特定事業(神奈川県立近代美術館新館(仮称)等事業)の選定について

平成12年9月18日
記 者 発 表 資 料

神奈川県立近代美術館新館(仮称)等事業を、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号)第6条の規定に基づき、特定事業として選定しましたのでお知らせします。


(資料)

神奈川県立近代美術館新館(仮称)等事業を「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号。以下「法」という。)第6条の規定に基づき、特定事業として選定しましたので、法第8条の規定により、特定事業選定における客観的評価の結果を公表します。

平成12年9月18日

神奈川県知事 岡崎 洋

特定事業の選定について

1  事業概要

神奈川県立近代美術館の現在地(鎌倉市雪ノ下)で不足する機能を補うため、鎌倉館本館及び別館と連携する「新館」を三浦郡葉山町一色に建設し、生涯学習時代にふさわしい機能を備えた美術館を整備し、運営する。

(1)葉山新館計画地等

ア 葉山新館建設計画地 三浦郡葉山町一色字三ケ岡2,208-1

イ 鎌倉館所在地
(本館)鎌倉市雪ノ下2-1-53
(別館)鎌倉市雪ノ下2-8-1

(2)葉山新館施設整備内容

  • ① 鉄筋鉄骨コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造)
  • ② 地上2階地下1階(最高高さ10m)
  • ③ 床面積6,000m2(構造体等を除く美術館面積の合計)
  • ④ 配置施設 展示室、収蔵庫、美術図書室、書庫、講堂、館長室、事務室、学芸員室、喫茶・レストラン、ミュ-ジアムショップなど
  • ⑤ 駐車場 50台

(3)事業内容

ア 県が実施した実施設計に基づき、葉山新館を建設する。

イ 平成15年4月から平成45年3月までの30年間、県に葉山新館を賃貸し、その後、県に所有権を無償で移転する。

ウ 葉山新館の維持管理業務、備品等整備業務、美術館支援業務(美術情報システム運用支援業務等)並びに鎌倉館(本館及び別館)の維持管理業務を一括して実施する。

エ 鎌倉館(本館及び別館)の建物は、県が引き続き所有する。鶴岡八幡宮境内の本館については、土地の賃貸借契約期間と併せて、維持管理業務契約期間を平成15年度から平成27年度までの13年間とする。ただし、別館の維持管理業務については、葉山新館と同様に30年間の契約とする。

オ 葉山新館前のバスベイ及び歩道を自費施行工事で整備する。


2  県が直接事業を実施する場合とPFIで実施する場合の評価

(1)コスト算出による定量的評価

本件事業において、直接県が事業を実施する場合の公共負担額とPFIで実施する場合の公共負担額の比較を行うにあたり、その前提条件を次のとおり設定した。
なお、これらの前提条件は、県が独自に設定したものであり、実際の民間事業者の提案内容を制約するものではなく、また一致するものでもない。

ア 県が直接事業を実施する場合の前提条件

  • ① 算定対象とする経費は、葉山新館の開業費(工事監理費等)、建設費、県債利息等、維持管理費(修理費を含む)、美術館支援業務費、備品等整備費及び鎌倉館の維持管理費並びに県の人件費とした。
  • ② 建設費の財源には、地方債が70%充当されるものとし、償還条件は、償還期間10年間、2回借り換え、合計償還期間30年間とした。
  • ③ 起債の利率は、過去10年間平均とした。
  • ④ 維持管理費、美術館支援費及び備品等整備費は、関係事業者からの参考見積、ヒアリング及び現在の近代美術館の事業実績を基に算定した。
  • ⑤ 修理費は、(財)建築保全センタ-のデ-タを基に算定した。

イ PFIで実施する場合の前提条件

  • ① 算定対象とする経費は、葉山新館の開業費(工事監理費等)、建設費(VEに係る設計変更料を含む)、維持管理費(修理費を含む)、美術館支援業務費、備品等整備費、県への賃貸、県への所有権移転に係る経費及び鎌倉館の維持管理費並びに県の人件費とした。
  • ② 建設費、維持管理費、美術館支援業務費、備品等整備費及び修理費については、民間事業者の実態、または関係事業者の参考見積を基に、性能発注及び一括発注による効率化や民間事業者の工夫が行われるものと想定して積算を行った。
  • ③ 金利水準は、過去10年間平均とし、市中銀行借入、日本政策投資銀行借入を想定し、かつ、民間事業者が十分に利益を確保し、事業運営が行える水準とした。

ウ その他

  • ① インフレ率は、1%と想定した。
  • ② 割引率は、インフレ率1%を含み4%とした。

◎ 上記ア~ウの前提条件で、県が直接事業を実施する場合とPFIで実施する場合の公共負担額の比較は、次のとおり。

項目 金額(現在価値)
県が直接事業を実施する場合の公共負担額 8,778百万円
PFIで実施する場合の公共負担額 8,070百万円
公共負担軽減額(※) 708百万円

(※)無利子融資が、本件事業に充当された場合(全て県が支払う代金の軽減に充てられると仮定する)、県が直接事業を実施する場合の公共負担額とPFIで実施する場合の公共負担額の差額は、地域総合整備資金貸付(ふるさと融資)が適用される場合は、1,293百万円、日本政策投資銀行無利子融資が適用される場合は、1,710百万円となる。

独立採算部門の収支を除いた場合、県が直接事業を実施する場合の公共負担額は、9,299百万円、PFIで実施する場合の公共負担額は8,611百万円、公共負担額の差額は、618百万円となる。
この場合に、無利子融資が充当されたとすると、公共負担額の差額は、地域総合整備資金貸付(ふるさと融資)が適用される場合は1,214百万円、日本政策投資銀行無利子融資が適用される場合は、1,647百万円となる。

(2)コスト算出による定量的評価

本件事業において、県が民間事業者に移転するリスクは、総額374百万円となる。
その他、定量化は困難であるが、本件事業においては、従来、県の責任で行っていた資金調達リスク、維持管理リスクを民間事業者の責任に移転している。

(3)PFI事業として実施することの定性的評価

建設、維持管理、美術館支援及び備品等整備関係の業務を民間事業者が一括して請け負うことにより、効率的で機能的な施設運営を期待することができる。
また、物価変動等により金額の変動はあるが、サ-ビス対価として、毎年均等額を支払うため、県の財政支出の平準化を図ることができる。

(4)総合的評価

本件事業は、コスト比較において、PFIで実施する場合の方が、県が直接実施する場合よりも、公共負担額が708百万円軽減され、無利子融資が充当された場合、1,710百万円までの範囲で削減されると考えられ、これにリスク調整額374百万円を加えれば、1,082百万円から2,084百万円までの範囲で、公共負担額軽減効果が認められる。
以上により、本事業を特定事業として実施することが適当であると認め、ここに法第6条に基づく特定事業として選定する。


問い合わせ先

教育庁教育部生涯学習文化財課
近代美術館新館建設担当 (内線8360・8361)
メールアドレス kinbi-hayama@planet.pref.kanagawa.jp


ハローファクスボックス番号29050
ホームページアドレスhttp://www.pref.kanagawa.jp/press/0009/29050/index.htm