第5回PFI推進委員会合同部会 議事概要
日時 | 平成12年5月12日(金)13:00~17:25 |
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場所 | 永田町合同庁舎5階第一会議室 |
出席者 | 西野部会長、山内部会長、奥野委員、小幡委員、高橋委員、前田委員、岡専門委員、植田専門委員、鵜崎専門委員、廣實専門委員、光多専門委員、美原専門委員、矢野専門委員、山下専門委員 |
ヒアリング陳述人 | 【三重県】平田地域振興部副参事、河合地域振興部主査、【神奈川県】古谷総務部財産管理課リース・PFI担当課長、【三井物産】中村開発建設部国際建設・PFI事業室室長 |
関係機関出席者 | 大石政策企画官(建設省)、杉浦課長補佐(通産省)、座間公共住宅事業調整官(建設省)、満田企画官(自治省)、森専門官(運輸省)、小林技監(千葉県)、小山課長(東京都)、古谷課長(神奈川県)、三上次長(千葉市) |
事務当局 | 白須民間資金等活用事業推進室長、阿部参事官、古谷企画官、清水企画官 |
議事概要
関係機関出席者の紹介
ガイドラインについての検討を進めるに当たり、公共部門における実務上の経験者の意見、知識を吸収するため、関係省庁、地方自治体の職員が参考人的立場で合同部会等に出席することとなった「関係機関出席者」9名について紹介があった。
ガイドラインについてのヒアリング
三重県より資料1に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
【説明事項】
- <東紀州交流拠点施設整備事業について>
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- 東紀州交流拠点施設整備事業の概要
- 公募の二段階方式(第1段階:民活化可能調査、第2段階:二次公募。二次公募への応募が民活化可能調査への参画条件)
- 事業化に向けての課題
- 市場調査
- 市場調査を踏まえての課題
- 事業展開上の課題
- 今後の進め方
- PFIを進めるにあたっての所感
【質疑】
- ①紀南の事業のIRR(内部収益率)がかなり低いという話があったが、事業を進める意味をどう考えるか。②PFI手法でやるかどうかという議論よりもむしろそれ以前の計画段階での議論に大きな意味があったと感じるが、どう考えるか。③120億円の事業をPFIでやるとしたらコスト上どの程度のベネフィットを得ると考えているか。
- (三重県)①紀南事業についてIRRは2~4%との調査結果で、不安があったので、事業を組み立て直しているのが現段階。②民活化可能調査の数値の見直し、事業の組み立て直し、その中で工事費、公共の初期負担を見直した。その結果、工事費120億円、うち公共負担が100億円であれば民間が参入するのではと考えている。③現在類似の事業等を見ながら、公共でやればこう、民でやればこうと検討している段階である。
- 事業のアイデアは県で立てたものか。また、この事業はPFIでやれないなら止めるとも受けとれたが、地域振興という目的をもった事業との関係はどうなるのか。
- (三重県)アイデアは地元住民からの要望に基づいている。基本的には地域振興策で必ずやりたいと思っており、業者の応募がない場合は、事業をやめるのではなく、見直すことになろう。
- 事業をやると決めて、公共がやるか、民に任せるかをVFMから見るのがPFI検討だが、最初から民がやると決めていることをどう考えるか。事業をやるかどうかについてはフィージビリティ・スタディなどをやるが、それに関係した企業は事業参画資格がないのが普通だが、この事業ではそうなっておらず、どう考えるか。
- (三重県)経緯上、事業検討が進んだ段階でPFIを取り入れるということになったことから生じているもの。また、一般的にコンサルタントの数値は発注者の意向を踏まえたものになりがちであることから、参画する意志のある者に調査をさせたのは、責任を持ってもらうがための措置である。なお、公的な機関で需要リスクとかを見る官側のコンサルタントがあればありがたいが。
- 官側のコンサルタントが県の意向に沿わない場合どう考えるのか。
- (三重県)官側のコンサルタントの意見は重要視され事業の見直しに戻ってくるのでは。
- 本件の事業者の選定の際の行政4名、民間3名という審査員の構成については、何か考えがあったのか。
- (三重県)官民の数はあまり意識していなかった。ただ、今後の2次公募の際の審査員構成は、民5、官4を考えている。
- 自分の外国経験では、世界銀行等では、民間コンサルタントを使うが、コンサルタントの数値、技術を評価する有識者グループを別に作りチェックさせて、その上で最終判断は発注者が行っている。
神奈川県より資料2に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料2のうち、(1)「PFI事業の推進について」については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインの検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。また、同(3)「8.VFM評価について(詳細版)」、「9.条件規定書(案)の概要」、「10.条件規定書(案)」、「11.条件規定書(案)への意見について」は、神奈川県においても非公開資料であるので、当部会としても非公開の取扱いとなった。
【説明事項】
- <神奈川県におけるPFIの取組み>
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- 本県における民間資金活用の必要性について
- 庁内推進体制について
- PFIの活用についての考え方について
- 県立保健医療福祉大学(仮称)におけるPFI手法での整備について
- 今後予定している事業
- <手続を進めるに当たっての課題>
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- VFMの算定関係について
- リスク分担について
- 特定事業の選定、民間事業者の選定に関する公表について 等
【質疑】
- ①県立保健医療福祉大学のPSC算定の維持管理料については、地方債の償還担当など庁内の関係部署の人件費を全て含めているのか。②福祉大学の場合には交渉をしているが、その結果としてリスク移転等による価格の変更もあり得るのか。③衛生研究所では総合評価一般競争入札とのことだが、交渉を念頭にして、その結果の価格変更を考えているのか。
- (神奈川県)①全て含まれている。②他の企業との公平性を保つため、価格変更もリスク分担の変更も考えていない。③総合評価一般競争入札では、優先交渉権者と次順位者の選定ができないことや、事後の交渉はないというのが一般的な考え方であり、事前の交渉は可能だが、アイディアを出しても全員同条件で入札するとなるとアイディアが得られにくくなる。PFIの入札としてどういうやり方ができるか検討中。
- ①基本協定を結んだ後、議会を通らない等何らかの理由で本契約できない場合の補償はどうなっているのか。②提案の維持管理費とPSCのそれを比較した場合どうなっていたか。
- (神奈川県)①議会を通らない場合でも双方に債権債務が発生しないという項目を基本協定に入れることにしている。②建設費と維持管理費を全部合算してVFMをみており、参加した7事業者全ての提案においてVFMが出た。
- 大学の不可抗力のリスク分担については、引き渡し前なら損害額のうち施設代金の100分の1までを事業者、それを超える範囲を県が負うというように、県と事業者両方が負う形になっており、このような民間の負担を有限とする仕組みは実効的と思うが、どのように考えたのか。
- (神奈川県)最初の案件ということもあり、事業としてうまく成り立たせていくため、民間への過度なリスク移転を避けた。一般的な公共事業約款でも民のリスク分担は1%となっており、それを根拠とした。
- VFMを計る際のリスク移転部分の算出に、発生確率をシミュレーションして出してそれでウェートづけする方法が考えられるが、それは行ったか。
- (神奈川県)いくつかのリスクについて確率を計算しているが、全体としてはそのやり方は行っていない。リスクをどのように定量化するかは非常に難しく、モデル的に示してもらえるとありがたいが。
- 事業を類型化して、その場合のあるリスクについてはこの位というものは、経験からみて作れるものか。
- (神奈川県)今我々が持っているデータではできない。
- 事業者からの提案が出て初めてVFMが確認できるので、事前のVFMテストに大きな労力をかけるのは合理的でないと思う。性能発注ということだが、施設の4万m2というのは規定されたのか。
- (神奈川県)事前のVFMテストに大きな労力をかけなくてすめば、それに越したことはない。4万m2は、我々が必要施設から想定で積み上げた数字で、募集に際しては、4万m2以下での提案を求め、提案はほとんど上限を使った提案であった。
- 福祉大学の審査は2段階でやられており、第1段階で性能、技術の評価をして3社に絞っているが、基本方針にあるように定量的評価を重視することとすると、それが一番はっきりするコストに関しては3社以外は評価されず終いになっているが、どのように考えたのか。また3社に絞った後、最後に投票という形で定性性が出てきているが、これについてはどうか。
- (神奈川県)大学という性格から金銭で計れない性能、機能面についてある程度細分化した百何十項目につき点数化した審査を行い上位のものをまず選んでからVFM、コストをみた。コストとどのようにリンクさせるかは審査会でも議論になった。いろいろなやり方があり得ると思うが、総合評価という点では今回の選定方法も一つの考え方だと思っている。別の選定方法も考え方としてはあると思う。
三井物産(株)より資料3に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料3は、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインの検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。
【説明事項】
- <事業例紹介>
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- ロンドン Docklands Light Railway 延伸事業について
- 当該事業において特に重視された事項
- 具体的に特に留意した事項
- <ガイドライン策定に当たって>
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- VFMについて
- リスク分担について
- 特定事業の選定、民間事業者選定に関する公表について
- 協定等について 等
【質疑】
- 参加された英国ドックランドのケースにおいて、①4グループに絞り込む前の審査においてはどの程度の資料を出したか。②PSCの計算については分かっていたか。③本事業の資本金は12.5億ポンドであるが、事業規模との比較でこの金額となった主な理由は何か。④交付金があるが、この支払い時点はいつか。⑤発注者側のリスク負担の原則が分かるか。
- (三井物産)①数ページの資料でメンバー各社の類似分野での経験や計画の概要を示し、他には各社の会社概要、財務内容を提出した。②PSC等も見てVFMをチェックしたと聞いているが、我々は発注者から直接には一切聞かされていない。③このような需要リスクが伴う事業では3割位の資本金を入れるのが常識的かと思うが、本件では公的セクターからの交付金があり、これを出資金に準じて評価してもらっている。最近ではエクイティの意味は薄くなっていて、5%に満たないケースもあるのでは。④交付金は出来高払いで全額を建設完工までにもらった。⑤他事例の契約を見たわけではないが、交渉事であり、かなりばらばらではなかろうかと考えている。
- 英国での選定までのスケジュール、どの位の余裕を見ながらやっているのかを教えてほしい。
- (三井物産)本件は94年に最初の事前資格審査の手続が始まったが、EUのルールに適合していないのではないかとのことで、95年にやり直した。96年初頭に入札、同4月に契約予定であったが、交渉が長引き同10月に契約した。
- ①本件では、運行数年後からは、出資会社所有の株式や融資銀行の債権を売却できるということだが、事業の安定性を損なうのではないかとの見方があるがどう考えるか。②SPCの財務部長や役員は出資者から派遣されているのか。③社債の格付けAを取得しているが、そのために必要なリスク分担の原則があるのではないか。④格付会社が登場した時点はいつか。
- (三井物産)①出資株の売却に際しては、その株主の持ち株比率が低下又はなくなっても事業に支障がないことのスクリーニングを前提としている。②建設中は、出資会社から社長が出ていたが、運行後は、グループの外からの社長になっている。③格付け取得にはある条件を満たさなければという部分はあるが、リスク分担はかなりが交渉事であり、特に細かい事柄についてばらばらという印象がある。④契約条件が固まって、正式に社債を発行する段階でとっている。
- 本件は、総事業費と総延長を伺うとキロ100億円を超えているので、ものすごく採算が悪いと思うが、アベイラビリティ・フィーの収入割合はどれくらいか。
- (三井物産)開業後8年間はアベイラビリティ・フィーをかなり高い割合でもらい、9年目以降は全額ユーセッジ・フィーでよいという提案をした。この鉄道は、再開発のために必要不可欠な公共の足として作られており70年の開業以来赤字が続いているが、今回の延伸工事によって赤字の改善度合いが向上するはずで、その改善部分が貢献度ということでユーセッジ・フィーをいただくことになっている。
- ①入札は第1段階から第3段階まであるが、第2段階で技術やファイナンスを含めたフルドキュメントを出して、審査側ははじめは技術だけを見て、4者を2者にし、その後ファイナンスも全部含めて審査し優先交渉権者が決まるという理解でよいか。②第2段階の事業者の絞り込み時点では8割程度の書類で、絞り込まれた2者がはじめてフルドキュメントを出すという例を知っているか。またあり得るか。
- (三井物産)①パッケージとして分けて出しているが、第2段階で厳密に技術だけを見ているというよりはファイナンスも見ている可能性は高いと思う。②そういうふうにはなっていないと思う。
- ①本件は既存の鉄道の延長工事であるため、技術評価といってもそれは難しい面があると思う。また、不自然な気がするが、それに値する何かがあったのか。②詳細設計をやっていない段階で、かつボーリング結果もあまりないと思うが、建設会社の過去の経験等で評価されたのか。
- (三井物産)①地盤が悪いテムズ川の下や、古い建物の下を通るトンネル工事があり、技術的競争の部分があった。②発注者側でボーリングは相当やっており、資料は自由に閲覧できた。
- 事業者選定のプロセスの中で4者残り、最終の提案書を出したということだが、その段階で評価基準、配点は提示されていたのか。
- (三井物産)具体的なウェートづけ等は示されていない。あくまでも全体を見てという漠然としたものであった。
次回の民間資金等活用事業推進委員会合同部会について
5月19日(金)午後1時~5時に開催予定。
以上
(速報のため事後修正の可能性があります)
- 問合せ先
- 内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
TEL03-3502-7319、03-3502-7346