イ 犯罪、人権侵害、悪質商法等からの保護
高齢者を犯罪や事故から保護するため、交番、駐在所の警察官を中心に、巡回連絡等を通じて高齢者宅を訪問し、困りごとや要望、意見等を把握するとともに、必要に応じて関係機関や親族への連絡を行うほか、認知症等によってはいかいする高齢者を発見、保護する体制づくりを地方公共団体と協力して推進している。
また、市町村が、認知症高齢者がはいかいした場合に早期に発見できる仕組みを活用して、介護に携わる家族に対する支援サービスを実施する場合等に補助を行っている。
また、「振り込め詐欺」(いわゆる「オレオレ詐欺」等)については、平成16年12月に改正された「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(平成14年法律第32号)を活用するなどして、取締りを強化するとともに、被害実態に応じたきめ細やかな広報や金融機関等との連携に努めている。
さらに、高齢者を対象とする悪質商法等の取締りを推進するとともに、悪質商法等からの被害防止に関する広報・啓発、防犯教室の開催及び悪質商法等に関する相談活動を行っている。
そのほか、全国で高齢化が進んでいる90地区を「平成16年度長寿社会対策パイロット地区」に指定し、これらの活動を強化した。
高齢者を虐待等の人権侵害から保護するため、人権尊重思想の普及・啓発及び人権相談体制の充実を図るほか、家庭や施設における高齢者に対する虐待、家族や訪問販売業者等による高齢者の財産権の侵害等、高齢者を被害者とする人権侵害について、人権相談及び人権侵犯事件の調査・処理を通じ、その予防及び被害の救済に努めている。
また、平成16年3月に実施した「家庭内における高齢者虐待に関する調査」の結果を踏まえ、高齢者虐待への対応を含む総合的な相談窓口機能を担う「地域包括支援センター」の創設等を内容とする介護保険法改正法案を17年2月に第162回国会へ提出した(
図2−3−16)。