特定事業(神奈川県衛生研究所等施設整備等事業)の選定について
平成12年6月23日
記者発表資料
神奈川県衛生研究所等施設整備等事業を、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号)第6条の規定に基づき、特定事業として選定しましたので、お知らせします。
〔資料〕
神奈川県衛生研究所等の施設整備事業を「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号。以下「法」という。)第6条の規定に基づき、特定事業として選定したので、法第8条に規定する特定事業選定における客観的評価の結果をここに公表します。
平成12年6月23日
神奈川県知事 岡崎 洋
特定事業の選定について
1:事業概要
横浜市旭区中尾1丁目地内の神奈川県衛生研究所を茅ヶ崎市下町屋1丁目地内へ移転整備する。
移転整備にあたっては、移転先の既存建築物(以下「既存棟」という。)を改修し、活用するとともに新たな建築物(以下「新棟」という。)を建設する。
あわせて、既存棟の一部を広域防災活動備蓄倉庫として整備する。
(1)整備内容
- ア:移転先
- 茅ヶ崎市下町屋1丁目547番1ほか(敷地面積約2万平方メ-トル)
- イ:施設の整備
- ①既存棟の改修・活用
- 移転先の既存棟(SRC造7階建約8,000m2)の一部を改修し、研究事務室、管理事務室、共同研究用事務室などを配置する。
- ②新棟の建設
- 新棟を建設し、実験室などを配置する。
構造 鉄筋コンクリート造(免震構造)、地上3階建
面積 約8,000m2
- 新棟を建設し、実験室などを配置する。
- ③既存棟の一部を防災局所管の広域防災活動備蓄倉庫として整備する。
- ①既存棟の改修・活用
(2)事業内容
- ア:新棟はBOT方式(Build Operate Transfer) とし、県が実施した設計に基づき事業者が建設・維持管理を行い、30年間県に賃貸した後、県に所有権を無償で移転する。
- 既存棟及び外構は、事業者が改修工事を行い、県は30年間で支払う。
イ:30年間の契約期間中、既存棟及び新棟の維持管理業務及び研究支援業務を、PFI事業者に、一括で委託する。
(3)支払いについて
- ア:支払期間
- 30年間
- イ:支払方法
- 県から事業者への支払は、提供されたサ-ビス(上記(2)に記載した事業内容をいう。以下同じ。)に対する対価として一体で支払う。
- 支払い回数については、年2回とする。
サービスに対する対価は、物価変動等の要因を反映させる。
2:県が直接事業を実施する場合とPFIで実施する場合の評価
(1)コスト算出による定量的評価
本件事業において県が直接事業を実施する場合の公共負担額とPFIで実施する場合の公共負担額の比較を行うにあたり、その前提条件を次のとおり設定した。
なお、これらの前提条件は、県が独自に設定したものであり、実際の民間事業者の提案内容を制約するものではなく、一致するものでもない。
- ア:県が直接事業を実施する場合の前提条件
- 算定対象とする経費は、開業費、建設費、県債利息等、維持管理費(修理費を含む)、研究支援業務費及び県の人件費とした。
- 建設費の財源には、地方債が70%充当されるものとし、償還条件は、償還期間10年間、2回借り換え、合計償還期間30年間とした。
- 起債の利率は過去10年間平均とした。
- 維持管理費及び研究支援業務費は、関係事業者からの参考見積、ヒアリング、及び現在の衛生研究所の事業実績を基に算定した。
- 修理費は、(社)建築・設備維持保全推進協会の基礎デ-タを基に算定した。
- イ:PFIで実施する場合の前提条件
- 算定対象とする経費は、開業費、建設費(VEに係る設計変更料含む)、維持管理費(修理費を含む)、研究支援業務費、県への賃貸、新棟の所有権移転に係る経費及び県の人件費とした。
- 建設費、維持管理費、研究支援業務費及び修理費については、民間事業者の実態または関係事業者の参考見積をもとに、性能発注及び一括発注による効率化や民間事業者の工夫が行われるものと想定して積算を行った。
- 金利水準は、過去10年間平均とし、市中銀行借入、日本政策投資銀行借入を想定し、民間事業者が十分に利益を確保し、事業運営が行える水準とした。
- ウ:その他
- インフレ率は、1%と想定した。
- 割引率は、インフレ率1%を含み4%とした。
次に、ア~ウの前提条件で県が直接事業を実施する場合の公共負担額とPFIで実施する場合の公共負担額を比較すると、以下のとおりである(数値は割引率を用い、現在価値に置き直したもの)。
項目 | 金額(現在価値) |
---|---|
県が直接事業を実施する場合の公共負担額 | 17,823百万円 |
PFIで実施する場合の公共負担額 | 16,791百万円 |
公共負担軽減額(※) | 1,032百万円 |
※:なお、無利子融資が本件事業に充当された場合(全て県の支払う代金の軽減に充当されたと仮定する)、県が直接事業を実施する場合の公共負担額とPFIで実施する場合の公共負担額の差額は、2,461百万円となる。
(2)事業者に移転されるリスク調整
本件事業において、県が民間事業者に移転するリスクは、総額 418百万円となる。
定量化は困難であるが、本件事業においては、従来、県の責任で行っていた資金調達リスク、研究支援業務にかかる維持管理リスクを民間事業者の責任に移転している
(3)PFI事業として実施することの定性的評価
建設、維持管理、研究支援関係の業務を民間事業者が一括して請け負うことにより、効率的で機能的な施設運営を期待することができる。
また、物価変動等により額の変動はあるが、サ-ビス対価として、毎年、均等額の支払を行うので、県で直接実施する場合と比較して県の財政支出の平準化を行うことができる。
(4)総合的評価
本件事業は、コスト比較において、PFIで実施する場合のほうが、県が直接実施する場合よりも、公共負担額が、1,032百万円~2,461百万円削減されると考えられ、これにリスク調整額418百万円を加えれば、1,450百万円~2,879百万円の公共負担額削減効果が認められる。
このため、本事業を特定事業として実施することが適当であると認め、ここに法第6条に基づく特定事業として選定する。
お問い合わせ先
衛生部衛生総務室
新衛生研究所整備担当(内線5029・5030)