第35回沖縄振興開発審議会議事録

開会

企画課長

 本変お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまから「第35回沖縄振興開発審議会」を開会いたします。
 最初に、沖縄開発庁幹部の御紹介をさせていただきます。  最初に、稲垣沖縄開発庁長官でございます。
 次に、笠原沖縄開発政務次官でございます。
 次に、瀧川沖縄開発事務次官でございます。
 次に、嘉手川沖縄開発庁総務局長でございます。
 次に、牧沖縄開発庁振興局長でございます。
 本審議会の委員の名簿はお手元の資料2のとおりでございます。学識経験者等の委員につましては、このたび任期満了等に伴いまして、昨年9月30目及び10月25日、並びに本年3月24日に新たに内閣総理大臣の任命が行われました。この結果、仲里委員、嘉数委員、田場委員、中山委員、外間委員、宮平委員の各委員が退任をされまして、新しく新垣委員、友寄委員、新崎委員、伊集委員、伊波委員、崎間委員の方々が委員として任命されました。
 ここで、本日御出席をいただいております新委員の方々を御紹介させていただきます。
 まず、新垣委員でございます。
 次に、伊集委員でございます。
 次に、伊波委員でございます。
 次に、崎間委員でございます。
 なお、開係行政機関の職員である委員につきましては、お手元にお配りしてあります名簿のとおりでございますので、紹介は省略させていただきます。
 本日の議事でございますが、まず会長互選等審議会の構成について。
 次に、沖縄振興開発後期展望について。
 3番目に、平成9年度予算案についての報告。
 最後に、沖縄振興開発特別措置法の改正等についての報告がございます。
 なお、昨年3月の本審議会総会の申し合わせによりまして、本日の総会から議事録の公開を行うことといたしております。また、新年度早々に開設予定の沖縄聞発庁のインターネットホームページにも褐載することとしておりますので、念のため申し上げます。

会長互選等審議会の横成について

企画課長
 さて、議事1の会長互選等審議会の横成についてでございますが、沖縄振興開発特別措置法第53条第4項の規定によりまして、会長は委員の互選となっておりますが、会長選出までの間、前期に会長を務めていただきました川村委員に、恐縮ではございますが座長をお願いいたしたいと思います。それでは川村委員、よろしくお願いいたします。

川村座長
 それでは、大変僭越でございますが、会長が互選で決まるまでの間座長を務めさせていただきたいと存じます。
 ただいま御説明がありましたとおり、沖縄振興開発特別措置法の規定によりまして、会長の互選をしていただきたいと存じます。どなたか御意見がございましたらばどうぞお願いいたします。
知念委員
 前期も会長を務めていただき、これまで当審議会の運営に御尽力されてこられた座長の川村委員に引き続き会長に御就任いただくのがよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川村座長
 ほかに御意見ございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

川村会長
 それでは、ただいま御意見が出てまいりまして、他に御意見が更にないようでございましたら、そのような形でお引き受けをさせていただきたいと思います。 その際は従来に引き続きましてよろしくお願いをいたします。 ただいま皆様の御推挙を得まして、引き続き会長を務めさせていただくことになりました川村でございます。徴力でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 沖縄は本土に復帰をいたしましてから本年で25年という節目の年を迎えた訳でありますし、さらに平成4年の9月に策定されました第3次沖縄振興開発計画も後半に入る訳でございます。政府におかれましては、この間3次にわたり沖縄振興開発計画に基づいて各種の施策を展開され、本土との格差が次第に縮小するなどの沖縄の振興開発は着実に進展を見ているところでございます。
 しかしながら、沖縄は依然として多くの課題を抱えておる訳でございます。そうしたことから、特に昨今沖縄の間題は内閣を挙げてその解決に向けた取り組みがなされていることは皆様御承知のとおりと存じます。このような状況の中で、私は沖縄振興開発審議会としても内外の情勢変化を踏まえながら、3次振計期間後半の施策展開の方向性等について明確にしながら、この推進状況を見守り、適時適切な提言等を行っていく必要があろうと考えております。
 会長といたしましては、委員の皆様方の活発な御議論の下、審議が適切かつ円滑に進められるよう努力してまいる所存でございますので、今後沖縄のために本審議会が大いに寄与出来ますよう委員各位の御協力をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

企両課長
 沖縄振興開発審議会運営規則の第2条第1項によりまして、会長は会議の議長となり、議事を整理することとされておりますので、これからの議事の進行は川村会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

川村会長
 それでは、沖縄振興開発審議会令の第1条の規定によりますと、会長に事故ある場合、あらかじめ指定する委員がその職務を代理することとされておりますので、私から会長代理を指名させていただきたいと存じます。大変恐縮でございますが、引き続き亀谷委員にお願いをいたしたいと存じます。
 また、総合部会に属すべき委員につきましても、審議会令第3条第2項の規定により、会長が指名することとなっております。私から指名させていただきたいと存じます。
 誠に恐縮でございますが、亀谷委員、清成委員、金城委員、知念委員、新垣委員に引き続きお願いしたいと存じますのでよろしくお願いいたします。
 なお、金城委員は都合により本日は御欠席、清成委員は都合がつけば遅れて御出席なさるということでございますので、私から後ほど御連絡を申し上げることといたします。
 さらに、審議会令の第3条第3項の規定により、会長が指名することとなっております。 総合部会長には引き続き亀谷委員にお願いをいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次の議事に入ります前に、昨年11月の第2次橋本内閣発足に伴い、稲垣沖縄開発庁長官と笠原沖縄開発政務次官が御就任になられました。本日御出席いただいておりますので、ごあいさつを賜りたいと存じます。
稲垣沖縄開発庁長官
 ただいま御紹介をいただきました沖縄開発庁長官の稲垣でございます。本日は委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわりませず御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 また、川村会長始め委員の皆様には、沖縄振興開発につきまして平素から格段の御支援、御協力を賜っておりますことに心から御礼を申し上げます。
 沖縄開発庁におきましては、これまで3次にわたります振興開発計画に基づき、所要の予算の確保に努めるとともに、諸施策の推進を図り、沖縄の振興開発を積極的に進めてきたところでございます。
 しかしながら、沖縄には今なお広大な米軍施設及び区域が存在するとともに、生活・産業基盤の面で整備を要するものが見られます。さらには、一人当たりの県民所得の格差の問題、雇用の問題、産業振興の問題など、今なお多くの課題を抱えております。沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にございます。
 このため、昨年9月には「沖縄問題についての内閣総理大臣談話」が閣議決定され、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保され、沖縄県民の生活の向上に資するよう、また、我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるよう、政府として全力を傾注することとしているところであります。
 このような状況にかんがみ、平成9年度予算案におきましては、その中心になる沖縄振興開発事業費について前年度に対して1.8%増の3,109億円を計上するなど、第3次沖縄振興開発計画の後期初年度にふさわしいものとなるよう十分な配慮をしたところでございます。さらに沖縄の振興開発等を一層進めるために、沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議をいただいているところでございます。
 沖縄開発庁といたしましては、第3次沖縄振興開発計画に基づく諸施策を今後とも着実に推進するとともに、内閣総理大臣談話に基づき、空港、港湾等の社会資本や観光開連施設の整備等を更に積極的に進めるとともに、自由貿易地域の拡充等による産業や貿易の振興等について一層検討を進めるなど、内閣の最重要課題である沖縄問題の解決に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 特に、本年は第3次沖縄振興開発計画の後半を迎える重要な年であり、本日御審議いただきます「第3次沖縄振興開発計画後期展望」は、当面する沖縄の諸問題に取り組んでいく上で誠に重要なものであると考えております。私は就任後、沖縄を訪れまして、現地の各界の皆様の声も直接伺ってまいりました。そこで得たものを今後の諸課題の解決の糧としながら、今日まで沖縄の皆さんが耐えてこられました苦しみと負担の重さに思いをいたし、沖縄の皆さんの視点に立って精一杯努力してまいりたいと考えておるのでございます。
 最後になりましたが、委員の皆様方には、どうか本日の会議におきまして、率直かつ忌憚のない御意見をいただきますとともに、今後とも沖縄の発展のために一層の御理解と御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

笠原政務次官
 ただいま御紹介いただきました沖縄開発政務次官の笠原でございます。 第3次沖縄振興開発計画も後半に向けて諸施策を積極的に推進するという極めて重要な時期に当たり、稲垣沖縄開発庁長官の指導の下、沖縄振興開発のために全力を傾けてまいる所存でございます。
 委員の皆さんにおかれましては、沖縄の振興開発に引き続き御理解と御協力を賜ますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたしますが、私は拝命いたしまして既に4回現地に参りまして、私は不思議なことに空港を降りたり、港に着きますと、独特なその土地土地のにおいがありまして、沖縄は何回か訪れてまいりましたが、そのにおいの体感といいますか、そういうもので現地に参りまして、いろいろと私も得るところがありましたし、沖縄ならではというところもありました。
 そういうことで、稲垣大臣ともども私ども本当に今、大臣のお話のとおりでありまして、日本は戦後51年たちましたが、今、一番大きな転機に立っておる。そして復帰いたしまして25年でありますが、アジア・太平洋の要として沖縄というのは非常に大きな無限のそういうものを持っているのではないか。本土にない沖縄が持つ独特のものがあると思いますので、どうかこの審議会におかれましても、委員の皆さんの忌憚のない御意見をいただきながら、非常に今、重要な夕一ニング・ポイントというときに差し掛かっておりますので、私どもは微力ではありますけれども努力はいたしますが、どうか皆さんの御意見をいただいて、政府が誤りなき、同時にまたすばらしい沖縄になっていくということを願いながら、少しでありますが、ごあいさつに代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

川村会長
 どうもありがとうございました。長官は決意のほどをお述べになられましたし、政務次官はにおいに言及されまして、本当にありがとうございました。
 なお、ただいま清成委員、ちょうど御出席でございますので、先ほど総合部会の委員にお願いを申し上げるということでございますので、この際お願いを申し上げておきます。
 それでは、大臣、政務次官には所用がございますので、この辺で御退席になられるそうでございます。

(稲垣長官、笠原政務次官退席)

第3次沖縄振興開発計画後期展望について

川村会長
 それでは、お手元に配ってございます議題に従いまして、2の「第3次沖縄振興聞発計画後期展望について」という議事に入らせていただきたいと思います。本件につきましては、平成7年3月24日の当審議会におきまして、第3次沖縄振興開発計画期間の後半を迎えるに当たり、同計画の基本理念、目標の達成のために計画期間後半の施策展開の方向性等について明確にしておく必要があるため、同計画の後期展望について調査審議を行うことを決定いたしまして、これを総合部会に付託して長らく検討していただいておりました。先日総合部会が取りまとめを行われまして、本日当審議会に御報告していただくこととなっておる訳でございます。
 それでは恐縮でございますが、亀谷部会長から御報告をちょうだいしたいと存じます。

亀谷委員
 総合部会長を御指名いただきました亀谷でございます。大変恐縮ですが、座らせていただきまして御報告申し上げたいと思います。
 第3次沖縄振興開発計画後期展望の調査審議状況につきまして、御説明申し上げます。
 ただいま川村会長の御発言にもありましたとおり、総合部会におきましては、平成7年3月の当審議会の決定を受けまして、各界の有識者11名と総合部会から座長及び座長代埋といたしまして、知念委員及び清成委員にお入りをいただき、計13名から成ります専門委員会を設置いたしました。平成7年6月の第1回開催以来、合計15回の専門委員会を開催いたし、沖縄の経済社会の現状、第3次沖縄振興開発計画の基本的課題、計画の部門別の推進方針及び圏域別開発の方向につきまして調査審議を行いました。
 また、総合部会としても、後期展望の取りまとめの時期に入った本年1月20日には専門委員会との合同の会議を開催いたしまして、総合部会と専門委員会委員の皆さんで意見交換をさせていただいたところであります。
 更に2月25日の第34回総合部会におきまして、専門委員会としての調査審議の結果の御報告を受け、最終的な調査審議を行いました。同時に、事務局を通じまして審議会のメンバーであります関係省庁等と調整を行っていただきまして、私ども総合部会としての調整を終えたところであります。本日の審議会に取りまとめの最終報告をさせていただく運びとなったところであります。
 お手元の後期展望案では、目次をごらんいただきたいと思いますが、これまでの調査審議を踏まえまして、「第3次沖縄振興開発計画後期展望の性格と役割」「沖縄の経済社会の現状」「第3次沖縄振興開発計画前期における実績と評価」「社会経済情勢の変化と沖縄への影響」及び「第3次沖縄振興開発計画後半の施策展開の方向」という構成で取りまとめております。
 このうち、IIIの「第3次沖縄振興開発計画前期における実績と評価」では、3次振計にある6つの振興開発の基本方向に沿ってまとめております。総体としましては、着実にその成果が上がっておりますが、なお、それぞれ課題があるといたしております。
 IVの「社会経済情勢の変化と沖縄への影響」では、「地球時代一グローバリゼーションの進展一」「環境への認識の高まり」「高齢化時代」及び「高度情報化時代」の到来、「防災への関心の高まり」等の社会経済情勢の変化に適切に対応していくことは、今後の沖縄の振興開発を考える上で重要な課題であるといたしております。
 また、「米軍施設・区域の整理・統合・縮小と沖縄振興策の検討」は後期展望作業の過程で大きな動きとなってまいりまして、今後十分留意する必要があるといたしております。
 Vの「第3次沖縄振興開発計画後半の施策展開の方向」では、まず施策展開の基本方向と各種施策を進めるに当たっての留意事項について触れ、その後、墓本的には3次振計の体系に沿いまして、部門別、圏域別に施策展開の方向についてまとめております。
 最後のむすびにおきましては、沖縄が地域経済として自立し、雇用が確保され、県民の生活向上が図られ、また、我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるためには、引さ続き3次振計に基づき各般の施策を積極的に推進することが必要であるといたしております。
 また、現在策定作業中の新しい全国総合開発計画や沖縄政策協議会において検討中の振興策とこの後期展望との関係等についてもまとめております。
 なお、これまで総合部会におきましては、後期展望につきまして、第1に、3次振計策定以来、経済の長期にわたる低成長、グローパリゼーションなど、経済社会の構造的な変化が目立ってきたこと。
 第2、そうした中で特に産業振興の面で課題があり、沖縄経済の自立化を目指して沖縄型の特色ある経済、産業構造を確立する必要があること。
 第3、基本的には、比較優位のある産業を振興し、移輸出を伸ばすことが重要であること。第4、多様なニーズに応え得る観光リゾート地を形成する必要があること等の御指摘がございました。
 また、本文の中でも述べておりますが、現在沖縄政策協議会におきまして、沖縄県の国際都市形成構想に基づく提案と関係省庁の沖縄振興策に関する提案について検討が行われておりまして、3次振計の計画期間後半の施策展開に当たりましては、これらの経過に十分留意する必要があります。後期展望では、現時点におきまして可能な限り沖縄の振興策をめぐる動きと整合性の確保に努めたところでありますが、今後沖縄政策協議会等における検討が進み、今回の後期展望に係る与件等に大きな影響を与えるような状況が生じた場合には、沖縄振興開発審議会におきまして適切に対応していく必要がある旨、調査審議の中で議論のあったことを申し添えておきます。
 後期展望案の詳細につきましては、事務局より御説明をいただくことといたしますが、その前に専門委員会の知念座長より一言御説明がございますので、よろしくお願いいたします。

知念委員
 ただいま亀谷部会長から御説明がありましたとおり、専門委員会を計15回開催し、第3次沖縄振興開発計画の後期展望の調査審議を進めてまいりました。その際の各委員のおおむねの共通のスタンスを申し上げますと、第1番目に、3次振計の基本理念は堅持すべきであり、本土との格差是正や自立的発展の基礎条件の整備は引き続き重要であること。
 第2番目に、経済の自立のためには民間の自助努力、創意工夫が必要であり、国や県等の公的セクターは支援の役割を担うこと。
 第3番目に、産業振興については国内外からの投資を促進するとともに、地域内発型、研究開発型の産業を振興していくことが重要であり、また、沖縄型の特色ある産業構造の確立を目指すことが重要であること。
 第4番目に、環境への配慮を行い、持続的発展が可能な循環型社会を構築することが重要であること。
 最後第5番目に、今回の後期展望に係る与件等に大きな影響を与えるような状況が生じた場合には、沖縄振興開発審議会において適切に対応していく必要があること、というものでありました。
 また、後期展望案のIIの「沖縄の経済社会の現状」では、人口や経済、産業の現状についてまとめております。3次振計のフレーム関係については、専門委員会において十分検討を行いましたが、数値を列挙することはせず、後ほど御説明申し上げますように、文章で表現することといたしました。
 以上でございます。

企画課長
 それでは、引き続きまして、事務局の方からこの後期展望案につきまして、御説明を申し上げます。
 まず最初に1ページ「はじめに」をごらんいただきたいと思います。趣旨、経過が書いてございますが、この専門委員会の審議の過程におきましては、沖縄県側からも沖縄振興開発の課題と展望、これは県におきます後期展望に当たるものでございますが、それと国際都市形成構想等につきましても御説明をいただきながら調査審議を行ったところでございます。2ページをお開きいただきたいと思います。Iの「後期展望の性格と役割」は、ただいま申し上げたような趣旨でございます。
 IIの「経済社会の現状」でございますが、人口につきましては、平成7年で127万人ということで、伸び率は全国よりも高い水準でございます。労働力人口の方は平成7年で57万人ということでございます。就業者数で見ますと、3次産業の構成比が高くなっております。
 完全失業率は全国の約2倍ということで、特に平成7年後半以降高水準で推移しております。
 経済、産業関係でございますが、県内総生産(名目)は6年度で3兆l,700億円ということで、3次産業の増大傾向が続いております。経済成長は公共投資主導型の成長でございます。一人当たり県民所得(名目)でございますが、6年度で約212万円ということで、一人当たり国民所得との格差が71.2%、最近は7割台で推移いたしております。
 3ページでございますが、沖縄の経済は財政依存度が高い訳でございますが、最近改善が見られるものの依然として高い水準でございます。
 3次振計で想定したフレーム関係でございますが、産業振興に係る部分の現状は総じて厳しい状況にございます。理由といたしましては、財政固定資本形成は順調に推移しておりますが、観光収入の伸ぴ率が低い、また農林水産業の生産額、工業出荷額の伸ぴ悩みというようなことが挙げられております。
 最近の沖縄経済はしっかりとした景気回復の過程を歩んでおりますが、目標年次におきますフレーム達成のためには計画で示された諸施策の一層の推進と民間活力の発揮など、相当の努力が必要となっております。
 3が県民生活指標でございますが、県民の方々の生活の状況を別の角度から見てみようということで、新国民生活指標の8つの活動領域別に整理してございます。全国平均を上回っている領域は「癒す」というものでございます。「学ぷ」「働く」、あるいは「育てる」といった領域につきましては全国平均を下回っている状況にございます。詳細は省略させていただきます。
 4ページでございます。IIIで「前期の実績と評価」、あるいは課題といったものを整理しております。1番目が「特色ある産業の振興」で、まず産業別に見ておりますが、農業生産につきましては復帰後、県外出荷を中心に伸びてきておりますが、近年全体の生産額は伸び悩んでおります。
 作目別では、サトウキビは生産減少。花卉につきましては、洋ランが最近伸び悩み、菊の方は順調増大ということでございます。
 野菜につきましては、冬春期のサヤインゲン、スイカ等を中心として伸びている。ニガウリも堅調。パイナップルは生産量減少している中で、生食仕向は比較的安定ということでございます。パイナップル以外の果樹類ではマンゴー等が増加、畜産では肉用牛の生産が伸びているといった状況について書いてございます。
 2の林業につきましても、戦後の荒廃から漸次回復して民有林も増えている。それから県産材の有効活用等も図られているということでございます。
 5ページでございますが、水産業につきまして、生産量、生産額が伸ぴ悩んでおりますが、近年「とる漁業」から「つくり育てる漁業」ヘの転換が図られつつあります。クルマエビ、モズク等が盛んである。漁港の整備等が進んでいるということでございます。
 製造業でございますが、産業基盤の整備、あるいは工業等開発地区、公庫の融資制度等々の活用、更にトロピカルテクノセンターの事業、琉大の地域共同研究センターの設置といった動きも見られます。
 また、企業の自助努力もございまして、個別には成果の上がっているものがございますが、全体として見ますと、県内総生産に占める製造業の割合が6%台と全国で最も低い値になっております。内容的には、生活関連型、基礎資材型が多くて、加工組立型がほとんど存在しない。県内自給率も低いといった状況にございます。
 建設業でございますが、復帰後順調に伸びてきておりまして、県内総生産に占める割合が約15%、全国で最も高い値となっております。しかし小規模な事業者が多い、経営基盤も脆弱ということでございます。
 6ページでございますが、卸・小売でございます。卸売団地、流通センターの近代化、あるいは大型店の郊外進出等が見られます。ただ、小規模な事業者が多く、やはり経営基盤が脆弱、流通体系も未整備といった状況でございます。
 次に、3次振計で戦略的な産業として位置づけられております3つの産業について書いております。
 まず観光・リゾート産業でございますが、入域観光客数は平成8年で過去最高の346万人となっております。ただ、外国人観光客が近年減少傾向。観光収入も近年横ばい傾向というところでございます。関連基盤の整備や文化施設等の整備が進んでおります。また、観光の学科を有する大学の新設等、受入体制も進展しております。
 ただ、観光・リゾート産業は一部を除きまして小規模なもの、あるいは経営基盤が弱いといった状況がございます。「沖縄トロピカルリゾート構想」に位置づけられた観光・リゾート施設の整備に遅れが見られます。
 2が情報産業でございますが、7ページに参りまして、沖縄におきましても情報化、あるいは情報化装備が進展しつつある訳でございます。産業振興基金等による人材育成研修も進められております。ただ、小さい区分で情報サービス産業で見ますと、全体としては全国に比べて小規模、下請業務が多い等々近年伸び悩みの状況も見られます。
 バイオ関連産業でございますが、トロピカルテクノセンター等におきまして研究開発等が進められております。また、県の農業試験場や畜産試験場の研究成果の活用等もなされております。
 2の「南の交流拠点の形成」でございますが、近年、県内におきましても台湾がら部品を輸入してコンピュータの開発、組み立てを行う。あるいは伝統的なガラス工芸、泡盛の分野でも海外展開が行われている。また、廈門との間での定期コンテナ航路の開設等々国際交流は着実に進展しております。今後グローバリゼーションの進展の中で国境を越えた人、モノ、カネ、情報の交流の機会はますます増大するものと予想されております。
 8ページでございますが、実情を見ますと、JICA(国際協力事業団)を通じまして 、年間300人程度の研修員の受入れも行われております。また大学等では450人程度留学生の方が就学されている。また最近、各種国際会議、シンポジウムも多くなっております。今後担い手の育成、あるいは情報通信ネットワーク等基盤の整備を進める必要がございます。3が「社会資本の整備」でございますが、施設整備面での本土との格差は次第に縮少されてきております。また航空、海上交通の利便性の向上を活用した本土と結びついた観光、あるいは農業を中心とした産業振興も見られますけれども、水の問題等生活産業基盤の面ではなお整備を要するものが多く見られるとしております。
 内訳で交通通信基盤、航空でございますが、空港は現在13港と復帰後の2倍ということで、那覇空港の整備、あるいは宮古その他離島空港の整備も進み利用状況も増えております。航空運賃につきましては下の方に書いてございますが、今回空港使用料、燃料税の特例的な引下げ等によりまして、本土-那覇路線につきまして低減が図られることとなっております。この点は後ほど法案の説明のところでも申し上げたいと思います。
 9ページでございます。海上交通でございますが、港湾の整備が進み大きく貢献しております。最近は那覇港の国際海上コンテナターミナル等の整備が進んでおります。今後とも質の高い港湾整備、あるいは南の国際交流拠点にふさわしい港湾整備を推進する必要がございます。
 陸上交通につきまして、各種道路の整備が進展しておりますし、長年の懸案でございました沖縄都市モノレール事業も着工されております。離島架橋についても離島振興に寄与しております。今後とも道路の整備を行う必要がございます。
 4が情報通信でございますが、光ファイバーケープルの整備、あるいは先島地区での民放テレピの難視聴の解消が進んでおります。引き続きテレビ難視聴の解消、あるいは中渡ラジオの難聴の解消等各種基盤の整備も必要でございます。
 水資源の開発でございますが、新たに漢那ダム、倉敷ダム、北谷浄水場の大規模海水淡水化施設の完成等で水不足は改善の方向にございます。本島におきます給水制限の実施された日数を見ても、近年は減ってきております。
 次に10ページでございますが、ただ、全国と比較した場合には依然として不安定な要素がございまして、今後とも多目的ダムの建設等による水の安定確保等、更には水利用の合理化も進める必要がございます。
 エネルギーの確保、電力について書いてございますが、構造的な不利性を持っている訳でございますが、安定的な電力供給の努力がなされております。また、風力、太陽光等地域新エネルギーの開発も進められております。引き続き料金の安定、電源の多様化が必要でございます。
 4が「人材育成と学術・文化の振興」でございます。(1)人材の育成関係につきましては、義務教育、あるいは高校の校舎等整備率は全国水準に達しておりますけれども、復帰前後に建設されました老朽化した校舎の改築、あるいは過大規模校の解消、学校プールの整備、社会体育施設の整備を進める必要があります。
 また、高校教育におきまして、特色ある学科の開設等、成果を上げてきておりますけれども、人材の育成確保は引き続き重要な課題でございまして、産業経済等各面にわたって多くの有為な人材を育成していく必要がございます。
 11ぺ一ジの(2)でございますが、学術の振興でございます。名桜大学の設立、各大学での学科の編成、琉大の大学院、あるいは学部の整備、または熱帯生物圏研究センター、地域共同研究センターの設置などが進められております。引き続き高等教育機関の充実、あるいは教育研究の高度化を図る必要がございます。
 (3)文化の振興につきましても、首里城の復元、あるいは組踊の公演等々、また文化財の調査、県立芸大の充実等が進められておりまして、今後とも各種文化施設の整備等に努める必要がございます。
 5が「環境の確保と福祉・医療の充実」の問題でございます。環境につきましては、まず前半の方で生活環境について書いております。生活環境の改善が進んできておりますが、今後とも良好な生活環境の総合的な整備を図る必要があるということで、最初が日常生活に密着した道路。
 次が住宅でございます。住宅は量的には一応充足が図られてきておりますが、居住水準についてはなお向上を図る必要がある。また、沖縄の気候風土を考慮した住宅の整備を進める必要があるとしております。
 12ページですが、次に下水道につきまして触れておりまして、全体の普及率はほぼ全国水準でございますが、市町村間のぱらつきがある。また、特定環境保全公共下水道、あるいは農山漁村の集落排水施設の整備の必要性を書いてございます。
 廃棄物処理も焼却処理率が向上しておりますけれども、全国と比べると低いということで、計画的な処理施設の整備、また廃棄物の減量化、リサイクルの一層の促進を図る必要があります。
 都市公園等の整備でございますが、一人当たりでは復帰当時に比べまして8倍ということで伸びておりますけれども、水準としてはまだ全国を下回っている。また、国営公園の海洋博覧会地区・首里城地区は観光振興の面でも大きく寄与しているとしております。
 それから自然環境の保全について触れておりますけれども、西表島の野生生物保護センターの整備等進んでおります。また、伊良部県立自然公園の指定、県の赤土等流出防止条例の施行等、総合的な環境保全の取り組みもなされております。
 福祉の関係でございますが、社会福祉センター等の整備のほか、福祉活動の活発化、あるいは障害者に対する施設整備等が進んでおります。高齢者対策ということで、引き続き在宅福祉の充実、また施設整備、高齢者・障害者に優しい公共施設づくり等を進める必要がございます。
 13ページでございます。保健医療の面でございますが、医療施設、あるいは医師等医療従事者の数も増加してきております。離島・へき地についても進んでおります。引き続き県立病院等医療基盤の整備、また保健医療従事者の養成確保を図る必要がございます。
 6が「都市地域の整備と農山漁村、離島・過疎地域の活性化」ということで書いておりす。
 14ページでございますが、離島・過疎地域についても施設整備、あるいは産業振興を進めてきているということが書いてございますが、一番最後の行にありますように、引き続き地域間格差の是正に努めまして、県全域の均衡ある発展に努める必要がございます。
 15ページでございます。IV「計画策定後の社会経済情勢の変化と沖縄への影響」ということでございますが、策定後、我が国経済が相当大きな時代の変革に直面しているということで、そうした動きと沖縄との関係、また最近の沖縄における米軍施設・区域をめぐる情勢の変化というようなことが非常に重要であるといたしておりまして、大きく6つの項目に整理をいたしております。
 最初に「地球時代一グローバリゼーションの進展一」ということでございますが、御案内のように、近年人、モノ、カネ、情報が地球的規模で動くと。経済活動もポーダレス化してまいりまして、国境を越えた大競争時代が到来しているということを書いております。
 そうした中で沖縄は東アジア、東南アジアに近いという特性があり、グローバリゼーションの進展はこれら以外の地域との交流も進展する可能性が広がるということで、例えば、東アジア等の国々から観光リゾート客の増加も予想される訳でございます。
 それからグローパリゼーションの進展の中で企業が生産拠点を海外に移すというようなことで、従来国内各地でとられてきました工場、あるいは企業誘致を通しての地域開発というのはなかなか難しくなりつつある。それゆえ沖縄におきましても、今後は情報、技術、人材等ソフト面を中心とした産業基盤の充実を図る必要がある。これにより、高付加価値型の産業分野における国内外からの投資を促進するとともに、地域内発型、研究開発型の産業を振興していくことが重要になると書いております。
 2が「環境への認識の高まり」でございますが、環境問題については非常に大きく認識が高まっている訳でございまして、環境に優しい循環型社会の構築が求められております。 自然指向、あるいは健康指向ということも高まっている。そういう中で沖縄は固有の野生生物相、あるいは自然植生、熱帯海域特有の珊瑚礁等すぐれた自然環境を有しておりまして、これらを国民的、地球的資産として保全・継承していく。また開発と自然の共生、自然を再認識した上での環境への対応、自然の回復・創造が重要であるとしております。
 3が「高齢化時代」でございますが、我が国は急速に人口の伸びが鈍化してきておりまして、21世紀初頭には人口減少型社会に移行する。それに伴って経済成長率の低下、投資余力の減少をもたらす。このことは公共投資依存型の沖縄経済に対して今後大きな問題となり得ると書いております。
 沖縄の人口自体は現在では増加傾向にありまして、全国よりは緩やかな速度で人口減少、高齢化が進行すると予想されますけれども、いずれは直面せざるを得ない課題であるとしております。
 ただ、高齢化は一方で健康で社会参加の意欲も高い、また、自由度の高い生活を享受出来る人々の増加という側面も有している訳でございます。沖縄は高齢者に優しい、住みよい地域であるということで、健康・福祉産業が発展する可能性がありますし、観光・リゾートも高齢化時代に対応した質の高いものとするよう留意する必要がございます。
 4の「高度情報化時代」でございますが、特に最近の高度の情報技術の活用というのは進んでおりまして、時間的、空間的制約を大幅に取り払う。社会のいろいろな面で大きな変化をもたらすことが予想されております。沖縄は本土からの遠隔性、島嶼性等の地理的不利性を抱えておりますけれども、こうした高度情報通信技術の活用によりまして、不利性を克服出来る可能性が広がっております。具体的には、防災、保健医療、教育・文化等さまざまな面で広域的な情報システムの確立、あるいは国外も含めた他地域との多様な情報ネットワークの形成が期待される訳でございまして、沖縄にとりましては、高度情報化への対応が重要な課題であるといたしております。
 5の「防災への関心の高まり」でございますが、阪神・淡路大震災などの発生によりまして、安全に対する欲求の高まり、また国土の安全性の向上を目指す施策の必要性が言われております。沖縄は台風常襲地帯であるということ、また島嶼であることからシピルミニマムの確保も重要であるということでございまして、治水、海岸、治山等公共事業の推進のほか都市部におきましては、公園緑地などのオープン・スペースの確保が必要である。また、災害の発生を防止するという視点とともに、生じる被害を最小化するという「減災対策」を重視する必要があるといたしております。
 6の「米軍施設・区域の整理・統合・縮小と沖縄振興策の検討」でございます。3次振計におきまして既に「出来るだけ早期に基地を整理・縮小する」と明記してある訳でございますが、平成7年秋以来、沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小等に対する要請が一層強まってまいりました。政府におきましては、沖縄米軍基地問題協議会を設ける。また日米間で沖縄に関する特別行動委員会(SACO)を設置し、協議を続けてまいりまして、昨年普天間飛行場を含む11施設・区域の全部、あるいは一部の返還が合意されました。これが実現いたしますと、現在沖縄県にあります米軍施設・区域の約21%、5,000ヘクタールが縮小することとなります。今後はSACO最終報告に盛り込まれました措置を着実に実施するための努力が重ねられることになります。
 これと同時に、沖縄の振興策に関する論議も高まりを見せまして、昨年9月内閣総理大臣の談話が決定されております。これに基づき沖縄政策協議会が設置されております。
 こうした中で県におかれましては、21世紀に向けた沖縄のグランドデザインでございます国際都市形成構想、これは目標年次おおむね2015年でございますが、これを作成されて政策協議会に提示されております。
 なお、資料7として国際都市形成構想の資料を付けさせていただいております。現在県の提案、関係省庁の提案併せまして、一緒になって検討が行われている訳でございます。
 また他方で、米軍施設・区域が所在する市町村のまちづくり、各種施策の在り方等について検討するため、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会の提言も出されております。3次振計の後半の施策展開に当たりましては、これらの動きに十分留意する必要があるといたしております。
 20ページのVでございます。以上のIIからIVまでの現状と評価、あるいは課題を踏まえまして、計画期間後半の施策展開の方向性をまとめますと以下のとおりでございます。
 なお、施策展開に当たりましては、国際都市形成構想について、構想の具体化の状況を見ながら、引さ続き国として必要な支援を行っていく必要があるとしております。
 まず1で施策展開の基本方向、あるいは各領域部門に多かれ少なかれ共通する留意事項について述べております。(l)特色ある産業の振興でございますけれども、経済の自立化を図るためには、やはり地域特性を生かした特色ある産業の振興を図ることが重要である。沖縄型の特色ある産業構造の確立を目指していくとしております。
 具体的には、航空、海上のネットワーク、あるいは高度情報通信技術を活用して市場の拡大を図りながら観光をリーディング産業としながら独自の産業連関を形成していく。また、健康福祉関連のサービス業などの新規産業の育成を図る。製造業につきましては、生活関連型、中継・加工組立型の充実強化を図りながら、他産業、または県外、海外企業との連結を強化する。また周辺諸国、特に東アジア諸国との交流を促進し、それらの諸国からの沖縄への投資を促進するということで、アジアのダイナミズムとのリンクをしていくということを書いております。
 グローバリゼーションによる市場拡大、規制緩和という展開をチャンスとしてとらえて、民間の創意工夫が重要である。起業家精神、高い技術力が何よりも重要と書いております。そして政策的支援はマーケットメカニズムを踏まえて行われる必要がある。また担い手が非常に重要な役割でございまして、そのための人材育成、必要があれば広く国内外からオーガナイザー、あるいはコーディネーターの確保も検討する。
 更に産業技術の向上等を図るために研究開発の面での産・学・官の協力を一層促進するといたしております。
 (2)が南の国際交流拠点の形成でございますが、沖縄は我が国と東アジア、東南アジアとの結節点に位置する。また特色ある歴史文化、国際性豊かな県民性、また我が国とアジア・太平洋地域との交流、相互依存関係が引き続き強まっているということで、こうした特性を生かしまして、経済、学術、文化等多面的な交流と多様なネットワークの核となる我が国の南の国際交流拠点の形成を図る。このため、高次の都市機能を備えた国際都市の形成に必要な基盤整備を進めるほか、国際交流の場の形成、また各種国際交流・協力活動の推進を図る。その際、特に近隣アジア・太平洋諸国が沖縄に何を求めるのかを把握するように留意するとしております。
 次に(3)社会資本の整備でございますが、各種社会資本の整備を推進するとともに、特に特色ある産業振興と南の国際交流拠点の形成を図る上で基盤となる社会資本の整備を椎進するとしております。
 こうした整備に当たりましては、自然とか景観などに配慮する。また各種事業間、あるいは関連施策との連携強化、効果的・効率的な事業の実施を進めてまいります。高齢者、身障者などに引き続き配慮をしていくといたしております。
 (4)が環境への配慮でございますが、沖縄の豊かで多様な自然環境を保全、継承していく。
 また、自然の回復を図る。島嶼性に配慮した環境に優しい循環型社会の構築を図るとしております。
 次のページですが、開発に当たりましては、環境に配慮する等環境への負荷の少ない持続的発展を目指した県土づくりを進めるとしております。
 (5)の離島・圏域の振興でございますが、離島につきまして交通・情報通信体系等の基盤整備、県内外の交流、また産業の振興と雇用の場の確保等によりまして、活力に満ちた地域社会の形成に努めるとしております。
 圏域別につきましては、中心都市としての機能の集積を進めるとともに、周辺と一体とした広域生活圏の形成を図る。また圏域相互の連携を強化することによりまして、県全体として均衡ある発展が実現されるようにしていく。
 いずれにしても、県内格差、地域間格差の是正について引き続き十分配慮していくとしております。
 (6)の米軍施設・区域の整理・統合・縮小と返還跡地の有効利用でございますが、前者につきましてはSACOの最終報告に盛り込まれた措置につきまして着実に実施していくため、県を始めとする地元関係者の理解と協力を得ながら引き続き努力を行っていくとしております。
 返還跡地の有効利用につきましては、普天間等につきまして、跡地利用の円滑な推進を図るため、跡地整備に関する調査検討を行うこととしております。跡地利用につきましては、地元の合意形成に努めまして、必要な事業を推進してまいりますが、特に都市地域につきましては、跡地だけではなくて周辺も含めて全体として快適で機能的な都市地域の整備が図られますよう計画的な取り組みを進めるとしております。
 24ページでございます。2で部門別・圏域別に今後の方向を整埋しております。まず(1)産業につきまして全般的に書いてございますけれども、独自の産業構造の確立のために観光・リゾート、あるいは農業の振興を図るとともに、健康福祉分野への展開、県内自給率の向上、県外市場への参人を可能とする競争力のある製造業の振興を図る。各分野を通じて比較優位のある産業を振興して、県際収支の改善を図るとしております。 これからは高付加価値型の産業分野における国内外からの投資を促進する。また付加価値の高い技術、ノウハウを基礎とした地域内発型、研究開発型の産業を振興していくことが重要としております。
 地域のシーズを産業化していくための技術力の開発・向上、またその企業化支援が重要であるということで、各分野の試験研究機関の再編整備、研究開発体制の充実強化など、産業高次機能の強化を促進する。また企業の創造的事業活動を支援するための施策の椎進、ベンチャーキャピタルの充実等、ソフトなインフラの整備を図りまして、新規企業の創出を図るとしております。引き続き航空、海上交通のネットワークを活用して市場を広く国内外に求めることによりまして、産業振興を図る。そのための基盤整備を進めるといたしております。
 下の方から、今度は産業別に今後の方向について書いている訳でございますが、まず農業につきましては、生産基盤、流通体制、あるいは技術の研究開発・普及を進めながら、亜熱帯の特性を生かしてサトウキビ、花卉、熱帯果樹、施設野菜、肉用牛等比較優位がある品目の拡大、プランド化を図りまして、特色ある農業の振興を図るとしております。
 また、林業、水産業についてもそれぞれ書いてございます。
 製造業につきまして、技術、情報の充実強化、あるいは企業の組織化等、製造業の相互間、あるいは他産業との連携、新商品の研究開発等々書いてございます。
 自由貿易地域制度の活用を一層進めるとともに、沖縄における産業や貿易の一層の振興のために自由貿易地域の拡充強化について調査検討すると書いております。
 建設業については、技術力の向上、経営力の強化、人材育成が重要であるとしております。
 26ページに参りまして、卸売・小売業につきましては、組織化、近代化、あるいはショッピングモール等の整備によります魅力ある商店街の形成等を図る。
 情報産業については事業開拓、また人材育成、情報通信基盤の整備等を促進するとしております。
 バイオ関係につきましては、トロピカルテクノセンター、あるいは県農業研究センター(仮称)等におきましては研究開発と成果の普及、実用化を進めるとしております。
 次に(2)南の国際交流拠点の形成ですが、3行目ぐらいからですが、人、モノ、カネ、情報が行さ交う活力ある高次の都市機能を備えた国際都市の形成を図る。このため那覇空港、那覇港、中城湾港新港地区等の整備、また外航航路の開設等ハードソフト両面の充実を図る。
 また、幹線道路ネットワークの整備を促進する。国際的なコンベンション都市としての機能の充実、国際交流ゾーンの形成について触れております。
 更に、アジア・太平洋諸国からの留学生、研修生等の受人れ、あるいは沖縄からの積極的な派遣などを通して国際交流の場の形成を促進するとしております。
 次のページでございますが、各国留学生・研修生との人的ネットワークの形成、活用の促進と同時に、県人材育成海外派遣事業や外国語教育の充実などによりまして、国際化に対応した人材の育成に努めるとしております。
 次に(3)交通通信体系の整備、これにつきましては引き続き景観、環境との調和に配慮しながら進めるとしております。
 那覇空港につきまして、空港機能の充実のほか将来を展望しつつ国際的空港としての機能拡充を検討するとしております。その他の空港についても整備を進めますが、特に新石垣の建設につきましては、地元の合意形成を踏まえ円滑な推進を図るとしております。
 海上交通のうち那覇港につきましては、中核国際港湾としてコンテナターミナル等々の整備を図る。また中城湾港、平良港、石垣港、運天港等について記述しております。
 28ページですが、陸上交通につきまして、那覇空港自動車道等幹線道路の整備。都市内におきましては、那覇都市モノレール事業の建設促進を始め都市モノレール沿線の開発を促進するとしております。地方部、離島等についても、それぞれ書いております。
 情報通信につきましては、国際的な情報通信基盤となる光海底ケープル、県内における光ファイバー網等の整備、更に技術開発、人材育成の促進等を総体的に図りまして、アジア・太平洋諸国に開かれた情報交流拠点の整備を促進する。
 また、情報格差の是正のために南北大東島のテレビ放送の難視聴の解消を図る等について書いてございます。
 次に(4)水資源の開発とエネルギーの確保でございますが、水資源につきましては本島では羽地ダム等の事業を進めますほか離島におきましても生活貯氷池の整備等を進めるとしております。氷道氷、工業用水、農水等についても書いております。それから水資源の有効利用、電力の供給、地域新エネルギーの開発についても記述しております。
 (5)が観光・リゾートの形成、レクリエーションの振興でございますが、国民的な保養観光地としての整備、また国際的な観光リゾート地として整備をしていく。併せて県全体の産業の振興のために先導的、戦略的産業である観光・リゾート産業の振興を図る。点在している観光資源の連携を強める。従来型の観光だけではなくてビジター産業や複合的機能を備えた拠点の形成など、新たな分野への展開を促進するというようなことを書いております。それから海洋博覧会地区における水族館の新館建設、部瀬名岬地域開発構想などの促進。宿消施設や余暇施設、スポーツ施設の整備、海洋性リゾートの整備、また海洋性健康増連施設や療養施投の整備、健康長寿食品の聞発を促進するなど、ヘルシーリゾートとしての整備を図るとしております 。
 それから観光客誘致対策の展開、更に多様な二一ズに対応し得る人材の育成、イベントの拡充総合的な情報提供体制の拡充等について触れております。
 (6)が都市・農山漁村、生活環境施設の整備ということでそれぞれ書いてございます。
 32ページでございますが、(7)自然環境と国土保全、公害防止でございますが、それぞれ書いておりますが、国土保全の中では防災についても触れております。33ページに公害の防止等環境保全を書いてございますが、赤土流出の防止の施策についても書いてございます。
 (8)教育、学術・文化の振興でございますが、3行目、人材育成は小・中・高・大学や各種の学校、社会教育、職業訓練、留学等の国際交流など、多様な機会を通じて行われるので幅広い観点に立った取り組みが必要であるとしております。
 学校施設、初等中等教育のほか高等教育におきましては、理工系学部の整備と特色ある学部、学科、大学院の整備等に書いてございますし、島嶼県でありますことから、教育の分野での高度情報通信技術の積極的な活用、生涯学習の促進等についても触れております。
 次のぺ一ジですが、スポーツの振興のほか産業教育の面では産業技術教育センター (仮称)の設置等について書いてございます。それから語学教育の充実。
 学術の振興につさましては、沖縄の地理的、自然的特性を生かして国際的な学術交流を推進する拠点となる総合的な研究体制の在り方等について検討するとしております。
 文化の振興も、伝統文化その他書いてございますが、終わりの方で、組踊等伝統芸能の保存・継承に必要な劇場の設置について検討するとしております。
 (9)が社会福祉の充実ということで、高齢化に対応した施策は重要謀題でございまして、在宅福祉、医療サーピスの拡充のほか老人ホーム等施設整備、また、快適な優しいまちづくり等を進めるとしております。
 一番下の行では、沖縄は長寿地域、高齢者に住みやすい社会ということで、我が国の高齢社会のモデルとなり得る。このため、総合的な調査を実施し、我が国の生きがい健康づくり施策に生かす。少子化に備えた環境整備もしていくということを書いております。
 (10)の保健医療の確保でございますが、施設、あるいは保健医療従事者の数量の確保だけではなくて質的充実を図っていく。この観点から高度医療等に対応出来る県立病院等の整備、質の高い看護従事者の養成確保のための県立看護大学(仮称)の設置等々、それから下の方では梅洋水を利用した健康増進など、新しい保健医療ニーズヘの対応を図ると書いております。
 (11)の職業の安定、労働者福祉の向上ですが、特に若年労働者の高失業率への対応、また駐留軍離職者の再就職等に対応するための取り組みが必要ということで、基本的には産業の振興による雇用の確保ということがある訳でございますけれども、併ぜて職業紹介、雇用情報サービスの提供、職業能力開発の推進など総合的な取り組みを展開するとしております。
 36ページですが、(12)が離島の振興ということで、産業振興から観光・リゾート、空港、港湾、道路、保健医療、高齢者対策、学校教育、情報通信、水等について害いております。
 (13)が圏域別の方向ということで、圏域別というのは中南部、北部、宮古、八重山の4つに分けている訳でございますが、それぞれの特性を生かして快適な居住環境の形成、特色ある産業の振興によりまして、人口の定住を促進し、個性豊かな活力ある地域社会の形成を図る。まずは圏域内の中心都市と周辺との活発な交流、連携を図る。また産業間の連携強化ということで、地域経済への波及効果の拡大を促進する。また圏域相互の交流連携強化と書いていまして、特に中南部圏につきましては、高次の都市機能の整備を図る。また北部圏につきましては、中南部との適切な分担と連携に留意しながら振興開発を進めるといたしております。
 個別には、中南部圏につきまして引き続き沖縄の中核都市、特色ある歴央、文化を反映した、個性豊かで高次の都市機能の集積した国際都市として整備を図る。また、南の交流拠点としての形成を図る。周辺の農業地域及び離島の振興を進め、中南部圏域の均衡ある発展を図るというふうにいたしております。
 次のページでございますが、基地跡地利用は非常にこの圏域では重要でございますが、普天間につきましては、跡地利用の円滑な推進に必要な調査検討を行うとしております。
 地域別には、西海岸地域について那覇空港、那覇港、西海岸道路等の整備を推進する。
 東海岸につきましては、中城湾港新港地区の整備、工業技術センターの整備等を進めると書いております。
 島尻地域につきましては、豊見城村の地先開発の推進、付加価値の高い農業展聞を図るとしております。
 なお、中部地域につきましては、地方拠点都市地域として整備を進めるとしております。
 北部蜂につきましては、本島の均衡ある発展を図る上で役割が重要であるということで、基盤整備、農林氷産業の振興、海洋博覧会地区の水族館の整備、国際的規模の観光・リゾートとしての整備等々書いております。
 名護市におきまして、人材育成機能を始めとする都市機能の一層の集積強化を図るとともに、周辺、離島との連携強化を図り、地方拠点都市地域として整備を進めるとしております。
 圏域の約7割を占める山地と豊かな自然が残っておりますので、振興開発に当たっては十分留意し、また、活用していくということでございます。
 39ページ宮古圏でございますが、引き続き、美しい海浜景観、トライアスロン等のスポーツイベントを活用した個性ある地域づくりを図る。生産基盤の整備、産業振興、長期滞在型の観光・リゾート地の整備、個性的で活力ある広域生活圏の形成等々書いております。
 八重山でございますけれども、我が国の最南西端という地理的条件、豊かな自然、伝統文化を生かした多彩な活動の場の形成を図ることを基本に必要な生産基盤の整備。また、台湾に近い等地理的条件を生かした国際的な観光・リゾート拠点の整備。特に多くの離島が広範に散在しておりますので、空港、港湾等の交通・情報通信基盤の整備等を進めるといたしております。
 なお、西表の貴重な原生林等ございますので、振興開発に当たっても十分留意していくということが書いております。
 最後に40ページの「むすび」でございますけれども、本年は復帰25年目を迎える訳ですが、ごの間格差の是正等も次第に進んではおりますけれども、依然として民間部門が弱い、財政依存度が高いという基本的な課題を抱えております。そこで、引き続き3次振計に基づき各般の施策を積極的に推進する必要がある。その際、政府と民問がそれぞれ役割分担と協力を図り、目標達成のためにともに努力することが必要だと書いております。
 中ほどからでございますけれども、現在政府では新しい全総の策定作業、また沖縄政策協議会における振興策の検討が行われている訳でございますが、この後期展望におきましては、現時点で可能な限りそれらとの整合性の確保に努めたところでございますけれども、今後そうした策定、検討作業の過程でこの後期展望に示された考え方が反映されることを期待しております。
 また、いろいろ政府におきまして制度の見直しも検討されている訳でございまして、3次振計の計画期間後半でも沖縄を取り巻く内外の諸情勢の変化が予想されるところでありまして、計画推進に当たりましては、基本方針を堅持しつつ、適切かつ弾力的に対応していく必要がある。このため、今後今回の後期展望に係る与件等に大きな影響を与えるような状況が生じた場合及び3次振計以降の沖縄振興開発の在り方等にかかわる問題については、当審議会において適切に対応していく必要がある。以上のようにまとめております。
 大変懸け橋で恐縮でございましたが、以上のような内容でございます。

川村会長
 大変長い説明でございましたが、何分にも2年間という歳月を掛けての調査検討でございますから、多少長くなるのをお許しいただきたいということでございます。
 以上の総合部会の報告につきまして、何か御質問なり御意見がございました際はどうぞ順次御発言をいただきたいと存じます。
 亀谷部会長、あるいは知念座長なり特に付け加える御意見等ございませんか。ないですか。
 それでは、今日御新任になった、例えば伊波委員は何か御意見ございませんか。
 それでは、無理やり御意見を出せというのではございませんので、どうやら御質問がなければ、今の総合部会の報告を当審議会といたしましては了承ということにさせていただいてよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

川村会長
 それでは、当審議会といたしましては、この総合部会の報告を了とするということにさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
 それでは、このような格好で審議会としては了承ということでございますがら、この第3次沖縄振興開発計画の後期展望につきましては、今後の施策の参考としていただくべく、後程稲垣沖縄開発庁長官にお渡しすることにさせていただきたいと存じますが、これもよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

平成9年度予算案について

川村会長
 知念座長、また清成委員、大変御苦労様でございました。 それでは、議事3、4の報告に移りたいと存じます。資料5の平成9年度の予算について正田会計課長及び廿日岩振興総務課長よりお願いいたします。

正田会計課長
 正田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座らせていただきます。
 それでは、平成9年度沖縄開発庁予算につきまして御説明申し上げます。資料5をごらんいただきたいと思います。
 平成9年度沖縄開発庁予算の総額は、一番下の合計欄の真ん中にありますように3,332億3,100万円で、対前年度比57億l,100万円、率で101.7%というふうになっております。
 この予算の大部分を占めますのが一番上にあります沖縄振興開発事業費であります。沖縄振興聞発事業費は生活・産業墓盤としての社会資本の整備について、第3次沖縄振興開発計画に基づき継続諸事業の着実な推連を図るとともに、新たなプロジェクトの芽出しに努めるなど、沖縄振興開発諸施策の積極的な展開を図るため、沖縄振興開発事業費の総額の確保に努めた結果、ここにありますように3,108億9,000万円、対前年度比55億2,700万円、率で101.8%というふうになっております。
 内訳ですが、(1)が公共事業関係費で2,918億9,100万円。対前年度比53億8,600万円、率で101.9%となっております。事項別内訳につきましては次のページにありますが、これは後ほど振興総務課長の方から御説明申し上げます。
 (2)が沖縄教育振興事業費ですが、内容的には公立の小学校、中学校、高等学校の校舎やプールなどの学校施設、公民館や地域スポーツセンターなどの社会教育、社会体育施設などの整備で、148億3,200万円。
 (3)が沖縄保健衛生等対策請費ですが、医師、歯科医師の派遣、それから毒蛇のハブの抗毒素や駆除対策の研究、無医地区への医師派遣、病院・診療所・保健所などの医療施設、保健衛生施設の整備で、12億4,900万円。
 (4)が沖縄農業振興費ですが、特殊病害虫でありますウリミバエ、ミカンコミバエ、イモゾウムシなどの防除のための植物防疫対策費及び含みつ糖や分みつ糖の糖業振興費で29億l,800万円。
 2番目が沖縄開発庁の予算のもう一つの大きな柱であります一般行政経費等ですが、223億4,000万円。対前年度比1億8,200万円、率で100.8%というふうになっています。
 まず最初がいわゆる戦後処理経費ですが、この中には首里城城郭等復元整備、不発弾処理対策、対馬丸遇難学童遺族特別支出金、厚生年金特例納付融資利子捕給、境界明確化の経費で8億5,400万円というふうになっています。対前年度比2億5,800万円のマイナスになっていますが、これは平成8年度単年度事業でありました八重山地域マラリア死没者の慰謝事業が終了いたします。それが3億円ありましたので、その関係でマイナスになっていますが、内容的にはマイナスというものではありません。
 (2)(3)ですが、(2)の自由貿易地域の拡充強化に関する調査費、(3)の駐留軍用地跡地利用対策関連経費は、沖縄の米軍基地の整理・統合・縮小間題及び沖縄の振興策が現下の重要課題となっていることがら、平成9年度新たに計上したものであります。(2)の自由貿易地域の拡充強化に関する調査費につきましては、沖縄の産業振興、貿易振興のため沖縄に展開する自由貿易地域の在り方、そのために必要な機能などにつきまして、海外の自由貿易地域の事例などを含めて調査するものであります。
 (3)の駐留軍用地跡地利用対策関連経費ですが、普天間飛行場を中心とした跡地利用を促連する観点がら、同飛行場や周辺の実地調査並びに資料収集などを行うとともに、跡地利用を実施するに当たって、具体的にどのような開発手法が適しているか事業主体、事業の過め方などについて調査研究するものであります。
 (4)の沖縄振興開発金融公庫補給金等経費ですが、これは後ほど御説明させていただきたいと思います。
 (5)が沖縄振興特別事業経費ですが、これは離島の特性を生かした観光・レクリエーション施設を整備して、他地域との交流を促進し、島の活性化を推進するという事業であります。施投整備としては、前年度から継続して宮古島の上野村、9年度新規として久米島の具志川村、施設整備の拡充型として、西表島の竹富町でそれぞれ観光・レクリエーション施設の整備を予定しています。
 また9年度新規にソフト事業であります離島交流推進事業として、伊平屋島で夜走るムーンライトマラソンというものがありますが、これに助成することとしております。
 (6)が沖縄振興開発計画推進調査費ですが、第3次沖縄振興開発計画の効果的椎進に必要な各種調査のための経費であります。
 (7)がその他として、人件費・事務費であります。以上合計で3,332億3,100万円というふうになっております。
甘日岩振興総務課長
 振興総務課長の廿日岩でございますが、公共事業開係費につきまして、着席いたしまして御説明申し上げます。
 平成9年度の公共事業開係費はただいま会計課長から御説明申し上げましたように、合計で2,918億9,100万円、対前年度の比率で101.9%となってございます。実は全国の公共事業問係費が101.3%、1.3%の伸びに対しまして、沖縄開発庁公共事業関係費につきましては101.9%というふうに大変配慮していただいた内容になってございます。
 主な事業につきまして、上から順に御説明申し上げたいと思います。 まず治水でございますけれども、治水の金額が161億8,700万円となっております。これは沖縄における安定的な用水供給を図るため、引き続き羽地ダム、大保ダム、億首ダム等の建設を促進するとともに、河川改修等を行うものでございます。
 それから道路でございますが、l,086億4,000万円となってございます。これは主要幹繰道路、地域振興開発関連道路、離島振興道路、郡市内道路の整備等、あるいは市街地整備等を連めるものでございますが、平成9年度はこの中で特に地域高規格道路といたしまして、北部振興に資する名護東道路の整備に着手することとしております。
 また御案内のとおり、沖縄都市モノレール事業が去る11月26日に起王式が行われた訳でございまして、本体工事に着手しておりますけれども、9年度は工事がいよいよ本格化するということで、具体的には支柱工事として約120本の支柱を建てる、あるいは駅舎3駅にも着工するという内容になってございます。
 次に港湾につきましては、327億2,800万円でございます。内容といたしましては、那覇港の内貿夕一ミナル、中城湾港の整備、平良港、石垣港の整備等を進めることといたしております。
 漁港でございます。漁港が100億3,100万円でございまして、水産業の振興のための漁港の修改築、あるいは漁港漁村総合整備事業等を進めることといたしております。
 空港のところをごらんいただきますと、34億2,400万円でございますが、この数宇は一般会計ベースでございます。実際の工事費という意味では空港整備特別会計ベースが適当かと存じますが、特別会計の歳出ベースでは139億9,900万円でございまして、内容とい たしましては、那覇空港の旅客夕一ミナル地域の統合・拡充整備、あるいは北大東等の滑走路等の整備等を引き続き進めるということにしております。 次に住宅・市街地でございますが、120億l,400万円となっておりまして、内容といたしましては公営住宅600戸、特定優良賃貸住宅200戸の建設などを行うものでございます。
 次の下氷道・環境衛生等のうち下水道が153億400万円でございまして、引き続き公共下水道、流域下水道等の整備を推進することとしております。
 環境衛生につきましては295億円となっておりまして、水道水源開発、用水供給施設の整備、上水道及び簡易水道施設の整備、廃棄物処理施設の整備を進めることとしております。 都市公園が150億1,600万円で、内容といたしましては国営沖縄記念公園海洋博覧会地区におきまして、新しい水族館が水量7,500トンという東洋一の水族館になる予定でございますが、この新水族館の本体建設に着手いたしますほか首里城地区の整備、沖縄総合運動公園等の捕助公園の整備等を進めることといたしております。
 農業農村整備につきましては405億5,400万円となっておりまして、沖縄農業の体質強化に資するため、引き続き国営かんがい排水事業として名蔵川地区、羽地大川地区、宮古地区等の事業を推進いたしますとともに、畑地基盤、生活環境等の整備を推進し、中山間総合整備事業等の促進を図ることとしております。このほか林道、工業用水等がございまして、公共事業関係費の合計が2,918億9,100万円でございます。
 なお、下から2つ目、合計のすぐ上に特別調整費というのがございます。これは9年度の公共事業関係予算の1つの特色となっておりまして、全国でもこういう特別調整費というものを新たに計上いたしております。これは複数の省庁にまたがります事業の一体化、複合化を推進するということで、プロジェクトの立ち上がりの支援を図るものでございまして、特に公共事業相互問の連携、あるいは公共事業と非公共事業との連推を堆進する上で効果があるというふうに考えております。
 公共事業の内容は以上でございます。

正田会計課長
 引き続きまして、次のページにあります「沖縄振興開発金融公庫補給金 等及び事業計画」につきまして御説明申し上げます。
 まず1が「補給金等」ですが、総額で123億6,700万円であります。内訳で、沖縄公庫の業務の円滑な運営に資するための補給金として88億3,800万円。公庫の経営基盤の強化に資するための出資金として35億2,900万円であります。
 2が「事業計画」ですが、合計は一番下にありますように2,221億円であります。
 まず(l)「貸付」ですが、産業開発資金が654億円。これは対前年度では55億円のマイナスになっていますが、電力やホテルの大型投資が一段落したということによるものであります。
 次の中小企業等資金が580億円で、これは30億円増えておりますが、沖縄には中小零細の企業が多く、これらの資金需要に対応するためのものであります。
 住宅資金が822億円であります。これも60億円の増でありますが、金利水準が依然として低い状態で椎移しているということに対応するためのものであります。
 農林漁業資金、医療資金、環境衛生資金につきましては前年度同額となっております。
 次に「出資」ですが、これは民問企業への出資として5億円で、沖縄の産業の振興開発の促進に意義が大きいものについて出資を行う予定です。沖縄都市モノレール株式会社を含みました事業枠となっております。
 平成9年度沖縄開発庁予算については以上でございます。

廿日岩振興総務課長
 もう一点付け加えさせていただきたいと思います。もう一枚表が付いてございます。「平成9年度沖縄関係経費(総表)」となってございます。
 これで沖縄開発庁以外の他省庁に計上されている沖縄関係経費につきましてもまとめてございます。ごらんいただいているとおりでございますが、先ほどまでの表と違いまして左の方の計数が平成9年度予算額、次のところが前年度当初予算額というふうになってございますが、沖縄開発庁以外の部分、一番下の欄に「除
 沖縄開発庁」の欄がございますが、l,851億9,700万円となってございます。
 内容といたしましては、特にこの中で上から2行目のところに総理本府16億8,900万円となってございます。これは沖縄の米軍墓地所在市町村懇談会の提言に基づきます事業に充てる経費として新たに総理本府に計上されたものでございます。
 特に金額の増加が著しいのが運輸省77億7,200万円の増額となってございます。これは沖縄路線に係る空港使用料の引下げに伴い滅少いたします空港整備事業の財源相当額を空港整備特別会計に繰り入れるため77億円が計上されているということによるものでございますので御説明は省略させていただきます。

沖縄振興開発特別処置法の改正等について

川村会長
 今までの御説明で何か御質問がございましたらどうぞお願いいたします。
 それでは、特にないようでございますので、続きまして、資料6の沖縄振興開発特別措置法の改正等について、襲田企画課長から説明をお願いいたします。

企画課長
 資料6でございますが、概要1枚紙でまとめておりますのでそれをベースに御説明させていただきます。
 この法律案は「沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別借置に関する律の一部を改正する法律案」ということで、要するに2つの法律の改正を1本の法律で行うものでございます。いずれも沖縄の振興開発等を一層推進するための措置でござます。
 その内容でございますが、まず沖縄振興開発特別措置怯の関係では3つございまが、第1に、本土と那覇、本土というところからはいわゆる離島地域は除きますけども、本土と那覇の聞を航行する旅客の運送の用に供される航空機に積み込まれる航機燃料に係る航空機燃料税を軽滅するというふうにしてございます。
 具体的には租税特別措置法で措置されることとなりますけれども、現行1キロリトル当たり2万6,000円となっておりますのを5分の3に軽減して1万5,600円といううにすることにしております。これは今回本土-那覇路線につきまして航空運賃の引げが行われることになりまして、その一環として航空機燃料税を軽減するものでござます。航空運賃引下げはかねてから地元から御要望があった訳でございますけれどもこの趣旨は、航空運賃を特例的に引き下げることによりまして、観光需要を喚起し、光の一層の振興を図る。これを主たる目的として行われるものでございます。
 引下げの仕組みでございますが、3つの要素がございまして、本土-那覇路線につきまして、まず空港使用料を特例として6分の1に引き下げる。
 もう一つは、航空機燃料税を特例として5分の3に引き下げる。これらによりまて、運行コストの低滅を図る。それから3つ目の要素といたしまして、需要喚起効果等踏まえながら、航空会社の理解と協力を得て引き下げる。
 この3つの要因を合わせまして、例えば、代表的な路線でございます東京-那覇聞おきましては、合計で片道4,000円程度、往復で8,000円程度運賃の引き下げを実現ようという趣旨でございます。
 なお、実施時期につきましては、所要の準備期間、これは予約販売期間などござますので、この期間を置いた後、夏期のダイヤ前から実施するということになってい訳でございます。
 次に(2)の項目でございますが、自由貿易地域内における関税法上の保税地域に係許可手数料を軽滅することができるというふうにしております。  具体的には政令で措置することとなる訳でございますが、面積に応じまして異な手数料のうち、最小区分の手数料を半減する予定でございます。
 この趣旨でございますけれども、自由貿易地域の拡充強化につきましては、県等らもさまざまな御要望をいただいている訳でございますが、当面那覇地区の活性化図っていくことが重要だということで、既に入居している企業の事業活動の支援、あるは那覇地区への企業立地の促進を図ることが必要であるということでございます。現保税地域許可手数料は面積等を基準として定められておる訳でございますけれども、低の面積区分の場合に月2万7,200円の手数料を納めるというふうになっている訳でございます。那覇地区の入居企業はいずれも小規模で面積的にもこの基準を大幅に回っているということで、かねてより保税地域許可手数料の軽滅についての御要望があた訳でございます。そこで今回これを2分の1にすると、つまり月l万3,600円とするいうことを可能ならしめる措置でございます。
 (3)の内容でございますが、沖縄の離島、この離島というのは沖振法で本島以外ので、政令で指定するものというふうになっている訳でございますが、この離島におまして新増設されたホテル、旅館等の建物等につきまして、特別償却を行うことがでることとしております。
 これも具体的には租税特別措置法で措置されることになる訳でございますけれも、例えば、特別償却率は8%となっております。この趣旨でございますけれども、離の振興は非常に重要な課題でございますが、産業的には3次産業、なかんずく観光・ゾートの振興が所得の向上、あるいは雇用の確保の面でも有効であります。そのたには宿泊施設の整備を促進する必要があるということで、旅館業の用に供する建物等いて特別償却制度を設けることにした訳でございます。
 併せて、これは地方税法の改正でございますけれども、離島における宿泊施設のに供する土地についての特別土地保有税について非課税措置も行うことにしております。
 では本島はどうかということなのですが、本島につきましては、過疎地域となっいる田町村には既に旅館業の特別償却制度が認められております。言い換えれぱ、今は週疎地域並みの措置が沖縄の離島に講じられるということでございます。
 以上、3つの措置はいずれも新規に講ずるものでございます。
 次に2番目の復帰特別借置法の関係でございますが、復帰に伴う国税関係法令の適用の特例措置のうちで、内国消費税及び関税に関する特別措置7項目の期限を平成14年5月14日まで5年延長するものでございます。
 そこに7つ書いてございますが、上の3つが内国消費税関係、下の4つが関税関係でございます。
 1は沖県産酒類に係る酒税の軽減措置でございまして、例えば、泡盛につきましては本則の65%というふうに軽減されている訳でございます。
 2が揮発油税及び地方道路税の軽減措置。
 3が料飲店用輸入ウイスキー類に係る酒税の軽滅措置でございます。
 4が製造原料品、具体的に言えば製造用のバター、脱脂粉乳でございますが、これに係る関税の滅免措置でございます。
 5が小規模企業の製造用原料品。具体的に言えばコンニャイモでございますが、これに係る関税の滅免借置。6が発電用石油に係る関税の免除。7が観光戻税制度ということなっております。
 この法律の施行期日でございますけれども、航空機燃料税の軽減措置を除きまし4月l日からというふうにいたしております。また、航空機燃料税の軽減措置はダイヤ定時期に合わせまして、7月1日からというふうにしております。現在この法案は国会提出されておりまして、衆議院は通過いたしまして、参議院で御審議をいただいている状況でございます。

川村会長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御質問がありましたらどうぞ。
 特に御質間がないようでしたら、本日は沖縄県知事も御出席でございます。せっかくの機会でございますので、ここで大田知事のごあいさつをちょうだいしたいと存じます。

大田委員
 沖縄県知事の大田でございます。本日の審議会において、第3次沖縄振興開発計両の後期展望が了承されましたが、この間2か年にわたる委員並びに沖縄開発庁の皆様の御尽力に対し、心から感謝申し上げます。
 さて、一昨年来、本県の基地問題については大きな動きがありました。その中で、昨年12月に発表されたSACOの最終報告は、おおむね本県が示した「基地返還アクションプログラム(素案)」に沿った内容となっています。しかしその大部分は県内における移設を前提としているため、本県にとって大変厳しいものがあると思っています。
 県は昨年11月、本県の21世紀に向けたグランドデザインである「国際都市形成構想」を策定したところでありますが、同構想について、橋本総理は、閣議決定の談話の中で、「21世紀の沖縄のグランドデザイン」を踏まえ、沖縄県の経済自立、雇用の確保、さらには我が国経済社会の発展に寄与する地域としての整備に全力を傾注する旨を表明されました。
 これを受けて、政府に沖縄政策協議会が設置され、また各省庁が沖縄振興策について積極的に取り紺んでいること、さらには「沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会」の提言に基づく地域振興のためのプロジェクトが調査・検討されていることなど、政府が本県の振興のために真剣に努力されていることを高く評価するものであります。
 このような本県にかかわるいろいろな動きのある中での後期展望の策定作業は各方面との調整など、大変御苦労の多い作業であったと思います。
 一方、沖縄政策協議会における沖縄振興のための協議は今後とも引き続き行われますし、各省庁の沖縄振興プロジェクトヘの取り組みもこれから本格化する段階にあります。さらに新しい全国総合開発計画も現在策定途上にあります。
 このような状況からしますと、本後期展望の策定後も、本県の振興開発にとって重大な影響を持つことがらが新たに生ずる可能性があります。つきましては、今後、本県の振興開発の在り方等に重大な影響を与えるような状況が生じた場合は、引き続き本審議会においても適切に対応していただきますことを特にお願い申し上げたいと思います。
 平成9年度は、第3次沖縄振興開発計画の後期を迎えると同時に、国際都市沖縄の形成に向けた施策や各種の沖縄振興策が実質的なスタートを切る重要な年であります。私は平成9年度を「新生沖縄の創造元年」として位置づけ、次代を担う若者にとって真に夢と希望に満ちた県づくりを目指し、このたびの後期展望も十分に踏まえつつ、県政の発展に全力を傾けて取り組んでまいる所存であります。委員の皆様方の一層の御理解と御協力を引き続きお願い申し上げて、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。

川村会長
 ありがとうございました。ただいま大田知事のごあいさつにもございましたように、3次振計の計画期間後半においても沖縄を取り巻く内外の諸情勢の変化が予想されるところでございます。このことはお手元にございます資料4の40ページの一番下段のところにございますが、この「むすぴ」の一番下のところで触れておりますところでございますが、今後、今回の後期展望に係る与件等に大きな影響を与えるような状況が生じた場合、また、沖縄振興開発のあり方等にがかわる間題につきましては、当審議会において適切に対応してまいりたいと考えておるものでございます。
 最後に、本日のこれまでの案件、あるいはその他沖縄振興開発につきましての御質間なり御意見がございましたら、改めて御開陳をいただいて結構でございます。ございましょうか。
 それでは、特に御発言がないようでございますので、これで本日の「35回沖縄振興開発審議会」を終わらせていただきたいと存じます。長時間にわたりまして御審議の御協力誠にありがとうございました。これで終わらせていただきます。