第2章 高齢社会対策の実施の状況 

第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・所得

○ 少なくとも、65歳までの雇用の場を確保する企業の割合は、平成15年1月現在で71.8%と高い割合を示しているが、希望者全員を対象として65歳までの雇用を確保する企業の割合は28.8%にとどまっている(図2−3−1)。

図2−3−1 65歳までの雇用を確保する企業割合

図2−3−1 65歳までの雇用を確保する企業割合

○ 定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用の確保、中高年齢者の再就職の促進等を内容とする高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
○ 平成15年度からは、行政・経済団体・労働団体など関係機関の連携の下、各都道府県下の主要な事業主団体の傘下企業を対象として集団指導・助言を行う「65歳継続雇用達成事業」を実施している。
○ 中高年齢者をめぐる雇用情勢は、高い失業率や低い求人倍率にみられるように依然として厳しく、平成15年度からは、世帯主など特に再就職の緊急性が高い中高年齢者について、試行雇用を通じて常用雇用への移行を図ることを目的とした中高年齢者試行雇用事業や、中高年長期失業者に対して、民間のノウハウを活用した就職支援セミナー、カウンセリングの実施、求職者同士の経験交流等による再就職支援を実施している。
○ 社会に参加、貢献したいと希望する高齢者に対しては、平成15年度からは、新たにシルバー人材センターの会員による乳幼児の世話や保育施設への送迎などの育児支援等を行う子育て支援事業を実施している(15年3月末現在、シルバー人材センターの団体数は1,790団体、会員数は約73万人)。
○ 平成15年1月には、公共職業安定所で受理した求人のうち、年齢不問求人の割合を17年度に30%とする目標を設定し、この目標の達成のため、総合的かつ計画的な取組を実施した。
○ 平成15年度は、13年5月に策定された「第7次職業能力開発基本計画」(計画期間:13〜17年度)を踏まえ、雇用・能力開発機構都道府県センターにおけるキャリア形成支援コーナーの運営、キャリア・コンサルティングを担う人材の養成、個々の労働者のキャリア形成を支援する事業主に対して、キャリア形成促進助成金の支給等を行った。
○ 労働者が生涯を通じて充実した職業生活を送るためには、家庭生活との両立を図ることのできる環境を整備することが重要である。
  育児休業制度等をより利用しやすい仕組みとするため、育児休業・介護休業の対象労働者の拡大、育児休業期間の延長や介護休業の取得回数制限の緩和等を内容とする育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出した。
○ 平成15年度においては、厳しい雇用失業情勢、働き方の多様化等に対応するため、労働者派遣事業が労働力需給の迅速、円滑かつ的確な結合を図ることができるよう、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)を改正した。
○ 公的年金制度の基本的な考え方や重要性について、年金週間(11月6〜12日)等において、その広報、普及を図るとともに、特に、国民年金については、平成15年度から十分な所得が有りながら度重なる納付督励によっても理解が得られない未納者に対しては強制徴収を実施することなど徹底した保険料収納対策を講じている。
○ 少子高齢化の急速な進行が予測される中で、将来にわたって持続可能な安心できる公的年金制度を確立するための制度改革が急務の課題となっている。このため、1)保険料水準の上昇を抑え、その水準を18.3%に固定するとともに、この範囲内で年金を支える力に対応して、給付水準を調整する仕組みを導入すること、2)将来的にも、給付水準は、現役世代の平均的収入の50%を上回る水準を確保すること、3)前回の制度改正で課題として残されていた基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げへの道筋を明確に示すこと(平成16年度着手、21年度までに完全引上げ)に加え、在職老齢年金制度の改善、次世代育成支援の拡充、離婚時の厚生年金の分割などを内容とした国民年金法等の一部を改正する法律案を、第159回国会に提出した。
○ 年金額等については、物価の変動に応じて自動的に額を改定することとなっているが、物価が下落した平成12年度からの3年間は特例措置に基づいて据え置かれ、15年度においては、本来であれば過去3年分と合わせてマイナス2.6%の改定を行うところを、14年分の消費者物価の下落分(マイナス0.9%)のみの改定を行った。
  平成16年度においても、15年度の物価スライドと同様、特例として15年の消費者物価の下落分(マイナス0.3%)のみの年金額等の改定を行うこととし、この特例措置の実施のため、平成16年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案を第159回国会に提出した。
○ 「公的年金制度の一元化の推進について」(平成13年3月閣議決定)に沿って、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合における財政単位の一元化を図るため、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を第159回国会に提出するとともに、私立学校教職員共済組合における保険料率引上げの前倒しなどの検討を進めた。
○ 企業年金制度については、公的年金制度改革に併せて検討を行い、1)厚生年金基金の免除保険料率の凍結解除、2)確定拠出年金の拠出限度額の引上げを行うとともに、中途引出しの要件緩和、3)確定給付型の企業年金制度の通算措置の拡充など、企業年金制度の安定化と充実を図るための見直しを行うこととし、これらの内容を国民年金法等の一部を改正する法律案に盛り込んだ。
○ 平成14年に都道府県社会福祉協議会において、所有する住居に将来にわたり住み続けることを希望する低所得の高齢者世帯に対し、当該不動産を担保として生活資金の貸付けを行う長期生活支援資金貸付制度を創設したところであり、16年1月1日現在、35の都道府県において貸付業務が開始され、93件の貸付決定がなされている。
○ 高齢者の財産管理の支援等に資する痴呆性高齢者等の権利擁護のための成年後見制度について周知を図っている。

 

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