第1回PFI推進委員会合同部会 議事概要

日時 平成11年10月13日(火)16:00~18:00
場所 永田町合同庁舎5階第1会議室
出席者 西野部会長、山内部会長、奥野委員、高橋委員、前田委員、有岡専門委員、植田専門委員、鵜崎専門委員、廣實専門委員、藤井専門委員、光多専門委員、美原専門委員、宮脇専門委員、矢野専門委員、山下専門委員
事務当局 白須民間資金等活用事業推進室長、佐久間参事官、古谷企画官、清水企画官

議事概要

部会長代理指名について

事業推進部会の部会長代理には西野部会長が奥野委員を指名、また、評価基準部会の部会長代理には山内部会長が前田委員を指名。

基本方針に関する論点整理について

事務当局より資料について説明後、基本方針に関する意見交換を行った。尚、資料は審議の途中にあることから基本方針策定までの間非公表の取扱いとなった。
意見の概要は次のとおり。

  • 日本においては、暫くの間PFIの啓発と試行期間が必要と考えるが、今回策定の基本方針は試行期間を念頭に置いたものでいいのか。
  • 現実の募集要項があり、それをやや抽象化した実施方針があり、実施方針と法律をつなぐものとして基本方針があるのだと思うが、基本方針にどの程度のレベルのことを書けばいいのかの相場観を形成する一助として、実際にPFIに取り組んでいる地方公共団体の実例を集めてみてはどうか。
  • 大前提として、PFI事業の対象は、本来公共がやるべき必要性のあるものを取り上げるべき。もし民間がやらないならば、必ず公共がやるようなものであることが必要。
    民間の発案がある場合の特定事業の選定に当たっては、民間の発案内容を公表して、それより優れた代案が出てこなければ随意契約によるタイプと、発案内容の詳細を公表せずに競争させるタイプがある。
    発案の中には、知的所有権として評価するものもあろう。
    また、当該調査をした者が選定されなかった場合に、ボーリング調査結果等でかかったコストを補填しては。
  • 前提として、事業者の選定は競争によるべき。民間事業者の発案の場合もすぐ随契というのではなく、その発案をもとに競争させるべき。
    また、コストの補償ということについては、最近の事例で上位3~5社の入札コストの一部の補償を検討しているものがあるが、当該事業の実現の前提となるものであれば買い取られるなりは当然のこと。
  • もともと事業計画のある公共施設について、整備の手法としてPFIでやるということではないか。
    また、PFIにも住民参加の側面が必要であり、例えばプロジェクトボンドを住民に買ってもらうこと等もあるのでは。
  • 発案にかかった費用については、民間事業者はリスクを負ってやったのだから、事業を実施する者が必要だと思えば、市場価格で買うという整理でいいのではないか。
    なお、この点については議論した上で、基本方針で盛り込むか、ガイドライン等で触れるかを決める必要がある。
  • 民の発意には、施設整備計画の中にあるものの提案、政策としては明確だがどういう風に整備してよいかわからないものの提案、公共では発想し得ない新しい提案の3つのパターンがある。ただ、公共の政策ニーズにあうことと、全体の整備計画との整合性の観点からやるべき。
    民間事業者としては、アイデアを買って欲しいわけだが、例えば、評価の過程でプラスアルファで考えるか、あるいは事業コンペのようにアイデアは最初に買ってしまってそれからやる。テクニカルにはいろいろあるが、それはどうも実務指針になってしまう気がする。
  • 特定事業の対象として、高くて質のいいものや、公共施設等と収益施設を併設する事業はどうか。
  • PFIで何でもできるのではとの印象が先行し過ぎている。
    PFI事業の対象としては、本来公共が整備すべき分野を原則としてきちんと押さえ、基本方針で明確にすべき。
  • 基本的には、本来公共がやるべきものについて、VFMがあることが確認できたらPFIの対象とする。
    民間に任せたままだと、将来、公共負担が大きくなると見込まれるような場合までなら、従来公共がやっている事業に加えてよいのでは。
  • 官も民も施設整備しているようなもので、高価なサービスを提供するようなものは当然民間に任せる部分。
  • 公共の本来事業ではなかなかできないものをPFIでという声があり、PFI事業が打ち出の小槌のように誤解されている面もある。原則は公共がやるべきものをPFI事業でやるということ。
  • 実施主体が官か民かというだけでなく、受益者の視点も取り入れて、例えば事業者が倒れた時に公共サイドで事業の継続をしてほしいという観点から整理できるのではないか。
  • 公共がやっていることは、時代や地域によって違うので、官民の役割分担はどうあるべきかまで議論を広げるべきではない。現在公共がやっている事業で、責任をもってやれるものをPFI事業の対象とすべきではないか。
  • PFIの事業範囲についてはこの場では決められないのではないか。公共がやることに対しては、議会を通じて納税者のチェックがある。住民のニーズがあって、議会が了承しているものならよいのではないか。
  • 地方自治体にとって、PFIのように長期的に民間に事業を任せる場合、たとえ契約時に分担がはっきりしていても、事業期間終了時に、当該民間事業者の赤字を行政も負担せざるを得なくなるという懸念があるが、どうすればよいのか。
  • 契約があっても弁済できないときはできない。何でも起こり得ると考えておくべき。
  • 民の累損を公共が負担するということはない。
  • 契約をしっかりすれば、その懸念は不要。
  • 事業の確実な実施の観点から、独立会計であるべきということ、事業主体の他事業の影響を受けないようにするということの2点は重要。
  • VFMを基本方針の中でどのように表現するかが重要。その算定方法は二次的な問題。広範囲の解釈ができるように算定方法は幾つかあってよいのでは。PSCとPFIの比較以外の測定方法も有り得る。
    PSCなどの算定に当たっては、リスクの数値化と税金をどう扱うかの問題がある。
    民間事業者の募集及び選定については、なるべく自由を許容し、実施方針の策定に当たって柔軟な解釈ができるようにしてほしい。
    工事の監督・検査と、運営の適切さの管理・監督をどうするかが問題となる。前者は通常の公共事業と同様でよい。後者は、イギリスの方法をいえば、一つには、全事業期間にわたる財務予測と各期または半期ごとの財務状況の乖離のチェックによる問題の早期発見と、サービス水準そのもののモニタリングがある。
    法制上、税制上の措置については積極的に行われるべき。
    住民あっての公共サービスであり、住民参加を促す観点から公開性を明記すべき。
  • 民間が事業に参画してくるためには、施設のポテンシャルを高める付加施設と一緒の整備も必要。 あまり公共部分が小さいものもいかがかと思うが、本来公共がやっている事業にあまり限定するとVFMが出てこない。
  • VFMはひとつのキーワードとして是非入れるべき。
    PFIの範囲は、公共サービスを提供する全ての事業とすべきで、これは独占事業体である公共にとっての競争相手が想定されることで行政改革を促すためにも有効。
    国民・住民のニーズの高いものからすべき。
    独立採算とVFMは別の次元の話なので、独立採算はPFIの要件に入れるべきではない。
    民間からの発案については、行政があらかじめ前広に公共サービスの提供計画を公表することが大切。また、発案のすべてをとりあげるか否かの考え方だが、発案の内容について一つ一つVFMを確認し、公表するのは実務上不可能なので、最低限発案があったことを定期的に公表するなど、工夫が必要。
    実施方針の公表時点では、なぜ公共サイドはその事業をPFIとするのか、選定に当たって何を評価の基準にするかを、アカウンタビリティを尽くすよう説明することが必要。
    事業者の選定基準は、実施方針で明確にすべきで、基本方針ではあまり制約しない方がよい。
    民間に不当にリスクを負わせないよう、最も適切にリスク管理できるものがそのリスクを負担するという原則を明らかにすることが重要。
    民間の法的・経済的地位が事業期間中安定的に確保されることも重要。
    その他の観点では、コンペ参加者のうち上位落選者には一部でも入札コストを補償することが有益。
    事業契約を徹底するため、契約後の行政側の都合による追加仕様はなしとすることが重要。
  • まず、関係者に契約は実行するんだという意識が徹底し、契約の変更をしない、契約にないことはやらないこととすれば、PFI事業はきちんとできる。契約の内容は、長期継続契約なので、どうしても決められないことが発生する。これまでの官民共同事業では紛争解決について協議事項が多過ぎてワークしないことがあったので、契約の作成にあたっては実務上のかなりの努力が必要。
  • しばらくは試行的段階という点に鑑みると、地方公共団体にとって随意契約という選択肢も必要。
    また、契約をしてもそれを実行できるかは別問題で、どうやって契約の実効性を担保するかが重要。
    PFI事業の法的位置づけに加え、PFI事業により形成された資産の法的位置付けが問題。
  • 性能発注が重要。それで民が提案し、公共がVFMを確かめるというのが基本。
    リスクの定量化については、統計的手法を使う前提となる必要な情報の公開という観点も必要。
    また、オーストラリアではcompetitive neutrality policyといって、VFM算定の際に、官民のコスト比較に際しては、税金、低利融資、配当などの条件を等しくしている。日本でも考えるべきではないか。
  • 監視、監督に市場機能の活用を図ることを盛り込んでは。
  • 次回の討議資料を作成に当たっては、事務当局の方で工夫してほしい。

(事務当局)次回の部会において、たたき台とまではいかないが、本日の議論を踏まえた論点を示し、ご議論をいただくこととしたい。

○次回の合同部会について

10月19日(火)10時から、本日と同じ会場で開催。

以上

(速報のため事後修正の可能性があります)

問合せ先
内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
TEL03-3502-7319、03-3502-7346