高齢社会対策関係予算
高齢社会対策は,就業・所得,健康・福祉,学習・社会参加,生活環境,調査研究等の推進の各分野にわたり着実に実施する。
一般会計予算における平成12年度の高齢社会対策の関係予算は,10兆5,699億円であり,各分野別では,就業・所得5兆3,386億円,健康・福祉5兆876億円,学習・社会参加519億円,生活環境393億円,調査研究等の推進525億円となっている。
「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」(内閣総理大臣決定)の一環として,平成12年度から,今後の新規・成長分野や高齢化が急速に進行する産業分野について,高齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる職場の創造に関する調査研究プロジェクトを実施する。
平成12年度からは,定年,解雇等により離職する中高年齢者のために,事業主が離職前から再就職援助の措置を講じることについて,公共職業安定機関や高年齢者雇用安定センターにおいて相談等の支援を行うほか,事業主等が一定の再就職援助措置を講じた場合に助成を行う在職者求職活動支援助成金(仮称)を創設する。
男女共同参画基本法に基づき,男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画を策定する。
テレワーク,SOHOの普及・促進を図るため,税制上の特例措置を行うとともに,平成12年度から,テレワーク・SOHOの施設整備に対し,日本政策投資銀行による融資を実施する。
老後における所得確保を図るため,確定給付型の企業年金等に加え,新たな選択肢として,自己責任を原則とする確定拠出年金を導入する。
また,高齢者の財産管理の支援等に資する痴呆性老人等の権利擁護のための新たな成年後見制度を平成12年4月から導入する。
生涯にわたる健康づくりを推進するため,国民の健康寿命の延長及び生活の質の向上等を目指す「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)を推進する。
壮年期からの健康づくりを支援するため,老人保健法に基づく保健事業について策定した「保健事業第4次計画」を推進することとし,平成12年度からは,新たに健康評価事業(ヘルスアセスメント)及び個別健康教育を実施する。
高齢者の保健・医療・福祉サービスについては,ゴールドプラン21に基づき総合的に推進する。
ゴールドプラン21に基づき推進する元気高齢者づくり対策(ヤング・オールド作戦)を推進するほか,地域福祉権利擁護事業により,痴呆性高齢者等の自己決定能力が低下している者に対して,社会福祉士等の生活支援員を派遣し,福祉サービス等の利用援助や日常的金銭管理サービス等の支援を行う。
要介護状態にある者等がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むために必要な保健医療サービス及び福祉サービスを総合的に提供するため,国民の共同連帯の理念に基づく介護保険制度を平成12年4月から実施する。
「少子化対策推進基本方針」(少子化対策推進関係閣僚会議決定)及び「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意)に基づき,子育て支援施策を総合的・計画的に推進する。
平成12年6月からは,児童手当の支給対象年齢を現行の3歳未満から義務教育就学前に拡大する。
平成12年度から,専修学校において高度職業人を育成するため,産学連携による教育の高度化や企業家育成事業,中高年を対象とした就職支援講座等を行う総合プロジェクトを推進する。
社会教育施設や教育委員会が開設する各種の学級・講座を始め,地域住民の多様な社会教育活動を総合的に推進するため,市町村が実施する地域社会教育活動総合事業に対し補助を行う。
平成12年度から,人々の学習の成果をまちづくり等に生かしていくため,民間非営利団体(NPO)等と連携してまちづくり支援事業を行い,地域社会の活性化を図る。
ボランティア活動入門講座の開催,情報誌の発行,登録・あっせん・相談等を行う市区町村ボランティアセンター活動事業,地域の特性に見合ったきめ細かな福祉サ−ビスが効率的,総合的に提供される体制をつくる地域福祉総合推進事業(ふれあいのまちづくり事業)に対し補助を行う。
高校生が保育や介護に関するボランティア活動などの体験活動に取り組み,子育ての意義や介護・福祉など少子高齢社会の課題に対する認識を深めることができるよう,平成12年度から,保育・介護体験の実践的活動を推進する。
平成12年度においては,住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき,住宅性能表示制度を創設する。
市町村の総合的な高齢者住宅施策の下,シルバーハウジング・プロジェクト事業を推進する。
また,平成12年度より,高齢者向け優良賃貸住宅についても生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による生活支援サービスの導入を図る。
平成12年度から,ノンステップバス等の導入,乗継等情報提供システム,共通乗車カードシステムの整備に対し補助を行うほか,鉄道の相互乗入れ,直通化などの乗継円滑化事業に対し補助を行うとともに,低床型路面電車の導入,鉄道駅におけるバリアフリー施設の整備に関する税制上の特例措置を講ずる。
平成12年度から,駅,商店街,福祉施設の周辺等において,歩行空間ネットワーク総合整備事業により,バリアフリーの歩行空間をネットワークとして整備する。
平成12年度においては,地域における高齢者対策の円滑な実施を内容とする地域農業マスタープランを策定するとともに,高齢者の能力発揮のための高齢者農業活動支援施設等の整備や高齢者の自立活動の促進を行う。
「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」(内閣総理大臣決定)の一環として,ヒトゲノム解析による5大疾患(痴呆,がん,糖尿病,高血圧,気管支喘息)の克服及び自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究を行う。
平成12年度からは,高齢者向け製品等の開発を促進するための高齢者特性データベースの蓄積の推進及び身体機能が低下した高齢者の日常生活を支援する機器システムの開発を行う。
平成12年度においては,「障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針」(平成10年郵政省告示第515号)の具体化として策定されるガイドラインの普及・定着に努めるとともに,ウェブアクセシビリティの確保(インターネット等へのアクセス支援等)に向けた研究を行う。
国立大学等においては,老化等の長寿関連の研究を行うほか,科学研究費補助金等により大学等の研究者に対し研究費等の補助を行う。