第2章 高齢社会対策の実施の状況 |
コラム 3
高齢者雇用への取組 兵庫県加美町で、OA・精密機器用特殊材料などの開発・製造をしている(株)アイ・エス・ティ・加美では、定年退職者や元自営業者、主婦など、様々な経歴を持つ高齢者が、若手や熟練の作業員に混じって、生き生きと働く姿が見られる。 「仕事による社会貢献と余暇の充実を通じて、生きがいのある第二の人生を歩んで欲しい」と、同社では平成12年に「GSL」(Greatly Satisfying Life:素晴らしい人生)と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、60〜65歳の地域の高齢者を、週5日、1日4時間、午前・午後の交代制で雇用している。 いわゆるワークシェアリングのかたちを採ったのは、作業による心身への負担に配慮するとともに、趣味や娯楽などの時間にも、ゆとりを持ってもらうねらいだ。 就業前後の空いた時間には、仕事仲間との交流を楽しんでもらおうと、工場近くの民家を借り上げ、余暇施設として開放する取組も行っている(GSL会館)。 会館の利用者に話を聞いてみると、「60歳を過ぎても、決まった時間に気軽に働けることがとても嬉しいです。この会館では、皆で食卓を囲んだり、手芸や囲碁などをして、自宅や友人の家にいるような感じでくつろいでいます。」と、満足気な様子だ。 もともと同社では、熟練工に依存しない生産体制の確立を目指し、「誰にでも、簡単に、正確にできる」をテーマに作業の簡素化や省力化に努めてきたが、こうした取組が、作業経験のない高齢者でも積極的に雇用していける下地となっている。 現在、GSLによる雇用者数は30名(全従業員数150名)であるが、今後も、高齢者にも安心して働ける作業を増やし、すべての生産作業がだれにでもできるようにすることを工場の目標とし、GSLを伸ばしていきたいとしている。 (平成15年度高年齢者雇用開発コンテスト厚生労働大臣賞最優秀賞受賞) |
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