平成14年度沖縄振興の重点施策案
平成13年8月
内閣府
新たな時代の沖縄の振興に向けて、関係各方面の協力を得つつ、今年度内の沖縄振興新法実現に取り組む。平成14年度においては、新法の下で新たな沖縄振興計画を策定するとともに、新振計の初年度として、次のとおり施策の具体化を図ることとする。
また、沖縄の本土復帰30周年という記念すべき年に当り、21世紀の沖縄の新たな発展の出発点としての位置づけのなかで、沖縄復帰30周年記念行事を行うべく準備する。
1. 産業振興による自立型経済の構築
沖縄の優位性や地域特性を活かした産業振興による自立型経済の構築に向けた取組を支援する。(1) 観光リゾート
沖縄の豊かな自然、歴史、文化等を活かして、エコツーリズムや世界遺産の周辺整備、健康保養型観光の推進、新たな食材・メニューの開発等、多様なニーズに対応した観光リゾート地の形成を目指し新たな施策を展開する。また、美ら島沖縄創造事業をはじめとして美しい沖縄の景観形成に配慮した基盤整備に努めるとともに、新たな観光の拠点として世界的規模の新水族館の完成を図る。さらに、沖縄観光におけるショッピングの魅力向上等による観光リゾート地としての一層の飛躍を目指して、所要の税制上の措置を講じる。
- 【予算(百万円)】
- エコツーリズム推進事業
- 20
- 世界遺産周辺整備事業
- 500
- 健康保養型観光推進事業
- 30
- 健康保養食材・メニュー開発促進事業
- 10
- 沖縄体験滞在交流促進事業
- 433
- 沖縄の歴史的集落景観(マーウィー等)整備に関する調査
- 18
- デジタルアーカイブ(仮称)整備事業
- 2,483
- 沖縄自動車道利用促進事業
- 2,000
- 【税制】
- 観光振興地域制度の拡充
- 航空機燃料税軽減措置の延長
- 沖縄型特定免税店制度の拡充
- 【法律】(税制関連を除く。以下同じ)
- 観光振興のための計画策定
- エコツーリズムの推進その他観光振興のための措置
(2) 情報通信
沖縄の新たなリーディング産業として期待される情報通信産業の一層の発展のため、インキュベート施設等の整備を推進するとともに、産業集積の牽引力となる情報中枢機能の集積を促進するための新たな制度を創設する。また、最新デジタル技術を駆使した情報システムによるデジタルアーカイブの整備や学校教育における情報通信ネットワーク環境の整備など、観光、教育、行政等様々な分野におけるITの活用を積極的に推進する。
- 【予算(百万円)】
- IT産業振興施設整備事業
- 1,400
- デジタルアーカイブ(仮称)整備事業(1(1)再掲)
- 2,483
- 学校教育における情報化促進への対応
- 543
- テレカンファレンスシステムの整備
- 12
- 道路における民間事業者も利用可能な光ファイバー
- 2,703
- 収容空間の整備
- 【税制】
- 情報通信産業振興地域制度の拡充
- 特定情報中枢機能振興地区(仮称)制度の創設
- 【法律】
- 情報通信産業振興のための計画策定
(3) 農林水産業
亜熱帯特性を活かした特色のある農林水産業を振興するため、新たな計画を策定し、生産基盤の整備等を推進するとともに、島しょ県沖縄に適合した農水産物の効率的な流通システムの整備を推進する。また、自然環境との調和に配慮するとともに、新たな食材・メニュー開発等、観光リゾート産業と連携した施策を推進する。- 【予算(百万円)】
- 農業農村整備事業
- 34,160
- 森林水産基盤整備事業
- 12,171
- 沖縄農業振興費(特殊病害虫対策、糖業振興)
- 3,077
- 島しょ県沖縄における地域農産物流通効率化事業
- 30
- 沖縄における赤土等の発生源対策推進事業
- 295
- 都市排水循環利用検討調査
- 50
- 健康保養食材・メニュー開発促進事業(1(1)再掲)
- 10
- 【法律】
- 農林漁業の振興のための計画策定
(4) 製造業等
産業の総合的な振興を図るため新たな制度を創設するとともに、産業振興に向けた研究開発の促進のため、新たに沖縄産学官共同研究の推進を図ることとする。さらに、特別自由貿易地域等の活性化を図るための措置を拡充する。また、海洋深層水の利用については、基本構想の策定に向けて取組を進める。沖縄の復帰に伴う特別措置については、酒税の軽減措置等の所要の特別措置の継続を図る。
- 【予算(百万円)】
- 沖縄産学官共同研究の推進
- 300
- 特別自由貿易地域戦略的推進方策調査経費
- 32
- 海洋深層水利用基本構想策定経費
- 71
- 物流効率化システム構築実証調査事業(仮称)
- 15
- 【税制】
- 産業総合振興地域(仮称)制度の創設及び工業等開発地区制度の見直し
- 自由貿易地域制度・特別自由貿易地域制度の拡充
- エネルギー安定供給維持のための支援制度の拡充
- 沖縄の復帰に伴う特別措置法に係る税制の所要の特別措置の継続
(5) 金融業等
金融業等の集積を促進するため新たな制度を創設するとともに、金融 関連業務誘致のための基盤整備や人材育成のための調査等を行う。- 【予算(百万円)】
- 沖縄における金融関連業務誘致の基盤整備に係る調査経費
- 26
- 沖縄における金融に係る人材育成モデル事業
- 49
- 【税制】
- 金融業等集積促進地区(仮称)制度の創設
(6) 中小企業
沖縄の地域資源の活用等により優位性を発揮しうる産業など沖縄にとって重要な産業分野における中小企業の発展的な事業活動を支援するための制度を創設する。また、新事業の創出・育成を支援するために沖縄振興開発金融公庫の金融機能の拡充を図る。
- 【予算(百万円)】
- 沖縄振興開発金融公庫に対する補給金に必要な経費
- 5,042
- 沖縄振興開発金融公庫出資に必要な経費
- 900
- (新事業育成等のための出資金)
- 【税制】
- 沖縄型重要産業に係る中小企業の発展支援制度の創設
2.アジア・太平洋地域における交流拠点の形成
交流拠点を支える基盤整備の観点から、拠点空港である那覇空港の整備をはじめ、那覇港、中城湾港新港地区等の整備を進める。また、亜熱帯の特性を活かした科学技術研究を推進するとともに、九州・沖縄サミットの成果を踏まえ、国際会議の沖縄開催を積極的に推進する。大学院大学構想については、本年度検討会を立ち上げ検討を進めるとともに、14年度予算に調査費を計上し、世界最高水準の自然科学系の大学院大学の実現に向けて取組を進める。
- 【予算(百万円)】
- 港湾空港整備事業
- 38,632
- 亜熱帯特性研究推進事業
- 143
- 新大学院大学の調査経費
- 100
- 【法律】
- 国際協力及び国際交流の推進のための措置
3.人材の育成
人づくりの基盤となる初等中等教育機関の整備と学校教育の情報化を推進するとともに、情報化の進展等に対応した専門的な人材の育成を図るため「沖縄工業高等専門学校」(仮称)の整備に着手する。また、職業の安定及び人材の育成のため、労働者の雇用の促進、職業能力開発の促進等の計画的な推進を図る。- 【予算(百万円)】
- 公立学校整備事業
- 11,279
- 学校教育における情報化促進への対応(1(2)再掲)
- 543
- ・校内LAN整備
- ・専門高校への最先端設備整備
- 学校における氷蓄熱利用による空調施設整備
- 295
- 高等専門学校の整備
- 3,000
- 新大学院大学の調査経費(2再掲)
- 100
- 沖縄における金融に係る人材育成モデル事業(1(5)再掲)
- 49
- 【法律】
- 職業の安定及び人材の育成のための計画の策定
4. 潤いのある平和な美しい沖縄づくり
沖縄の貴重な環境の保全を図る観点から、修景緑化等の緑の再生、赤土等の流出防止、環境に配慮した公共事業の実施等に努める。また、循環型経済社会の構築に向けて、廃棄物処理施設等の整備を推進するほか、「ゼロエミッションアイランド沖縄」構想の具体化に向けて取組を進めるとともに、環境調和型エネルギーの活用促進のための支援制度の創設を図る。国立組踊劇場については、平成15年度の開場に向けて引き続き整備を進める。さらに、沖縄の特殊事情に伴う特別対策として、対馬丸事件を後世に伝え、遭難学童への追悼と平和を祈念する事業を開始するとともに、新たに市町村が行う不発弾の探査、発掘を支援する。
- 【予算(百万円)】
- 修景緑化重点地域モデル事業
- 150
- 沖縄における赤土等の発生源対策推進事業(1(3)再掲)
- 295
- 廃棄物処理施設整備
- 5,755
- ゼロエミッション・アイランド沖縄実践モデル推進事業経費
- 26
- 国立組踊劇場(仮称)
- 4,677
- 対馬丸遭難学童遺族給付及び対馬丸平和祈念事業
- 117
- 沖縄戦に関する資料の収集整理事業
- 20
- 沖縄不発弾等対策事業(市町村補助を含む)
- 475
- 位置境界明確化事業
- 15
- 【税制】
- 環境調和型エネルギーの活用促進のための支援制度の創設
- 【法律】
- 沖縄の文化の振興のための措置
5. 社会資本整備の推進
本土からの遠隔性や島しょ性等の不利性を克服するとともに全国の中でも高い人口の伸びに伴う基盤整備のニーズ等に対応するため、道路、港湾、水資源開発、生活環境施設、保健医療施設等、生活・産業基盤としての社会資本の整備を戦略的・重点的に進め、沖縄が特色ある地域として自立的発展が可能となるよう基礎条件の整備を図る。また、社会資本の整備等に係る国の負担又は補助の割合の特例等を継続する。
- 【予算(百万円)】
- 治山治水事業
- 18,096
- 道路整備事業
- 108,406
- 港湾空港整備事業
- 38,632
- 住宅都市環境整備事業
- 18,635
- 下水道水道廃棄物等事業
- 44,610
- 都市公園事業
- 14,155
- 農業農村整備事業
- 34,160
- 森林水産基盤整備事業
- 12,171
- 沖縄教育振興事業費
- 12,117
- 沖縄文化施設整備費
- 4,677
- 沖縄保健衛生諸費
- 303
- 沖縄保健衛生施設整備費
- 1,228
- 沖縄特定開発事業推進調査費
- 72
- 沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費(詳細は別紙参照)
- 5,000
- 【法律】
- 沖縄振興計画(仮称)に基づく事業に係る国の負担・補助割合の特例等の継続
6. 均衡のとれた活力ある地域づくり
沖縄の持続的な発展に向けて、それぞれの地域が持つ課題に的確に対応し、均衡のとれた活力ある地域づくりを推進する。このため、新たな沖縄振興計画において圏域別計画を策定するとともに、均衡ある地域の発展に留意しつつ各般の施策の具体化を図る。また、地域の産業振興等を図るべく沖縄振興のための特別の予算措置を継続する。
さらに、離島の振興、活性化は沖縄の振興にとって重要な課題であり、港湾、空港等の整備をはじめ、生産基盤の整備、医療の確保、福祉の増進、教育の充実、生活用水の確保、下水道の整備等を進める。
- 【予算(百万円)】
- 沖縄特別振興対策調整費等(非公共)
- 5,000
- 沖縄特別振興対策特定開発事業費(公共)
- 5,000
- 離島における社会資本の整備
- 【税制】
- 旅館業に係る課税の特例等離島振興支援制度の継続
- 【法律】
- 沖縄振興計画(仮称)において圏域別計画を策定
7.米軍施設・区域に係る諸施策の展開
沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小について、「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」最終報告の着実な実施を図る。特に、「普天間飛行場の移設に関する政府方針」(平成11年12月閣議決定)に従い、沖縄県及び地元地方公共団体との間の各種協議会等を中心に、普天間飛行場の移設と、これに伴う移設先及び周辺地域の振興に取り組むとともに、沖縄県北部地域の振興、並びに駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等を図る。米軍基地所在市町村の活性化については、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業を引き続き鋭意実施する。
- 【予算(百万円)】
- 沖縄北部特別振興対策事業費(非公共)
- 5,000
- 沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費(公共)(5再掲)
- 5,000
- 駐留軍用地跡地利用対策関連経費
- 66
- 大規模駐留軍用地跡地利用推進費
- 200
- 沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業費
- 10,401
- 【法律】
- 駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置
- (注:予算については、内閣府計上分を記載した)