査 そうです。

○西山医療課長 健保法に根拠を置いて、もう一方は、療養担当規則というのがありまして、そこで厚労大臣の定める医薬品以外は使用してはならないという規定がございます。

○鈴木副主査 それは単純な通知なんでしょう。

○鈴木副主査 もともと混合診療を禁止するという規定は何もないです。その療担規則というのがあったけれども、いつだったかの判例ではそんなものはだめだということで否定はされているわけですね。

○西山医療課長 法律的にはそうです。

○鈴木副主査 そうしたら、なぜ昭和59年の法令の改正のときに、どうしてそんなにこだわれるのだったら、混合診療は禁止するということを書かなったのですか。

○武田保険医療企画調査室長 法律上の根拠ということで、ごく簡単に申しますと、今の健康保険法が現物給付という形を取っておりまして、一部負担金についてのみ保険医療機関は患者から取ることができるとなっている。それを受けて厚生労働省令の療養担当規則の中で、一部負担についてのみ、それから高度先進医療についてのみ差額を受けることができる。 59年の法律改正のときに、この特定療養費制度をつくりましたが、現在の健康保険法の枠組み自体の現物給付の建前、すなわち、療養そのものを給付をする、その療養に要する費用は保険医療機関に保険者が払う、医療機関の方は一部負担金を患者からもらって、それ以外の費用は保険者からもらう、そういう健康保険法の枠組み自体に例外的規定を設ければ、全体的な仕組みとしては、整合性を持った形で整理ができるということで、わざわざ混合診療の禁止の規定を書かずとも、現行法令の規定でそのような整理ができているということだったろうと思います。

○鈴木副主査 私が言いたいのは、86条が言っているのは、大学の付属病院だとか、特定の能力があると認められた病院のうちから患者が選んだものから受けた療養に対しては特定療養費を出しますというとを言っているだけのことであって、それを厚生労働省は反対解釈だと言って、そういう議論をされるけれども、そういう法的な根拠自体はどこに書いてあるのだという問題があるということをまず申し上げておきたいということです。
 もう少し、これは技術的問題になりますが、86条を読みますと、大学の付属病院、その他の高度な医療提供をするものとして厚生労働省令で定める要件に該当する病院または診療所のうち、被保険者が、つまり患者が選定するものから受けた療養費としか書いていないのです。
 簡単にするために付属病院だけでいきましょう。
 付属病院であれば患者が選んだもの、そこで受ける治療としか書いていない。しかし、厚生労働省はそれに対して事細かく告知で療法まで指定をしておられる。告知という行政裁量の手段で療法まで指定して、特定療養費制度を活用と盛んに言うが、わずか2百件程度のものしか認めていない。そんなことをする根拠があるのか、それは正当な行政の在り方かということを聞きたいのです。
 私どもの言っている混合診療の許可というのも、その範囲を付属病院と一定の能力のある病院だけで限るかどうは別として、基本的には私ども全部が全部の診療所まで混合診療を認めろということを言っておりません。ある基準に合致する医療機関以上であるべきは当然だと思います。しかしその基準に合致した以上、保険外医療の採用は患者の希望を受けたその医療機関の判断に委ねよ、それが法の趣旨でもあると言っているのです。
 ところが、おたくはそれを一つ一つを告示で事細かに縛っている。そんなことをして縛っていくというのは、厚生労働省がお墨付きを与えたものでなければだめだということを言っているのにすぎないのではないのか。一定の能力がある病院が自由にやって先進医療の開発をしたいという芽を摘み、もっと患者が快適に病院の中で過ごしたいという希望を著しく妨げている。さっき特定療養費の対象となる医薬や療法の希望があったら、厚生労働省に伺いを立ててくれ、そうしたらどんど認めますと言いたいようだが、わずかに今、認められているのは、100 か200 くらいのでしかない。これは一体どういうことだということを聞きたいのです。

○西山医療課長 法律的な議論はあるでしょうけれども、この制度はいわゆる申請主義であります。例えば生体肺移植については、岡山大学がこの前申請をされて、高度先進の専門家会議を経て了承された。あくまでも申請主義でございますから、私どもがその申請はいかんと言った覚えはないんであります。ですから、大学病院、あるいは先ほど言いましたように、例えば民間病院であれば亀田さんとか、日鋼記念病院、虎の門病院、そういうところから高度先進医療をやりたいという申請があれば、一定の手続の下において、それを推進していくということなんでございます。
 したがって、医療機関も高度の技術もあくまでも申請主義ということを前提にしています。

○鈴木副主査 申請主義というのは、特段の事由がない限り、登録みたいなものだということを言いたいわけですか。

○西山医療課長 登録というよりも、先ほどの議論になりますけれども、先ほど言ったDNA診断だとか、いろんな高度先進技術につきましての安全性と有効性というものは平場で一度議論しておこうと。そういう形で進めています。それは必要なんだろうと思います。

○河北専門委員 その申請制という中で、過去の経歴、経験、そういうものは必要としているんでしたか。

○西山医療課長 過去の医療機関の。

○河北専門委員 実績を示して、申請をするということですね。ですから、実績に至るまでがなかなか大変なのですよ。

○西山医療課長 そこの議論はあるのですね。ですから、今、5例を実績としてやっていただきたいと。やはり5例くらいやっていただいて、その安全性なり有効性なりを見ていこうじゃないかと。それかを3例にするのか2例にするのかという議論はありますけれども、全くゼロじゃどういう技術かわらないということなのです。

○河北専門委員 今は医療機関数は128 か所ということになっていると書いてありますけれども、結局、医療機関の実績なのか、医師の実績なのか、医師というのは割合動くわけです。そこを今後は考えていかなきゃいけないと思っています。

○西山医療課長 今の制度上はあくまでも医療機関です。

○鈴木副主査 現実問題として、ここではそう言われいかにも開明的で、何でも進んでいると言わんがばかりだが、数の少さということもあるが、現実問題として厚生労働省の行政のやり方を見ていると、さっきの告示のやり方と言い、その他のものでも、法以外のもの、つまり通達的なものでやることが余りにも多過ぎると思います。厚生労働省内部で一旦決めたら、天下の掟だと言わぬがばかりにやっておられる。その運営のやり方というのは、果たして現実の実情やニーズに合っているのかということについて深い疑念があるということを言っておきたいのです。ところで、医療の方についてはある程度問題があるとしてみても、アメニティーに関する部分について、これになぜ選定療養というもので12ほどに限定しておく必要があるのか。私は高度先進医療の場合にしかるべきスケールというか、能力がある病院でなくてはということに対してある程度賛成しますが、アメニティーに関する部分は、診療所に至るまでどこであって、自由に選択して何が悪いのかと思うが、これに対しての返事はどうですか。

○西山医療課長 まず前段の方でありますけれども、高度先端の技術については、私ども事務当局ともやりとりしまして、特区構想の中でいろんな御意見をいただいています。ちょっと御紹介しますと、再生医療、遺伝子治療、細胞医療、先端的がん医療、先端的診断技術、これではわからないです。もっと具体的に事務方の方もお願いしたいんですけれども、どういう技術なのか。例えば先端的診断技術があれば、先ほど来申し上げていますような、DNA診断もそうでしょう、遺伝子治療もそうです。その辺の部分がこれからの議論になったときにもっと詰めるときに、具体的に今、大学なり医療機関がどういう技術を開発されていて、それを有効性、安全性を確認しつつ導入していく。その技術の範囲というものをお聞かせ願えればと考えていますし、それから、選定療養も言葉だけではなくて、どの部分なんたろう。ですから、医療機関が、これを言うとまた情報の非対称性みたいなものがございますけれども、患者の望むような医療、その部分については選定療養として自由に負担していただけると。そういう制度上の道はあるわけです。それを利用していただければと考えているわけです。

○鈴木副主査 それなら12である必要はないでしょう。その範囲を広げておけば、医療機関によってはいろいろ工夫をして、そこにビジネス・チャンスを発掘する、そういうことによって患者のアメニティーを高めていくと。

○西山医療課長 具体的にどのような御提案なのか。

○八代委員 今の議論で明らかになっていますが、特定療養費の内容について具体的に言って貰えれば、厚生労働省で判断するという考え方が問題と我々は言っています。

○西山医療課長 そうじゃないです。今はその議論ではなくて、こういった議論は、具体的な話をお聞かせ願いたいとお願いしているわけです。

○八代委員 問題はそれをもう少し別のルールでできないだろうか。今、おっしゃっているのは厚生労働省のルールに基づいて特定療養費を広げるのは構わない。それ以外のルールは認めないとおっしゃっているわけです。それに対して我々は例えば質の高い病院についての基準は厚生労働省が定める、、その後は、何を混合診療の対象にするかは。その病院が十分な情報公開の下に患者が判断すべきことではないか。個別に厚生労働省が判断しなくても、混合診療ができるような、消費者主体の道が開けないかどうかということです。高度先進医療か混合診療かという名前の違いではなくて、一定の質の高い病院というものを決めたら、その病院は基本的に高度特定療養費の内容は患者との交渉で決めることが先ほど宮内主査の言われた利用者の選択肢ということであるということについてはいかがでしようか。

○西山医療課長 同じことのお願いになりますけれども、59年当時に国会で審議いただいた健康保険法に基づく選定療養と高度先進医療をやってきた。ところが、20年経った現在、はるかにそれを超えるくらいの患者のニーズが出てきた。あるいは科学技術も発展したという時点で、この健康保険法、時代に合わないという話だと思うんです。
 また、先ほどの議論になりますけれども、この分野に限っては役人が勝手に決めるということは決していないと思っていますけれども、具体論があればもっと議論しやすいのかと。

○鈴木副主査 具体論とおっしゃるんだったらそれは何度もやった。何があるのだというから、私どもはこの総合規制改革会議でヒアリングをした方から、たくさんあると聞いたので資料を貰った。その資料は既にそちらに上げてあります。例をあげると、世界の10の最も売れている薬のうちの5つのものは認められていないとか、ある特定のがんについて180 ほどの薬は認められていないとか、そういう資料は差し上げておるはずだ。それに対して何の返事もない。例をいっぱい挙げたってそっちは言ってこないということなのです。
 そして、何があるかというアメニティーの部分というのは、私どもが例を挙げなくても、それは病院や診療所が考えればよいことであって、要するに、そんなところに厚生労働省はいちいち立ち入るなということを我々は言っているのだから、何があるのだとあなたから開き直られる筋合は全くない話です。

○西山医療課長 開き直っているわけではなくて、先ほど言ったように資料をいただいています。特区の中でも再生医療だとか遺伝子治療という大まかな提案をいただいていますけれども、冒頭御説明したような形での技術というのが実際あるということですね。それは副主査がそうおっしゃっておられますからいいにしても、今、八代先生が言われた話だと、いい医療機関だったら自由にという話、これは1つの御見識というか、あり得る話だと思うんですけれども、今、鈴木副主査が言われた抗がん剤の話ですね。そうすると、私どもが選定療養とは別なんですけれども、薬の話で言えば、先ほど医師の主導の治験の話をしましたように、薬については安全性をどこか担保しなきゃいけないだろうと思っているんです。
 ですから、逆に言えば承認された薬であれば使ってもいいんじゃないかという御提案でしょうか。これがあったわけですけれども、私どもはそれは治験制度というものがありますので、それに乗っかっていただきたいと。しかもそれは医師主導の治験をこの6月からやるわけですから。
 もう一点の話は、もっと広い話で、これは哲学論と言いますか、八代委員とか河北専門委員が言われている河北総合病院のような病院であれば、患者さんにインフォームドコンセントをきっちりやっていただけるだろうから、一人当たり1,000 円プラスα取っていいじゃないかと。これについては私は反論するというよりも、そういうお考え方はあってもいいと思うんです。あとは公的保険の組み合わせの中で、どう議論していくかということになろうかと思います。

○福井専門委員 基本的なことですけれども、保険診療と自由診療の線引きの基準は何ですか。

○西山医療課長 自由診療というのはいわゆる美容整形だとか根っこから保険を全然使わない診療です。ただし、それは患者の治療だけに限定しないんです。美容とかですね。保険診療というのは、健康保険に基づく患者の治療なんです。

○福井専門委員 それはわかりますから、制度の趣旨なり考え方でどういうふうに区別しているのかということをお聞きしているのです。

○西山医療課長 自由診療に関する制度というのは法的にはないです。

○福井専門委員 健康保険が使える病気とそうではない病気の違いは何ですか。

○西山医療課長 病気であれば健康保険は全部使えます。どういうことをおっしゃりたいんですか。

○福井専門委員 混合診療の対象になっているような、さっきからまさに出ているような特定療養で自由診療になるような領域と、それから、本来根っこで健康保険を使える領域というのはどう違うのですか。

○武田室長 一応法律的には疾病、または傷病に対する治療は、一般的に健康保険の給付対象になりますが、特殊療法の禁止ということで、通常先ほど来、有効性、安全性という議論も出ておりますが、有効性、安全性が確認されていないような特殊療法については、保険として使うことができない。例えば先ほど医薬品の話も出ておりましたが、医薬品について薬事法上の承認を取っていないものについては、未承認薬ということで保険では使えない。一応そういう線引きになっています。

○福井専門委員 未承認薬は自由診療なら使えるということですね。

○武田室長 医師がその裁量に基づいて治療に用いるということは、その医療保険の問題でない外の問題であれば、一般的にはあり得るわけです。

○福井専門委員 先ほど来の議論を聞いていて一番わからないのは、基本的に保険の診療とそれ以外の診療が混じると、何で根っこから保険が一切使えなくなるのかという合理性がさっぱりわからないのです。具体的な話じゃなく、理念なり考え方として教えてほしい。

○西山医療課長 それはあくまでも社会保障に必要十分な医療は、医療保険の中で適用しているという考え方に基づくわけです。

○福井専門委員 必要な治療に少しプラスαを超えてニーズがあるからこういう議論がそもそも出ているわけですから、ほんの少し付加したら、根っこから、お前全部自腹で払えということの合理性は何ですか。

○西山医療課長 ほんの少し付加したらというのは、どっちの議論をされているんですか。

○福井専門委員 保険診療に保険診療外を付加したらです、およそ一般的な話です。

○西山医療課長 それは、特定療養費制度で。

○福井専門委員 そういう議論をしているのではないのです。

○鈴木副主査 そもそも財産権の侵害に近い問題だということ。

○福井専門委員 特定療養費という形で、何で一々決めないといけないのですか。しかも、5例以上という基準でもって事前に厚生省が決めておかないといけない、医療現場の裁量に委ねてはいけない理由は何ですか。

○八代委員 例えば治療の際に、仮に未承認薬を1つだけ加える場合に、その分だけではなく全ての診療費用を自由診療ろして負担しなければいけないわけですね、今の規定だと。

○福井専門委員 保険診療というのは、今おっしゃったような意味で、薬の安全性とか治療の安全性とかが確立したものだとするなら、確立した領域の治療を行っている人がそれ以外にもう少し加えたときに、確立した部分についてまで一切公的保険では面倒みないという突き離すことの合理性がわからないのです。

○西山医療課長 それは今の特定医療費制度の外の話ですかね。

○鈴木副主査 混合診療をなぜ認めないのかというそもそも論です。

○福井専門委員 今は制度をどうするかという議論しているわけですから、今の特定療養費制度成り立ちをお聞きしても仕方がない。考え方の問題を教えてほしいのです。

○河北専門委員 実は私は特定療養費制度というのは実によくできていなと思っているんですけれども、今の議論は基本的には社会保険はここまで給付をします。それ以外は関与しませんという議論ができるかどうかということだろうと思うんです。ですから、社会保険がほとんどすべてをカバーしていて、それ以外は認めないと、この認めないということが社会保険で言えるかどうかなんです。社会保険というのはこの範囲の給付はします。あとは我々の対象外で全く関与しませんという議論ができるかどうかということが我々の規制改革としての一番ポイントなんだろうと思うんです。
 私自身は特定療養費制度をもう少し変えていってもそれは可能である。これはこの対象になる医療機関、あるいはタイムラグをできるだけ短くするということで可能だろうと思いますけれども、基本的には社会保険はここまでカバーをする。それ以外は社会保険は関与しないということが言えるかどうかということがポイントなんだろうと思います。

○福井専門委員 質問にまだ答えていただいていないのでお願いします。

○武田室長 考え方としてどういうことかという御質問ですが、先ほど特殊療法の禁止という考え方が健康保険法には入っているということでありまして、民間保険と違って、国の関与する公的医療保険ですので、国民に必要な医療を保障するということです。

○福井専門委員 それはわかります。だから、混じったときの話だけ聞きたい。

○武田室長 最後までお聞きいただきたいんですが、特殊療法の禁止がなぜ入っているかということなんですが、国民が健康保険法の考え方として、すべての国民が健康保険証を持って、それを提示すればどの医療機関であって、保険医療機関であれば保険診療を行う。そういう国民に対する国の保障と、それから患者が一定の有効性、安全性が保障されて医療を受けるという期待権というのも保障しなければならないものだろうと思います。
 したがって、特殊療法ということで、何でもいいということになれば、一定の保険で認められた有効・安全な医療の保障という観点から問題が生じないかどうかという懸念がこの特殊療法の禁止の規定にも表れているのでないか。
 それから、医療保険財政上の観点もあろうかと思いますけれども、少なくとも現在の考え方は、保険診療はあくまで保険診療として、一定のルールに基づいて認められたものを給付するという考え方に立っています。

○福井専門委員 健康保険に何かが付加されたときに、根っこからなぜ保険が使えなくなるのかということがやはり今の御説明ではよくわからない。そのポイントはなんですか。
 要するに、ベースの部分は保険で賄う部分の治療が大多数を占めている。少し未承認の新薬とかを試してみようということを試みると、全部自己負担になるということの政策的合理性を教えてほしいのです。

○武田室長 あくまで政策的合理性ということで、必ずしもある程度議論の出発点が違いますと、結論が違ってしまうのかしれませんが、我々、あくまで公的医療保険制度として、患者の方から見れば、保険証を提示して公的な医療保険を受けるという意思表示をしたにもかかわらず、医師の方からこんな療法がある、こんな療法があるということで法律で定められた一部負担以上の一部負担金も払わなければいけなくなるし、実は国際的に通用していなかった治療法まで強要されるようなことになる、ということのないようにする必要がある。

○福井専門委員 それは説明と同意が十分に与えられていれば患者自身が望むことでしょう。自由診療というのは、そもそも患者自身が望んで行うことなんだから、その部分が混じっても、混じった部分について説明と同意がちゃんとしていれば、一体何の問題があるのですか。

○武田室長 そこで冒頭説明の中でも課長の方から申し上げました医療の特殊性、情報の非対称性のある。

○福井専門委員 非対称がなくなった場合を今お聞きしたのです。説明と同意というのは情報の非対称がなくなるという意味です。

○武田室長 そこは完全にはなくすことは困難です。

○福井専門委員 自由診療だったらどうしていいのですか。根っこから自由診療の場合には、情報の非対称はないのですか。一切ないと言い切れますか。

○武田室長 あくまで公的な医療保険制度の中で。

○福井専門委員 そんなことを言っているのではないのです。自由診療というのは、説明と同様、全部自己責任でやっているわけでしょう。それと同じことが担保されていれば、そのときに問題がないというのと同じような枠組みが担保されていれば、混合診療の自由診療部分についてどんな弊害が起きるのですか。情報の非対称の問題ではない。

○武田室長 ここで議論になっております混合診療というのは根っこの部分が保険診療なわけです。根っこの部分を保険診療を受けるに当たっては、患者側が保険証を提示をして、公的医療保険を受けるという意思表示をしておりますので、そこは公的医療保険制度に乗って、ルールの中で診療していく。

○福井専門委員 ルールの中の診療を勿論受けたい、それに加えてオプションを受けたいというときに、オプションの部分について、十分な説明があって同意したときでも、情報の非対称の問題は発生しますか。

○武田室長 そこで専門委員のおっしゃるオプションということで、患者がある程度安全に選択のできるオプションというのを我々が考えて、59年以来、特定療養費制度の中で。

○福井専門委員 お聞きしますが、特定療養費は全部事前に枠を決めて提示した中から選べというものです。自由診療なら何でも選べる。もし、かくもさように患者が愚かで馬鹿で無法な選択をするのであれば、それが特定療養費制度の趣旨なら、自由診療を禁止しないとつじつまが合わないのではないですか。

○武田室長 先ほど申し上げた部分の繰り返しになりますけれども、患者が公的医療保険を受けると。保険で医療をしてほしいという意思表示をしている限りは。

○福井専門委員 意思表示をした上で、更にオプションで自由診療部分も使いたいという意思表示をしているときの話です。問題をすり変えないでください。

○武田室長 そこを何でもOKではなくて、個別に議論をして、順次拡大を図っていきたいということです。

○福井専門委員 若干別の観点でお聞きしますが、例えば医療現場からこういう話を聞いています。実際に付随的な検査をするときに検査が保険対象になるようにわざわざ架空の病名を付けるとか、その保険対象で検査を行うことができるようにするために、そのほかのことも保険の中に入れ込むという話ですが、それについてどうお答えになりますか。

○西山医療課長 適用外の話でございます。適用外というのは、ある薬なりある検査というのは、こういう疾患についてお認めしますというのが薬事法等で決まっているので、それが書かれていない場合にはレセプトで支払い基金で査定を受ける。そういうことがないように病名を追加する。

○福井専門委員 要するに、公的保険から切り離して個人負担とした方がかえって、むりやり公的保険でひもを付けるという必要がなくて、かえって公的医療費は抑制できるという意見があるのですが、それについてはどう考えますか。

○西山医療課長 公的医療費が抑制できるかどうかというとは、わからないです。

○福井専門委員 現に保険外のことを無理に保険に結び付ける医療が現場ではびこっているとしたら主張は逆ではないのですか。

○西山医療課長 薬などの適用外については、これは病名じゃなくて、薬理作用で判断するということも自由にできるわけですから、その辺のところで医療費に影響を与えるという判断は取れないんじゃないかと思うんですけれども。

○福井専門委員 現場ではそういうことは一切行われてないということですか。

○西山医療課長 いや、行われています。

○稲葉専門委員 インターネットで検索したら、混合診療というキーワ−ドで約2,000 件の書き込みがあったんですが、ざっと見たところ、その議論の中でちょっとびっくりしたことがあるんです。
 1つは全部観念論であって、実態を基に議論されているケースがほとんどないんです。こういうケース、ああいうケースと、ケースはありますよ。ケースはあげられてますが、実態は多分3種類か4種類のパターンがあると思うんです。まず、混合診療は拒絶する。一切やらない。もう一つは黙認する。やらないけれども、患者がやっていることは黙認している。
 黙認についても、アドバイス付きとそうでないのがある。本体の医療が影響を受けては困るから、外でそういう医療を受けるなら、ちょっと相談してください。あるいは協力しているというケースもある。それから、今、福井専門委員からお話になったように、カルテを書き換え適用外にするというケースもある。
 次に、医療費という話をされているんですけれども、ここでいう医療費という定義がよくからないんですけれども、患者側から見ると、医療費よりももっといわば病気対策費という支出があるんですよ。
 ある種の病気、例えば末期がんなどになると、ひと身上すってしまっている実態があるわけです。だから、金持ち優遇というけれども、億単位の資産がある人はそう響かないかもしれないけれども、平均よりちょっと上の何千万程度の資産がある人は、ほとんど医療費等に費やされてしまっているわけです。
 そういう実態が把握されていない。もう1つ感じることは議論のすり替えが行われていることです。つまり、末期がんを代表とするような患者の皆さんが非常な関心をもっていることは、何とかならないとか、わらにもすがるような思いなんです。
 ところが、安全性とかおっしゃる。そういう場合、安全性は関係ないんです。ほうっておけば3か月、5か月、あるいは1年、2年で死ぬかもしれない人たちが何とかならないかと思っている。その思いを医者が共有して、こういう療法があると紹介する。あるいは患者が方々で情報を仕入れてきて、例えば遺伝子治療だとか免疫療法とか、こういうものがあるんだけれども、受けられないかという。うちではだめだといわれて、ある病院に入院しながら別のところに通って、やってもらっているという実態もあるわけです。
 そういう実態の把握もしていないで、ところどころで議論をすり替えて、一般論にされているわけです。今の保険診療の有効性が、少なくとも20%、30%とある領域だったら、厚生労働省がおっしゃるような見解が納得できるのですけれども、数%しかない。あるいはもっと少ないかもしれないけれども、やってみたい。どんなにお金をかけてもやってみたいという患者さんのニーズ、あるいは家族の思いがあるわけです。そういう時に、それを取り入れてやることができないかというのが実態的から出てくる話だと思うんです。
 私がお願いしたいのは、そういう病気になった方が、一体どのくらいお金をかけているのか、その実態を把握して欲しい。そういう状況の中で、もし厚生労働省の考え方で一線を引いて混合診療を認めず、患者の思いと医療を切り離してしまうと、世間にはそういう方を狙って、様々な広告宣伝が行われているわけですから、かえって好ましくない方向でお金を使わされる等、いろいろな弊害が発生してしまうのです。
 もう一つは、アメニティーの部分ではかなり自由が認められている。余り認められてない部分もあるけれども、認められている。しかし、こういう末期がんみいな人は、アメニティーの部分の病気に対する有意性というのが相当あると思うんです。狭い6人の病室に入っていたら健康な者でも死んじゃいますよ。そういう意味でアメニティーは病気の治療に対する有意性はあるんじゃないか。その辺は把握されているのかどうかということはお聞きしたい。
 もう一つは、ちょっと皮肉な話なんだけれども、ある種の療法が厚生労働省で認めるような基準に入って保険制度の中に取り入れられたら、取り入れられたことによって輝きを失ってしまうかもしれないんです。
 つまり、例えばがんなどですと、各種の療法は、せいぜい数%くらいしか効かないということをみんな知っているわけです。だけれども、担当の医者が、もしかすると、あなたにはこういう新しい療法がいいかもしれないなということを信念を持って伝えれば、患者はそれを信じます。
 皆さん方ブラシーボ効果はよく知られているわけですね。その効果によってもしかするとよくなるかもしれない。ところが、それが厚生労働省の認定を得た途端にその効果がなくなってしまうかもしれません。
 そういうような意味で安全性に固執して、療法の神秘性みたいなもの、神秘性と言っても加持祈祷と一緒にしてはいけないんだけれども、患者側の期待を失わせることも必ずしも得策ではないと思うんです。
 いろんなことを申し上げましたけれども、要するに、実態をよく見てその上でご議論していただきたいなと思っているわけでございます。

○西山医療課長 一つだけ、もう長く御返答しませんけれども、やはり今おっしゃられたのは有効性ですね。それは20%、7%という議論が仮にあるにしても、サイエンティフィックな形での評価というものは必要だろうと。患者が末期がんで、家族の方も情報がない。そのために例えば国立がんセンターとかが私どもはあると思っているんです。
 それから、アメニティー部分の御質問ですけれども、これは私どもいろんな議論がございまして、緩和ケアというのがございます。これは何か所かありますけれども、やはりアメニティーの部分、プラスメンタルなケア、こういった施設がどんどんできていますので、そういった部分で治療の効果というよりも相乗性、患者の心の安定性、そういうものはあるんだろうと。

○稲葉専門委員 もう一つ、一定の質が担保された医療機関等と、言われているんですけれども、それに限っていきますと、そういう体制はできていても、今、病気になるとベッドを確保するのが大変だという実態がありますから、限定すると入院が難しいという問題もあるんです。そういうような意味も含めて、先ほどからお話に出ている情報、何かそういう適切なコンサルタント機能みたいなものができないと、こういう問題はなかなか解決しないと思います。

○鈴木副主査 私らが繰り返しこの問題について言っているのは、特定療養費制度というものをつくって、それをどんどん広げていく、それを否定してはいないということなのだけれども、それはあくまで厚生労働省のお墨付きがないとという発想ではないかということです。もう少しそれぞれの病院が工夫をしてやっていけるう道をつくってほしい。それは下から上がってくる自由化を認めることだと思う。それは何かと言ったら、すべての病院にというわけにはいかないでしょう。現に私のところにE−メールを送ってきている人は、混合診療が認められたら、漢方薬を売り付けて、原価1,000 円のものを5万円くらいで売り付けて、ついでに痛み止めのときに、ボルタレンというのか、これもちょっと入れておきましょうかということで、ボルタレンが効いたら、いい薬だったでしょうと言ってやっている、そういう医者が現にいかに多いか、これが表面に出たらと言ってくる人がいた。それもそうでしょう。医師会の主張でも、そういうことを言っているフシがある。さっきあなた方の方もそれを認めたそうな顔をしていたけれども、それは福井さんの言ったようなことだと思うけれども。
   私どもが言っているのは、ある一定の水準、この水準の切り方で議論もしたのですけれども、水準の切り方は幾らでもある。本来86条というのは、付属病院だとか、一定の能力のあるものうちから患者が選んだもの、その病院が与えた治療ということを言っているのであって、事細かに療法まで定めた告示などというのは予定していないのが特定療法の本来の姿であるべきだから、その本来のものにして、厚生労働省が入り込むのはやめてくださいということを言っているのです。そういうところで線が切れる、ある信用できるところはあるはずでしょう。それを認めてくださいということを言っているのです。
 更にアメニティーに関しては、類型をつくる必要は何もないではないですか。私はアメニティーに関しては、診療所に至るまでやっても構わないと思います。
 そういうような制度をつくって、厚生労働省お墨突きの世界から脱却してください。すぐに安全と言うが、その安全は、病院が自分で担保して情報公開をする、患者はそれを納得して選ぶという問題なのです。そういう仕組みに制度をつくり変えてくださいということを言っているのです。

○西山医療課長 ただ、薬害の歴史を見れば、安全というのは、1医療機関が担保するということだと無理だと思います。

○稲葉専門委員 安全はわかるんですけれども、私はもともと薬を飲むとか、手術を受けるということは、火事で煙にまかれて窓から飛び出すようなものだと思っているんです。必ず副作用もあるし、危険性もあるわけなんです。確立している療法は、せいぜい1階か2階の窓から飛び出すような話で、足くらい折るかもしれないけれども、煙にまかれるよりはいいという世界なのですけれども、逆に高層ビルに近いようなところで煙にまかれているという切羽詰った患者がいっぱい増えているわけですから、安全性についても、もうちょっと、もしかしたら助かる可能性もあるというところまで広げて考えていただきたいなと思っているわけです。

○西山医療課長 それは有効性の議論ですね。有効性の議論というのは別途あって、平場というか、あるプロセスで評価をしなければいけないだろうと私どもは思っています。

○稲葉専門委員 有効性が仮にほんのわずかであっても、ゼロでは困るんですけれども、わずかであればブラシーボ効果があるから、そこのところはもうちょっと広く認めてもいいんじゃないかと申し上げているわけです。

○安居委員 一つよろしいですか。特定療養費制度なんですけれども、今、厚生労働省が基本的には認可されるということですね。それは必ずしも厚生労働省が認可されるという形ではなくて、第三者の機関をつくって、そこが決める。そこでまた逆にその結果を評価してという仕組みというのは考えられませんか。厚生労働省とは全然独立してですね。

○西山医療課長 最終的には厚生労働大臣の告示ですけれども、その中身はすべて中医協で審議いただいて、その前に15名から成る専門家会議というのがありまして、こういう専門家の先生方によって審査をしていただいているということになっております。任命は厚生労働省ですけれども。

○安居委員 今のシステムというのは専門委員にしろ何にしろ、全部厚生労働省でお決めになっていろいろやっているわけです。完全に厚生労働省とは離れて、独立の機関をつくって、そこが全部決めていくということはどうなんでしょうか。

○西山医療課長 第三者の独立性ということですね。これは簡単に申し上げますと、そういう考え方はあるけれども、現在の状況、固有名詞を見ていただければおわりなんですけれども、第三者が選んだとしても、こういう方を選ぶのではないかという方を、今、高度先進専門家会議で選んでいますので、結果的には同じになるんではないかと思います。

○安居委員 基本的に違うと思うんです。厚生労働省の権限でおやりになっているということは、逆に厚生労働省の責任だと思うんです。だけれども、第三者の独立したところでやれば、そこに権限もあり責任もある訳で、これは基本的に違うと思うんです。

○西山医療課長 第三者については、言葉はそうなんですけれども、中医協も厚生労働大臣が決めているわけではなくて、労働者とか支払者からの推薦ですから、厚生労働省がこの人この人と選んでいるわけではないんです。それが第三者的と言うかどうかは別にしましてですね。

○安居委員 例えば先進医療の病院をお選びになりますね。その中から選挙で選ぶとか、そういう形もあり得ると思うんです。選挙というか推薦か何か、そういう形でですね。

○福井専門委員 幾つかのケースについて法的評価を伺いたいのです。
 まず1つ目は、出産のために入院した人が同時に骨折などのけがをして、その治療を同じ病院で同時に行うということは適法か違法かということ。
 第2は、例えば自動車事故の治療を、当初損害保険の方で始めて、一連の治療の途中で医療保険の方に切り変えるということができるのかどうか。
 3つ目は、自由診療の健康診断という中で見つかったポリープについて、その検査の途上で切除してしまうという治療行為が混じるということができるのかどうかというのについて、適法・違法かという現行制度の枠組みでの評価をお聞きしたい。

○西山医療課長 それは宿題事項でよろしゅうごさいますか。

○福井専門委員 今お聞きしたい。この程度のことはプロの方でしたら、すぐお答えになれるはずだと思いますが。

○武田室長 あくまで一般論ということで申し上げますが、自由診療と言いますか、保険外診療ですね。例えば健康診断で異変が見つかって、検診と言いますのは、あくまで診断行為ですが、病気を前提としていないものなので、途中で異常が見つかりまして、病変があるということで、そこから治療に切り変わった場合については、その時点から保険診療という整理が可能だろうと思っています。

○福井専門委員 現行法でもできるのですね。あと2つのケースは。

○武田室長 2つ目の交通事故の場合も、自由診療で民間損害保険が払う場合、それから保険診療として受けて、保険者が後から交通事故の。

○福井専門委員 そうじゃなくて、損害保険会社が面倒を見て、自由診療でずっと治療を継続していて、途中から完全に保険診療に切り替えるというケースです。後者の保険というのは医療保険です。

○武田室長 原則といたしまして、例えば交通事故のように第三者の行為が前提となって生じたけがについては、本来は保険の対象にはならないのが原則です。ですが、何らかのやむを得ざる事情で保険給付を患者が望んで、保険診療にのっとって診療した場合については、一旦保険診療にしますが、保険者は後から交通事故の加害者のような第三者に、かかった費用を請求するという形です。

○西山医療課長 出産と骨折の場合は、基本的には出産は自己負担です。骨折は保険で給付します。

○福井専門委員 同じベッドに寝込んでいる間に両方できるわけですか。

○西山医療課長 出産は産婦人科ベッドですので、恐らく整形外科のベッドに移ると思います。

○福井専門委員 2つ目に補足ですが、自動車保険については、そうすると、あとで必ず請求することになっているから、混じる治療は違法だという評価ですか。確認ですけれども。

○武田室長 恐らく個別ケースの議論が必要なのかもしれませんが、基本的には混じらないという整理です。

○福井専門委員 それもお調べいただきたいんですが、途中から切り替わった場合には、自動車保険と社会保険で五分五分で払ったり、ファンドの混合が行われるということは常態化しているということをお聞きしています。もし、そういうことが法的評価の上で、今おっしゃったような趣旨で違法行為であるならば、しかも、そういうことを禁止する社会的実態なり政策的合理性があると確信されるのであれば、厳然と取り締まっていただくのが筋ではないか、ということへの回答を宿題としてお願いしたいと思います。

○河北専門委員 繰り返しになるかもしれませんけれども、規制改革の立場では、健康保険が、健康保険としての給付の範囲以外のものを管理下に置くことが納得できないということが基本的な考え方だと思うんです。ですから、健康保険の給付の範囲以外のことに関しては、自由というよりも、患者さんと医師、患者さんと医療機関の中で決定できるような仕組みをつくりたいというのが我々の基本的な考え方なんです。
 ただし、そのことに関して、幾つかの条件設定をしなければいけないと思うんですけれども、さっきの情報の非対称性ということがありましたけれども、レモンの原理という考え方があって、その中の情報の非対称性を、例えばオークションとかシグナリングということを含めて、情報の非対称性をできるだけ緩和するような情報の流通があれば、それはそれほど問題がないと私は思っています。
 もう一つは、医師の学術専門性を本当に信頼できるかどうかという、この2つがきちっと整備をされていれば、私はこの健康保険の給付範囲以外を管理する必要はないと思います。そこまで行くためには、その準備段階ですけれども、やはり特定療養費制度の運用の中での迅速性と対象の拡大、これはできるだけしていただきたいということ。
 もう一つは、結果を評価できる仕組みを診療報酬の仕組みに入れるということが最終的には必要なんだろうと思います。

○八田委員 先ほどの福井さんが質問されたことは、やはり根幹的な問題だと思うんです。もし、自由診療を認めるんならば、それを保険治療に合わせて使うというのは合理的だろうし、もし、特定医療制度というものを、これは絶対必要だというなら自由診療は禁止するべきだと。その議論は非常に説得的だと思うんです。その建前の議論に加えて、自由診療を併用することを認めるべきだという議論と2つあると思うんです。
 よくアメリカでは新しい薬が出ると、すっと広くどんな小さなお医者さんでも採用する。日本はなかなか浸透が遅れているということが言われますが、私の個人的な体験では、10年前に十二支腸潰瘍をしまして、そのとき普通の日本のメディアでは、ピロリ菌が一切言われていなかった。私はたまたまABCニュースをいつも見ていたんで、アメリカではピロリ菌で胃潰瘍が起きるということは確定したということをニュースで言っていて、本当に意外で、いろんな説があったけれども、それに負けた人は本当に顔をつぶしたという報道があったんで、ピロリ菌について知っていましたので、阪大の医学部の先生に聞いたら、その当時で、10年前からピロリ菌を除菌しない研究というのは博士論文審査で一切はねられると。これは世界の常識だと。しかし、日本の保険では認められていない。
 それから、フランス人の友達で医学部を卒業したばかりの男に聞いたら、フランスでは当然胃潰瘍にはピロリ菌の除菌がスタンダードな治療であるというふうにおっしゃっていて、それ以外はないと言うんです。
 小さな病院ではない。大手前病院という大阪の大手の病院に行って、ピロリ菌の除菌をしてくれないかと言ったら、担当の医師は日本人はフランス人と体が違いますからねと言うんです。聞いたこともないと。
 これは何を意味しているかというと、要するに、医師が保険で認められたものだけでやらざるを得ないから、新しい医療、世界でスタンダードになっているものを学ぼうという意欲を全く殺しているんです。全く研究の気持ちを、そういう大手の病院ですら殺しているんです。これがもし認められるようになったら、当然、そういう有効な治療については研究を見ながら一生懸命するようになるだろうと思うんです。そういう大きな弊害を含んでいるということが第1です。
 第2番目は、先ほどから御指摘になっているように、初めから自由診療を認めているんならば、保険の治療と別な病院による自由診療を併用することが、物理的な現在の制度で可能なんですが、自由診療を禁止していないわけですから、そうすると、そういうふうに別な医者によってそういうことを併用することが望ましくないことは当たり前の話で、一人の医者がそれを両方とも管理して、きちんとやった方がいいと。こういう2つの大きな弊害が今の制度では表れていると思うんですが、それについてはどうでしょうか。

○西山医療課長 ピロリ菌の話もされましたけれとも、結局タイムラグが若干あるわけです。アメリカの認識なり開発と、それを日本に輸入してくるときのタイムラグがあるので、今言われたような病院で若干適用が遅れると。現在はピロリ菌は我が国でも適用になって使っていますけれども。

○八代委員 今でもピロリ菌の除菌は1週間しか適用されていませんね。

○西山医療課長 期間の問題とか回数の議論は勿論ございます。

○八代委員 それが問題です。なぜそれを医者の判断で決められないということで、患者によっては2、3週間必要な治療が、保険診療では1週間しか適用されないから、結局、十分な治療ができず、かえって医療費が増える場合もある。そういう問題はどうなっているのでしょうか。

○西山医療課長 個別の議論はあれですが、今、八田委員のお話ですけれども、やはり保険外の部分というものを、例えば医療機関の医師の新しい医療を学ぼうという意欲を現行の健康保険制度、特定療養費制度によって阻害をしているんじゃないかという議論ですけれども、そういう部分もひょっとしたらあるのかもしれません。ただ、先ほど来、るる説明していますように、そのお医者さんの高度な技術というものを、お医者さんを信用しないわけではないんですけれども、平場で一遍議論していただく。そういうシステムが高度先進医療制度だと私ども考えているんです。ですから、その技術というものの安全性、有効性みたいなものが平場で議論をもう一遍されるということが必要だと私どもは思っています。

○福井専門委員 では、なぜ自由診療は野放しにしていいのですか。

○西山医療課長 野放しにしているわけではないです。自由診療は全く自由診療で別の世界があるわけです。

○福井専門委員 では、別の世界は何が起こっても構わないのですか。

○西山専門委員 それは医師法だとか別の議論がありますけれども、健康保険法では何の規定もないんです。

○鈴木副主査 平場が本当にあるのかというのが一番の問題だが、要するに、一定の資格のあるというか、能力のある者に対して、その人の選択と患者の選択に任せろと。これが一番のポイントです。
 いろいろあるけれども、厚生労働省は一体混合診療に対して何が不満なのですか。医療費の高騰についてあり得ると思っているのですか。さっき宮内主査が言われたように。

○西山医療課長 皆さん方言われる混合診療の、またこれも言われますけれども、何が今の特定療養費制度で問題なのかということの裏腹になるんです。解禁とおっしゃいますけれども、我々は昭和59年からずっと継続して拡大してきている。

○鈴木副主査 わずか百幾つかですね。

○西山医療課長 一定の質が担保された医療機関と。

○鈴木副主査 要するに、陰に陽に厚生労働省の制約がある。その制約を取り外すこと。それが86条に書いてあるではないかとうこと。特定療養費の問題も、その精神をきちっと守れ。そこでいちいち平場と言われるが、実は凹凸のある場であるのが医療の世界なのだということを思われたら、平場の議論というのではなくて、そういうところの病院と患者の意思を尊重しろ。そっちをメインにしろ。特定療養費というのをやるんだったら、それはサブにしろということが我々の主張です。

○西山医療課長 現場のドクターなりの技術というものをある意味では信じているわけです。それは新規に開発されたものは、ある一定のプロセスを経た上で米国と同じように、我が国でも普及していきましょうという考え方です。

○鈴木副主査 しかし、ピロリ菌の例のように、認められるのにはかなりの時間がかかって、あなたは認める認めるとすぐおっしゃるが、そこら辺のところを問題としているのです。そんなことをやっていては医療の進歩にもならないです。

○宮内主査 まだまだ議論は尽きないんでございますが、特に御発言が、まあ、いろいろあろうかと思いますけれども、予定いたしました時間がまいりました。

○八代委員 最後に医療費の問題ですけれども、そういうように高度先進医療も特定療養費だけでなくいずれは保険の適用対象にして行くとおっしゃいましたが、逆にそれだと医療費膨張して行きませんか。
 逆に言うと、ここまでの医療費はきちっと公的保険として対応します。その代わりにそれ以上は民間保険に任せますという政府の守備範囲を明確にしなければ国民皆保険自体が破綻してしまうのではないか。それについて是非真剣に考えていただきたいと思います。

○宮内主査 ただいまお聞きのように、議論は、これは何年も続いているわけでありますけれども、なかなかギャップが埋まらないというところもあろうかと思いますけれども、お陰をもちまして、両者のギャップというものがどの辺にあるかということにつきましては、更にはっきりしてまいったということだろうと思います。
 当会議といたしましては、今日御質問させていただきました中で法的な根拠等につきまして、是非別途御説明を賜りたいということ。
 それから、今日の疑問の中で実態調査で、今の保険診療と実態とに齟齬があるという疑問が出ていたわけでありますが、その点につきまして、何か資料、調査等がございましたら、是非我々にちょうだいしたいと思っております。
 要は、我々の会議は国民全部を中心とした医療であるべきだと。
 日本が残念ながら世界の最先端の医療国でない場面もあると。そういう先端的なものをどう国民に広く使っていただけるか。今の医療イコール保険ということで済むのか。あるいは情報の非対称性、情報公開ということによりまして、患者の選択というものをもっと重視できるんではないか。そういうようなことで、今の医療の日本の制度を完璧なものであると思わずに、国民中心の医療制度を模索していくということが私どもの問題点でございます。
 そういう意味で、今後とも引き続き意見交換の機会を持たしていただき、そういう目的に向かってよりよいものをつくり上げていきたいと思うわけでございます。何分よろしく願い申し上げたいと思います。
 本日は眞野局長始め、幹部の皆様方においでいただきまして、大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 (厚生労働省保険局出席者退室)


内閣府 総合規制改革会議