第6回PFI推進委員会合同部会 議事概要

日時 平成12年5月19日(金)13:00~17:36
場所 総理府地下講堂
出席者 西野部会長、山内部会長、奥野委員、小幡委員、高橋委員、前田委員、伊藤専門委員、植田専門委員、廣實専門委員、光多専門委員、美原専門委員、宮脇専門委員、矢野専門委員、山下専門委員
ヒアリング陳述人 【横浜市】石原企画局プロジェクト推進室プロジェクト推進課長、【石川島播磨重工業(株)】上山ガスタービン事業部営業部長、【電源開発(株)】坂梨新事業開発部副部長、【(株)大林組】磯崎建築事業本部PFI推進部副部長
関係機関出席者 大石政策企画官(建設省)、杉浦課長補佐(通商産業省)、松本公共住宅事業調整官(建設省)、満田企画官(自治省)、小林技監(千葉県)、小山課長(東京都)、古谷課長(神奈川県)、三上次長(千葉市)
事務当局 白須民間資金等活用事業推進室長、阿部参事官、古谷企画官、清水企画官

議事概要

ガイドラインについてのヒアリング

横浜市より資料1に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料1のうちモデル事業についての詳細資料は、横浜市においても非公開資料であるので、当部会としても非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

  • 横浜市におけるPFIの検討状況
  • モデル事業における検討
  • PFI事業実施に向けての課題

【質疑】

  • ①焼却灰の資源化事業について、技術的な変化により違う技術が主流になった場合、その度契約変更をしたのでは民間事業者は困るので一工夫必要では。②地域情報ネットワーク事業をPFIでやるメリットは何か。
  • (横浜市)①20年間で技術開発は進むだろうが、マイナーチェンジの範囲内なら契約変更は可能と思っている。全く革新的な技術が出た場合の対応は現時点では根本的な回答はないと思う。②社会経済状況が変わるにつれて公共事業の在り方はレベルアップして変わっていくと考え、情報化による新たな広聴・広報システムとコミュニティづくりが新しい公共事業の在り方としてどうかと考えたもの。
  • ①焼却灰の事例での試算では公設民営と比べているが、比較対象として公設公営は考えるべきではないのか。②同じ事例の施設設備費でPFI方式と公設民営とで異なっているのはどういう理由か。
  • (横浜市)①公設公営は非効率であり、少なくとも公設民営で比較すべきと考えており、対象から除いている。②公設と民設とでは仕様が異なり、公設仕様では見学者対策費用もつくので高くなる。
  • 外国ではスペックは同じという条件で比較するのが原則なので、公設民営と比較するという今の話は不自然に聞こえる。
  • VFMを算定する際のリスクの数値化については、データがない状況なので、小規模で低リスクの事業においては、例えば何%というように一定の数値を暫定的に設定して見直していく。一方、大規模で複雑な事業では、さらにその精度を高める等で対処してはどうかと考えるが、どう思うか。
  • (横浜市) 事業規模で区分するよりも、行政需要のクオリティーが複雑で高いものほどリスクに関する官民分担を繊細にやっておくというような判断の仕方では。
  • 焼却灰の事例ではやはり公設公営と比較すべきと思う。ところで地域情報化ネットワーク事業をPFIで行うという御提案では、コンテンツが重要なので、一定の行政部分まで民間に任せた方が効率がよくなるのでは。
  • (横浜市) 一定の行政部分をとの指摘は個人的にはその通りだと思うが、現実にはなかなかそうもいかない状況である。
  • ①横浜市はこれまで様々な民活事業方式をやってきたが、PFIについては少し立ち止まっている感を受けたが。②公園事業をPFIでやるという御提案は民間の独立採算か。
  • (横浜市)①大規模なものはこれまで民活等で工夫してきたが、その他の通常の事業においてはPFIに比べ簡便なやり方で施設整備をしてきており、PFI手法の採用に動いている状況ではまだない。②公園の事例は、市がサービス料金を支払うから成り立つもの。
  • PFIとの比較対象としては、公でやる場合もある程度合理的な仕様でやるという仮定をおいて同じ条件で比較しないと意味がないのでは。
  • ①横浜市では、東京都のように企業会計を導入してPSCなどの計算に役立つコストデータを把握することを予定されているか。②VFMの計算においては直接的なコストを考慮することが通例だが、社会的なコストを考慮することをどう考えるか。③廃棄物の事例では、保険会社も入れて建設或いは運営段階の履行保証も想定されているか。④公園の事例では、固定資産税の取扱いをどのようにしたか。
  • (横浜市)①企業会計はとっていない。②今回の検討では社会的コストは考慮していない。取り入れるべきだとは思う。③即答しかねる。④営利施設は固定資産税を払うという前提。
  • ①公園の事例の試算は、公営方式とPFI方式とで規模等を同じようにしてすべきでは。②PFIのモデル事業の選定の際、一般的な公共事業で行うという選択肢は考慮しなかったのか。
  • (横浜市)①公営と同じコンセプトでPFIを算定しても意味がないと考えており、違うものになるだろうとの前提で試算した。②一般的な公共事業も俎上にのせて検討した。40から20に絞り、最終的に3に絞ったもの。

石川島播磨重工業㈱、電源開発㈱より資料2に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料2については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

  • 金町浄水場常用発電設備PFIモデル事業の概要
  • 当該事業に関する諸契約に係る特徴と論点

【質疑】

  • 事業契約の交渉期間は、最低6ヶ月必要では。理想は全ての諸契約が一時期に調印できることだが、基本契約が決まらないとスケジュールが動かない面がある。問題はその後予想できない事態が生じたときに、調整がきくかどうかであろう。不可抗力リスクの分担には、それが顕在化したときに関係者をいかにバインドしていくかという面もある。
  • (電発)VFM向上の観点からすれば不可抗力リスクを民間に負担させることによっていいことは何もない。テイク・オア・ペイ条件は水道局との間で結んでいないが、それを補うものとして二部料金制をとって、基本料金(毎月定額)と従量料金を水道局から払ってもらうこととしている。
  • 契約交渉が当初予定より長期化したとのことだが、サービス供給開始時期は遅れることになるのか。
  • (電発)供給開始日は契約で定められており、遅れた場合の罰金の規定もあり、万難を排して進めている。遅れることはない。
  • ①時間的ミスマッチ、条件的ミスマッチはPFIの問題ではなく、それこそ民間事業者がとるリスクではないか。公共側にも交渉に一定期間の余裕をとる配慮が必要と思う。②本件は基本、従量料金によるシステムであり、テイク・オア・ペイ条件がないことが必ずしも理不尽とは思わない。③本件において、運営時リスクである非常時の運転体制、騒音対策等はどうなっているのか、契約事項なのか。
  • (電発)①民間がとらず公共がリスクをとればVFMが上がるとすれば、それはやらない手はないかもしれないというだけ。②他方で事業会社はガス会社とはテイク・オア・ペイ条件となっており、都とガス会社の間に居る事業会社は、都が電気・蒸気を引き取らなかった場合、燃料費としての従量料金収入がない状態で、ガス会社にガス代を払わなければならなくなる。
  • (石播)③基本的に民間の客に対するのと同様の安全面の配慮をしている。
  • 振動、騒音等について補足すると、契約上の性能のスペックにすべて含まれており、SPCとしてそれを守っていくということである。
  • 東京都の任意解除の資本金及び借入金未返済元本の返済責任については、予算手当がなく実行性に欠けるという話であったが、この点では長期契約上の電気料金の支払いも同じことではないのか。
  • (電発)年度支払額と大きな損害賠償額という金額の多寡により実現可能性に違いはあると思うが、手続論としてはそのとおりである。
  • (東京都小山課長)契約上東京都が費用を負担しなければならない場合について、予算措置がなければ、契約に基づいて補正予算なりの手続をとることになる。その際の対応は金額の多寡によると思うが、本件事業規模は水道局の予算規模からみれば比較的小さいので対応し易いと考えている。予算措置が年度ごとで支払いの確実性がないという話は、予算一般論の話でいかんともし難い。
  • ①公共がリスクを負って民間のリスクを減らせばVFMは向上するとの説明であったが、入札価格は下がるだろうがVFM算出においては、リスクがどちらにあろうが同じ結果になるのでは。②諸契約は同時決着が望ましいということだが、微細なものまでは難しいのでは。③債務負担行為は、債務の負担について立法府が行政府に対し承認するというだけで、債権債務がそこから発生するものではなく契約によって発生する。予算計上の不確実性による支払いの実行性の問題は、債務負担行為があろうが契約があろうが同じことでありPFI以前の話。
  • (電発)①官民間のリスク分担において最適な組合せがVFMを最大化できるのだろうという原則を述べたもの。②PFIの主な契約は同時決着でということを申し上げたかった。③債務負担行為については様々な議論があり、正直わからないが、金融機関を含め関係者の中ではとってほしいという意見が多いと感じている。
  • ①公がやっても民がやっても必ず同じように出るリスクは公がとろうと民がとろうとVFM上同じでは。②他にもガス供給業者がいるはずだが、東京ガスと契約した理由は。
  • 公がとるか民がとるかで金利が違うのでコストが変わってくるのでは。また公の組織の大きさとSPCの小ささでリスク吸収度が異なるので変わってくるのでは。
  • (電発)①PSC計算では、公の100%出資のSPCを仮想してリスク負担に係るコストを乗せるべきと考えている。その意味で事業をよりよくマネージし得る者がリスクをとった方がよいということを申し上げたかった。②募集要項で規定されていたため。
  • (関係機関出席者)PFI契約の場合、契約期間が複数年度にわたり、債務負担行為を設定することとなると地方公共団体に申し上げており、設定されていれば翌年以降払う払わないで問題になることは無い。

(株)大林組より資料3に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料3については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

<PFI事業を検討した具体事例(神奈川県立保健医療福祉大学)>
<ガイドラインに関し留意すべき事項>
  • VFM算定
  • リスク分担
  • 特定事業の選定、民間事業者の選定に関する公表
  • 協定等

【質疑】

  • ①割賦元金と維持管理費等を連動させないでほしいとのことだが、これはBOTの場合についても期待するのか。②公は契約の内容について応募者側の合理的な提案に柔軟に対応すべしとの話だが、募集要項の範囲との整合についてはどう考えるか。
  • (大林組)①サービス購入型のBOTでは2つが混ざるのは仕方ないと思う。②応募者が合理的な提案をした場合には募集要項にとらわれず応募案をとってほしい。
  • (神奈川県古谷課長)割賦債権の分離については、募集要項後の質問でも多かったが、PFIではライフサイクル全体の提案を求め一定期間確実に事業実施してもらうことから不可分と考えている。
  • ①割賦債権との連動の話について、官が求める水準のサービスが提供できない場合に、ペナルティ料を払うという考え方ではどうか。②プロジェクト・ファイナンスで資金調達するということだが、最終的にファイナンス契約が締結されるのはいつ頃と考えているか。
  • (大林組)①ペナルティでとられると整理される方がすっきりする。割賦代金から引くということを金融機関が好まない面がある。②年明け辺りではと考えている。
  • 割賦代金の受取りとペナルティの支払いとの相殺もすべきではないとの金融サイドの見解か。
  • (大林組)見解というより希望だが、それが起こる蓋然性は少ないと考えており、金融機関も納得してくれるはず。
  • 建物が建って売却時点で元本部分に見合う部分が債権として資産計上され、元本部分とサービス部分は分けて経理せざるを得ないと考えるが、ペナルティとして県が支払わない場合、具体的にどのような経理処理を想定しているか。
  • (大林組)貸借対照表上は、未収金がそのまま残っていくことになると思うが深くつめていない。
  • ①事業のリスクに対応可能な企業群のみをコンソーシアムのメンバーとして想定したとのことだが、どういう意味か。またノン・リコースのプロジェクト・ファイナンスとのことで、親会社にリスクは波及しないはずだが、どういう関係になるのか。②金利リスク等について共通のルールをとのことだが、金融ノウハウも1つの競争力を示す要素であるから、これはいかがか。③金融機関の名前を公表すべきでないとの御説明だが、なぜか。
  • (大林組)①従来の公共事業での場合のようなあいまいな役割分担でのコンソーシアムではなく、プロジェクトファイナンス、現実にはリミテッド・リコースになるが、それが求める契約に基づくきちんとした役割分担のできる企業でという意味である。②御指摘のとおり。③契約締結までは交渉不成立の可能性もあるので、公表すべきでないという趣旨。
  • 今回の事例では、5年ごとの基準金利の見直しになっているが、これは官民どちらの負担と判断しているか。
  • (大林組)リスク分担は、基準金利は公共側、スプレッド分は民間側がもっていると考えている。
  • ①物価変動リスクは官民どちらの負担か。②リスクを最も良く管理することができる者の意味を掘り下げられないかとは、どういう意味か。③債務負担行為に加え財政再建団体となったときの国の支援を明確にという要望があるが、これはどういう意味か。④設計変更は金融機関から見ても困った事態となるが、今回はどう処理したのか。
  • (大林組)①物価変動リスクは交渉中である。②現在は何でもPFIでやってみようということで様々な産業が闇雲に参入しようとしているが、それぞれの事業分野のリスクを適切にコントロール出来る専門企業がリスクを担うべきではということをはっきりさせてはという意味合い。③自治体の長期の債務負担について必ず返していただけるということが何らかの形で保証されていればよいということ。④まだ具体的に発生はしていない。費用増とならないよう交渉ごとになる性質のものと思うが、一般論として後からの追加要求は止めてもらいたいと思っている。。
  • (関係機関出席者)自治体の契約によって生じた債権債務関係は、仮にその団体が財政再建団体になっても法的に有効であり、現にこれまでも、他の支出を抑制してでも、債務はすべて支払ってきている。そこまで心配する必要はないと思う。

次回の民間資金等活用事業推進委員会合同部会について

5月26日(金)午後1時~5時40分に開催予定。

以上

(速報のため事後修正の可能性があります)

問合せ先
内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
TEL03-3502-7319、03-3502-7346