第2章 高齢社会対策の実施の状況 

5 調査研究等の推進

○ 痴呆、悪性新生物(がん)等の高齢期にかかりやすい疾患については、メディカル・フロンティア戦略の一環として研究を推進すると共に、長寿科学総合研究事業等において調査研究が行われており、平成14年度までに、免疫不全症の治療法開発の進展、アルツハイマー病の早期確定診断法の開発、骨粗しょう症治療のガイドラインの作成等に関する研究が推進されている。また、長寿医療の専門家で研究班を組織し、老年病の成因、診断、治療、予防等に関する基礎的、臨床的研究を推進している。
○ がんについては、平成6年度から「がん克服新10か年戦略」を推進し、がんの本態解明の研究の充実、がん克服を主眼とした臨床や予防研究の重点的な推進を図っている。13年度からは、15年度以降のがん研究の中長期的な方策について検討を進めている。
○ がん及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、痴呆及び骨折について、ゲノム科学やタンパク質科学など先端科学を用いた治療技術・新薬の研究や、自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究等を行っている。
○ 平成14年度から、我が国の研究開発能力を結集して3,000種以上のタンパク質の基本構造・機能の解析を行い、ゲノム創薬の実現等を目指すプロジェクトや、大学等の研究機関における基礎的な研究成果を適切に社会に還元するための橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)等の推進に着手すると共に、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現化を目指した研究開発、細胞・生体機能を生命情報技術・先端イメージング技術によってシミュレーションするプログラムの開発、光技術を融合した生体機能診断及び検診技術の開発のための基盤的設備の整備等を行った。
○ 医療福祉機器技術に関しては、最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れた機器の研究開発を産学官の連携の下に取り組んでいる。平成14年度においては、現場ニーズに的確に対応した研究開発を効率的・効果的に進めるため、戦略的かつ長期的な観点から日本人の二大死因である心疾患・脳疾患の治療に有効な再生医療を支援するための「細胞組織工学利用医療支援システムの研究開発」等を新たに実施すると共に、13年度からの継続34の研究開発プロジェクトを推進している。

 

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