第8回PFI推進委員会合同部会 議事概要

日時 平成12年6月2日(金)13:00~16:03
場所 永田町合同庁舎 5階第一会議室
出席者 山内部会長、奥野部会長代理、小幡委員、高橋委員、前田委員、植田専門委員、鵜崎専門委員、廣實専門委員、光多専門委員、矢野専門委員
ヒアリング陳述人 【(株)熊谷組】大島PFIプロジェクト部グループ部長、【公募応募者】片岡修氏((株)東海銀行金融開発部プロジェクトファイナンス・グループ)、若山和夫氏(住友海上火災保険(株)財務企画部・企画課長)
関係機関出席者 大石政策企画官(建設省)、杉浦課長補佐(通商産業省)、松本公共住宅事業調整官(建設省)、満田企画官(自治省)、森専門官(運輸省)、小林技監(千葉県)、小山課長(東京都)、古谷課長(神奈川県)、三上次長(千葉市)
事務当局 白須民間資金等活用事業推進室長、阿部参事官、古谷企画官、清水企画官

議事概要

ガイドラインについてのヒアリング

(株)熊谷組より資料に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。
なお、資料については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

PFI事業等へ参画した具体事例等について>
  • 上越市市民プラザ整備事業について
  • 提案に当たって留意した事項、反省点、等
<PFI事業実施の実務上の指針となるガイドラインに関して>
  • VFMについて
  • リスク分担について
  • 公表について
  • 協定等について、等

【質疑】

  • ①上越市の事業では民間事業者が運営する収益事業も合築されて含まれているが、民間の事業の中でリスクが大きいものは何か。②公共側の財政負担の縮減額あるいはサービス水準向上の評価はどの位か。
  • (熊谷組)①収益事業の全体に占める床面積は少なく、全体収入に占める割合もそんなに大きくない。テナントリスクが焦点となったが、やはりリニューアル工事だったので、建設費のリスクが最も大きいと思う。②詳細は知らないが、VFMについては上越市の新聞発表によれば、20年間に亘る事業全体への市の支払額28億円に対し4億円程度であった。
  • VFMの算定においてリスク移転の数値化が難しい。日本の場合、VFMに対する税金の影響が大きいという議論がある。当面のVFM算定において、とりあえずリスク移転の数値化及び税金の計上を省いてみてはという考え方があるが、どう考えるか。
  • (熊谷組)リスクは過去のデータ等を用いれば算定可能と思われ、税金もみておかないと、実際の事業段階で他のコストにしわ寄せが来るので含めておいてはと思う。
  • ①リスクを下げるためには事前の調査期間がもう少しあった方が望ましかったのか。②特定事業選定時及び民間事業者選定時の公表に際して、評価に用いたデータの公表等を主張されているが、あまり選定の結果の評価の中身まで公表してしまうと応募した民間事業者にとって支障がある場合もあるのではないか。
  • (熊谷組)①望ましいと思う。②当然出す情報によっては困る。言いたいのは、公共側が実施方針の公表後民間からのヒアリング等によりしっかり調査して数値を固め、かつそれを活用してほしいということ。
  • 地方では、中小地元建設業者が公共事業を担ってきたが、今回の事例では地元はどういう反応か。
  • (熊谷組)PFIは、会社へのではなく、事業へのファイナンスであるので、今すぐにとは言わないが、中小業者にも参入は可能と思う。
  • ①この事業はBOTBTOか。②金利リスクは誰が負担したのか。③性能発注はどの程度だったか。④公共側はアドバイザーを使ったか。
  • (熊谷組)①BTOである。②借入れはまだ交渉中だが、金利は一定の年限で見直しする方向で交渉中。③市の基本構想書があくまで参考として元々の基本的なコンセプトとして提示されていた。④アドバイザーがいたが、公募等の手続の仕方についてのアドバイザーであり、選定作業には入っていないと思う。
  • VFMにおいて、鍵となるのは割引率だという御意見があったが、どうやって客観性を持たせるのかに言及していただきたい。
  • (熊谷組)どの割引率を使うのかは難しい問題。ただ、割引率によってVFMが出るか出ないか決まってしまうようなケースでは、別の検討が必要と思う。
  • 今回の契約書類も公開していただいて、今後取り組む自治体等の参考にさせてほしい。タイプ別のVFM算定方法だが、御承知と思うが、独立採算型についてはPSCがないので、VFMの計算が不要では。
  • (熊谷組)承知しているが、日本では、何らかの助成が入ることが多いと思う。
  • 先ほど金利リスクは、一定年限後に見直しということであったが、その時交渉がまとまらない場合どうするのか。
  • (熊谷組)交渉ではなく、事前に算定式を決めておく。

片岡修氏((株)東海銀行金融開発部プロジェクトファイナンス・グループ所属、個人の資格で公募に応募し陳述人として参加。)より資料に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。 なお、資料については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

  • 従来型公共事業におけるリスク分担
  • PFIにおけるリスク分担
  • 第三者の各種専門家の活用

【質疑】

  •  金融機関としての立場から、①PFIで公共側ファイナンシャルアドバイザーになるつもりはあるか。②通常のファイナンスの場合は最長10~15年と思うが、PFIプロジェクトで親会社保証無しの30年の与信についてはどう考えるか。③長期の金利リスクをどうすれば避けられると考えているか。④事業破綻の際のステップインで適切な業者を連れてくるというようなことは実際できると考えているか。
  • (片岡氏)①一義的には民間側のアドバイザーを考えているが、要請があれば検討する。②対処の仕方は案件によって異なり、リスクの高いものは例えばリファイナンスを前提とするなど個別に作り上げるという対応になるものと考える。③全ての金利リスクをマーケットでヘッジできるわけではなく、事業のキャッシュフローの振れ幅を見ながらリスクのとれるストラクチャーを考えていくという対応になるものと考える。④事業を代替する者が見つけられるような代替策があるものかどうかを最初の段階で判断することがポイントと考えている。
  •  運営開始後のモニタリングとして、金融機関としてはどのような役割を考えているのか。
  • (片岡氏)モニタリングはそれぞれの分野で第三者の専門家に任せて、そのレポートをもとに、ファイナンシャルモデルと比べて財務的なモニタリングをするということになる。
  •  ①PFIの選定事業者がSPCの場合、融資銀行として、施設完工までの債務保証をSPCの出資企業から取るか。②第三者専門家の監視にはコストがかかりその費用負担は事業者が行うと思うが、銀行の監視コストは誰が費用負担するのか。
  • (片岡氏)①1日完工が遅れたらいくら補償するという契約をコントラクターからもらう。②銀行団を代表して幹事銀行がモニタリングを行うが、その費用は事業者が手数料として支払うことになる。
  •  リスク分担を決める際に、個々の案件で一件ごとに細かく検討して行うつもりなのか、あるいは銀行として何か基本的考え方があるのか。
  • (片岡氏)リスクは一番適切にとれる者に負担してもらうことが原則で、銀行としては個々のリスクについて細かく検証していくつもり。
  •  第三者の活用と言っておられるが、第三者の意味はアドバイザーとしてなのか裁定者としてなのか、また公共側がチェックしているときの第三者のチェックの意味は何か。
  • (片岡氏)銀行としては、チェックをする場合には、提案企業とは独立したコンサルタント等を使ってやってほしいということ。

若山和夫氏(住友海上火災保険(株)所属。個人の資格で公募に応募し陳述人として参加。)より資料に基づき下記の事項について説明があり、その後質疑を行った。  なお、資料については、ガイドラインについての意見に係るものとして、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。

【説明事項】

  • 民間中立評価機関を活用することのメリット
  • 中立評価者に求められる資質

【質疑】

  • 民間の中立的な評価機関に評価を依頼する仕方についてどのようなものがあったか。
  • (若山氏)海外の事例では国が国営企業の上場の際の価格決めのため評価機関に依頼したケース、また株式上場に際し主幹事証券会社等のアレンジャーが評価をアウトソースするケースがあった。
  •  損害保険会社の立場から、①評価機関の役割を担いたいのか、中立的な評価機関の評価がないと損害保険会社としてはPFIのファイナンスをするつもりがないのか。②銀行等がとれないで残るリスクを保険機能を使って取ることは可能か。
  • (若山氏)企業信用力ではない資産評価、いわゆるアセットファイナンスにおける保証業務の拡大を見込む中で、米国の資産評価専門会社のノウハウを取り入れ、事業評価の分野に進出したいと考えている。②保険会社としてはPFIにおける金融保証も大きな市場として前向きに取り組んでいく。
  •  ①中立的評価会社を日本に作ろうと考えているのか。②PFI事業を担うSPCの事業リスクをどう評価するか。
  • (若山氏)①事業価値を評価するインフラが日本にはないので、そのインフラを作り上げたい。②PFI事業も収益事業であり、基本的には通常の民間事業を評価するのと同じと考える。
  •  PFIでは公共側で民間アドバイザーを使うが、その際の中立評価者との関係はどうなるのか。
  • (若山氏)自治体のアドバイザーと二重に評価する必要はないが、中立評価者は、当該アドバイザーが行った評価を裏書きする役割を担うこともあると思う。

次回の民間資金等活用事業推進委員会合同部会について

6月9日(金)午後1時~5時に開催予定。

以上

(速報のため事後修正の可能性があります)

問合せ先
内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
TEL03-3502-7319、03-3502-7346