第2章 高齢社会対策の実施の状況 

5 調査研究等の推進

○ 痴呆、がん等の高齢期にかかりやすい疾患については、長寿科学総合研究事業等においてこれまで調査研究が行われており、免疫不全症の治療法開発の進展、アルツハイマー病の早期確定診断法の開発、骨粗しょう症治療のガイドラインの作成等に関する研究が行われている。また、長寿医療の専門家で研究班を組織し、老年病の成因、診断、治療、予防等に関する基礎的、臨床的研究を推進している。
○ がん対策については、「がん克服新10か年戦略(平成6年度〜15年度)」に基づき、がんの本態解明の研究の充実、がん克服を主眼とした臨床や予防研究の重点的な推進を図っている。なお、今後のがん対策については、平成15年7月に、16年度からの新たな10か年の戦略として、「第3次対がん10か年総合戦略」を策定し、がんの“り”患率と死亡率の激減を目指して総合的対策の推進に引き続き取り組んでいくこととした。
○ がん及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、痴呆及び骨折については、ゲノム科学やタンパク質科学など先端科学を用いた治療技術・新薬の研究のほか、自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究等を行っている。
  また、アルツハイマー病などの神経変性疾患や生活習慣病の克服に資する、関連遺伝子の探索や機能解明研究などを推進した。
○ 平成15年度から、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現化を目指した研究開発、細胞・生体機能を生命情報技術・先端イメージング技術によってシミュレーションするプログラムの開発、光技術を融合した生体機能診断及び検診技術の開発に着手するとともに、引き続きタンパク質の構造・機能解析や基礎的な研究成果を適切に社会に還元するための橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)等の推進を図った。
○ 医療福祉機器技術に関しては、最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れた機器の研究開発を産学官の連携の下に取り組んでいる。
○ 幅広い分野にわたる高齢社会に対応する研究開発を効果的に行うため、必要な推進体制等を整備する必要がある。
  このため、長寿科学研究を推進し、高齢者に特有な疾病(痴呆、骨粗しょう症等)に関する高度先駆的医療の実施・研究体制を充実するため、これまで、国立療養所中部病院及び長寿医療研究センターの機能の充実・強化を図ってきたところであるが、平成16年3月には、我が国で6番目の国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)として「国立長寿医療センター」を開設した。
  また、がん対策については、平成15年10月に、先端的検診方法の研究開発、標準的ながん検診方法の確立を図るため、国立がんセンターに「がん予防・検診研究センター」を開設した。

 

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