第4回PFI推進委員会合同部会 議事概要
日時 | 平成12年4月21日(金)13:00~17:10 |
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場所 | 永田町合同庁舎5階第一会議室 |
出席者 | 西野部会長、山内部会長、奥野委員、小幡委員、高橋委員、有岡専門委員、伊藤専門委員、植田専門委員、廣實専門委員、光多専門委員、美原専門委員、矢野専門委員、山下専門委員 |
ヒアリング陳述人 | 【東京都】小山水道局総務部主計課長、渡辺水道局総務部主計課課務担当係長、【(株)荏原製作所】大谷エンジニアリング事業本部企画調査室長取締役、竹内エンジニアリング事業本部総合事業統括総合システム技術センターシステム計画室長 |
事務当局 | 白須民間資金等活用事業推進室長、阿部参事官、古谷企画官、清水企画官 |
議事概要
ガイドラインについてのヒアリング
東京都より資料1に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料1のうち、一部については、ガイドラインの検討状況に照らし適切な時点に公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。
【説明事項】
- <金町浄水場常用発電モデル事業の概要>
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- 事業の目的
- PFI的手法を導入した理由
- 方針決定から事業開始までの流れ
- 実施にあたり重視した事項
- <モデル事業における対応>
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- VFMの算定
- リスクの分担
- 事業者の選定
- 契約の内容
- <ガイドライン策定上の留意点>
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- 評価基準の客観性の向上に関する事項
- 協定等において規定すべき事項
- その他
【質疑】
- 結果としてVFMが出たとの話だが、人件費が節約されたためか、主に何が原因と考えているか。
- (東京都)イニシャルコスト、ランニングコスト両面あるが、イニシャルコストはあまり大きくなく、ランニングコストの中で、もう1系統の東京電力の昼夜間電気料金差を考慮した運転方法の工夫等により特に原材料費が大きく縮減される提案になっている。人件費は、単価は都職員より安く、人数は直営より多い設定となっている。
- 民間の提案が出る前のVFM試算は、どのようにしたのか。
- (東京都)PFIのケースは、設備の専門業者に見積りをとったり、ヒアリングをしたりして、設計、建設、運営を一括して任せた場合のコストを試算した。一方で東村山浄水場の直営の場合の実績値を規模に応じてスケールアップして試算し、PFIと比較した。
- ①リスク移転がVFMにとって大事と思うが、建設、運営段階のリスク移転でそれぞれ重要なものは何か。②一次審査はどういう基準で行われたのか。③民間事業者の選定の結果、評価の内容等の公表のタイミングについてどう考えるか。④事業の監視をどうやるのか。⑤東京都と金融機関の契約は公表しうるものか。⑥最低購入量保証について法的にできない理由はあるのか。
- (東京都)①これまで曖昧であった部分をはっきりさせ合理的にリスク分担を定めたもので、リスクを移転させたという意識は強くはない。②20年間の提案に民間事業者も慣れていなかったためか、つじつまの合わない提案、条件を満たさない技術提案などがあり、そうした提案は落とした。③本件では、最終的な審査結果は予定者として即公表した。ただ、落選者の提示金額等は企業の経営ノウハウを勘案し公表しなかった。④事業の進捗内容の報告と、1年1回都が施設の能力検査を行うこととしている。⑤金融機関と決着していないので、取扱いは未定の状態。⑥法令上の規定は別にないと思う。本件では、発電規模が必要電力の1/2程度であり、実質、相当量の電力を購入するので問題ないと考える。
- 都がどれ程をPFI事業者から購入し、どれ程を東京電力から購入するかはどのように決まるのか。PFI事業者が勝手に決めて、発電してよいのか。
- (東京都)運転の基本パターンは契約で決まっている。双方協議で変更は可能である。
- 水の使用量は昨今減らしていく方向であると思うが、将来的に使用電力も減る可能性もあり、PFI事業者にしわ寄せがいかないようどう考えているのか。
- (東京都)固定費見合いの基本料金は支払い続けるので、量に対応する分で多少利益が動くかもしれないが、事業者の資金ショートはないと思う。また協議会の協議等により契約条項に基づいて契約を変更することもあり得る。なお将来都の大きな政策変更があれば損害賠償金を支払う契約としている。
- 環境アセスメントは官民どちらがやることになっているのか。
- (東京都)今回の事業規模からは法令の対象外であったので、環境アセスはやっていない。ただし、環境対策は事業者に講じてもらうことになっている。
- 契約書を見たところ、東京都が場所を提供すること或いは場所の使用を許可することを定めた条項はないようだが、これで民間事業者が安心して20年間事業を営めるとお考えか。
- (東京都)電力供給という役務の提供を求める契約になっているので、お尋ねの趣旨にぴったり合う条項はないが、事業者とはこれで契約している。
- 資料で説明されているリスクの分担に係る一覧は最終予定者と契約交渉した結果か、それとも選定前に都の方で考えていたものか。
- (東京都)最終予定者と契約交渉した結果を表示したものである。
- リスクを価格換算した上でVFM試算をしたと思うが、官から民へのリスク移転の度合いが、交渉で当初想定と変わることがあるが、どうか。
- (東京都)当初民間からどの程度の提案がでるか分からないわけで、VFMがなければ、最も安い入札者でも事業予定者になるわけではないことを事業者に説明していた。
- 当初提案を受ける前には、全ての事業者案がPSCを超え落札者なしという結果も想定されるわけだが、この点についてはどうか。
- (東京都)そういう可能性はある。今後、提案しやすくするために、負担を軽減する措置はあり得るだろう。
- 質問は多数あったようだが、どういうものが多く、代表的であるか、まとめたものはあるか。
- (東京都)質問は、技術的なことが多かったのではないかと思う。
- ①20年間分のコスト比較は現在価値化したものか。②資本コストの前提条件は。③この事業をしない場合に都が東京電力に負担するコストとの比較はしたのか。④債務負担行為を設定していないが、行政的にどう位置づけたのか。⑤金融機関との取り決めを検討中とのことだが、例えば事業者代替は都が拒否したのか。そうするとその背景、考え方は。
- (東京都)①現在価値化して比較している。②直営でやる場合は起債で当時の地方債の平均金利で、事業者の場合は市中金利で試算している。③総経費253億は東京電力、PFI事業者双方への負担を合算して最も安かったものである。④電気、ガス、水道の長期継続契約は債務負担行為の例外になっており、今回はそれに準ずるものと考えている。⑤金融機関とは最終的な合意になっていない。
- ①VFM算出の際、国税、地方税をどのように計算したか。また、補助金、地方交付税が仮にあったとすればどう計算すべきとお考えか。②リスクについて、不可抗力の具体的な中身を提示したのか。③維持管理期間は保険を設定するようだが、設計建設段階での保険、履行補償は考えなかったのか。
- (東京都)①事業者は現行税制の中で負担すべき税金を負担するということで比較している。水道事業には地方交付税がないので仮にある場合と言われてもピンとこない。国が見るべきものがあれば同様に扱われるべきなのかなと思う。②不可抗力については契約書第26条の2第3項で例示している。また都市ガスの供給は本事業に不可欠であるので、その停止も責めによらない不可抗力と同様に見ることとしている。③建設段階の保険は指定していない。
(株)荏原製作所より資料2に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。 なお、資料2は、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインの検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。
【説明事項(順不同)】
- <VFMに関連して>
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- システムノウハウの評価、活用
- 環境貢献の評価
- 建設コストと性能発注
- <リスク分担に関連して>
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- 廃棄物処理事業における代表的なリスク等
【質疑】
- 公共がやるときより民間がやるときは施設水準を下げられるからVFMがあるという説明があったが、それはVFMの意味が若干違うのかなと感じる。公共が別途地元対策でコスト負担したら、トータルでVFMはどうなるのか。
また、産業廃棄物は民間が自分の責任で処理すべきものであり、ごみ処理量の安定化のため産廃を一般廃棄物と一緒に公がやる性格のものなのか。 - (荏原製作所)立派な外見の一般廃棄物処理施設を作るか、住民が本当に求めている住民へ還元するための施設、装置等が何かは、民間側が知恵を絞って提案できるものではないかと考えている。またちょっとした設計の知恵でかなり安くできる工夫があることを言いたかった。
産廃処理は確かに民間の責任でやるものだが、最近、適正な産業廃棄物処理をするため公共が支援、関与をする方向になってきているのではないか。 - PFIの外で稼ぐことによって中が安くなるのがいいのではないかという発想が一つあり、産廃処理は民間の資金でやり、一廃処理の分だけ公共が払って、その分安くなるというのはVFMに関係するのではないか。
- 廃棄物処理で自治体と話をしていると、住民合意を含めて全部民間でリスクをとれないかという発想する人も多いと思うが、官のリスク分担についての理解の程度は一般的にはどうか。
- (荏原製作所)住民合意も含めてワンセットでやってほしいという公共側の希望はあるが、事業者側が住民合意をとるというのは計算できるようなリスクではない。
自治体が一番苦労しているのは住民合意をとることで、そのために民では提示できない条件もあり、自治体も、PFIであっても住民合意は官がやるしかないということは理解している。 - 環境貢献の評価をどの範囲でVFMに取り入れるのか。地球環境にはいいが、その地域環境にはマイナスということもあり、どう考えるのがよいと思うか。
- 環境貢献の評価は外部効果であるが、通常、VFMを計るのは直接効果でやる。廃棄物処理では環境が重要なので、環境貢献をVFMに取り入れるという提案であると思うが、VFMに外部効果を取り込んでいくと、いろいろなものがでてくるし、プラスもあればマイナスもあり、かなり難しいのではないか。
- (荏原製作所)当該地域の環境負荷が増えることは間違いなく、環境貢献は地球環境的な貢献で、地域環境などとトレードオフの関係にある部分もある。提起したのは、一定の環境負荷を地域が負うのは事実なので、それへの対応で統合評価化というようなものを確立してほしいということ。
- 広域処理したとき、個々の市町村のVFMはどうなるか。出すだけのところと住民対策までしなければならないところがでるがどう考えるか。小さい自治体が大きな自治体の分まで廃棄物処理を引き受けて、その見返りとか、自分の処理はただにするというような仕組みは日本では考えていないか。
- (荏原製作所)後者は、首長によってはそうしたいというところもあるが、通常の広域組合の形態では、人口の多いところが資金をたくさん出しているので発言権が大きく、実際には大きなところと小さいところの境目あたりに作ることが多い。
- PFI以前に問題になっている問題は、PFIで解決できないのであって、そこがいろいろな議論の中で混乱しているのでは。システムノウハウの提案をVFMの構成要素としていれる、あるいは加点するという考え方は、違うのではないか。
- (荏原製作所)システムノウハウに加点というのは、アイデア募集的な公募で公共に民間提案のいいとこどりをされ、その上で価格勝負とされるのでは提案した民間企業には意味がない、何らかの加点をしてほしいということ。むしろ、性能発注という言い方よりも一歩進んだ機能発注のようなものが望ましい。
- アイデアを全部オープンにして競争するような話になっているが、そうではないのでは。トンいくらで引き取れるかの一言で競争すれば、本当にいい案をもっていれば最も安くごみを引き取れるということになり、それがPFIの原点ではないか。
- (荏原製作所)そういう発注は、今の性能発注をもう一段超えた発注ではないかと思う。
- 知的所有権みたいなものがはっきりしていれば問題ない。諸外国の入札のように交渉するなら、その段階で他者の提案ができ、それが特許などで守られていれば金が払われることになる。加点するのか、知的所有権の利用料を払うのか、無視するのかという問題提起として聞かせていただく。
- システムノウハウというのは、民発意の価値を認めてほしいということだろうが、VFMとは関係ないのではないか。民発意の価値の評価上の問題をVFMと一体化するのは問題ではないか。
- (荏原製作所)自由度を高めてコストとサービスの両方から評価して、最終的に最も効率のいいやり方にするためには、民の発意を認める範囲をずっと広げていただきたい。提案募集の後、条件をそろえてもう1回入札をするというようなやり方ではないようにしてもらいたいという切実な気持ちである。
- 環境貢献は、PFIだから入れるという話ではなくて、直営でやろうが同じ話で、PFIの問題としてではなく、廃棄物の問題としての問題提起であろうと思うが。
- (荏原製作所)確かに同じである。ただPFIでは、これまでの公設公営の官発注の物件よりも、フレキシビリティが非常に広くなるということから、こういう評価項目が入ってくるのではないかなと。
- システムノウハウというのは、官でやった場合と民でやった場合を比べて、システムノウハウがある者はコストに反映されるので、よりVFMが出るからその者がやった方がいいということになるとの理解でよろしいか。
環境貢献というのはサービス水準があがるということと、だからコストパフォーマンスがあがるとみて評価してくれとの理解でよろしいか。 - (荏原製作所)環境貢献については、コストだけで勝負すると、見た目安いが環境に大きな負荷をかけるシステムがあり、これからの評価には加えないといけないのではないかと考えている。
- PFIで多少裁量があれば、何をもって安いと考えるかどうかは、自治体が判断する問題ではないか。
- システムノウハウはVFMで論議する内容ではないと思う。ただ、評価と全体のプロセスの問題として重要ではないか。全くシステムが違うものでの競争ということとなって、どうしても一度仕切り直しが必要となる場合には、システムノウハウを評価の段階で加えるのが正しいのではないかと思う。
- 現状で解決できないことをPFIに持ち込もうとする流れがあるが、PFIは万能ではない。公設公営、公設民営、PFIとあって、PFIにすれば民間の経営ノウハウがあって、公設公営、公設民営よりコストが削減され地域貢献がなされると考えるのが原点。リスク分担のVFMへの影響の点から、民間が経営的にとってはいけないリスク、公共部門でしか取れないリスクがある。PFIだから、公共から民間に全部リスクを分担させるというのは間違いである。リスク移転で無理をし、そのために出てくるコストをカバーしようとまた無理なリスクを負うようなものは民間の経営としてなじまないのではないか。民間は無理なリスク移転をプロポーザルするのではなく、公共に対し公が取るべきリスクはとってほしいと明確に言う必要がある。リスクという観点からすると、廃棄物処理はPFIになじまないかもしれない。
- 一般廃棄物が減量した場合、爆発物混入等のリスクは、どのように分担するのがよいと考えるか。金利変動リスクも日本国内でだけ資金を調達すればよいような案件、海外からも調達しなければならないような案件で、リスクの分担が異なるような気もするが。
- (荏原製作所)用地とかの住民合意は民がやりようがないが、建設、運営では、官がとっていたリスクが原則として民に移るのではないか。爆発物も、収集は官だがゴミピットに入った後は民が責任をもって処分するという考え。
ごみの減量化については、税金を使って普及啓発をして住民が努力して減量した結果がごみ処理費の減になって現れるので、それを民の努力で収入減を補えないかということで併せ産廃処理の提案となっている。 - プロジェクトファイナンスでも、金利変動リスクはマネージが簡単だということで、10年以内であればコストも確定できるので、よほど弱い事業体でなければ、マネージャブルである。
経験上、廃棄物処理は、プロジェクトファイナンスでは、最も難しい部類に入る。米国の例でも、民間でとれると考えていたリスクがとれなかったことが非常に多い。住民合意リスクは民間は全くとれないし、ごみの安定供給、品質の問題からオペレーションが不安定になるというところが大きな問題。ごみの供給と品質については公共がリスクをとらないと失敗した例が多くあったと思う。また、リーガルリスクが大きく、その相当部分は公共が持たないとこの種の事業は難しいというのが普通だったと思う。
ヒアリング対象者の公募について、資料3に基づき西野部会長より報告。
次回の民間資金等活用事業推進委員会合同部会について
5月12日(金)午後1時~5時 永田町合同庁舎にて開催予定。
以上
(速報のため事後修正の可能性があります)
- 問合せ先
- 内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
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