第1章 高齢化の状況 

第2節  高齢者の状況

1  高齢者と家族

○ 65歳以上の者のいる世帯数は、平成15(2003)年現在1,727万世帯であり、全世帯(4,580万世帯)の37.7%を占めている。内訳は、「単独世帯」が341万世帯(19.7%)、「夫婦のみの世帯」が485万世帯(28.1%)、「親と未婚の子のみの世帯」が273万世帯(15.8%)、「三世代世帯」が417万世帯(24.1%)となっている(図1−2−1)。

図1−2−1 世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合の推移

図1−2−1 世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合の推移

○ 65歳以上の高齢者人口に占める一人暮らし高齢者の割合は、昭和55(1980)年には男性4.3%、女性11.2%であったが、平成12(2000)年には男性8.0%、女性17.9%と顕著に増加している。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性の一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている(図1−2−3)。

図1−2−3 一人暮らしの高齢者の動向

図1−2−3 一人暮らしの高齢者の動向

2  高齢者の経済状況

○ 高齢者の生活意識をみると、全世帯における割合と比べ、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)では、現在の暮らしについて「普通」とする世帯の割合が高く、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせたもの)とする世帯の割合は低くなっている(図1−2−11)。

図1−2−11 高齢者世帯における生活意識

図1−2−11 高齢者世帯における生活意識

○ 高齢者世帯の年間所得(平成14年の平均所得)は304.6万円となっており、全世帯平均(589.3万円)の半分程度であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、196.1万円となり、全世帯平均(204.7万円)との間に大きな差はみられなくなる(表1−2−13)。

表1−2−13 高齢者世帯の所得

表1−2−13 高齢者世帯の所得

○ 高齢者の個人所得の平均は、65歳以上男性は303.6万円、女性は112.4万円と、女性は男性の3分の1強に過ぎず、所得のない者の割合も65歳以上の男性4.4%に対し女性16.5%と、女性が大きく上回っている(図1−2−15)。

図1−2−15 高齢者の所得水準(平成12(2000)年、所得の種類別)

図1−2−15 高齢者の所得水準(平成12(2000)年、所得の種類別)

○ 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の状況についてみると、平成15(2003)年において、平均貯蓄現在高は2,423万円と全世帯(1,690万円)の約1.4倍となっており、4,000万円以上の貯蓄を有する世帯が全体の約2割(17.0%)を占めている(図1−2−20)。

図1−2−20 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の分布

図1−2−20 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の分布

3  高齢者の就業

○ 高齢者の就業状況は、男性の場合、就業者の割合は、55〜59歳で89.9%、60〜64歳で66.5%、65〜69歳で51.6%となっている。また、60〜64歳の不就業者(33.5%)のうち5割以上の者が、65〜69歳の不就業者(48.4%)のうち4割近くの者が、就業を希望している。
○ 女性の就業者の割合は、60〜64歳で41.5%、65〜69歳で28.7%となっている。不就業者でも、60〜64歳の不就業者(58.5%)の3割以上の者が、65〜69歳の不就業者(71.3%)の2割以上の者が就業を希望している(図1−2−25)。

図1−2−25 高年齢者の就業・不就業状況

図1−2−25 高年齢者の就業・不就業状況

4  高齢者と健康・福祉

○ 高齢者の健康状態についてみると、平成13(2001)年における65歳以上の高齢者(入院者を除く。)の有訴者率(人口1,000人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は502.7である。日常生活に影響のある65歳以上の高齢者(健康上の問題で、日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者。入院者を除く。)の割合は、高齢者人口1,000人当たりで235.0となっている(図1−2−28)。

図1−2−28 65歳以上の高齢者の有訴者率及び日常生活に影響のある者の率

図1−2−28 65歳以上の高齢者の有訴者率及び日常生活に影響のある者の率

○ 介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者のうち、65歳以上の者の数についてみると、平成15年度末で370.4万人となっている(表1−2−36)。

表1−2−36 要介護等高齢者の状況(要介護等認定者数)

表1−2−36 要介護等高齢者の状況(要介護等認定者数)

  また、介護保険制度のサービスを受給した65歳以上の被保険者は302.5万人(平成16年4月審査分)となっている(表1−2−37)。

表1−2−37 介護保険サービスの利用状況(介護サービス受給者数)

表1−2−37 介護保険サービスの利用状況(介護サービス受給者数)

5  高齢者の社会参加活動

○ 高齢者のグループ活動への参加状況についてみると、54.8%が何らかのグループ活動に参加している。具体的な活動では、「健康・スポーツ」25.3%、「趣味」24.8%、「地域行事」19.6%、「生活環境改善」9.1%の順となっている(図1−2−50)。

図1−2−50 高齢者のグループ活動への参加状況(複数回答)

図1−2−50 高齢者のグループ活動への参加状況(複数回答)

6  高齢者の住生活

○ 高齢者の住宅の所有関係についてみると、65歳以上の高齢者のいる主世帯では、持ち家が84.0%、公営・公団・公社の借家が6.2%、民営借家が9.5%となっており、主世帯総数に比べ、持ち家率が高く、借家率が低い。また、高齢単身主世帯では、高齢夫婦主世帯に比べ、持ち家率が低く、借家率が高くなっている(図1−2−56)。

図1−2−56 高齢者の住宅の所有関係

図1−2−56 高齢者の住宅の所有関係

7  高齢者の生活環境

○ 高齢者の外出状況についてみると、「自分から積極的に外出する方である」が60.2%を占め、「家族や他人から誘われたり、仲間がいれば外出する方である」が21.8%となっている。
  年齢階級別にみると、75歳以上の後期高齢者は、65〜74歳の前期高齢者と比べ「自分から積極的に外出する方である」の割合が50.8%と低く、「外出することはほとんどない」は13.2%で高くなっている(図1−2−62)。

図1−2−62 高齢者の外出状況

図1−2−62 高齢者の外出状況

8  高齢者と安全

○ 平成16(2004)年において、65歳以上の高齢者の交通事故死者数は3,046人、交通事故死者全体の41.4%を占めている。交通事故死者数は、平成4年までは16〜24歳の若者が多かったが、5年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている(図1−2−66)。

図1−2−66 年齢層別交通事故死者数の推移

図1−2−66 年齢層別交通事故死者数の推移

○ 高齢者と犯罪、災害に関し、65歳以上の高齢者の犯罪による被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、平成15(2003)年は22万3,720件で、全被害認知件数の9.3%を占めている。また、「振り込め詐欺」事件のうちいわゆる「オレオレ詐欺」事件の平成16年中の認知件数は14,459件で、65歳以上の被害者が26.5%となっている。

 

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