イ 福祉用具等の研究開発
高齢者の自立や社会参加を支援するとともに介護者の負担の軽減を図るためには、高齢者の特性を踏まえた福祉機器や医療機器等の研究開発を行う必要がある。
福祉機器に関しては、使用者二一ズに対応する新しい技術の可能性(シーズ)に関する調査を行っている。
また、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成5年法律第38号)に基づく「福祉用具の研究開発及び普及を促進するための措置に関する基本的な方針」(平成5年厚生省、通商産業省告示第4号)に沿って、福祉用具の実用化開発を行う事業者に対する助成や研究開発を行うために必要な情報の収集・分析及び提供を実施している(表3−5−2)。
表3−5−2 主な研究開発助成福祉用具の事例
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CSVデータ>
■就労支援分野(就労、職業訓練など) |
・身体障害者用自動車運転旋回用グリップ |
障害のある人が片手で自動車の運転操作をしやすいようにスイッチ等を1か所に集中させたハンドルグリップ |
・発声発語訓練システムの普及版装置 |
5つのセンサーで発声状態(特徴)を検出し、発音の違いが一目でわかるよう視覚的に比較できる練習システム |
■自立支援分野(排泄、入浴、就寝・起床、移乗、移動など) |
・在宅高齢者向立位式排泄補助用移乗機器 |
要介護者の状態に合わせて座位から立位までの任意の姿勢で使用することができる床走行型介護リフト |
・環境制御装置 |
寝たままで身の回りの機器を操作できる呼吸気式スイッチ |
■介護支援分野(排泄、入浴、予防、移動、監視など) |
・ケア・チェア・システム |
人間工学に基づいた長時間座っても疲れないチェア |
・高齢者用ロ腔ケア装置 |
はみがき行為をある程度自動化したロ腔ケア簡便機具 |
・スロープ浴槽用の座高可変入浴車 |
シャワーチェアに座らせたまま浴槽へ入れて、抱えおろすことなく肩までお湯につからせることのできる介護入浴支援車 |
■生体機能代行(補助)分野(人工臓器、義手・義足など) |
・片麻痺者のための背屈補助機能つき短下肢装具 |
足間接部分の曲がりやすさを自由に調節できる装具 |
■その他 |
・赤外線補聴器システム |
赤外線システムによって聴取条件を向上させるシステム |
・発声・筆談の困難な人向けの意志伝達装置 |
身体のわずかな動作をセンサーで感知して身の回りの機器操作を可能とする装置 |
・車椅子用電動ユニット |
車椅子を電動化させる補助ユニット |
・点字読み取り装置 |
光センサーにより両面刻印された点字文書を高精度、高速に読む装置及び解析するシステム |
・高齢者・障害者用グラウンド・ゴルフ用具 |
高齢者等すべての競技者が全く同じルールでプレイできる「グラウンド・ゴルフ」の用具 |
資料:NEDQ(新エネルギー・産業技術総合開発機構)及び(財)テクノエイド協会資料より作成
医療機器に関しては、老化等により失われた身体の機能を代替・補完する人工臓器、高齢者でも軽い負担で治療が受けられる医療機器、患者のQOL(生活の質)を高める在宅医療機器等の研究開発を促進している。
医療福祉機器技術に関しては、最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れた機器の研究開発を産学官の連携の下に取り組んでいる。平成13年度においては、現場二一ズに的確に対応した研究開発を効率的・効果的に進めるため、戦略的かつ長期的な観点から目本人の二大死因であるがん・心疾患等の早期発見や適切な治療を推進するための「がん・心疾患等対応高度医療機器プログラム」、視覚機能の回復を果たす「人工視覚システムの研究開発」を新たに実施するとともに、12年度からの継続14の研究開発プロジェクトを推進した。