第1章 高齢社会対策の方向
今から13年後の平成27(2015)年、第一次ベビーブーム世代(昭和22(1947)〜24(1949)年生まれ)が高齢期を迎え、65歳以上人口は現在より1,100万人も多い3,300万人に達し、高齢化率(65歳以上人口の総人口に占める割合)も26.0%と国民の4人に1人を超えている。
我が国がいよいよ本格的な高齢社会に移行することを踏まえ、平成13年12月、新しい高齢社会対策大綱(以下「新大綱」という。)が閣議決定された。高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)によって作成が義務付けられている、政府の高齢社会対策の中長期的な基本指針である。8年7月に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから5年が経過し、経済社会情勢も変化したことから、さらに先の時代を見据えて大綱の見直しが行われ、新大綱が策定された。
新大綱では、高齢社会対策の推進に当たっての基本姿勢として、健康面でも経済面でも恵まれないという旧来の画一的な高齢者像を見直すことなどを明確にしている。
また、高齢社会対策の一層の推進を図るため、新たに、分野別の基本的施策の枠を越えて横断的に取り組む課題として、(1)多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援、(2)年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直し、(3)世代間の連帯強化、(4)地域社会への参画促進、の4つを設定している(表1−0−1)。
本章では、特に高齢者の多様性という側面に着目し、まず、第1節で高齢者の生活や意識の多様性の実態を明らかにした上で、第2節以降、このような高齢者の多様性に応じて、新大綱では施策をどのように推進し、その結果どのような社会の実現を目指しているのかをみていきたい。その際、(1)活動的な高齢者、(2)一人暮らし高齢者、(3)要介護等の高齢者という、二一ズの大きく異なる三つのタイプの高齢者に着目し、その視点から分野横断的に求められる施策を概観し、高齢社会の将来像を展望することとする。
表1−0−1 新大綱の「基本姿勢」と「横断的に取り組む課題」
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CSVデータ>
新しい高齢社会対策大綱(平成13年12月閣議決定)
−高齢社会対策の推進に当たっての基本姿勢を明確化
−分野別の基本的施策の枠を越え、横断的に取り組む課題を設定
●基本姿勢
(1)旧来の画一的な高齢者像の見直し
(2)予防・準備の重視
(3)地域社会の機能の活性化
(4)男女共同参画の視点
(5)医療・福祉、情報通信等に係る科学技術の活用
●横断的に取り組む課題
(1)多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援
(2)年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直し
(3)世代間の連帯強化
(4)地域社会への参画促進
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