厚生労働省との意見交換

 (厚生労働省関係者入室)

○宮内主査 どうもお待たせいたしまして、今日は御多用のところをおいでいただきましてありがとうございます。
 それでは、本日最後でございますが、厚生労働省からおいでいただきまして、意見交換をさせていただきたいと思います。
 厚生労働省との間には、今日は7つのテーマがございまして、大変多岐にわたっているわけでございますけれども、1つ1つの分野ごとに議論をさせていただくということでお願い申し上げたいと思います。
 本日は、大変御多忙のところ、大塚厚生労働審議官と戸苅職業安定局長のお二人においでいただいております。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず、早速でございますが、株式会社による医療機関経営の解禁ということにつきまして、前回にも既に意見交換をさせていただいております。それを踏まえまして、最初に私の方から当会議の考え方をまとめて申し上げさせていただきたいと思います。
 当会議といたしましては、まず、特区においては、6月中に得られる成案の中で、自由診療の分野という以外の前提、例えば高度先進医療の分野などの前提は一切設けないと、こういうことでお願いしたいということでございます。
 次に全国規模の改革につきまして、これまでとの意見交換の結果、次の理由、すなわち1、現存する62の株式会社病院は何ら弊害をもたらしていない。 2、株式会社が参入しましても、過剰診療、患者選別などは現行の規制、例えばベッド数規制や患者の応招義務等、あるいは情報公開、第三者評価制度などにより回避できるということ。 3、現在の医療法人等であっても株式会社と同様に利益追及を行っているという事実がある。 4、そもそも営利を目的として、病院を開設しようとする者に対して、都道府県知事は許可を与えないことができる旨の法規定、医療法第7条第5項が参入禁止の根拠規定と解釈されるはずがないこと。
 このような4つの理由から当会議といたしましては、株式会社等による医療機関経営を禁止することには合理性は乏しいと、このような認識を持っております。
 したがいまして、遅くとも今後2年以内にこれを解禁することとしていただきたいと、このように考えているわけであります。
 まず、この問題につきまして、私どもの意見は以上のとおりでございますが、厚生労働省としての最終的なお考えを大塚審議官からお聞かせいただければと存じます。
 なお、問題が7つございますので、3分程度でおまとめいただければ大変ありがたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 厚生労働審議官の大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 多岐にわたる質問の項目の第1でございますが、株式会社問題でございますけれども、もう既に繰り返しと言いましょうか、各般にわたる御議論がございました。私どもは、私どもとしての考えをこういう場も含めまして御主張をさせていただきました。
 したがいまして、詳細は省略をさせていただきたいと思いますけれども、まず、さまざまな議論の経過を経まして、去る2月末でございましたか、特区の中で自由診療を前提に、各地方公共団体などの意見を聞いて6月までに成案をまとめるという決定がなされたわけでございます。
 そこで第1の御質問がございました。自由診療以外の条件を付さないで実施をすべきだと、こういう御指摘でございました。これは6月までということですから、私ども現在検討中というのが実際にも、また形式的にもそうでございますけれども、率直に申し上げまして、あのときの議論の経過も踏まえますと、自由診療という枠の中で、いろいろ関係者の意見も聞いて詰めろという御趣旨であったと我々は考えておるわけであります。
 したがいまして、お話に例示が出ましたが、高度先進ということになるかどうかわかりませんけれども、自由診療以外は一切の条件を付けない、選択肢にないというふうには実は考えておりません。今後の検討結果を踏まえて案をまとめるという考え方でございます。それが直接の御質問でございましたので、まず端的にお答えを申し上げたいと思います。
 2つ目に、それはそれとして、今後全国的な株式会社の医療経営への参入について、2年以内に実施をしろという御提案でございますけれども、とりあえず今回特区でやろうということでございますから、その状況を見るというのが、まずは建前でしょうけれども、建前を余り申し上げても仕方がありませんので、勿論、現時点でのという条件は付さなければいけませんけれども、私どもはやはり今回の議論の過程で、一貫して株式会社の参入に慎重な姿勢を取ってまいりました。
 恐縮でございますが、その慎重な姿勢という意味で、その根本において、例えば全国的に展開をするというような方針に踏み切ったかと言うと、やはりそうはまいらないというのが基本でございます。
 先ほど何点かございました。理由を御指摘になられました。いずれも十分議論に値する御指摘だと思いますけれども、これにつきましても、これまで議論を繰り返してまいりました。
 例えば、全体といたしましては、私はごくごくおおざっぱにとりまとめますと、医療を巡る問題は、非常にさまざまな問題があることは事実でございます。多岐にわたる問題がございます。うまくいっているところもございますけれども、まだまだ改革が必要な部分、改善が必要な部分というのは、恐らく多岐にわたる、これはそのとおりでございますが、株式会社の参入によって、かなりの問題が解決されるかというと、私はそうは思っておりません。
 しかし、これだけの大きな議論になりました背景には、やはり医療というものに対する理念と言いますか、考え方というものが背景にあるような気がいたします。勿論、そういった抽象的なレベルでの議論ではなくて、御指摘になりましたような幾つかのやや具体的な個別の議論を詰めるべきだと思いますけれども、率直に申し上げまして医療提供体制というものをどういう形でやるのかということだろうと思います。
 極論するとわかりやすいと思うのですけれども、部分的に認めればいいのではないかという御指摘ではございますが、その基本は、やはり例えば全部株式会社になってもいいではないかという御議論と、いやいや、やはり今の医療法人というものを中心にした改正でいいのではないかという、恐らく極論と極論のぶつかり合いという形になっているんだろうと思います。
 したがいまして、私といたしましては、例えば株式会社が多数参入をされる、株式会社の受け入れが参入されるとおっしゃいますように、すべての株式会社がもともと、いわゆるもうけ主義に走るなどということは毛頭考えておりませんし、一方で医療法人の中でさまざまな問題を抱えた法人が現実にあるというのは事実だろうと思いますけれども、それと今回の議論とは別個の話だろうと思います。
 率直に申しまして、国民皆保険体制という枠組みの中で、やはり通常のマーケットとは異なりますので、株式会社の参入が想定される場合に、さまざまな不安、不審があることは事実でございます。
 一方で、医療法人制度の在り方などの見直しも必要だろうと思いますけれども、例えば医療法人制度につきましても、勿論民間でございますし、その垣根が、ハードルがうんと高いかと言うと、そうとは思えません。
 したがいまして、議論は議論といたしまして、基本といたしましては、私どもとしては、やはり慎重な考え方を取らざるを得ない、率直に申し上げまして、そう考えているところでございます。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは鈴木副主査お願いします。

○鈴木副主査 どうもありがとうございました。前回は榮畑課長に、私に表現させていただくと命からがら、向こうは余裕綽々と言っておられるかもしれませんけれども、逃げられてしまいましたが、今、審議官おっしゃられた中で、自由診療と言っても全く素っ裸な自由診療ではないかもしれない、それは検討次第だと、こうおっしゃられたと思いますけれども、榮畑課長もそのようなことを最後にはちらっと言っておられました。しかし、例えば普通に自由診療と言われる診療、例えば美容整形とかいうものをまさか除く気はないでしょうね。この点も検討だとおっしゃるわけですか。

○大塚厚生労働審議官 それを含めての検討ということを申し上げたわけでございます。

○鈴木副主査 それでは、こういう質問をさせていただきましょう。御省の木村副大臣は、参議院予算委員会で、自由診療の枠の中で高度先進医療を前提とする云々という発言をされ、鴻池特区担当大臣はその考えを明確に否定されておられますね。これは勿論御存じですね。仮に高度先進医療に限るという選択肢をお取りになったとする場合に、果たしてそれで株式会社というものが、そういう自由診療をする、つまり全額払う、そういう株式会社というものが現実に生まれてくるとお考えでしょうか。

○大塚厚生労働審議官 それは正直申しまして、今回の議論の背景が、具体的にこういう医療、こういう病院をやりたいというような具体的な個別のニーズから出てきた議論とは必ずしも考えておりませんので、率直に言いましてわかりません。その枠組みの中でやってみようというところが出てこられるかもしれませんし、いや、この条件では難しいと、なかなか出てこないということ、勿論その内容次第ですけれども、内容を決めて果たして出てくるかどうかというのを見るということになろうかと思います。

○鈴木副主査 常識的に言いますと、この次の混合診療でもお伺いいたしますけれども、御省は混合診療を認めよという意見に対して、いや、混合診療とは言わないでくれ、特定療養費制度というふうに言ってくれ、これの条件はどんどん緩和する、そして拡大していくということを何回もおっしゃっている。高度先進医療部分を含む特定療養費制度が拡大すれば、それに対しては通常の医療費部分は保険の支払い対象になるわけで、そうしたら患者にとってはそちらの方が有利ですね。だからそうやって混合診療が拡大するのだったら、高度先進医療で自由診療だけを対象にするといったときには、患者が寄ってくるとは常識的には考えられない。
 つまり何を意味しているのかと言ったら、要するに空振りをさせる球を投げて、そして逃げていこうと、こういうふうにお考えになっておられるのではないかというふうに、だれでも受け取ると思うのです。それに対しては、どうお答えになりますか。

○大塚厚生労働審議官 混合診療の話は…

○鈴木副主査 これは後でやります。

○大塚厚生労働審議官 次の項目で私ども考え方を申し上げますが、逆に申しますと、今の御質問は、そもそも自由診療に限った段階でこんなもの出てこないではないかと、こういう御趣旨でございましょうか。

○鈴木副主査 いや、そうではありません。自由診療は出てきます。もし御省が、木村副大臣がちょっと漏らされたように、それを高度先進医療に限って、トータルの自由診療というふうに設計すれば出てきます。しかし、そのように限定して設計するなら、そういう株式会社が出てくるとお思いですか、お思いではないですか、出てこなければハッピーだというふうにお考えになっているのと違いますかと、こういうことを聞いているのです。

○大塚厚生労働審議官 先ほど申し上げましたように、枠組みが定められたといたしまして、そこで株式会社の方が、この条件ならやっていける、やってみられるということが出てくるかもしれませんが、それはやってみなければわからない、率直に言いまして、それは条件次第だと思います。 ただし、これは混合診療の話とちょっと絡んでしまうのですが…

○鈴木副主査 絡みますね、これは。

○大塚厚生労働審議官 例えば今の保険では一切認められていない高度先端医療があるといたしまして、それはもともと保険の対象にならないわけでございますから、そういうニーズがあるならば、あるというふうにマーケットリサーチが可能であれば、それは事業として成り立ち得るわけでございますから、全くないというふうには思っておりません。

○鈴木副主査 そういうのは観念の問題ですからね。

○大塚厚生労働審議官 また、出てこないことがハッピーというわけではございません。その枠組みで一種の実験をしようというわけでございますから、今後の中身次第ではありますが、手を挙げてくだされば、それはそれで大いに結構だと。

○鈴木副主査 臓器移植だったら、幾つかの臓器移植が特定療養費の対象になっていますね。膵臓だけですね対象となっていないのは。だから膵臓だけを専門にやる臓器移植は特定療養費の中で認められていませんから、そういうものをする病院が日本の中でできて、株式会社としてやり、患者は世界中からその株式会社病院での膵臓移植手術を求めてやってくる。そういう観念の遊びみたいなことを言えば、それは可能性ゼロということにはならないでしょうが、それは余りにもフィージビリティーから考えて遠ざかり過ぎてはおりませんかというのが、私の疑問です。この問題については、この間からそういうふうな形ばっかりの議論で逃げられてばかりおりますので。

○大塚厚生労働審議官 いずれ6月に答えを出すわけでございますから、その案についてまた御議論…

○鈴木副主査 そのときに忘れないでください。もしそのときにそれは高度先進医療だけに限りますというふうにおっしゃるならば、我が会議としては強い反対を表明せざるを得ませんですよ、ということをあらかじめ申し上げておきます。そのように受け取ってください。

○大塚厚生労働審議官 それは承ります。

○鈴木副主査 それで、この議論ではなく、本当はもっと株式会社の本質問題をやりたいのです。そっち側の方が大事なのですけれども、時間がないならば仕方がありません。

○宮内主査 配分的にどうですか。

○鈴木副主査 配分がありますからね。さっきのおっしゃったところで1つだけ言わせてください。株式会社に対して、我々が言っておりますのは、そういうような経営形態でやりたいという希望を持っている、これは大病院でしょうね、資本調達、コーポレート・ガバナンス、その他の問題でやりたいという人がいて、そういうところに株式会社として認めて何の問題があるのかということです。株式会社としてやって問題になるのは何かと言ったら、いわゆる利益の配当の問題でしょう。その配当を医療法は配当禁止というふうに言っておられるけれども、医療における配当とはどう考えてみても、通常の上場企業が払ってくるような配当を意味しているのではなくて、医療による余剰というもののわがまま勝手な、要するに山分けというようなものを想定しておられるのではないのか、それなら私は分かるのです。ということをこの前も申し上げたのです。そういう事は、普通の株式会社というのか、上場基準に達しているような株式会社では、これはできない仕組みになっている。医療法人よりもはるかに厳しい監査と、それから報告を求められているわけですから、だからその懸念はないということを申し上げているのです。何も全部の医療法人を株式会社にしなさいなんてことは毛頭申し上げておりませんということは御理解いただきたいと思います。
 もう一つは、先般、さっきの7条5項について、大変恣意的な解釈というのか、厚労省が思ったらそれが法律だと、こういうふうにおっしゃられるけれども、これからの行政のやり方、あるいは法律の解釈というものは、もっと明解なクリアなものにしてやっていただくということで、あるときになってこういうふうに考え方を変えましたということで、中身の全く違うことを主張なさるのは、これは控えていただきたい。あれはあくまで昭和25年の事務次官通達で創設的にそうしたのだというふうに考えておりますので、反論があるのだったら簡単にお願いします。

○大塚厚生労働審議官 法律論をここでやる時間的な余裕もないと思いますが、これも私もワーキンググループでの議論の議事録を読ませていただきました。私どもの法律の解釈はどうだろうということであれば、医療法も変遷をしておるわけでありますけれども、今の医療法の体系をごらんいただけますと、これも出ておりますから、繰り返しになりますので、簡単に申しますと、医療法人というものを導入いたしまして、法人形態による医療経営というのを可能にしたわけです。その際に、先ほどの利益配当に絡むわけでございますが、簡単に言えば、医療から生じた収益を医療に再還元するようにという趣旨でございますが、そういう考え方みたいな、それがどこまで厳しいか、厳しくないかという御指摘はありますけれども。
 そういう中で、その配当禁止については罰則がございます。一方の医療法人には罰則があると、しかし解釈上、当然配当する義務、義務と言ってはいけないのでしょうけれども、可能性のある株式会社は全く罰則はない、これは法律としてやはりそうだと解釈すればおかしいわけでございまして、全体の医療法のことを考えれば、25年の通達で創設的に解釈されたというわけではなくて、医療法の改正の歴史、当時の国会審議を踏まえて、我々は一貫して主張してきている、解釈をしてきているわけです。

○鈴木副主査 だからそこで医療法人、株式会社を区別しなさいということを言っているわけです。今、言ったような恣意的な流出につながるようなことを良しとすると言っているわけではないのだから。そこをきちんと整理すれば配当は銀行金利の支払と同じではないかということをどうして分かっていただけないのかという問題なのです。それはこの前にやり尽くしました。
 1つだけ付け加えさせてください。地方公共団体等というのは、役所言葉で等と聞くと私はぞっとするのですけれども、等とは何を指しているのですか。医師会を指しているのですか。

○大塚厚生労働審議官 医師会も入るかもしれませんが、地方公共団体以外で、例えば今、ちょっとお話が出ましたけれども、株式会社をやりたいというような御意見も出ておりますから、そういう方々の御意見も当然いただいて…

○鈴木副主査 わかりました。

○宮内主査 それでは、今のテーマにつきましては、全く意見が合わないということで、誠に残念でございます。かねてから厚生労働省が株式会社というものに対して、誠に曲解をなさっておられるとしか言いようない解釈をされていることについて、私個人といたしましては、誠に遺憾に思っております。ここで議論はやめさせていただきますけれども、このテーマにつきまして、当会議の強い意見として申し上げたいと思います。
 特に特区におきまして、総理を本部長とする特区推進本部の決定事項に対しまして、仮に各省の裁量でさらなる条件を課す、このようなことがございましたら、それは特区制度の根幹を揺がすという問題かと、私ども会議としては、そういうことにつきましては断固として認められないと言わざるを得ない、私どもの会議といたしましても、相当な決心をもってこの問題の検討経緯を見させていただくということになるということを付け加えさせていただきたいと思います。
 次のテーマは、いわゆる混合診療の解禁に入らせていただきます。混合診療というのは、保険診療と保険外診療の併用ということでございます。本テーマにつきまして、私どもの会議の考えております意見を申し上げたいと思います。
 私ども2つの理由で混合診療を禁止する合理性はないというふうに考えております。
 まず第1点目は、個別の事前承認が必要な保険診療以上に、保険外診療あるいは自由診療、これは自由に行われていると、こういう中で保険診療に併せまして、保険外診療を一部でも選択しようといたしますと、安全性等の面から、一連の診療行為全部が保険外診療として扱われると、すなわち全額自己負担になってしまうと、このことの合理性が全くないのではないかというふうに考えることが第1点。
 第2点といたしまして、混合診療を避けるために、診療行為をわざわざ分断するというようなことが行われております。これは患者負担、あるいは医療費の増大につながる。こういう2つの主なる理由から混合診療を禁止することの合理性はないと認識しております。
 したがいまして、当会議といたしましては、遅くとも今後2年以内に、特定療養費制度の拡充によるのではなく、一定の要件を満たした医療機関、これにつきましては、すべての医療行為に関しまして、混合診療が行われるようにしていただきたいと、このように考えるわけでございます。こういう論点につきまして、厚生労働省のお考えを引き続き大塚審議官からお聞かせいただきたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 混合診療という法律用語があるわけではございませんけれども、いわゆる混合診療というものにつきましては、医療関係者の間にもいろいろ議論はあると思います。決してほとんど医療関係者がノーだといっているわけではございません。さまざまな御意見がございます。それだけ逆に申しますと、難しい問題だと思いますが、私の理解では、この問題は規制の緩和という面も勿論あるわけでございますけれども、本質的には公的医療保険の給付というのはどうあるべきか、その在り方の問題だと思います。
 勿論、その裏側に公的医療保険制度の財政的な運営というのがないわけではございませんがそれは後ほど申しますけれども、今のところ大きな要素ではございません。公的保険としてどこまで見るかという議論だと、私どもは思っております。そういう前提でお話を、言わばどういう設計をするかということでございますが、これも恐らく繰り返し御説明を申し上げたと思いますので、はしょりますけれども、いわゆる混合診療が禁止されていますのは、裏から言えばどこまで給付するかという組み立て方になっているわけでございますけれども、大きく分ければ2つ。俗に言う特殊診療、逆に言うと、医学的知見から見て、安全性なり有効性なり、まだまだ確立したとは言えないという診療が自由に行えるのは、少なくとも公的保険の範囲から見れば、制限するというのが1つ。
 もう一つは、患者の不当な負担につながらないように考慮するというのが2つ目、この2つがいわゆる混合診療を、禁止ということにしておる大きな理由でございます。
 先ほど言いましたように、公的な医療保険として何を給付するかという問題でございますから、あえて混合診療というワーディングを使う必要はないのでございますけれども、俗にそういうネーミングで議論されておりますし、関係者もそういうふうに理解しておりますので、その前提で使わせていただきます。
 医療保険制度もいろいろ長い歴史があるわけでございますけれども、かつては極めて限定的な給付をしていた時代があるわけでございます。これは勿論、そのときの社会状況が公的な医療保険制度を支えるのに脆弱でございましたから、一定の限度に限って、いわゆる制限診療をしていた時代がございます。それがその制限が取り払われまして、できるだけ公的保険でカバーをするという方向に変わってきたわけでございます。
 その背景には、当然のことながら国民の患者負担に対する非常に強い軽減というニーズがあったわけでございます。
 むしろ、これまで混合診療的な議論をします場合に、どちらかと言うと、保険と公費のミックスをしようという議論に対しては、非常に抵抗感の強い議論が多かったと、むしろ国民のサイドからいたしますと、患者負担につながるものは避けてくれという主張が極めて強かったわけでございます。
 例えば、もう細かくは申しませんけれども、大分昔の話で言いますと、歯科差額問題、付添看護問題、それからこれは案としては成立いたしませんでしたけれども、当時厚生省として御提案をいたしました医薬品の参照価格制度、ごく最近の例で言いますと、一昨年の診療報酬改定で実施をいたしました、長期入院患者に対する特定療養費の適用など、いずれも国民の抵抗感は強くございました。そのうち参照価格制度については断念をしたという経過もございます。
 何を申したいかと言いますと、混合診療の問題は、患者負担の問題と裏腹だということでございます。やり方にもよるのでしょうけれども、一般的に混合診療を解禁するということは患者負担を増にするというのが普通の仕組みでございます。
 したがって、この問題は、患者負担と裏腹でございますから、なかなか厄介だということになるわけでございます。
 そこで、そうは言ってもいろいろ国民のニーズは多様でございますから、選択の可能性を広げようということで、御案内の特定療養費制度というのが出きているわけであります。
 言わば、一定のルールの下での公民ミックスというルールだと私は思っておりますが、この制度をそれぞれのときの時代のニーズに応じて活用していくというのが非常に現実的ではなかろうかと、それ自体、先ほど申しましたように、どちらかと言うと、極めて強い反対の御意見がございます。ございますが、仕組みとしては、1つのルールというふうに考えております。
 例えば、高度先進医療というのは、まさにミックス型でやっておるわけでございますけれども、やはり先進的な医療というのは、一定の一種のスクリーニング、客観的あるいは第三者の目から見た医学的なスクリーニングが必要ですから、その間を公民ミックスの型でやり、それが通常の医療機関に技術伝播をしていく状態になりましたら公的保険に取り入れるという仕組みでやってきておりますし、これをいかにスピーディーにするかという問題が残るかと思います。その課題はあると思いますけれども、そういう形でやっておりますし、もっと端的な療養環境に属するものにつきましては、患者の選択の幅を広げていくと、患者もその選択に自己判断が比較的容易にできるというものは広げていく、こういう部分もあろうかと思います。一つひとつ議論していって取捨選択をしていけばいいのではないかと、これが基本でございます。
 それから宮内主査がおっしゃいました、個別の医療機関に限って認めるという方法はないかと、議論としてはあり得るかもしれません。ただし、私が今この場で、そういたしますと、2年以内にはいたしますというようなことはとてもとても申し上げられる段階ではございません。いろんなさまざまな検討の中であり得るといっただけで非常に前向きとまで言われると困るのですが、論理としては、議論の検討材料としてないとは言いません。
 例えば前回の診療報酬改正で特定機能病院につきましては、一種の包括化、思い切った包括化をいたしました。その過程で、病院サイドから言ってみれば宮内座長もおっしゃったような御要望も出ておりますから、これはいろいろ議論を重ねていく余地はあると思います。
 ただし、難しいのは、病院の評価というのはなかなか難しゅうございまして、全般的に高機能だというようなところは、なかなか評価するのは厄介でございますから、そんな客観的なスケールができるのかどうか全く自信はありませんので、その辺と絡むとすれば、そう簡単な議論ではないということも残念ながら付加させていただかなければなりませんけれども、理論的にあるいは検討の材料としては、全く頭からはしにも棒にもかからないというようなことではないのかもしれません。そこは全く個人的な意見になるかもしれませんが、そんな感じを持っております。
 いずれにいたしましても、私どもの基本のスタンスは、特定療養費制度というのは、そんなに変な制度ではないと思っております。極めて合理的な制度だと思います。あとはそれをいかに国民のニーズ、勿論医療関係者サイドの御要望、両方にらみ合わせながら運用していくかということではなかろうかということで、基本的には混合診療の全面解禁には率直に言って反対と言わざるを得ないという考え方でございます。

○鈴木副主査 さすがに審議官に来ていただくと、約束はちょっとできないけれども頭の中にはあるということで、今まで御省の部下の方の頭の中にはなかったのか、おっしゃられなかったことを言っていただいたのですけれども、私どももこの議論はもう随分やってきました。ある意味では尽きるところは同じに帰するような問題でもあるというふうに思います。そちら側は、言ってみたら、厚生労働省の掌の上で広げていくと、それも急ピッチで広げると、病床数基準ももっと下げる、5つの症例だったものも2つとか3つぐらいにするとか、いろいろこの前も聞きました。だが、私どもの主張は、すべての医療機関を対象とするということは、そういう主張もありますが、私どもはそういうふうには考えておりません。むしろ弊害が出てくるケースもあり得ることだということを心配しております。
 したがって、やはり信頼のおける能力のあるところに対して、能力をフルに発揮するにはどうしたらよいのかと、こういう発想をしますと、それはそこが自由にやれるということで、与えられた自由を大事にしないといけないというのが、これからのものの考え方だと思います。そういう自由から新しい進歩を引きずり出してください。そうでないと、審議官は開明的なお話をなさるけれども、現実に個別審査をするときには、こと細かな審査になって、言葉としては拡大すると言うけれども、結果は拡大しないというのは、多くある例です。ですからそういうのを避けるために、さっきおっしゃられたような、そういう一定のものにとりあえず限って、そこの自由を認めてやってください。私は下から行くという混合診療だというふうに言っておりますけれども、上から来るのも結構ですが、上のものは加速してください、下から行くものの道も開けておいてください。また、能力を評価するシステムもつくっておいてください。こういうことを言ってきたのですけれども、今、審議官の頭の中にあるというふうにおっしゃられましたので、それを頭から外にしっかりと出してくれということをお願いしておきます。
 それからアメニティーですね、アメニティーに対しては、さすがにこれは自由で何がいけないのでしょうか。みんな喜ぶわけですよ、患者も喜ぶ、お医者も喜ぶ、だれも損する人はいないわけですね。ただ嫌な顔をするのが、例の人間の命は平等というスローガンだけという話なのです。これはさすがに脱却しないと、私も病院に入ったことがあるけれども、あれだけ何にも金の使えないというのは見たことはないですよ。
 ということで、今の生活はそんなものではないということを考えていただきたいですね。

○大塚厚生労働審議官 今、おっしゃった中で、別に反論ではありませんが、幾つかコメントしておかなければならぬと思います。
 1つは、厚生労働省の掌の中ではありません。私どもは少なくとも私どもの意識として、厚生労働省がしやすいようにということで枠組みをつくっているわけではありません。先ほど申しました私の趣旨からおくみ取りいただけると思いますけれども、厚生労働省の権限だと、掌など全くありませんので、そこはまず御理解を賜わりたいというのが1点でございます。
 それから頭の中にあるということで大変御評価をいただきましたが、率直に言って、今の段階では個人的な意見にわたることが実態でございます。勿論、議論はしていくつもりであります。
 2つ目、どうせ個人的な意見を言ったわけですから、ついでに申し上げますと、ややこれは問題な発言かもしれないのですけれども、ざっくばらんに言わせていただきますと、保険給付で一定のものを給付し、プラスαは患者から取っていいと、それはその病院にとっては、ある意味では医療機関にはいいことでございます。私どもがもし考えるとすれば、もう一工夫要るのではないか。やはりトータルとしての公費負担につきましては、公的な診療、保険で給付するところにつきまして、やはり合理化もそういうところについては併せてセットでやらなければいかぬと思います。公的な給付は合理化し、自由なところも認めるという議論はあり得るのかなというのが、繰り返しになって恐縮でございますが、私の個人的な印象、中で議論いたします。これが2つ目です。
 3つ目ですが、アメニティーの話ですが、医療関係者がまゆをひそめると言いますか、アメニティーに対して緩めますと、自由にしますと、医療機関側が嫌な顔をすると、そういう例がないとは言いませんが、私どもの認識からいたしますと、先ほども申しましたが、これは患者負担ということで、むしろ国民の患者のいろんなお考えがある、過去の例から言いますと、そういうことに対して、非常に強い反発があると、これは現実問題として我々の経験からしますと、そこがこの問題の難しさだというのは冒頭申し上げたわけで、みんないいじゃないか、ということにはなりません。要は負担なのです。そこが委員のおっしゃるところでは選択じゃないかとおっしゃいますけれども、やはり現実問題としては、選択して金も払ってということになりますと、そう大勢の方がそうだ、そうだということではございません。そこがこの問題の難しさということを私は冒頭申し上げたつもりでございます。

○鈴木副主査 その議論をやりだしたら、夜中までもやってもよいけれども、簡単に言うけれども、では世の中で、病気が治って外へ出てきて、ある人はベンツの1,000 万ぐらいのものを買う、そしてある人は安い100 万のものを買う、ここで問題が起きますか。どうして病院の中だけでアメニティーというものに差があると大変な問題が起こるというふうにおっしゃるのですか。現実の問題はそんなんじゃないと思うのです。何もその人たちの負担だと言ったって、自分で好んで求めたアメニティーなのだから自分でお金を出すのは当たり前で、そのために1,400 兆円という行き場所を失っているお金があるわけですからね。
 だが、病院の中では、それをやっかむ人がいるというのが、今の言い分でしょう。でもそれは世の中はそういうものではありませんよ。余り特殊なところの議論にして、ますます病院というものを暗いものにしないでくださいということを言っているのです。

○大塚厚生労働審議官 そこは違いまして、病院を暗いものにしたくないのは全く同感でありますけれども、ベンツはまさに好んで買うわけです。病院に入院するのに好んで入院する人はいないわけです。大部分の国民はやむを得ず入院するわけです。その中での費用負担という問題ですから、決して国民の感覚はそう選択ができるだけがいいということではないですと、現実に我々の体験あるいは認識からしますと、そういう御意見も勿論ありますが、みんながそうだというのは、いささか我々の認識とは距離があるというのは率直に申し上げておきたいと思います。

○鈴木副主査 やめましょう。それだったら言い返すことは幾らでもあるが、エンドレスに言っても仕方がないから。
 掌をえらく否定しましたけれども、7条をああいうふうに解釈して、そのほかのところでもみんなそうですよ、要するに厚労省のいろいろなレギュレーションを見ていますと、余りにも恣意的な解釈というものが多過ぎる。それからほとんどが通達だとか指導だとか何とかでやっておると。
 これも先般問題になりましたけれども、課長見解で株式会社が医療法人の持分を持つことはできるが、議決権を行使できないというような、そんな重大なことを、課長見解でやるとか、何を1つ取ってみても、そういう行政の中でやっている。しかも「これからの医業経営の在り方に関する検討会」というものがありましたが、長くなるからやめますけれども、私も行きましたけれども、あれをもって掌と言わないのだったら何を掌と言うのだというのが私の率直な感想です。あなたの部下がやっておられる実態ももう少しお分かりください、病院の中の患者のメンタリティーだけではなく。この前もあった議論だけれども、自由診療に対しては、ひどくジェネラスだが、特定療養費制度に対してだけは酷く厳しいではないかとという指摘は、もっともな議論だと思います。
 だから私は質問を出して、自由診療について把握しているのかと聞いたら、やっている病院数しか把握しておりませんね。自由診療というのは、自分のお金でやるのだから、保険のお役に一切にかかっていないものですよ。土台そういうものが株式会社であろうが、何であろうが、経営形態なんて問われる筋合いがないわけです。だれにも迷惑をかけていない。顧客が整形美容をしたいという希望を持っているだけの話なのだから、これは全く自由契約の世界なのです。
 そういうようなものまで関与するのがおかしいという問題と、であるがゆえにほとんど何も把握されていない。それはそれでいいのですけれども、しかし特定療養費みたいなものになると、にわかに目の色を変えて安全をチェックしないといけない、だから個別審査だ、というのはおかしいじゃないかというような議論だったのですけれども、簡単に御回答いただくなりしてください。

○大塚厚生労働審議官 簡単に、それは先ほど申しました、かなり本質的な議論なのでございますけれども、私どもとしては、混合診療の議論あるいは自由診療の議論というのは、保険給付としてどこまでみるかという議論と思っております。それが1点。そういう議論だと、何かを規制するというのではなくて、保険給付としてどういうのを見るのがトータルとして妥当かと、こういう議論だと思っております。
 2点目、箇所数だと、自由診療だけでやっているのが3箇所あるのです。その中の1箇所は美容整形でありますけれども、自由診療は詳細に保険給付だという前提、大枠ですけれども、こういう診療報酬がありますよというのは決めていないわけですから、そういう意味では全然違いますけれども、基本は自由診療であれ、保険診療であれ、医療で見れば同じことになりますから、その意味でのベーシックな規制面では全く共通でございます。保険診療としてどこまで見るかというときに、いろんな条件が重なってくるというのは、これはまたある意味では当然なのですけれども、私どもはそういうふうに…

○鈴木副主査 医療として同じだったら、自由診療に対しても安全面で目を光らせて、何をやっているのかパフォーマンスはどうかという点をチェックするのが当たり前ではないかというので、それを聞いたのです。それを聞いたらそういうチェックはしていないと言う。それをしていないのは、厚労省としては自由診療の分野は関知しないという考え方だと考えてよいのかと言ったら、いや関知すると言う。それは医師法などの倫理規定によって担保すると、こういうわけのわからぬようなことを返事なさっているので、だからそこの切り分けができないということは…

○大塚厚生労働審議官 そんなことはないと思うのです、これは少し細かくて時間がかかってしまうので、余り議論の価値があるかどうかわかりませんけれども…

○鈴木副主査 時間もありますので、言いたいことは、この前も1時間半やったのですから、いっぱいありますけれども、さっきのお考えは是非頭の中で個人的なとおっしゃらずに、下部の方におれはこういうことを言ってきてしまったというふうにお伝えください。

○大塚審議官 公開されるわけですから。

○宮内主査 この問題は、実は延々と続いている議論が平行線でございます。しかし、私どもとしましては、この12の重点検討事項の中で、ある意味では一番重要な問題かなと、日本の壁にぶつかっている医療制度を打ち破る一番大きな問題かなという認識もできるのではないかというふうに思っております。
 今日、審議官のおっしゃった私的なささやきの部分につきまして、私は大変評価させていただいておりますし、まさにそうあるべきだというふうに思うわけでございますけれども、公式見解につきましては全く受け入れられることのできない公式見解が引き続き出されたような気がするわけでございます。特定療養費制度の拡充ということもございますけれども、いろいろな会議、高度先進医療専門家会議とか、何とか協議会とか、大変なるシステムを通って、やっとごくわずかが認められるという制度と、今、鈴木さんがおっしゃった、非常に自由裁量に基づいて、新しい医療を切り開いていこうというのとは随分違うような感じがいたします。
 いずれにいたしましても、保険診療というものと、患者の持っている医療分野の需要というもののミスマッチをどうするかと、これを解くかぎが混合診療ではなかろうかというふうに思います。
 極めて重要な問題と存じますので、引き続きできる限りの努力をしてすり合わせを今後ともさせていただきたいと、このように思います。議論をしておりますと、何時間でもかかるテーマだと思いますので、以上をもちまして次に移らせていただきます。
 次は、労働者派遣業務の医療分野、これは医師とか看護師等への対象拡大についての意見交換でございます。
 本テーマにつきましては、当会議といたしまして、医師、看護師等につきましては、その不足が深刻化する中で、一応有資格者であり、その能力等も派遣先があらかじめ指定できると、こういうことから医療機関など、社会福祉施設以外の施設への派遣につきましても、早急に解禁することとしていただきたいと、このように考えております。
 これにつきまして、厚生労働省のお考えを引き続き大塚審議官からお話しいただきたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 これもえらく率直な物言いをさせていただきますと、若干この問題は奇妙な感じが、奇妙と言うと言い過ぎでしょうか、すっとこう入ってこない感じがいたしますのは、医療機関の場合で申しますと、医療機関とそのスタッフ、それから派遣業者という三者が登場するわけですけれども、実際に使うのは、医療機関であり、看護婦さんその他のスタッフでありますが、この両方の立場の方が反対だと言っておられるわけです。言ってみれば現場のニーズが少なくとも形の上では出てきていない。しかし、これが非常に問題になるという辺りが正直言ってすとんと落ちないところでございます。それは私の感想みたいなことですから、余り言う意味がありませんけれども。
 ただ、派遣業の方は、御案内のように今日まで徐々に拡大をされてきたという全体の流れがございます。派遣業の業界と言いましょうか、業者の量・質が随分と急激に変わってきたという問題もございます。
 そういう点も見ながら、一方で、これまで何度も耳にたこというぐらいお聞きいただいたと思いますけれども、当事者の懸念というのがあるわけです。チーム医療、その他に非常に不安があるのではないか。不都合が生じるのではないか、あるいは責任問題が生じたときに大丈夫だろうかと、あるいはプライバシーの問題で心配がないだろうかといったような御心配があるわけですから、その御心配を払拭しなければ、なかなかこの議論は進まない、あるいはその御心配に対するお答えがないと議論が進まないという気がいたしますけれども、それも含めて15年度中に結論を出せというのが当初の御指示でございましたので、これは大臣の御指示もございまして、その結論を出すのを早めようということで、いわゆる検討会、関係者に集まっていただいて議論を始めたところでございます。
 目途としては、6月ぐらいには、あと一月余りしかありませんけれども、6月ぐらいには一応の結論を出したいなと、今言ったような御心配をうまくクリアできるのか、なかなか難しいのか、少し課題は残りますけれども、大いに議論をして、一定の答えを得たい、それも年度内と言わずに、6月ぐらいには1つの方向を出したいと思って議論を始めたところでございます。

○鈴木副主査 この問題につきましては、さっき審議官が議事録もお読みになったということなので、私が前回言った発言はお読みいただいておると思いますけれども、ここに出すのはむしろ場違いなのです。あれは明確に決まった話なのです。2002年3月の閣議決定で派遣労働を解禁するということを明確に定まっているのです。それが福祉だけの問題になってきたので、やむを得ず再出したものです。2001年に議論をしたときには、福祉だけの意味ではなかったのです。医療全般についての医療分野でとはっきり書いてあります。そこで派遣労働を認めるということについて、御省と私どもとで明解に合意し合ったところでほとんど議論のないところです。勿論、チーム医療という議論はしました、した上で合意した問題です。
 ただ、どこからスタートするかといったときに、御省の方はニーズとしては医師、看護士の方からスタートした方がいいけれども、諸般の事情というのは、いろいろな反対という問題とか、懸念の問題でしょうね、コメディカルの方からスタートさせて、そして医師・看護士の方に追いかけていくという明確の合意の下に決められているということです。これは是非審議官、フェイス・トゥ・フェイスで御説明しておきますので、その目で見て約束済みの事を言っているのだということで受け取っていただきたいのです。新たに白紙に戻しましてという議論を私どもはやっているつもりはありませんので、白紙で議論する権利は、そちら様にはありませんということを、これは事実ですから、そこのところをはっきりしておいてください。
 さっきもおっしゃったけれども、本当にやってもいないものに対して、チーム医療がどうのこうのということをお考えになって、しかも派遣労働と認めたからといって、すべての医療機関に派遣労働を認めろと、受け入れろだなど、そんなことを言っているのではありません。その医療機関がチーム医療に支障があると思ったのだったら派遣労働を受け入れなければよいだけのことで、道はつくっておけということです。それが規制緩和だと言っているだけのことですから、私もなぜそんなものを医療機関が反対するのか、やはりあなたがおっしゃるのと同じでわけが分かりません。
 とにかく、大分遅れているから、ここら辺で時間の取り戻しをしようと思います。

○宮内主査 今の審議官のお話のように、6月にまとめる結論につきまして、当会議の方向性と一致するということを確信しております。よろしくお願いしたいと思います。
 次のテーマは、医薬品の一般小売点における販売でございます。これも大きなテーマでございます。
 本テーマにつきまして、当会議の考え方を申し上げたいと思います。少なくとも特例販売業、すなわち薬剤師が置かれなくても、都道府県、知事の指定により、一定の医薬品を販売することを認められる店舗、こういう特例販売業というのがございます。この特例販売業が取り扱うことが可能な医薬品群については、これらの販売をコンビニなどの一般小売点にも解禁することとしていただきたいと、このように考えているわけでございます。 これにつきまして、引き続き大塚審議官からお考えを聞かせていただきたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 非常に具体的な御提案ではありますが、これまた大変大きなテーマとして御議論がございました。そういう意味では、基本論に立ち返るような議論をして恐縮でございますけれども、非常にぎりぎりに整理してしまえば、医薬品というものをある意味で特殊な商品として考えるかどうかと、ここが恐らく基本的な分かれ目になっているのだろうと思います。ここはなかなか率直に言って、私どもも、やはり極力少なくはしますけれども、健康被害というのがゼロではないわけですから、起こる可能性もあるわけですから、それがゆえに一種の損害賠償保険制度もつくっているわけでございますから、そういう特殊な要素を持った商品であるということは基本に置かざるを得ないと。
 そういたしますと、諸外国もいろいろでございますけれども、販売をする上で一定の条件を課しているというのは、決して珍しいということではなくて、どちらかと言うと、数多い諸国でそういう形を取られているわけで、私どもの発想が決しておかしいとは思っておらないわけで、ここが基本なものですから、少し議論が進まないという点があるのかなという点が1点でございます。
 それから、これも御案内のとおり、医薬部外品という制度がございます。平成11年にかなりの見直しをしたわけでございますが、今日までの御議論も踏まえて、医薬部外品というのをもう一度見直してみるという作業に少し時間をかけてみます。という形で、医薬部外品というのは、御案内のようにどこでも売れると、その見直しという作業で取りかかったというのが2点目でございます。
 3点目は、これも実は議事録を読ませていただきまして、先ほどの基本論に関わるところでございますけれども、議事録を読ませていただいた範囲で、議論が余り進まない状況があったと、それの基本はデータの不足、当時の会議録でも御指摘いただいていますが、私も読んでおりまして、データに基づく議論というのがうまくされていない、それは相当の部分は私どもの役割でございますけれども、これはやはりいかぬではないかと、もう少しデータを集積し、必要があれば調査をして、その上で議論をするというやり方でないと、これは余り実のあると言うか、実質的な議論にならないのではないかという感想を持ちました。
 したがって、これもお時間をちょうだいしなければなりませんけれども、そういう意味合いで、先ほど医薬部外品の見直しなどとの関連で、このデータの把握調査というのも是非やらしてみたいと思っております。その上で今後の議論を進めていきたいと思います。 特例販売業というのは、御案内のように極めて例外的な措置、考え方としても例外で、したがいまして、それがあるから、それと同じようにしろというのは、私どもとしては、やってみましょうというわけにはいかない、やはり基本は先ほどの根本論に戻るのではないか、そのための議論は、もう少し我々のデータの集積も御指摘のとおり必要だろうと、こんなふうに考えております。

○鈴木副主査 医薬品をトータルとして考えて特殊かどうかという議論をしても、これは私は現実に反すると思うのです。それは医薬品の中で作用・効果の非常に大きいものは、これは特殊な商品でしょうね。しかし、例えばうがい薬のたぐい、あるいは非常に副作用の軽微なかぜ薬のたぐい、目薬のたぐい、この2つを区別しないといけないと思います。医薬品といったらもう一つの商品だと、これは生命、身体に関わるから別だと、こういうとらえ方は現実的ではないと思うのです。
 だから、私どもが言っているのは、そういう作用・効果の広く大きくないもの、これを考えて、それをやってくださいと言っているのです。この前、資料を要求させていただいて、初めて見させていただいたけれども、特例販売業における、数々の許可医薬品の例を見ました。大体ああいうものをイメージしております。ああいうものが普通のところで買えたら、それは便利だろうなということで、国民の利便を考えているのです。
 特例販売は特殊な制度だとおっしゃったけれども、私も最初はそう思いましたよ。離れ島とか僻地とかいうことを余り言われるから、離れ島だったらそうたくさんもないだろうなと思っておったところ、何と全国に1万あるではないですか。それから、東京の中に400 、離れ島、僻地があるとおっしゃる。それでは、その離れ島、僻地はどこだと聞いたらまだ返事が出てきていないようですけれども。
 その議論をするのだったら、六本木の不夜城の中で、夜8時か7時半ぐらいに薬局がみんな閉まってしまったら、これは薬に関しては離れ島ですよ。というふうにお考えいただいて、その人たちがかぜ引いた、すぐに飲みたい、腹が痛いというときに、軽微なもの、それも特例販売業で売っているようなもの、これを認めてくれれば、どれほど国民は助かることか。薬局は、大体1日の3分の1しか開いていない。しかし、3分の2の時間に国民は病気をすることがある。そのことを頭の中に置いて考えてもらいたいということを是非お願いしたいですね。
 それと、医薬部外品といいますけれども、これは何と言いますか、薬の成分が入っているときに抜いてしまうのでしょう。これはまがいものですよ。こういうものを薬みたいなものとして売るものではなく、薬を薬として売るべきだと思います。したがって、いかに軽微なものでも多少の副作用はあるかもしれないと、こういうふうに国民に伝えた上で売るべきだと私は思います。
 それはこちらの意見だけれども、ちょっと審議官にお伺いしたいけれども、審議官は薬務局の仕事をやられた経験はございますか。

○大塚厚生労働審議官 ありません。直接はありません。勿論、間接的にいろいろ絡むことはございますけれども。

○鈴木副主査 何か私も極めて特殊な人の、と言っては何ですけれども、集団だと、ちょっと厚生労働省の中でも風変わりだというふうに2年間思えてならないのですよ。

○大塚厚生労働審議官 それは…

○鈴木副主査 当時、意見が合致しないので、医薬局長と仕方がないから答申ではこういう表現にしておこうということを取り決めたら、その後細かいワーディングを変えてくれということを、局長さんともあろう人が私のところに言ってくるのですよ。この後ろの中では何が起こっていたのでしょうか。
 聞くところによると、要するに技術系の人、つまり技官さんですね。これらが、例えば薬剤師だとか、医師だということで、特定の専門のジャンルを持っておりますね。そうすると、そういう人たちというのはお仲間をつくって、しかも学閥だとかが絡んできて、そういうふうにやるというのはよくある話ですよ。御省だけではない。そういうような雰囲気というのがあって、そして薬は薬の仲間で断固守ろうやというふうに言っておるとしか考えられない。理屈では負けると、ただ下向いてしまって、ただ嫌ですと言うだけの話を、不毛の2年間やってきたので、もう少しこの医薬局というものに対して、審議官も世が世で合併さえしなかったら今は次官なのだから、その目で見て、こういうつまらぬと言ってはなんですが、本当に何の理由もないけれどもただ反対だと言う、そういう議論にはもう終結を着けようではありませんか。本当に私はやっていて虚しいという感じがしますね。

○大塚厚生労働審議官 本質の議論ではないので、余り時間を取るつもりはありませんが、医薬局の非常に生々しい御指摘がありましたので、広い意味では医薬関係者も私の部下ということになるのでしょうから、彼らの名誉のために一言申し上げておかなければいかぬと思います。
 医薬品問題が、過去にさまざまな副作用問題を中心に社会的な問題を生じてまいりました。これは深刻に反省しております。勿論、一人ひとりを見れば一生懸命やっておったと思うのですけれども、組織体としてどうかというような議論もいたしまして見直しをしたいと。情報の公開につきましても、極力進めるという努力をやってまいったつもりでございます。
 ただ、あえて申し上げれば、まだクローズドだよという印象をぬぐい切れていない、私はあえて印象だと言いたいのですが、そのためには関係者も少し前に出た努力が必要だと私も思います。
 したがって、医薬関係者の気持ちを、おっしゃったような指摘に対しては反論しなければなりませんけれども、そう見られているということは大事なことだよということは、実はこの前の議事録を見て申し上げました。それが一つです。
 ただ、先般のやり取りで、言ってみれば医薬局に技官が何人いるかという御紹介がございました。勿論事実でございますから、単純にお答えすればいいわけですけれども、この御質問の趣旨を聞いたかと言いました。議論の中であったと。何だと言ったら、薬系技官が多いから、薬剤師とか、そういう方の仕事しかしてないのではないかと。そっちを向いてしか、もしそうだとそれはもっときちんと反論するなり、意見を言うなり、非常にプライドを傷付けられていることなのだよということ申しました。
 それで、私は正直言いまして、議事録を見ましたときに、私自身は非常に不快に思いました。それは、1つはそう見られていることに対する不快感ですし、少なくともスタッフの気持ちに全くそんなことはないと信じて、信じているだけではなくてそう思います。ただし、もう一つの先ほどの問題に戻りますけれども、そう見られているとしたらば、事実かどうかは別として、それはもう一段の努力をしなければと思っております。
 しかしながら、今おっしゃったことを、おっしゃったとおりに、私はそうだよと言って受け止めるわけにはまいりません。そこは一言申し上げさせていただきます。
 それは余り本質論でありませんので、それから1点だけ修正です。修正というか、これは事務的にお聞きいただければいいんですけれども、特定販売業、箇所数ですが、恐らく私の記憶では5,000 以下だと思います。1万か5,000 かがどれだけの差があるかは……

○鈴木副主査 いや、私のデータ上は、九千九百幾つと理解しております。

○大塚厚生労働審議官 それは恐らく医療機器とかが入っておりますから、それは一度お確かめをいただきたいと思います。

○鈴木副主査 9,947 であります。

○大塚厚生労働審議官 その中の半分ぐらいは、機械ですね。医療機器の販売業ですから。

○鈴木副主査 何ですか。

○大塚厚生労働審議官 機械、医療機器です。ですから、いわゆる医薬品と、ガーゼとか脱脂綿とか、そのたぐいですので、それは後ほど、数字の話ですからまた御説明させます。
 それから、夜間の話が出ましたけれども、夜間は僻地だと、そう言われればそうなのですが、先ほどの基本論の問題だろうと思っております。ここはよく御議論をしましたし、していただきたいのですが、先ほど申しましたように一つひとつの物の話も勿論あります。ありますが、それを分ければ医薬品というものをどういう形で販売するのか、勿論どこでも買えれば便利です。利便であることは間違いないです。その利便と、確率はそう高くないけれども、何か事故が起きるという兼ね合いだと思っております。
 安全第一と、建前で言えばそうですが、そこは勿論比較考慮の問題だと思いますが、夜中に買えないのがものすごく不便か、ここは価値観の入るところだと思います。いずれにいたしましても、私どもとしては医薬部外品をもう一度洗い直してみようということで、どういう答えが出てくるのは、ちょっとこの場では申し上げられませんけれども、その方向で作業をしたいと思っております。

○鈴木副主査 価値観だけなら私は言いませんよ。価値観だけではない、現実のニーズだから言っているわけなのです。だから、さっきも言いましたけれども、1日24時間の中で薬局が開いているのは3分の1で、3分の2の時間の間でも人間は生きているのですよ。だから、そのときにかぜにかかったとき、そのときに早く欲しいというときに開いてないではないかと。一生懸命に当番薬局を作るというけれども、そんなむだなことやらなくてもよいのです。そういうことを言っておるので、価値観の議論をしているのではなく、ニーズの問題です。
 そして、この前も、そうしたら買い置きしておけばよいではないかといとも簡単なことを言われたけれども、実は私それで被害に遭ったのですよ。一昨年に、私は風邪には葛根湯といつも言っているのだけれども、葛根湯を2ダース買っておいたのです。そうしたら、去年はハッピーにもかぜを引かなかったら、何と今年になって服用しようと思ったら、有効期限は去ったと書いてあるのですよ。だから、買い置きしておいて、有効期限が去ってしまうという不便に対して、そんなものはレアケースだとか、それから買い置きしておけばいいと、そういうことを言うものではないということを、この間の人に言っておいてくださいよ。言い損ねてしまったから。

○宮内主査 まだ、いろいろあろうかと思いますけれども、今、審議官がおっしゃった、医薬部外品の議論は随分前からやっておりまして、これの拡充ということを我々は要求しているわけではないということを是非御理解いただきたいと思いますし、特例販売業というのは、たしかこの9,947 という数字を持っておりますけれども、半分がやってないということであったとしましても、薬局が4万8,000 なんですね。10分の1は、もう全く薬剤師なしにやっているという現実、それから見るとやはり特例販売業が取り扱うことが可能な医薬品群と、ここまでは販売を解禁することは理屈の上でも全く問題がないのではないかというふうに思えてならないわけでございますけれども、国民の利便性ということは若干のリスクはありますけれども、これはやはり国民の立場に立って、医薬部外品で逃げるのではない形で是非お考えいただければ大変ありがたいというふうに思うわけでございますけれども、本件につきましても、今のところすれ違いということでございますが、次のテーマに移らせていただきます。
 次は、先ほど文科省にもお話をお伺いしたわけでございますが、幼稚園・保育所の一元化に関する意見交換でございます。当会議といたしましては、少なくとも特区におきまして、幼稚園と保育所に関する行政を一元化し、施設設備基準、資格制度、配置基準、入所要件等を統一化することにしていただきたいと考えております。
 特に、厚生労働省の所管されております規制につきましては、以下の2点についてお願いしたいと思います。
 1つ目は、保育所だけに存在する調理室の必置規制。これがございますが、これを撤廃することとしていただきたい。
 2つ目は、保育に欠ける子以外の保育所への入所も認めることにしていただきたいと。この2点が特にございます。この点につきまして、引き続き大塚審議官からお話をお伺いしたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 項目が順次進んでいくのに、意見の相違ということばかりで、恐縮な気がいたしますけれども、幼保の一元化という議論が正直に言ってわかりにくい議論になっているのが一つの要因だと思います。いわゆる幼保の一元化は、簡単に言いますと幼稚園と保育所を一つの類型にまとめてしまえという議論は、これも御案内でございますけれども、繰り返し行われました。しかも、その都度相当ハイレベルの議論が行われまして、今日まで一応の決着を見てきたという経過が私どもはあると思います。
 しかも、最近の状況から見ますと、幼稚園、特に低年齢児でありますとか、時間外でありますとか、そういうニーズが高まりまして、一種幼稚園との機能の分化といいましょうか、差別化といいましょうか、違いというのがむしろ浮き彫りになってきているという認識を持っております。
 したがって、単純に1本にしろという議論には、とてもとても私どもとしてはたえられない。たえられないと言いましょうか、同意できないというのがまず基本にございます。 しかしながら、一方では少子化が進んでまいりまして、地方公共団体の中、特に過疎地を中心にと言いましょうか、そういった地域を中心に新しい運営上の困難さというのが出てきているところがありますから、そういう点について言ってみれば知恵や工夫を使って、合理的な、あるいは能率的な、効率的な相互の運営ができるようにという点につきましては、これもさまざまな手を打ってきていることは御了解いただいていると思っております。 これは総論でございますが、調理室でございます。調理室は、簡単に申しますと、私の個人の意見というのは、余り差し控えなければならないかもしれませんけれども、保育所の機能という面から見て、調理室があって何でおかしいという気がいたします。あるのが当たり前じゃないかと。勿論、議論はあるかもしれせんけれども、まずそれが基本だと。この問題が、たかが調理室で何で反対、反対と言うのか、それはやはり保育とは何ぞやという理念に絡む問題だと思います。
 保育というものはどうあるべきかというときに、調理室はあるのが当たり前ではないかという議論が、少なくとも現場感覚からすると私どもが聞いている意見でございますし、一生懸命やっておられることでございます。したがって、そこをただ撤廃と言われますと、これは理念の問題で、一調理室の問題ではないというふうに考えております。
 しかし、ここは個別論と言いましょうか、何が具体的な問題かということになるわけでございます。本当にそんなに困っているのか。
 例えば、これも過疎地などに多いわけでございましょうけれども、他の施設が利用できるとか、給配センターのようなものが利用できるとか、そういう個々の事情もございますから、先ほど申し上げましたような基本に立った上で、本当に現実的な対応というのは全くないのかと、これはもう少し本当に子細を関係者からも、あるいは自治体からも聞かなければならぬと思いますが、子細を少し聞きながら検討はしてみたいと思いますけれども、これはたかが調理室という議論ではないということを是非御理解を賜りたいというのが私の考えでございます。

○宮内主査 これは特区担当の八代委員から、お願いします。

○八代委員 時間もないので、簡単に申しますが、基本的な認識が違っているというふうに考えます。我々は何も調理室を廃止しろなんていうことは一切言っておりません。すべて利用者のニーズに任せるべきだと。ですから、審議官がおっしゃっているように、保育所というのは、調理室があるのが当たり前だということでは、当然ながら今後ともあるわけであって、何か必ず必置規制に置かなければそれがなくなってしまうかのような根拠というのは、どこにあるのか、それがニーズに基づいたものであれば当然存在するわけですね。わざわざ規制しなくても。
 問題は、調理室をどうしても置かなければいけないことによって、保育所自体がつくれないというようなケースがあるわけであって、そのときに保育所が全くない状況、あるいは認可保育所が全くない状況と比べて、調理室1つがどれだけ大事なのかという議論をしているわけですから、つくれるならあった方がいいに決まっているわけであって、そういう国民の選択肢を無視して、これをなくしたらもうなくなってしまうのだというような、規制が最初にありきという考え方が基本的におかしいんじゃないかということであります。 それから、幼稚園と保育所の関係もそうであって、例えば0歳児を今の幼稚園で見る仕組みがないのは当たり前であって、そういうときに何も無理やり規制を緩和しろということを、少なくとも私は考えていない。
 しかし、例えば4、5歳児、この4、5歳児についてみれば幼稚園も保育所も事実上かなり近い機能を果たしているわけですから、そのときになぜ基準を統一できないのか。そういう今の基準を一歩でも外したら、もうめちゃくちゃになってしまうというその恐怖心はどこからこられるのかと、幼稚園も保育所もやはり利用者にニーズに答えて存在するものであれば、利用者が真に必要とするものは当然なければやっていけないわけで、もう少し利用者の選択肢、それからそれに答える事業者の判断にもっと弾力的な余地を与えたらどうでしょうかというのがこちらの提案で、今のようなのは私は当たり前だと思いますが、そういう極端でない議論についてまで、なぜそれはだめだと言われるのかということを是非教えていただきたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 必置規制という形式が問題なわけではなくて、勿論必要かどうかというところに基本があるわけですね。

○八代委員 ですから、それがあるがゆえに保育所自体がないことと比べてどうなのかということを聞いているわけです。

○大塚厚生労働審議官 そういうところは、ゼロではないかもしれませんが、先生御承知の範囲で、調理室がつくれないから保育所をあきらめたと、そんなにいっぱいあるものでございますか。

○八代委員 要望があるからこういうことになっているわけで、なければ別に出しておりません。

○大塚厚生労働審議官 ゼロとは思いませんけれども、そんなにいっぱいあるものかというのが我々の認識でございます。

○八代委員 では、なければなぜそれを認めたら、どういう問題があるわけですか。

○大塚厚生労働審議官 ですから、むしろ保育所としてあるのが当たり前じゃないかと。では、どこまで弾力的なことが可能かということにつきましては、制度としてもこれまで幾つかの手を打ってきておりますし、これでおしまいというつもりはありませんから、もう少し考えてはみますけれども、ややこの議論が、あるいは誤解を生じているのかもしれません。実はもうちょっと議論してみたら、そんなに違いはないということになるかもしれませんが、私どもが承知をしておる範囲でありますと。今日のお話とちょっと違う気もしないでもないんですが、そもそも必置規制なんか要らないじゃないかと、あと任せろという感じに近いふうに受け取っておりましたが、これはちょいと違うんじゃないかと。

○八代委員 何も必置規制全体をなくせなどということは、一言も言ってないわけで、この必置規制について言っているわけです。例えば、保母さんの定員なんかを全く無視していいなどということは考えてないわけです。これはまさにそういう要望があるからということを言っているわけですが、大事なのはその根幹にある。これは1つの例にすぎないわけで、まさに実効的な規制、何が大事な規制なのか、何が譲ってもいい規制なのかという判断をもっと弾力的にしていただきたいという、1つの例でございます。
 先ほどの医薬品の話ももう過ぎてしまいましたけれども、1つ大事なのは、今の薬剤師の規制において、どれだけ安全が守られているかということを全く考えずに、こんなこと当たり前だというのがまさにユーザー無視の視点であって、ある意味でこの保育所の問題についても、もっとユーザーの声を聞いてやっていただきたいというのがこちらの要望であります。誤解であれば、当然それはお互いに直すべきだと思います。

○大塚厚生労働審議官 ですから、私どもとしては、先ほど申しましたように、むしろ保育所の子どもの、少なくとも相当長時間、しかもそう年端もいかないと言いましょうか、低年齢児も含めてお預かりする以上は、必置規制という言葉を使おうが使うまいが、まず基本的はありきだと、調理室がありきというのは当たり前だろうというところが始まっています。しかし、現実を考えて、どこまで可能か、保育ニーズということと関連いたしまして、その議論を全くしませんというつもりはなくて今日までいろいろやってまいりました。
 勿論、例えば外部職員が入っても構わないわけですし、そういう点での議論でございまして、なぜ調理室かというのが率直に言うと、調理室がシンボルだと言われればまた別の話なんですが、ニーズというか、調理室がなければもっとできるのになというのは、調べてみますとけれども、ゼロではないかもしれませんが、そんなに多くはないと思うんですけれどもね。

○八代委員 ですから、繰り返しますが、要望があるから我々が言っているので、我々が頭の中で空想した問題ではないのです。これは長らく、地方分権委員会でもこの問題が出てきているわけですから、我々が別に勝手につくった問題ではないということは当然御承知だと思います。
 ですから、大事なことは、やはりこれがネックになって認可保育所ができないというケースがゼロなら別に問題はないと思います。問題はそれがあるからだということは是非御認識いただきたいと思います。 以上です。

○大塚厚生労働審議官 1点御回答というか、お答えが漏れてしまったので、先ほどの保育に欠ける子というのは、御趣旨を確認しながらのお答えですが、例えば保育所が俗に我々の業界用語で言えば私的契約時ですけれども、私的にいわゆる保育に欠けるという認定を受けてはいなくても、受け入れて一緒に保育園でお世話をする。これは勿論今でも緩めているわけです。恐らく問題は、次に出てまいりますのがその費用でございます。保育に欠けるという前提で市町村と契約されたお子さんには、これは勿論保育費が公的に支援していますが、私的契約には出ないと。そこまで含めて、言ってみればお金を出せということになりますと、これはそう簡単ではないと。ないというは、ちょっとまた制度論の基本論に戻るだろうと思います。ただ、……

○八代委員 そこは是非理解していただきたいのですが、今のお話はあたかも過去の福祉制度といいますか、保育所というのが一部の本当に貧しい、恵まれない人のためのものであるというときの御議論であって、今や保育というのはまさに少子化対策、あるいは男女共同参画のために不可欠な一つの手段であるわけです。それはもう共通だと思います。
 そのときに、厚生労働省が一方的に認めた保育に欠ける子という基準だけで、そういう人たちにだけ膨大な補助金を出す。その基準から外れた人に対しては何もしないと。勝手に無認可でやってくださいという、二元論というのは成り立たないのではないか。
 ただ、勿論財政資金の制約があるのは当然のことでありますから、両方についてもっと、例えばユーザーの負担を高めるような形で、貴重な財源をもっと平等に配分すると、そういうことも前提にしているわけでありますから、無制限に財政資金を注ぎ込んで、今の保育の欠ける子という形の対象者を、もっと無制限に広げろという意味では少なくともないわけであります。そういうことは当然御検討されているわけですね。

○大塚厚生労働審議官 保育に欠ける子というのは、勿論現実には社会状況の変化によって変わってきているわけです。おっしゃいますように、戦後間もなくの時代とか、20年代、30年代、それは違うと思います。今日においては、当然のことながら男女共同参画時代になってまいりまして、俗に言う共働き、あと保育をする人がいない場合に限っては、そういうお子さんを保育に欠ける子と言っていると。基本はこれだと思いますが、それをもうちょっと弾力的に考えればいいじゃないかと。

○八代委員 もうちょっとではなくて、大幅に弾力的に、保育をサービス産業として認知する。厚生労働省が所管する、健全なサービス産業に育てるという意思がおかりかどうかというのがポイントなのです。

○大塚厚生労働審議官 現実問題といたしましては、先生もあらかじめ触れられましたように、やってできないことはないかもしれませんが、財政問題が当然ございますね。

○八代委員 だから、財政の制約の下でと言っているわけなのです。

○大塚厚生労働審議官 ちょっと正直申しまして、私は先ほどの主査の御指摘に対しましては、現実に何らかのサービスを保育所で、私的契約という形で、これも比較的最近拡大してきたわけですから、そういうことは対応していますよと、基本はこれですよという趣旨でお答えしたつもりです。
 さて、その先につきましては、今日お答えするだけの準備もございませんし、ただし、なかなか厄介だと思います。

○宮内主査 厄介というか、やはり最後はバウチャーの議論になるのかもわかりませんけれども、やはり国民全体というもの、男性も女性も働く社会の中で、保育という新しいディメンションをどう考えるかという問題かと思いますが、次のテーマに移させていただきます。また、本件につきましては、引き続き詰めの議論は是非させていただきたいと思います。
 次のテーマは、職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進についてでございます。本テーマにつきまして、当会議の考えております点を申し上げます。
 有料職業紹介事業については、求職者からの手数料徴収に関する規制をより一層迅速に緩和することをお願いしたい、このように考えております。
 また、公共職業安定所、いわゆるハローワークについては、サービスの質を維持した上で、公設民営方式などの導入、独立行政法人化、地方公共団体への業務移換など、組織・業務を抜本的に見直すことをお願いしたいと考えているわけでございます。これにつきまして、厚生労働省のお考えを、戸苅職業安定局長からお願い申し上げます。

○戸苅局長 まず、求職者からの手数料徴収の規制であります。これは、既に御案内だと思いますが、ILOの181 号条約、民間職業仲介事業所に関する条約というのがございます。もともとILOでは派遣も認められるかどうかというふうな条約であったのですが、この条約で労働者派遣も含めて認めていこうと、一定のルールの中で認めていこうということになり、これを受けて我々も派遣業のネガティブリスト化を前回の法改正で実現したというものでありますが、これに労働者からいかなる手数料、経費についても徴収してはならぬと、これが基本原則で、ただ労働者の利益のための、しかも代表的な労使団体と協議した上で、特定の種類の労働者、特定の種類のサービスについて例外を認めると。こういう規定があったわけであります。
 我々は、これ受けまして、これも随分反対もなかったわけではないのですが、科学技術者、それから経営管理者について、当時の民間の部長級の方の給与水準ということで、1,200 万円という基準を設けたわけであります。
 現在、これも御案内のとおり、今、国会で審議中でありますけれども、製造業の派遣を認めるべくそれから、地方自治体による職業紹介事業を認める、職業安定法と労働者派遣法の改正法案を審議いただいております。これも連合からは、3者構成の審議会で反対の意見書が文書で出されると、こういった中で国会に法案を提案すると。こういう経緯で至っております。
 この問題、求職者からの手数料徴収につきましては、今、申し上げた職業安定法及び労働者派遣法の改正法案が国会で成立し、これを施行するという段階で、金額の思い切った引き下げをしたいというふうに思っておりますし、それから対象の範囲についても、可能な範囲というか合理的な範囲での拡大を検討したいというふうに思っております。
 金額としては、最近における賃金の動向、それから部長級の方が離職して部長として再就職する場合の賃金の実態、そういったものを踏まえて決めようかと思っておりまして、金額的には半分まではいきませんけれども、現在の1,200 万から相当程度の引き下げということになるんではないかというふうに思っております。
 ただ、やはり今の労働市場の中で、御本人が手数料を払える方と払えない方が、再就職に大きな差が出るということについて、どの辺りが合理的なのかという辺りは恐らく審議会でも議論になるだろうというふうに思いますが、我々としては今のお話を踏まえて、できるだけの対応をしてまいりたいというふうに思っております。
 それから、ハローワークの公設民営型、それから独立行政法人化でございます。これにつきましては、1つはILOの88号条約がございます。これは、御案内のところだと思いますが、国の機関の指揮・監督下で全国的体系の無料の公共職業安定機関を維持するというふうになっております。
 それから、もう一つ言わせていただければ、恐らく憲法の勤労権の保障というのを、やはり国の責務としてやるということになると、無料の公共職業安定機関というものを維持する必要は必ずあるのだろうというふうに思っております。
 それから、民間の派遣業者、あるいは職業紹介事業者の事業活動、今回の法改正で相当自由な活動が更にできるようになるだろうと思っております。そういった中で、民間の事業活動を、やはり過去の経緯、過去の経験から言っても、例えば中間搾取をやる業者、あるいは強制労働をやる業者、それから最近非常に経営状況が厳しくなっているということもあって、ありていに言えば企業舎弟がこういったところに本当に入ってこないのか、その辺りを考えると、やはり国よる無料の職業紹介というのが民間の自由な紹介活動、あるいは派遣事業活動の最低限の保障として必要なんじゃないかと、無料の職業紹介事業があれば、それよりも低劣なサービスというのは、恐らく民間事業者は金を取るとできないということになるのだろうと。この辺りは、実は今日先生おられませんが、清家先生と同じような考え方だと思います。そういったことを考える。
 もう一つ、何と言っても雇用保険の濫給というか、この問題が恐らく心配だということであります。これは、御本人がきちんと求職活動をしているのか、それから本当に再就職する意欲があるのか、この辺りを公共職業安定所の職業紹介と切り離して、きちんと雇用保険の、今、申し上げたような濫給防止という観点から、適正な給付の維持ができるのか、そういうことについては、これはイギリスが実はウィルソン政権のときに失業保険と職業紹介を切り離して濫給になって、サッチャー政権になってこれを元に戻したら、雇用保険の受給者が3割ぐらい減ったと、こういうこともあります。
 そういったことを考えると、やはり雇用保険と職業紹介業務を切り離すというのは、これも今、雇用保険も実はこの国会でやっと給付の削減、それから保険料の引き上げのための法律を通したばかりであります。この段階で、これを切り離す格好での公設民営化、あるいは独立行政法人化、これはとても今の段階で我々としては実現するということにはならないのではないかと思っております。
 ただ、これは前にも鈴木先生にも申し上げたのですが、我々は職を求めている人、それから人材を求めている企業に対しての職業紹介を国で独占しようとは全く思ってないわけで、そういった意味では民間の自由な活動をやっていただくということは、大変結構なことだろうと思っております。
 正直言って、厳しい行財政事情の中で、ハローワークの職員を増やすというのは非常に難しいわけであります。一方で、利用者は殺到しているわけでありまして、そういった意味で、今日のテーマにもございます、地方公共団体・民間事業者への開放促進という観点からは、現在ハローワークで行っている業務を、民間にアウトソーシングできる部分があれば、これは必要な地域、必要な業務についてアウトソーシングを検討していくということは、これは我々の組織の維持ということと関係なく、利用者の求職者、それから求人者へのサービス、ニーズの充足という意味で必要なんじゃないかと思っております。
 そういった意味で、ここ何年かアウトソーシングに取り組んでいまして、公共職業安定所に持ち込まれている求人を、これは今年の1月からですけれども、インターネット上で企業名、電話番号、住所も含めて、希望する企業というか、むしろ拒否しない企業は全部公開していると。民間の事業者の方がそれを利用いただくのであれば、十分利用いただければいいんではないかと思っています。
 それから、一方で……

○宮内主査 時間がございませんので。

○戸苅局長 はい、済みません。特にホワイトカラーの離職者の方々について、やはり公共・民間、両方のサービスが受けられるようなサービスをハローワークでもやろうということで取り組んでございまして、今後もこういう失業情勢の状況を見ながら、地方自治体なり民間事業者への職業紹介事業の開放促進ということに取り組んでいきたいと思っております。

○宮内主査 ありがとうございました。それでは、鈴木さん。

○鈴木副主査 先回もその議論をさせていただいたのですけれども、ILOの条約の問題というのは、要するに国の監督・指揮がされておればよろしいということなのだから、これは民間に委託しろということを言っているのですが、委託した場合には当然受託者に対して指揮・監督するのは当たり前のことですね。契約によるものであります。だから、それで私は十分ではないかと思うけれども、特別な何かをしなければいけなのか、国でやらないといけないのか、それはそういう解釈ではもう全くないと思います。これはこの前議論した問題なのですね。
 それから、このハローワークの民営化という議論も、我々の中ではもう十分にあったわけだし、それから経済財政諮問会議でもそういう議論があった。それに対して、我々は去年の官製市場の中では、さっきおっしゃられたような最後のセーフティーネットに対して、国が責務を持つということは妥当な考えではないかということで言ったのですけれども、国が責任を持つということと国が、つまり公務員が直接従事するということとは、峻別していきましょうよ。責任はあるけれども、しかし何も国家公務員がやる必要はないではないかと、この議論をやったわけですね。
 それで、管理だとか専門職についてアウトソーシングをする、民間委託をするというふうにされたのは評価します。評価しますが、その範囲というものをもっと広げていってくださいということをお願いしているわけなのです。
 この雇用保険の問題というのは、この前も言ったけれども、よくわからぬ回答をされて、よくかわらぬ議論なのですが、入職経路をみると、安定所の紹介によるものは3割しかない。3割か2割か知りませんが、というところで、その人に対して雇用保険を支払うためにはちゃんと顔を見なければいけないと、それであなたちゃんと民間職業紹介所に行っているかと、あるいは自分のところで紹介を受けろよと、こういうことをおっしゃるのでしょうけれども、残りの7割は、あなたのところへは職業紹介に来ないんですね。それを分けられないというふうにおっしゃっても、私には到底ピンとこないということを申し上げたのですけれども、ここら辺も先回言ったことの繰り返しなんですけれども。
 一番問題なのは、国立大学や病院にしても今度独法化していく。この前にはなぜハローワークを独法化できないのだという議論に対して、保険料を支給するからと言われる。言いたいのは要するに国の権力行為のようなことを言いたいのでしょう。それは社会保険と同じだと言われる。だからそれは独法化できないというような議論をされていますが、私どもの方の命題は何かといったら、そういう国の権力行使作用であっても、それが定型的なものであるものについては、どんどん民間に開放していくという、それが今の社会の流れだと。こういうことを言っているのです。権力作用だから国家公務員でなければいけないというのは、もうこれは考えを修正していただきたいということを申し上げておきます。

○戸苅局長 正直言って、これはこの前も髄分長い時間議論させていただいたのですが、諸外国の経験、それからこれまでの我々の経験からいって、やはり雇用保険を適正に給付するということを考えると、ハローワークに3割じゃないかというお話ですけれども、これはハローワークを通じて就職した人が2割とか3割なんであって、ハローワークに求職を申し込みに来ている人というのはもうほとんどなんです。そういう意味では、ハローワークには必ず来ているということじゃないかと思っております。

○鈴木副主査 保険料をもらいに来ているのではないですか。

○戸苅局長 そういう人もいるので、そういう人をなるべく駆逐していかなければいけないのですが、要するに本当に仕事を探して、仕事を探している間の生活費を雇用保険で賄う必要があると。こういう人に限らぬといかぬのですが、確かに今おっしゃるようなこともあるので、そこはそういう意味では国がやらなくなるとますますそういう保険料をもらうために来るという、モラルハザードが出るのじゃないかというのが非常に不安であるということであります。
 それから、これは行政体制の問題ではあるのですけれども、正直言って今いろんな雇用対策、例えば障害者の雇用促進ですとか、あるいは高齢者の就職促進ですとか、こういったものをやはりハローワークの職業紹介と一体のものとして、そういった国による行政指導、あるいは法律に基づく指導を実現するための支援というか、こういったものをやるということはやはり必要不可欠ではないかと思っております。
 ただ、いずれにしても鈴木先生のお話は我々も受け止めているわけで、そういった意味では更に民間への開放にどんなことができるのか、これは取り組んでいきたいと思っております。

○鈴木副主査 しっかりそこに取り組んでくださいよ。この前いい調子に議論していただいておったのに、最後になったら余り取り組まないようなことを言って、そんなことを言うのだったらやり直すと言って、何か険悪な雰囲気で終わっておりますから、今日は険悪にならぬようにしましょう。

○宮内主査 今のお言葉をちょうだいいたしまして、有料職業紹介事業につきましては、この手数料徴収に関する規制、お話のとおり更に緩和していただくということでございます。
 それから、ハローワークにつきましては、いろいろ御議論がございますけれども、全国で600 か所ですか、1万2,000 人という巨大な組織でございます。これの本当に効率的な運営という意味で、組織的な見直しということも含めて考えるべきではないかと我々は考えるわけでございますけれども、これにつきまして更に議論を進めてまいりたいとさせていただきたいと思います。
 それでは、大変時間が過ぎてしまいましたけれども、最後のテーマに入らせていただきます。株式会社等よる特別養護老人ホーム経営の解禁についての意見交換に移ります。本テーマにつきましての当会議の意見は2点ございます。
 第1点は、少なくとも特区において、特別養護老人ホームの民設民営方式を解禁することとしていただきたいということ。
 2点目は、特区で既に認められた、こうしたPFI、公設民営方式のような特例措置は、地方公共団体が直接民間の事業に深く関与し、当該事業をある程度保障することによって弊害の発生の可能性を極力抑制しているような措置であると認識しております。
 したがいまして、こうしたタイプの特例措置は、全国規模での規制改革に速やかに移行することにしていただきたいと。この2点でございます。
 お考えにつきまして、大塚審議官からお願いいたします。

○大塚厚生労働審議官 時間も超えておりますので、簡単に申し上げます。一言で集約して言いますと、まさに特区で一部と言いましょうか、試行するということにいたしておりますので、その状況を見て判断をさせていただくということに尽きるのではないかと。一言で申し上げれば、いずれのテーマにつきましてもですね。
 ただ、本質にかからないところですけれども、せっかくの機会ですので感想めいたことだけ言わせていただきますと、私個人の経験からいたしましても、福祉あるいは介護の関係というのは、本当についこの間というような感じがする、しばらく前までは、民間と言えども本当に篤志家が身銭を切ってやって、何とかやってきたという時代が随分長ごうございました。そのころのことを私も知っております。
 私ども行政担当者の願いは、せめて身銭を切らなくてもやっていけるというぐらいの制度にしたいということで一生懸命努力をしてきたつもりでございます。
 次に、それなりの整備ができましたときに、それまでどうしても財源的な問題から公的な団体、つまり実質上地方公共団体しかできない、あとは篤志家に頼るというところを民間でということで、もう今や高齢者関係もそうですし、保育所も大分そうですし、民間で担っていただくということになってまいりました。
 こういう歴史、あるいは経過をそう遠くない時代にたどってきておりますので、これは率直な印象です。理屈ではありませんが、印象としては、なぜ株式会社じゃないのだと言われますと、理屈の世界ではないと御理解いただきたいんですが、私どもとしてはこれまでの経過を見ると、そう単純に言われてもなという気持ちがいたします。
 それはそれといたしまして、高齢者関係につきまして、さまざまな施設体系もメニューがそろってまいりまして、その中ではいわゆる株式会社でやっていただくべきものも随分ございます。これも全体のワーキンググループの議事録を読みましたときの、前回出た議論ではございますが、そうした施設の種類間の一種の競争と、いい意味での競争というのもある意味では始まっております。
 そういう意味で、非常に高齢者介護施策というのは、まだまだ長いようでここのところの展開が急でございますので、いろいろなことはこれから先に向かって幅広く考えていかなければならないと思いますが、いかんせん特区で一部PFIなり公設民営という方式で導入した、むしろこれから出てくるケースでございますから、その辺の状況は少なくとも見させていただきたいと思います。御説のようにすぐに民設民営、あるいは全国展開と言われても、それは今そうしろと言われても、ちょっと御勘弁願いたいということでございます。

○八代委員 私も、実は中央福祉審議会でまさにこういう介護保険に並ぶ、社会福祉法の改革というのを一部お手伝いさせていただいたわけでありますが、そういう意味で今、審議官がおっしゃった、福祉におけるコペルニクス的展開であるということはもう十分承知しております。ただ、それでは余りにも遅いわけで、日本の今、急速に進む高齢化社会で、介護を必要としている数はいっぱいいるわけで、今後ますます増えていきます。
 それに対応するスピードの時代に、今の審議官のおっしゃったように、昔から大きく変わったのだから、これでいいじゃないか、もうこれ以上、もうちょっとゆっくりやろうぜというのは、余りにもスピード感覚に欠けている御発言であって、もう過去の経緯は切り離して、今どれだけの人がこういう介護施設を必要としているのかと、それを財政資金の厳しい中で公的、あるいは篤志家で対応できるのかということが基本的なポイントなわけです。なぜ株式会社なのか、当たり前で株式会社というのは今の日本の経済社会の中で、最も資金を効率的に集めて供給を増やせるための一つの道具であるわけで、なぜそれを排除するのかというのが基本的なポイントなわけですね。
 ですから、確かに過去すごい転換をされたのはよくわかっておりますけれども、まだまだ不十分だというのが我々の認識であって、それは別に我々が言っているのではなくて、人々のニーズがそう言わせているわけでありまして、それは是非きちっと受け止めていただきたいと思います。
 具体的に言うと、例えば福祉の分野は医療と比べてかなり改革が進んでいるわけですけれども、例えばケアハウスなんかではもう株式会社の参入が認められている、認可保育所もそうであると。そうであれば、最も施設の拡大が必要とされている特養についても、特養自体の見直しは別途やられているそうでありまして、それはそれで結構でございますが、少なくとも見直しがきちっと決着するまでは、現行段階で少しでも多くの特養が必要である。そのときに、民設民営でやりたいという人がいるときに、なぜそれをだめだというふうに排除する必要があるのか。
 高齢者の保護だとおっしゃいますが、保護されてない高齢者が山のようにいるからこそ、今、特養が必要とされているわけで、さっきの保育所も全くそうでありますが、あるものを前提として株式会社がいいか悪いかを議論してもしようがないわけで、ないものをつくるために何が必要なのかということで株式会社が必要ではないかということを言っているわけで、その緊急性ということについて是非お答えをいただきたいと思います。

○大塚厚生労働審議官 先ほどもちょっと触れましたけれども、幾つか株式会社でできる施設もございます。余り議論らしい議論ではありませんけれども、特養的なと言いますか、特養と呼ぶかどうか定義の問題は別として、それだって有料老人ホームという形態でやれないことはないわけです。やはりおっしゃるのは、結局は財政、今はもう介護保険に移りましたが、介護保険の対象としてどこまで見るかという議論だと思います。
 それはスピードは遅いといいますけれども、社会福祉法人であってももう今やみんな民間であるわけでございますから、社会福祉法人ではだめだいう議論になるのは別でございますけれども。

○八代委員 だめだとは言っておりません。不十分だと言っているわけです。

○大塚厚生労働審議官 民間であることは間違いないわけでございまして、株式会社でなければならぬかという話になりますと、そこはこれだけの激しい変化の中で、施設体系もまだまだこれから検討しなければならぬということですぐにやれということにつきまして、さっきの歴史を申し上げましたのは、スピード感の話ではなくて、関係者の気持ちの中でそういう気持ちがありますよということを間接的に申し上げたかったわけでございまして。

○八代委員 ユーザーの気持ちはどうですか。

○大塚厚生労働審議官 ユーザーは、数の増やし方だと思います。施設が足りないという話でございますが、これはまた公的な施策としてぎりぎり進めておるわけでございます。財政措置をして。

○八代委員 今、財政がないとおっしゃったばっかりですよ。だから、財政の制約の中でいかに合理的につくるかということで、民設民営の議論が出ているわけです。

○大塚厚生労働審議官 極端なことを申しますと、変な議論になりますが、例えば株式会社の特養というのは、補助金は出ないわけです。それから、介護保険との関係は特定施設ということであれば、有料老人ホームの形でかなり近いことはやれると思います。株式会社がもし参入することによって増えるとすれば、公的な資金は極めて限定的ながら、それでもやっていただけるというところが見えないと意味がないわけです。

○八代委員 だから、それをそうやると言っているところに、しかも自治体がきちっと監督してやるということで、今、特区として要望が出ているわけですから、その自治体を信頼してはいけないんですか。

○大塚厚生労働審議官 PFIなり、今回特区でやろうという提案をいたしましたが、まだ出てきてないわけでございますね、その形では、おっしゃるのはその形で出てきてないではないかということでございますが、自治体が監督してとおっしゃいますけれども、恐らくこれは推測が入りますけれども、自治体の文章を見ますと、地方の財政は厳しいと、だから株式会社にしてくれと、私は自治体が責任を持ってというかどうかわかりませんけれども、そういう御主張だと思うのです。つまり財政的には負担しませんよと、負担がゼロかどうかわかりませんけれども、そういう議論で、それでも受け止めてやれということになりますと、私は現実的な対策としては極めて不十分な形でしかお答えできないのだろうと思います。
 そういうことを考えますと、ただ認めればいいじゃないかという議論には賛同しかねるわけであります。

○八代委員 ですから、特区という形で実験的にそういう民設民営の形が合うかどうかを自治体に任せて実験してみようということであります。

○大塚厚生労働審議官 したがいまして、まずこういう形で提案をしたわけでございますから、特区につきまして。

○八代委員 ですから、それは1つの提案であって、特区というのは次から次からいろんな提案が出てくるわけで、公設民営、PFI、結構ですよ。それは1つの提案で、だからそれをしたからそれ以外あとはだめだというのは、特区法のどこにも書いてないので、特区法というのは1年に2回改正して、どんどんバリエーションを増やしていくわけですから、これがまた新たなバリエーションの1つなわけです。

○大塚厚生労働審議官 ですから、今回の特区法、PFI方式、その他ですけれども、提案をしているわけですから、その状況を見たいと申し上げているわけです。

○八代委員 ですから、特養に関しては、PFI方式、公設民営方式、それは結構なのです。何もそれを否定しておりません。だけど、それを認めたからといって一切もう違うタイプの特区は、この介護施設については認めないという権利は全くないわけでありますから、それはいろんな組み合わせがあるわけです。

○大塚厚生労働審議官 権利とまでは申しませんけれども、今回の特養の特区に対する対応につきましても、それなりの議論の経過を経てきたわけでございますから、先ほどの医療法人の株式会社の議論に共通するところがございますけれども、特にある意味では医療機関以上に、お年寄りの24時間の生活を面倒見る施設でございますから、それなりの心配がないように十全な手当をするという前提からしますと、株式会社には不安があるねという議論ですね。私の主張は。その中で、公共事業団体がきちっと面倒を見られる方式ということで2つの方式を提案したわけでございますから、その利用状況などをまず見て判断をさせていただいて、基本論は基本論としてあるわけでございますから。
 しかし、一方で先ほど申し上げましたけれども、施設そのものの在り方という議論は、これは別途議論していかなければなりません。これも急ぐといいましても、そう右から左に結論は出ませんから、それとの関連なしとはいたしませんが、今、出された意見の中で直ちに株式会社による民設民営を、あるいは特区の全面展開をすぐにしろと言われても、そこにはまた基本的な議論が必要だろうということでございます。

○宮内主査 特区という制度について、何か基本的に御理解がいただけてないのかなという感じもいたしますし、また株式会社というものに対する誠に不思議なお考えを持っておられるということを、常に私、厚生労働省とお話しておりまして感じるわけでございます。いずれにいたしましても、日本の経済を動かしているのは株式会社であり、株式会社が命を守っているのですね。自動車をつくるのも、薬をつくるのも全部株式会社で、なぜ福祉・医療だけが排除しないといけないかという、非常に基本的な問題が常に御省とお話しておりましたら残るわけでございます。
 これ以上議論をいたしましても、なかなか尽きないと思いますが、まだ全部につきまして、どこまでお考えが我々と近付くことができるかということを更に協議させていただきたいと。私どももこの12の項目につきましては、日本の規制改革の中核的な問題であると同時に、構造改革の大きな引き金になる問題だという認識をしております。その中で厚生労働省の御担当になっている部分が極めてかぎになっていると、この部分が動けば日本は相当社会も変わる、経済も変わるという認識まで持っております。
 そういう意味で、できるだけ議論を最後のところまで尽くさせていただきたいと思いますので、よろしく御対応をお願い申し上げたいと思います。
 今日は大変大きなテーマを極めて短いやり取りで終わってしまったわけでございますけれども、お考えの前提につきましては十分お聞かせいただけたのではないかというふうに思います。大変時間が延びてしまいましたけれども、以上をもちまして、厚生労働省とのお話し合いを終わらせていただきたいと思います。大塚審議官、また戸苅局長、長時間大変ありがとうございました。

 (厚生労働省関係者退室)


内閣府 総合規制改革会議